おじさんっぽさを出すために、お二人からどんなことを学びましたか?
葵さん カレーを食べるシーンの中で台詞に「うまい!」を言う場面があったのですが、その台詞におじさんらしさを出すのが難しかったです。なので「うめー」ですか?「うんめー」ですか?など皆さんに聞いてもらいながら演技指導してもらったおかげで、最高の「うんめぇー」ができました!Ⓒ今野 敏 / Ⓒ2019映画「任俠学園」製作委員会
西田さんから教わったことは何でしょうか?
西島さん 西田さんのアドリブは、ただ面白いことを言うためではなく、脚本があり、役がある中でより世界観を深めるアドリブをされてきます。生徒を説得するシビアなシーンでも、ものすごい長いアドリブを言っていて、生徒は役柄的に納得してはいけないんですけど、あまりの迫力に、納得してしまいそうになっていたり、本当にすごいです。あと、絶対にカットされないタイミングでやられたりするんですね。僕たちはカットされることを想定しながら言ったりするんですけど。それも分かった上でお芝居されているのがすごいです。伊藤さん 西田さんが車に乗ってシートベルトをするシーンで、親分の役(阿岐本組組長)だから少し違和感を覚える方がいると思います。ルール上、守らないといけないのですが、そこで「世間のルールは絶対守る」と言いながらシートベルトをすることで、阿岐本組の人情や、筋を通すような世界観が伝わってくるんですね。ただの思い付きや閃きではなく、1シーンに真実味やリアリティを与えるアドリブは、本当に勉強になります。
Ⓒ今野 敏 / Ⓒ2019映画「任俠学園」製作委員会
今回共演されたお互いの印象などを教えて下さい。
西島さん 葵ちゃんは、今までの役では想像がつかないほどのチャーミングな部分が出ていて、ものすごくかわいいです。映画の中で、「ありがとな」と僕が言うシーンがあるのですが、その「ありがとな」をもう一度言われたいために、動き出していく姿はかわいいの一言に尽きます!葵わかなファンには、たまらないと思います。伊藤さん 葵ちゃんは一回りくらい年が違うのですが、おじさんって思われていたらどうしようって思っていました。でもそんな心配もなく、分け隔てなく接してくれてうれしかったです。西島さんは、笑顔がとても素敵です。全部の歯が見えるんじゃないかくらいの笑顔で笑ってて、本当に大好きです!(笑)
葵さん 西島さんは、これまでの作品では怖い顔で撮影中は常に戦っている印象でした。でも今回の現場では常に笑ってらっしゃって、普通の人の2倍、3倍は笑っていたと思います。本当に柔らかい人です。あっくん(伊藤さん)は、テレビで見るまんまです(笑)。自分の周りは年上ばかりで遠慮していたのですが、二人とも若手とか、年齢関係なく接してくれる空気作りをしてくださいました。『任俠学園』の現場はみんな男子高校生みたいな、年齢差を感じさせない楽しい場所でした。
【STORY】
社会貢献がモットーの義理と人情に厚いヤクザ・阿岐本組。困っている人を見過ごせない組長(西田)によって、今度はなんと、経営不振に陥った高校の立て直しを引き受けることに。いつも親分に振り回されてばかりの阿岐本組No.2の日村(西島)は、学校にいい思い出がなく、気が進まなかったが、“親分の言うことは絶対!”と仕方なく学園へ。そこで待ち受けていたのは、無気力・無関心な高校生と事なかれ主義の先生だった。果たして、再建することはできるのか―。
映画『任俠学園』
9月27日(金)よりミッドランドスクエアシネマほか
出演 / 西島秀俊、西田敏行、伊藤淳史、葵わかな、葉山奨之、池田鉄洋
監督 / 木村ひさし
原作 / 今野敏『任俠学園』(中公文庫)
脚本 / 酒井雅秋
音楽 / 末廣健一郎
主題歌 / 『ツギハギカラフル』東京スカパラダイスオーケストラ(cutting edge)(JUSTA RECORD)