2021.1.24sun
名古屋・自由ヶ丘に「八O吉(やおきち)」の実店舗がオープン。八百屋の野菜たっぷりカレーが話題
2021年1月8日、名古屋・自由ヶ丘に「八O吉(やおきち)」の実店舗がオープンしました。名古屋市内の学生が手掛ける同店は、名古屋で根強いファンを持つ八百屋「八百吉商店」の野菜をたっぷり使用したオリジナルカレーが楽しめます。
名古屋・自由ヶ丘に「八O吉(やおきち)」の実店舗がオープン。八百屋「八百吉」から仕入れる野菜たっぷりのカレー
自由ヶ丘駅すぐの古民家を改装してできたカレー屋「八O吉(やおきち)」
地下鉄「自由ヶ丘駅」1番出口から徒歩すぐ。カレー屋「八O吉(やおきち)」の実店舗が、2021年1月8日にオープンしました。
運営メンバーは平均年齢21.6歳と、名古屋市内の学生が手掛ける同店は、そのユニークさと他にはないカレーの味わいから、InstagramなどSNSで話題に。
そんな「八O吉(やおきち)」のお店づくりやメニューへのこだわり、大切にしていることが気になって、代表の吉田さん、副代表の若山さんにお話を伺いました。
「何かできること」をしたくて、カレー屋に
「八O吉(やおきち)」の発端は、2020年春から。コロナ禍で思うように仕事ができないコロナ禍でバイトが削られてしまった学生たちと協力し、カレーのデリバリーのみで始まりました。
吉田さん 困っている人たちが周りにいる中で、自分たちが何かできないかと思ったのがきっかけでした。「カレー屋をやろう!」というより、お客さんとお店を作っていくことがやりたかったので、正直カレーは後付けだったんです。
じゃあなんでカレーかというと、カレーって皆に愛される食じゃないですか。僕たちが目指しているのは、内側と外側のない店。お客さんと僕たちという内側と外側の壁がないような店づくりを考えた時、ファストフードみたいな価値観でもないし、フレンチみたいなハードルの高さも違う、カレーがいいんじゃないかと辿り着きました。
デリバリー専門のカレー屋として順調にスタートする一方で、順調がゆえの課題も見つかったと言います。
若山さん 以前はカレーを調理する度にシェアキッチンを借りていたので、時間的制約があったり、個数も追いつくのが精一杯で、思うようにまわしていけなかったんです。
吉田さん でも、デリバリーをやっていく中で、自分たちが提供したいのは、空間的な価値や味だけでない食体験だと気づけました。よりよい食事体験を提案するためには、ハコがあった方がいいと思い、実店舗のオープンに向けて、夏から準備しました。
見えないところにもこだわりを。体も心も喜ぶ味を共創する
「八O吉(やおきち)」のカレーのポイントは、野菜にあります。カレーに使用する野菜は全て、名古屋で約11年営む八百屋「八百吉商店」から仕入れた新鮮な野菜です。
吉田さん カレーのトッピングもルーに溶けた野菜も、全てが実家の「八百吉商店」のものです。ルーには細かくなって見えないですが、エノキや生パセリなど、うま味がしっかりと出るものや、栄養価の高いものをこだわって使用しています。
また、「八O吉(やおきち)」のカレーの特長となるのが、スパイスの使い方。程よいスパイス加減なので、子どもからお年寄りまで食べられる味なのです。
吉田さん 約10種類のスパイスを使用していますが、スパイスが味の前面にでないように量を入れすぎず、あくまで素材の味を引き立てるために使っています。
僕たちのカレーは、インドなど異国籍のカレーでもないし、カルチャー系でもない。スパイスカレーなど流行りに乗らず、自分たちの色を出しながら、お客さんと作り上げていくことを大切にしています。
誰にでも親しまれる味から、今ではInstagram経由で知った大学生や若い夫婦をはじめ、近所のお年寄りのお客さんも多いのだとか。
そんな同店のカレーは、料理家の松山たけし氏(@hakuikun)が監修し、レシピを考案。メニューを共同開発しています。
吉田さん メニュー開発には松山さんだけでなく、お客さんも関わっています。「八O吉(やおきち)」の常連さんにも参加してもらうことで、客観的な視点をヒントに店づくりをしています。味だけじゃなくて、お店のサービスを作り込むところも意見を聞いているんです。
若山さん 具体例を上げると、お客さんから「お子さまも食べれる」ってことを書いた方がいいんじゃないかと意見をもらいました。元々野菜ベースで辛過ぎない味でしたが、表現はできていなかったんです。自分たちが気づかない価値を教えてもらえる、良い機会となっています。
約12種類の野菜とこだわりのスパイスを使ったカレー
同店の一番人気は「八O吉カレー」。数種類の野菜を丹念に煮込み、複雑なうま味を引き出した特製カレーベースに、ヨーグルトで揉み込むことで、しっとりと仕上げたチキンを加えています。
また、シナモンやカルダモンなどのスパイスと炊き上げたライスは、白米よりも食欲がそそられること間違いなし。にぼしの出汁を加えたルーのコクとうま味が絶品です。
それぞれの具材の魅力については、下記をご覧ください。
- ●八O吉の甘いニンジン
- 八○吉の定番野菜、人参のロースト。皮つきでじっくりと火を入れることによって、
人参の持つ本来の甘味を最大限に引き出しました。
- ●スパイス焼き長芋
- 表面に芳ばしく焼き目をつけ、オーブンでほっくりとした食感になるまで火を通しました。
こちらも皮つきで。
- ●まるピー
- ピーマンを種ごと食べたことありますか?丸ごとピーマンを焼くことで、
中は蒸し焼きになり、種ごと食べられます。驚くほど甘いピーマンです。
- ●おいしいコールスロー
- みずみずしいキャベツと、特製玉ねぎドレッシンッグを合わせた、絶対に普通よりもおいしいコールスロー。
- ●半熟卵のアチャール
- 辛くて酸っぱい、そしてまったり。カレーとの相性がぴったりの卵のスパイスピクルス。
月替わりの限定メニューも注目。2021年1月は、「柚子香る鰆とカブのカレー」です。ホロホロと身の柔らかい鰆と、旬のカブが入っています。
鰆とカレーの相性が意外にもよく合い、野菜のエキス、鰆の旨み、スパイスのバランスが絶妙。柚子の皮を加え、爽やかな香りが口の中に広がります。1月までの限定販売なので、気になる方はお早めに!
カレーと相性抜群のドリンクメニューも必見です。こちらの「ジンジャーレモネードスモーキー」は、「八百吉商店」の生姜を使った自家製ジンジャーシロップと、炒ったコーヒー豆を入れた飲み物。ピリッ甘く、ほんのりビターという、不思議な味わいがクセになります。
また、「カレーと珈琲」のイベントなど、定期的にイベントも開催しています。イベント情報について、気になる方はぜひお店の公式Instagramをチェックしてみてください。
日々の暮らしにカレーなる体験を、お客さんと作り上げる
自由ヶ丘で早くもファンをつくり、魅了している「八O吉(やおきち)」。そもそも自由ヶ丘にお店を構えた理由とは?
吉田さん わざわざ来ていただきたいんです。栄などの繫華街でなく、自由ヶ丘に出すことに意味があると思っていて。カレー屋ならどこでもいいってより、「八O吉(やおきち)」へ食べに行きたいと思うお客さんが集まる場にしたいと思って選びました。
吉田さん 僕たちのカレーは、1杯1200円くらいとそんなに安くはないですが、お客さんが何に対価を払ってくれるか考えた時、第一に浮かぶのは味でないなと。会話だったり、一緒に作っていくことだったり、今までになかった食事体験を楽しんでもらいたいと思っています。
「内側と外側のないお店を作りたい」と燃える「八O吉(やおきち)」は、学生という肩書きに甘えることなく、飲食という厳しい業界に挑戦する姿、あえてやり続ける姿をみせています。
ぜひ、「八O吉(やおきち)」のカレーを食べに、彼らに会いに、足を運んでみてはいかがでしょうか。