©2019「ひとよ」製作委員会
15年間会わなかった家族の距離ってどのようなものでしょうか?
白石監督 15年間会わなかった家族の距離感を出すのは、難しかったです。実際の体験としては、僕も映画を志して家を出てきて、最初の6、7年は帰らなかったから、祖父の葬儀で帰った際に微妙にぎこちない距離感を感じたことはありました。現場のリアルな空間が印象的でした。撮影現場でこだわった場所などありますでしょうか?
白石監督 とてもこだわりました。2人の兄妹で暮らしていた食卓はどうなっていたんだろうと考えながら装飾しました。また、撮影に協力してもらえるタクシー会社が半年見つからなくて、豪華なメンバーの撮影が決まっている中で「すみません、ちょっと撮影場所が決まらなくて」って伝えなくてはいけないぎりぎりの状態だったりと、見つかった瞬間がうれしかったですね(笑)“家族”をテーマに映画を撮るにあたり、以前から入れたいと思っていた要素などありますか?
白石監督 パーソナルな部分ですが、母の葬儀の時に7年くらい会っていなかった弟を葬式に呼ぼうとしましたが、連絡先がわからなかったんです。弁護士にお願いしたらすぐ判明しました。そしたら知らないうちに結婚して子どもがいたんです。その断絶ってなんだろうと考えたり、自分の経験も入れざるを得なかったですね。また、『ひとよ(一夜)』と言いながらもポスタービジュアルでは“朝日”が出てきていて、厳しい状況の家族たちに朝日を見せてあげたかったっていう想いはあります。
©2019「ひとよ」製作委員会
白石監督が一番こだわったシーンは?
白石監督 クラッシュのシーンですね。台本にも撮影の直前まではなかったんですよね。家族の答えを見つけるために、自分の気持ちを通しながらも相手の気持ちと向き合うためには、どんな状況であってもぶつかるしかない。これを表現するのは、クラッシュだ!ってことになって、ぶつけようとなりました。子どもの幸せのために母親が起こした一夜の事件。この時から、家族の時間は止まってしまい、別々の人生を歩むことに。事件から15年後、心の傷を隠したまま大人になった子どもたちの前に、約束通り母親が帰ってきた。再会を果たした彼らは、再び“家族の絆”を取り戻すことができるのか―。
映画『ひとよ』
11月8日(金)よりミッドランドスクエアシネマほかでロードショー出演 / 佐藤健、鈴木亮平、松岡茉優、音尾琢真、筒井真理子、浅利陽介、韓英恵、MEGUMI、大悟(千鳥)、佐々木蔵之介・田中裕子ほか
監督 / 白石和彌 脚本 / 髙橋泉 原作 / 桑原裕子『ひとよ』
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