2019.9.28sat
名古屋・星ヶ丘「和N(ワエヌ)」の、“発酵”と“地産地消”を大切にした料理の数々
2019年7月、地下鉄「星ヶ丘駅」から徒歩10分のところに、「和N(ワエヌ)」がオープン。発酵をテーマにしたさまざまな料理を楽しめるということで、早速取材に行ってきました!
「おいしい」と「健康」を両立させたい!
フレンチやイタリアンなど、洋食の世界で10数年腕を磨いた後、和食の道に進んだ野村さんが、発酵に着目したのは、マクロビオティックの「自然と調和を取りながら、健康的な暮らしを実現する」という考え方に、共感したことがきっかけでした。
「最近は、化学調味料や添加物などを使った料理が多く、『おいしいものは身体に良くないよね』と言われることもある。本来、食は身体を保つためのものなのに、矛盾していると思うんです。『おいしいと健康を両立させたい』。そこから、発酵食に惹かれるようになりました」
ミントや大葉、すだち、きゅうり、セロリなどを発酵させてつくる「コンブチャ」。素材ごとの香りと爽やかな酸味が、料理のおいしさを高める。ちなみに、ノンアルコール
伝統的な調理法の「発酵」には、食材の旨みを浮かび上がらせるとともに、栄養を吸収しやすくし、身体の負担を軽くするという特徴があります。そんな「発酵」に加えて、野村さんが大切にしている調理法が「乾燥」。食材を乾燥させてチップやパウダー状にして、味や香り、食感のアクセントとして活用しています。
豆や米、麦を使って、自家製の麹づくりも
「どうぞ、ぜひご覧ください!」 と、「和N(ワエヌ)」店主の野村さんが案内してくれたのは、お店の中央にある“発酵室”。名古屋・星ヶ丘のビルの一角に、発酵室があること自体驚きですが、中に入ってさらにびっくり!
温度28度、湿度75~80%に保たれたその発酵室では、味噌や醤(ひしお)から、酢、米や豆、麦で仕込んだ麹、乳酸菌発酵による野菜漬け、コンブチャという中国発祥の甘酸っぱい酵素ドリンクまで、多種多様な発酵食品、発酵調味料が作られていました(ガラス窓が設けられていて、店内からも見学可能)。
「慣れれば、意外と簡単に作れますよ。菌たちが、勝手に働いてくれますから(笑)」。そう言いながら、野村さんは一つずつ丁寧に発酵の状態を確かめていきます。
東海3県で育った旬の食材のみを使用
コースで提供される各種前菜。右奥から「昆布チップ 篠島タコ セロリ」「乳酸発酵キャベツのサンドイッチ」、手前が「パッションフルーツ 発酵オクラ イカガルムパウダー」
ランチ、ディナーともに、料理はコース仕立て提供(ランチ3000円、4200円 / ディナー5400円、8100円 ※サービスチャージ料8%別途)。ディナーでは、コースのメニューを単品で、追加注文することもできます。
食材は、生産者のもとを訪ねて、直接仕入れることも多く、農家を訪れたときは、畑仕事を手伝うこともあります。「東海3県で育った旬の食材しか使わない」と、“地産地消”も大切にしているため、コースで出されるメニューは、季節の食材によって頻繁に変化。何度訪れても、新たな発見や驚きがあるはずです。
発酵と乾燥による、ここだけでしか堪能できない「味」を
「静岡産三ヶ日牛 低温調理 金山寺味噌」
「さらに、発酵や乾燥を取り入れるもう一つの魅力は、料理のセオリーにはないような、思いもよらない食材の組み合わせが楽しめるところ」
例えば、出汁をとった昆布と鰹節の乾燥チップに、篠島のタコと発酵セロリを和えたものを合わせたり、パッションフルーツに発酵させたオクラを組み合わせ、乾燥させたイカの魚醤パウダーをアクセントにまぶしたり、和Nでしか堪能できない「味」に出合うことができます。
また、自分で発酵を手掛けることで、塩分量なども自由に調節できます。例えば、味噌は通常8~10%の塩分を含むそうですが、和Nでは塩分量を約4%に調整。大豆本来のおいしさが感じられるうえ、身体にも優しい味噌に仕上げています。
奥には、一枚板をあしらったテーブル席も用意
「将来的には、和食だけでなく、フレンチなどの洋食やパン、カフェなど、発酵をテーマにしたさまざまな料理が楽しめる場所を作り上げたい」と、目標について語る野村さん。今後の展開からも、目が離せません!