どの素材にも妥協したくない
また、「spice & cafe imairo.」では、日替わりのフランス菓子も並びます。中でも人気の「ガトーナンテ」は、ロワール地方の街・ナントの郷土菓子。ほんのりとラム酒の効いた生地は、香り高いスペイン産のマルコナアーモンドが使われています。
ーーなぜフランス菓子もお店でやろうと思ったのでしょうか?
近藤さん お菓子作りも昔から好きで、自宅で作っていました。やがて、フランス本場の味を自分の舌で味わってみたくなり、フランスのパリを中心に、お菓子を食べ歩いたことがあって。
あの時感動した味を、もっとお客さんに知ってほしいと思い、フランス菓子もやっています。
ーーお菓子作りへのこだわりを教えてください。
近藤さん 日本で手に入るものはできるだけ、フランスなどヨーロッパから仕入れています。例えば、「ガトーナンテ」にはスペインのマルコナアーモンド、アルザス地方の醸造所のラム酒、小麦もフランス産にこだわっています。
というのも、現地との味の違いの差を埋めたいので。可能な限り現地の素材を使っています。
ーーメニュー制作もご自身で行っているのでしょうか?
近藤さん 例えば、「ガトーナンテ」の場合、パリのパティスリーで食べた味が忘れられなくて。舌の記憶を頼りに試行錯誤して作ったんです。既存のレシピをベースに、現地の味を再現できるよう、オリジナルでアレンジを加えています。
近藤さん 結局、日本と海外で素材自体の差があるので、レシピの数字通りに作っていても出来上がりは違うんです。
日本の素材で同じように作っても、別のものができてしまう。だから、試行錯誤は大事だと思ってやっています。
ーー素材の中でも、特に現地との違いを感じたものはありますか?
近藤さん 実際、全部において感じていますが、お菓子の方が差が大きいですね。特に違いを感じたのは小麦粉。日本とヨーロッパでは、小麦粉の挽きの粗さが違うので、食感の差が生まれ、香りの広がり方が違ってくるんです。
また、近藤さんのおすすめのお菓子「モワルー・オ・ショコラ」は、エクアドルの<PACARI>による、カカオ70%のチョコレートだけで作られた温製チョコレートケーキ。
南国の果実のような味わいのチョコレートは、フォークを入れると中からとろっと、チョコレートソースがあふれ出します。
近藤さん <PACARI>のチョコレートは、香りの広がり方やキレが全然違います。味や香りのポテンシャルがすごく高いので、このチョコレートを活かしたスイーツを作りました。