coldrainのMasatoさんとフィーチャリングした「Chemical Heart (feat.Masato from coldrain)」はとても聴きごたえがある一曲ですが、今回どういった経緯でスタートしたんでしょうか?
「MUSIC WARDROBE」が10周年を迎えてから出すアルバムということで、自分たちのルーツをちゃんと土台にして作りたいという思いがあって。僕たちは元々パンクバンドをやっていて、アグレッシブなラウドロックシーンの人たちともやってきていたというところがあって、そういった僕たちのアイデンティティや出自をちゃんと一つ示したかったというのもあったんです。coldrainはすごく尊敬しているバンドだし、Masatoくんとは何か一緒にやりたいとずっと思っていたので、このタイミングかなと思って。Masatoくんが僕たちの音楽の中で参加してくれるのにふさわしい、かつ、coldrainとはまた違うグルーヴの中で、一緒に表現できる曲になればいいなと思って仕上げた曲がこの曲です。
レコーディングも一緒にされたんですか?
トラックを作り終わって、僕の歌が終わった後にMasatoくんに来てもらって、僕がボーカルディレクションをさせてもらいながらレコーディングをしました。「ここはもうちょっと艶っぽく」とか、「ここのリズムはこうで」とか、「ここはMasatoくんらしくいってください」とか。尊敬している先輩でお兄ちゃんなので、最初はそんなディレクションをするとは思ってなかったんですけど、ものづくりとなると、年齢も関係なく一緒に作っていけたんです。結構気にしいで気を遣ってしまうところもあるので、ちゃんと言える自分にもホッとしましたね。Masatoくんも、「HIROSHIがやりたいようにやりたいから」って柔軟に対応してくださいました。
Masatoさんから刺激を受けた部分は?
同じメロディを歌っても、すぐに自分のモノにできるっていう。あと、自分の色に変えてしまえる力を持っている声というか、そこがすごいなあと思いましたね。楽器隊のみんなも、サンプラーを多用していました。打ち込みのトラックなんですけど、それをHAYATOの揺れになるように、リアルタイムで打ち込みでレコーディングするっていう。マッピングで打っていくのではなくて、その場で自分でプレイして打つということをしたので、デスクトップミュージックなんだけど、ちゃんとバンドの色になるように意識して作った曲です。
音作りやサウンド面で特にこだわった曲や、苦労した楽曲はありますか?
それぞれにいろいろあって、何から喋ろうという感じなんですけど(笑)、例えば「Breathin’」とかだと、最初のギターの音は、ガレージでiPhoneで撮った音を使っているんですよ。実は、暖房のゴォーッっていう音とか、みんなの話し声が微妙に入ったりしていて、そういうBeckっぽいサンプリングの感じもあって、作った時の思い出も入っていたりとか。あとはWATARUいわく、ミンティアをカシャッて振った時の音も、サンプリングして加工してパーカッションにしているらしく。「Summertime」には蝉の音を使って、スネアの音を作っていたりとか、僕たちの制作の中の思い出を加工して、曲に楽器として織り交ぜているのは、WATARUが結構やってくれましたね。あとインストだけは、マスタリング以外全部セルフでやっています。他の楽曲はオールドスクールなやり方で、曲を作ったらレコーディングスタジオに入って、でっかいミキサーでコンソールに音を通して、最終的にテープに落とすんです。テープを通してマスタリングに送るっていう、今だとあんまりしない方法をとってるんですけど、インストの曲に関しては、全部パソコンで終わらせる手法をとっていて、そういう意味でも、NEWとOLDなものづくりも今回は共存させられているなと思います。