アルバムタイトルの「皆空色(カイクウシキ)」は、般若心経の言葉が元になったということですが、どのような意味なんでしょうか?
望世さん 「皆空色」は、般若心経の概念で「五蘊皆空(ごうんかいくう)」の「皆空」と、「色」を組み合わせた造語です。真結さん 仏教において「空(クウ)」という概念があって。「この世のあらゆる現象や存在は、実体のないもの」ということを意味しています。「皆空」は、「すべてのものが空」という意味ですね。「色(シキ)」はその逆で、全ての実在する物質を差す言葉です。
望世さん このアルバムを聴いたときに、曲の感じ方や解釈の仕方は人それぞれで、内から出るもの――自分が経験してきたことを通して、自分の解釈に落とし込むことになると思うんです。なので、アルバムも最初は実体がない「空」だけれど、その人を通したアルバムの解釈は、それぞれの「色」になると思って、このタイトルにしました。曲の解釈は人それぞれでいい、という思いも込めています。
アルバムの制作期間と、楽曲制作の流れを教えてください。
望世さん 今回はすごく長くて、前作を去年の夏に出したんですけど、その後、10月くらいから制作を始めて、発売まで約1年かかりました。真結さん レコーディングは、半年以上かかっていますね。かなり時間をかけて作りました。
望世さん 楽曲は主に、私と真結とベースの浩太郎が元になるデモを持ってきて、そこからみんなでスタジオで合わせて、それぞれのパートをまとめ上げていくという流れですね。バンドを組んでからずっとそのスタイルでやっています。
今回のアルバムでこだわったところは何ですか?
望世さん 今回は、「全員がやりたいことをやる」ということを大事にしていて。最初からテーマをがっつり決めずに、それぞれがやりたいことをやった結果、このアルバムが出来上がりました。真結さん アルバムに入る曲、という認識で作っていなかったので。一曲一曲に時間をかけて、それぞれがシングルで出せる曲になるくらいのクオリティを目指して作りました。
Narikenさん 僕個人で言うと、曲の展開に面白みがあることをやりたくて。例えば変拍子だったりとか、転調だったりとか、bpmが上がったりとか、そういうギミックが入っている曲は、デモの段階で思わず食いついちゃいますね(笑)
望世さん 「予測ができないもの」は、たぶんメンバー全員好きですね。
真結さん 想像通りにはいかない感じにしたかったですね。
予測ができない展開だと、軽快なイントロと浮遊感のあるアウトロのギャップがある「あいだ」から特にそれを感じました。4月から「tuentable」「色彩」「高鳴り」「本音」と、4カ月連続で新曲を発表してきましたが、先行発表曲の反響はいかがですか?
望世さん 狙ったわけではないんですけど、全部タイプの違った曲になっているので、「アルバムもこんな感じなのかな?」という予想をしてくれている人が多かったですね。真結さん どの曲も「新しい」と感じてもらえていたのがうれしかったです。
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アルバムに収録されている中で、
特に思い入れのある曲は?