歴史ある酒蔵「伊東合資」が、当時の空気感はそのままに“食の複合施設”へリニューアル【愛知・半田市】
#おでかけ

2024.8.23fri

歴史ある酒蔵「伊東合資」が、当時の空気感はそのままに“食の複合施設”へリニューアル【愛知・半田市】

愛知県半田市にある、日本酒“敷嶋”の酒蔵「伊東合資」が、レストランやカフェなどを併設する複合施設へと生まれ変わりました。

中部地方で最大規模を誇る酒蔵だった「伊東合資」は、清酒需要の低下などの影響を受け、一度は廃業を余儀なくされました。そして、それを復活させたのは9代目の伊東優さん。

伊東さんに、酒蔵復興のことや新たに生まれ変わった「伊東合資」のことを詳しく伺いました。記事の後半には、伊東さんイチ押しの立ち寄りスポットも登場。

“敷嶋”の復活、そして酒蔵の復興まで

明治から今も変わらず、酒造りに使われる井戸の前にて。

「知多半島は江戸時代から酒造りが盛んで、最盛期には220軒ほどの酒蔵があったのをご存知ですか? 知多は古くから海運が発達し、酒処の灘(兵庫)や伏見(京都)よりも江戸に近く、尾張藩の後押しもあり酒造業が発展してきました」と、「伊東合資」9代目・伊東優さんは話します。

海に面する南東側にある 入り口。入って右手に 「蔵の店 かめくち」が。

中でも1788年創業の、中部地方で最大規模を誇る酒蔵だった「伊東合資」は、清酒需要の低下などの影響を受け、2000年に廃業。それを復活させたのが優さんです。

「2014年に祖父が亡くなったとき、お通夜の前夜に祖父が作った日本酒“敷嶋”を飲んだら、本当においしくて。製造から時間が経っているのに、しっかりと芯がある力強い味わいに心が震えたんです」。

かつての酒蔵の建物には、レンガ造りの煙突が残る。

これを機に酒蔵復活を目指し、優さんは付き合いがあった酒蔵で酒造りを学び、脱サラして2020年からは委託醸造により“敷嶋”を復活。翌年、一度手放した建物や酒造免許を再取得し、念願だった半田市亀崎の地での酒造りを復興させました。

レストランやカフェ、ショップのオープン

さらに、2023年12月には、古い蔵を生かした建物に「Restaurant gnaw(レストラン ノー)」を開店しました。「キロメートル0」を掲げ、知多の食材を掘り下げたコース料理が堪能できる完全予約制のお店です。※要予約

そして2024年1月には、約60年前の酒の絞り場をリノベーションして「サケカフェにじみ」をオープン。

「ペアリング前菜」(1320円)。※前菜や日本酒の内容は時季によって異なります 。

自慢の日本酒や自家製モクテルとのペアリングが楽しめる「サケカフェにじみ」。“敷嶋”の各銘柄に合う前菜が味わえる「ペアリング前菜」では、ノンアルコールカクテルのモクテルも選べるそう。

生チョコやアイスに使われた日本酒がほのかに香る、新登場の「敷嶋パフェ」(1000円)も。

お店の前には、里山をイメージした緑いっぱいの「酒蔵の庭」が広がる素敵な空間です。

“敷嶋”の各銘柄をはじめ、味噌やしょうゆ、たまりなどの醸造調味料やお米、お茶、雑貨など知多半島のいいものをお土産として購入できる「蔵の店 かめくち」も開業しました。お店では角打ちのおつまみをそろえ、1杯300円から試飲も可能。

酒蔵復活にとどまらずカフェやレストランを開いたのは、ここを拠点に亀崎の街や知多半島全体を盛り上げていきたいと願っているから。

「温暖な気候に恵まれた知多半島は、知多牛や知多豚などの食肉、新鮮な魚介や伝統野菜、味噌やたまりじょうゆ、みりんといった醸造調味料など、食がとっても豊かです。国内を見ても他にはなかなかない食の豊かさを、ここから国内や海外に発信していきたいんです」と、優さん。

この他、酒蔵の歴史に触れられる酒蔵ツアーや、多数が出店するマルシェを開催するなど、地域全体を盛り上げ、亀崎を訪れる人、さらには住んでみたいという人を増やしていくのも、優さんの大きな目標とのことです。

歴史ある酒蔵の空気感はそのままに、新たな空間として生まれ変わった「伊東合資」で、お酒、食を楽しみながら、日本酒の歴史や文化に触れてみてください。

伊東合資

問い合わせ
0569-29-1126
場所
愛知県半田市亀崎町9-111
営業時間
「にじみ」11:00~17:00(ランチは~14:00、カフェのLOは16:00、ディナーは10名以上で予約可)、「かめくち」10:00~19:00(LOは18:00)、「gnaw」18:30~(コース時間は約3時間~3時間半)
定休日
月曜定休(gnawは日・月曜定休)
駐車場
32台(共同)
支払方法
カード・電子マネー可(gnawはカードのみ可)
公式サイト
ito-goshi.com
アクセス
JR「亀崎駅」より徒歩で約13分

伊東さんおすすめ!立ち寄りスポット

神武天皇が上陸した地に誕生した「神前神社」。神武天皇が使った井戸が残り、現在も子どもの健やかな成長を祈る「井戸のぞき神事」が行われています。


伊東さん


毎年5月3日・4日には300年以上続く勇壮華麗な「亀崎潮干祭」が開催されています。ユネスコ無形文化遺産にも登録されている伝統的なお祭りです!

神前神社(かみさきじんじゃ)

問い合わせ
0569-28-0019
場所
愛知県半田市亀崎町2-92
営業時間
9:00~15:00(社務所)
定休日
無休
駐車場
20台
支払方法
カード・電子マネー不可
公式サイト
www.kamisaki-jinja.com
アクセス
「伊東合資」より車で約5分

三河湾に面した亀崎で魚屋から始まり、はんぺん屋へと発展した「政七屋」。看板商品の「いわしはんぺん」など、丁寧に手作りされた商品が並びます。


伊東さん


豊かな漁場広がる亀崎で約200年続くはんぺん屋。政七屋のはんぺんは、揚げ蒲鉾やさつま揚げを指し、もっちりとした食感が特徴です!

手づくりはんぺん 政七屋

問い合わせ
0569-22-0847
場所
愛知県半田市古浜町18-1
営業時間
10:00~18:00(土・日曜は7:00~12:00)
定休日
水曜・祝日定休
駐車場
約30台
支払方法
カード不可・電子マネー可
公式サイト
masa7ya.com
アクセス
「伊東合資」より車で約7分

「伊東合資」へ来たら、伊東さんイチ押しのスポットにも足を運んでみてはいかがでしょうか。

※掲載内容は2024年7月時点の情報です
※価格は税込み表記

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歴史ある酒蔵「伊東合資」が、当時の空気感はそのままに“食の複合施設”へリニューアル【愛知・半田市】

WRITER

Masahiro Sugiyama

Masahiro Sugiyama

金沢の出版社、東京の雑誌『自休自足』(現『TURNS』)の編集部を経て、2009年に独立。2016年秋から、地元・愛知へUターン。月刊『KELLy』では、おでかけ記事を担当し、年間200軒以上のショップや飲食店を取材!著書に、『ふだんの金沢に出会う旅へ』『レトロカーと。』(ともに主婦の友社)など。

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