本作収録曲の「Fever」はじめ、ラップの言葉選びが印象に残りました。曲のインスピレーションはどうやって得ているのか教えてください
岩間さん よくぞ聞いてくれました(笑) 自分って、“ラッパーらしくないラッパー”だなと思っていて。名詞で韻を踏まずに、文章の中で韻を踏んでいくみたいな。どちらかと言うと、ストーリーや意味を伝えたりとか、ワードのセンスで聴いている人に印象を残したい思いが強いのかな。ラッパーというより、作家に近い感覚なのかなと、自己分析しています(笑) この曲に関しては、サックスの谷本(谷本大河さん)が曲を担当していて、彼の中ではこういう曲・内容にしたいという思いがあって。ストーリーみたいなものを長文で僕に投げてきて、その主人公が僕で、テーマや情景とか詳細な内容が書いてあって。今までだと、一から自分で想像して、想像上でしか作れなかったんですけど、メンバーそれぞれが担当する曲を持つことで、ストーリーとかも共有してくれるので、その人の独特の世界観も歌詞に入ってくるんですよね。この曲はあらかじめストーリーがあったので、それを受けて、ラップに起こしました。ストーリーを考える部分は減ったこともあって、ワード選びにより時間をかけられたのかな。少し話は逸れてしまいましたが、僕は普段映画も観なければ、本も読まなくて。自分が実際に見たことある景色をベースに、逆に経験したことがない部分は想像を膨らまして、なるべく臨場感が伝わるようにしています。8人体制ということで、音楽の方向性など、どうやって決めていくのですか?
岩間さん 各メンバーがそれぞれ曲を担当しているので、作曲者が「この曲はこうしてほしい」と主導的に提示していくスタイルになってきましたね。作曲の方をメインにやっているので。大林さん メンバー同士でフランクに自由に相談もしますが、あくまで最終決定権やイメージは、曲の担当者になりますね。僕は2017年に加入しましたが、入る前から友だちだったメンバーもいて、“戦友”みたいな感じですね(笑)
アルバムを引っさげたツアー「TOUR BALLADS」の感触は、いかがですか?
大林さん どんどんグレードアップされていく感じですね。良い意味で、毎回違うパフォーマンスができているし、お客さんとよりコミュケーションがとれている手応えは感じています。お客さんの反応によっても、僕らのパフォーマンスが変わってきますから。岩間さん 板についてきている感覚は、僕の中にもありますね。パフォーマンスに関しては、今まではライブ想定の曲が多かったのですが、今回は楽曲としてのクオリティを上げたいっていう思いでプロデューサー陣に参加していただいているので、大味なところでSANABAGUN.8人の圧と言うか、熱量を上げることはできたのですが、今回は繊細なセットになっているので、“立っている・歌っているだけ、だけどかっこいい”をいかに思わせるのかという部分と、今までのSANABAGUN.のライブのスタイルも忘れずに、思いっきりコール&レスポンスや踊れる曲もやって、緩急のつけ方をかなり意識しましたね。セットリストに関しては、実は公開リハーサルや各公演でもメンバーと話し合いながら、ガラッと組み替えています。またフロントマンとして、もっとオーディエンスに曲の良さが伝わえられるように、「ここ、ちょっと変えてみない?」とか僕から楽器陣に提案して、微調整しながら各公演を進めているという感じです。