松本さんの魅力は、具体的にどのようなときに感じられましたか?
奈緒さん 松本さんの目ですね!松本さんの目は、本当にすごいなと思います。すごくきれいで、説得力のある目をしていらっしゃると思います。お仕事に対して、真摯に向き合っているからこそ、こんなきれいな目をしているのかなと思います。後は、ひたむきに何事にも悩みと不安を抱えていらっしゃる所もすごく好きで、もっと良くしたいとか、もっと誰かのためになりたいとか、常に頑張っている姿がかっこよく、刺激になっていました。
現場でお二人にどのような演出をつけられていましたか?
角川監督 演出はつけていなかったかな・・
奈緒さん 私、1回だけありますよ。又次さんへ思い出の料理を作ってほしいと伝えるシーンで、「ここは告白のシーンだよ」と一言監督が言ってくださって、本読みの段階からそのように演出してくださっていました。
角川監督 穂香は4回本読みをやったんですよね。みんなそうなんですが、奈緒と温子に関しては、本読みの段階で彼女たちはもう本を読まずに演じていました。後は本番で、温子のセリフの半分以上がアドリブなんですよ。アドリブで対応できちゃうんです。あとは、現場では、このセリフを足したほうがいいとか、そういうことはありました。
松本さん 私もあるお別れのシーンで、台本には描かれていないけど、目で会話してほしいということは言っていただきました。
角川監督 言葉にしない言葉ですよね。それは、最後のシーンもそうなんですけど、言葉にできない思いを観客に伝える、そのために二人は目で会話をしているという形で撮りましたね。
今回の角川監督の現場で感じられた、新鮮だったことや印象に残っていることは?
松本さん 基本的に1シーン1カットで撮影するので、1カットごとのいい緊張感がありました。そういうことができるのは、角川監督の現場ならではなのかなと思います。
奈緒さん 監督の「うん、いいよ」という言葉を現場の中でたくさん聞いたなと思いました。いろんな方の意見を受け入れているのも印象的で、みんなで作っているという感覚があり、私にとっては新鮮な現場だなと感じました。
今回の要でもある料理を撮影するにあたって、こだわったポイントを教えてください。
角川監督 匂いというものは実際には映像には映らないんですが、その雰囲気ですよね。料理もリアルに撮りたいので、それがデジタルで撮った理由の一つでもあります。フィルムだと、料理が暗くなってくすんでしまう。それは避けたかったです。料理をおいしそうに見せるということは非常に大事で、料理そのものと演者も映しますし、演技とは別に料理だけで撮影したり、冷めてしまった料理をもう一度温めてから撮影するなど、それくらい料理にはこだわりました。