今回のジャケットは、「Vent」からの配信シングルのジャケットとも連動しているようなアートワークで、着飾ったトルソーとカラフルな光が印象的ですね。
今回、ジャケットの裏にホログラムのオーロラ色のカラーリングがされているんですけど、これが最初にあった大事なテーマカラーで。今までのFIVE NEW OLDって、何個かEPごとにテーマカラーを設けたりしてきたんですけど、前回の『Emulsification(エマルシフィケーション)』では、その色が混じり合った、わりと極彩色のジャケットだったんです。それを超えて10年目になった時に、「一回、透明にしてみるか」と思ったんですよ。でも「透明とは何ぞや?」となった時に、透明って、光の屈折で虹を生み出すじゃないですか。FIVE NEW OLDって、いろんな音楽の幅があって、グルーヴがあるものから、少しエレクトロなもの、あとは僕たちのルーツであるロックなバンドサウンドとか、いろんなものが織りなされていて、たぶん聴く人によって僕たちに抱いている印象って、見る角度、聴いている角度で変わる。それってホログラムみたいだよねって。
音楽を聴く時間やシチュエーション、聴く人の気分とか、いろんなものによっても印象が変わっていくし、そういうグラデーションみたいなものを、“透明”から派生してだんだん気付いてきたんです。なので、そのデザインを大事にしつつも、より色彩を豊かなものにしたかったので、透明なディスクというよりは、もう少し彩りは出したいなと思って、デザイナーさんと相談して、青と赤と黄色を織り成して、EPでバリエーションを出して組み替えていって、その集大成として、アルバムはよりグラデーションの効いた照明で撮りました。
今回のアルバムには、コーセーコスメポート「SUNCUTⓇプロディフェンス」CM ソング「Summertime」、アサヒグループ食品「MINTIA」CM ソング「Breathin’」、ECC ジュニアCM ソング「Light Of Hope」など、多数のタイアップ曲も収録されていますが、いつもと意識が変わる部分はありますか?
タイアップ曲は、クライアントさんが表現したいものと、それに寄り添える作品という意味では、最初にテーマが設けられているので、そこに向かって一緒に音楽を作っていくというのが一番違うポイントかなと思います。僕がよく曲を作っているときに思うのは、曲を作りながら、ある程度できてきた段階で景色が見えたり、季節感が見えたりするんですけど、逆にテーマが決まっている状態で曲を書くというのはあんまりやってこなかったので、それはそれで新しくて楽しかったですね。
ドラマ「3Bの恋人」主題歌「Hallelujah」も、恋愛ドラマにぴったりな楽曲ですよね。付き合ってはいけない3Bの中の一つに「バンドマン」もありますが、今回は、美容師役での出演が意外でした!
髪乾かすのめっちゃ上手になりましたよ。ヘアアレンジもできるようになったし(笑)今回初めてドラマを演じてみて、いかがでしたか?
未経験のことだったので不安もあったんですけど、お話をいただいた時に、直感で「こんなお話を相手の方からオファーしていただくことなんて人生そうないよな、だったら飛び込まなくちゃ」と思ったのが一番ですね。やっぱり楽しかったです。ドラマの撮影も、チームの方たち一人一人が細かく気を配って、みんなで作り上げていくという、ものづくりの喜びは、音楽もドラマも変わらないなと思って。ドラマの撮影は、僕の中ではレコーディングに似ていて。今こうやってお話しているのを撮影しているとしたら、僕を写しているシーンと、山内さんを写しているシーンと、あと二人を写すシーンがあるとなると、同時に撮れないので3回撮ることになるんですけど、それってレコーディングでサビを何回も録ったりとか、重ねていってよりよいテイクを求めていくというのが似てるなと思ったんです。最初は、「セリフを覚えないといけないのどうしよう」って思ってたんですけど、何回もやるから自然に入っていくもんなんだなって。
音楽とドラマにも、共通点があったんですね!
ありましたね。あとは、お芝居をやらせていただくときも、共演者の方たちのリズム感とか、台詞を言う間とかがそれぞれに微妙に違うので、そこはセッションなんだなって思いました。重ねていくとちょっと台詞が早くなったり、遅くなったり、溜めたりとかもあったので、音楽でも間をすごく考えるようになりました。バンドマン役じゃなくて美容師役なのもみんなからつっこまれるし(笑)それも狙い通りだなと思いつつ。美容師って、3Bの中では子どもから大人まで、人生の中で一番先に触れあうことになるBだと思うんですよ。そういう人の人生を追体験できたというのも大きいし、職業役なので、職業をやっている方へのリスペクトもありましたね。すごく財産になりました。