今回は、4曲収録されていますが、『HURRICANE』以外の楽曲で、海外で制作されたものはあるのでしょうか?
ReNさん 4曲目の『Hot and Cold』は、完全に英詞の曲なんですけど、これはロサンゼルスのスタジオでセッションして作りました。ロサンゼルスでアメリカのスタジオっていうと、僕もこうイメージしていたのが、大きなスタジオで、ハイテクな世界で、プロフェッショナルな人たちが集まって、もちろん人はプロフェッショナルな人たちばかりなんですけど、僕が行った場所っていうのは、なんにもなかった場所というか。馬や猪がいたり、豚が目の前を歩いていったりするような、牧場みたいなところでした(笑)。仙人みたいな、牧場の人が案内してくれて、馬小屋みたいなところの扉を空けたら、中がちゃんとスタジオになっていて驚きました。僕がイメージしていたスタジオって、分厚い扉があって、ガチャンと閉まってしまったら、外の音は一切聞こえません、みたいな感じで、窓ガラス一枚で外と会話するものがスタジオってイメージだったんですけど、まったくそういうのではなくて。僕が行った所は、プロデューサーのスタジオだから、たぶん一番その人が落ち着ける空間なんだと思うんですよね。扉開けたら、目の前に馬がいて、のどかな雰囲気で、肥やしの匂いもするような、だけどこういう場所で音楽を作っているんだなって、僕としてはすごく新鮮でした。そういう中で、『Hot and Cold』を作ったから、すごく涼しいサウンドになったかなと思います。これも自分の中では景色がすごく見えて、日本じゃありえないような空間で作った楽曲ではあるんですけど、あんまりそう言うと、肥やしの匂いのイメージが湧いてきちゃうから、こういうことあんまり言いたくはないんだけど(笑)、でもなんかそういうことなんだなというか。例えば、今ここでギターを弾いて良いフレーズができた、じゃあこれスタジオに持って帰って録ろうよっていうのも、一つの答えなんだけど、ここ良かった、じゃあここで録っちゃおうよっていう即席感でも、向こうは立派な音楽として作るし、ある種、大雑把なところもあるけど、細かいところは本当に細かいっていう。この曲に関しては、涼しいサウンドが、その時ギターを弾いていて出来上がったんですけど、自分としてはあえて英詞だからこそのっけられる、恋愛のドロドロとした感情の歌詞にしたくて。それこそ答えがないんだけど、感情として熱してしまった気持ちだったり、でも急に冷めちゃったり、行ったり来たりの恋愛のループみたいな、男女間のそういうことを歌っています。日本語を入れてしまうと、思い描いていた景色が損なわれてしまう気がしたので、今回は全部英詞で作りました。だけど作った背景は、そんなのどかな場所で、自分としてはそういうほのぼのした場所で作ったから、サウンドがなんかね、涼しい感じになっています。