柳沢さん作詞作曲の「イノセンス」は、ドラマチックな展開とウィスパーな歌声が心地いいバラードですよね。
柳沢さん 「イノセンス」は、4人全員で曲を作った時、それぞれの個性を出すために自分はどう作ったらいいんだろうって悩んで、曲もいっぱい作って出したんですけど、結果的に自分が一番やりたかったものになったなって気はしていて。その時に聴いていたものに影響される部分も多くて、メロウなものがやりたかったというのもありますね。あとこの曲、戻り転調も含めると7回くらい転調してて、リードを弾いてる牧さんがめちゃくちゃ大変だろうなって(笑)。ギターでやると、結構こんがらがってくるんですよね。牧さん ライブでは間違えないように弾こう~って(笑) この間のライブでもやったんですけど、しっとりした曲調なので照明も暗めなんですよね。思いっきりフレットが見えない瞬間があって、「ここだろう!」って一か八かで堂々と弾いたら当たってたんでよかったです(笑)
EPを通しで聞いたとき、「イノセンス」が世界観がある曲なので、しっとりしてたところに、“キーンコーンカーンコーン”の学校のチャイムから始まる、セイヤさんの「JETT ROCK SCHOOL」が流れてきて、一気に現実に引き戻されました(笑)
牧さん その流れ、給食のあとの5限目、みたいな感じですね。「イノセンス」で昼寝したけど、「JETT ROCK SCHOOL」でチャイムが鳴って、5時間目の体育が始まるみたいな(笑)柳沢さん 絶対体育の先生じゃん(笑) 5時間目の体育ヤダな~。
牧さん (笑)。本当にそれぞれの個性が出まくった一枚になってますよね。
この曲は、担当楽器をシャッフルしてレコーディングされたということで、誰がどのパートを担当したんでしょうか?
牧さん ギターがプリティ、ベースが進太郎で、ドラムが俺、ギターボーカルがセイヤです。レコーディング当日まで「本当に出来るのかな~?」って思ってました。でもね、人間できると思ったらできますよ!(笑) セイヤが「そんな練習せんでええよ。初期衝動みたいな感じを出したいから」って言ってて、俺はドラムをそんなに練習せずに挑んだんですよ。それでやってみたら、まあまあいいなと思ってて。で、俺、言えなかったんですけど、結果的にセイヤのギターの方がやばくない?って(笑)柳沢さん (笑)。
牧さん 「でもそのカオスがいいんや!」って言ってたので、やっぱ作者ってすげえなって思いました。
柳沢さん 全部正解になりますからね(笑)
牧さん そのカオスさもパンクな感じに仕上がって良かったです。
プリティさん作詞作曲の「バームクーヘン」は、王道のロックンロールナンバーで、今までの想いをぶつけたような勢いがありました。
牧さん プリティは「デッドマンズチェイス」って曲を以前作っていて、今回が2曲目になるんですけど、まず一曲通して自分が全部歌うのが初めてだったんですよ。作曲の仕方も含めて、どういう見せ方をすべきなのか最初は苦戦してて。プリティの良さである、テンションの高さとか、振り切った感情みたいなところを曲に落とし込んだ方がいいんじゃないかと言ってて、そこから「一番燃えられるテーマは何か?」を聞いたときに、「自分が事故に遭ってリハビリをしていて、早く戻りてえ~って思った感情かな」と話していて。手も使えない中で、リハビリ中の唯一の癒しがバームクーヘンを食べることだったという。普通ロックバンドって、THE HIGH-LOWS(ザ・ハイロウズ)とかもそうですけど、バームクーヘンとかドーナツって、レコードの比喩として使われることが多いんです。でもプリティの場合は、ガチで食ってるっていう、新しい形の「バームクーヘン」の使い方をしたんですよね(笑)柳沢さん ただの思い出(笑)
牧さん 本当にバームクーヘンを食ってただけという。俺は逆にそこにロックを感じましたね。リアルで今っぽい(笑)
柳沢さん この曲は、ギターのレコーディングが本当に楽しくて。「ぶっぱなしてしまえ~っ!」って感じで、ギターソロ撮ってるところを動画に残したんですけど、見返しても雰囲気的に楽しいレコーディングでしたね。気持ちがしっかりのったフレーズが録れたので、音もすごい良かったですね。感情が見える音源になって良かったです。