「夜風とハヤブサ」は、ちょっと懐かしくてファンクなノリが、スピッツのアルバム『ハヤブサ』のエッセンスを感じました。
川谷さん そうですね。本当にいろんなアーティストから影響を受けているので、そういったエッセンスは盛り込まれていると思います。その中でも、indigo la Endっぽさみたいなのは、だんだんできてきたかな。indigoっぽくやろう、とかじゃなくて。長田さん 自然にね。俺らがやったらそうなるよねっていう。
川谷さん メジャーデビューしてこのメンバーで5枚リリースしてきて、やればやるほど自分たちでもわかっていくので、今回の14曲を作る中で見えてきたものもあります。「夏夜のマジック」っていう曲が少しだけ広く知られるようになって、みんなに聴いてもらえる段階に来たと思ったから、キャッチーなメロディでいけたっていうのはありますね。
歌詞の巧みな言葉選びもindigo la Endの魅力だと感じていて、今回のアルバムでも強く心に突き刺さりました。今回の制作で意識した部分はありますか?
川谷さん 歌詞は、読んで恥ずかしくないものというか、詩として成り立っていて、音がなくても読んで感動できて、音があるとより入ってくる、みたいなことをずっと心掛けてきて、自分の中ではちょっといつもよりは極まった感じがあるというか。
「あなたが秘密の先で裸になるまで」という「夜行」の歌詞が特に印象に残っています。歌詞に「夜行秘密」と出てくるので、やはりリード曲は「夜行」でしょうか?
川谷さん 正直今、迷っているんですよね…。「フラれてみたんだよ」という曲を先行リリースしていて、もう一曲MVを作りたいなと思っていて。佐藤さん リードは、何がいいと思います?
長田さん 今ここで決めちゃう感じね(笑)
私は「夜行」推しですが、毛色が全然違う「晩生」も好きですね!
川谷さん 絶対にリードにならなそうな曲が出てきちゃいましたね(笑) 「晩生」は、恋愛の歌詞じゃなくて、社会問題的な感じもあって、重い感じで。どこかの国で、戦争で村が襲われて、銃声を聞いて逃げるときにサンダルをつっかける暇もないというのを見て、その歌詞を書きました。佐藤さん ……他に、「夜行」のどこが良いって思ったんですか?
長田さん やけに「夜行」に食いつくね(笑)
曲の展開がドラマチックで、最後に余韻もあるところとか…。
佐藤さん 構成も素晴らしかった、と。長田さん なんでインタビューの立場が逆になってるの(笑)
川谷さん 栄太郎、「夜行」がめちゃくちゃ好きなんだよね。
佐藤さん 自分たちの曲を確認で何度も聴くんですけど、「夜行」はずーっと聴いちゃうんですよね。ボーカル、ギター、ベース、ドラムがいいというところから、また一、二歩進んですごい好きで。ロマンチックだし、綺麗だし、悲しくて。
川谷さん たしかに「夜行」は、映像と相まってさらに良くなりそうな予感がするよね。おしゃれなコード進行で歌謡曲感を出したくて、全体にその感じを漂わせてるんですけど、それがどう受け取られるかというどころですね。
他のリードの候補は、具体的にどの曲なんでしょうか?
川谷さん そもそも最初は、「華にブルー」をリード向けにキャッチーに作っていて。あとは「夜行」か「夜光虫」か…。でもそれはリード曲のつもりはなくて。サビを作ってたらすごいキャッチーになったし、僕も一番聴くのは、「夜行」か「夜光虫」なんですよね。その2曲が同じエンジニアさんで、椎名林檎さんなどを担当されてている、井上うにさんがミックスしている曲です。あとは、「夜の恋は」とか。全部“夜”が入っているっていう(笑)本当ですね!「夜の恋は」は、曲の最後の終わり方が気になりました。
長田さん 何回も撮り直したんですよ、こいつが(笑)川谷さん めちゃくちゃこだわって録ったんだよね。「夜の恋が」がアルバムの最後の曲で、「ドラムだけで終わりたい」って話になって。
佐藤さん プレッシャーもあったんですけど、選ぶときは、プレッシャーをあまり意図しないテイクがいいんじゃないかってなって。“やってます感”が出ていたり、何も考えてなかったりするものよりかは、バランスがいいテイクを選びました。
川谷さん 「夜の恋は」は、最後の歌詞を書き足して、DADARAYのボーカルとか、4、5人にコーラスを歌ってもらっています。最後は自分の声で終わらずにコーラスの声で歌って、タトタトタト、みたいに若干気持ち悪く終わらせることで、indigo la Endの次があるような感じを出したくて、そういった終わり方にしました。