【連載コラム】編集たむーの「私的アート録、ときどきお酒」フラメンコ編
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2021.7.10sat

【連載コラム】編集たむーの「私的アート録、ときどきお酒」フラメンコ編

編集メンバーがバトンをつないでいる「連載コラム」。連載開始当初からチラリと横目で見ていましたが、まさか自分でも綴る日がくるとは…。
初めまして、編集たむーです。このコラムでは、知らない世界に触れるのが大好きな私が(趣味は旅行、特技は酒場で隣になった人と仲良くなること、唯一欠かさず見ているバラエティ番組は「マツコの知らない世界」です)仕事でもあり趣味でもある“アート”で発見をしたことを、大好きなお酒ネタを時々交えながらレポートしていきます。

【連載コラム】編集たむーの「私的アート録、ときどきお酒」フラメンコ編

初めてのフラメンコ鑑賞は、イスラエル・ガルバン『春の祭典』

ひとつめの私的アート録は、2021年6月23日(水)~24日(木)に開催された「イスラエル・ガルバン『春の祭典』」。
フラメンコ(踊り)でありながら、コンサートホール(音楽を聴くための空間)で開催された異色の公演で、“伝統的なフラメンコのイメージを覆す野心と実験性”などと比喩されるガルバンは一体どんなパフォーマンスをするのだろうと楽しみにしていました。

一般的にフラメンコと聞いてまず目に浮かぶのは、ボリュームのある赤いスカート、それを激しく揺らしながら踊るダンス、「オレ!」の掛け声と共にかき鳴らされるギターの音色…などかと思いますが、それらはガルバンの公演には一切なく、フラメンコというよりはコンテンポラリーダンス?でもステップはフラメンコ…?と、ガルバンがステージ上で動く度に「次は何が起こるんだろう?」とドキドキ。

というのも、普段はオーケストラや歌手が立つステージに、大小さまざまな円柱盤のステージや黒くて大きな“何か”、スノコのような半円形のステージ、ハープのような弦が張られた板などが置かれていて、2人のピアニストが奏でる『春の祭典』のメロディーに乗りながら、それらを移動しては次々とパフォーマンスが行なわれたのです。

ビビッドなピンクが目を引く公式パンフレット。ガルバンへのインタビューや音楽ジャーナリストやフラメンコ研究家による考察が掲載されていて、初心者でもガルバンを知ることができる内容になっていました。

黒くて大きな“何か”は、実はたっぷりとした布。スカートのように纏い、布に覆われた中でステップを踏むことで、ベースのような重低音がホール全体に響き渡る演出でした。
他にも、ハープのような弦が張られた板は、足で触れることで不穏な音を響かせる楽器だったし、スノコの前には砂が敷かれていて、その上でステップを刻んだり足を滑らせることでジャッジャッ、シャリシャリ…と乾いた音が鳴る仕組みになっていました。
「身体が楽器そのものになるパフォーマンス」だとプロデューサーの方から伺っていましたが、なるほど納得。
幼い頃からフラメンコが染みついた身体から出るステップや軽快に鳴るフィンガースナップ、自身の身体を叩いて出る音などに加えて、周りにあるものをすべて楽器にしてしまうガルバンのパフォーマンス。バレエ音楽にフラメンコをのせるってどんな感じだろう…と思っていたけれど、そんなことよりも、今まで見たことのないフラメンコと演出の数々に圧倒されっ放し!
次、ガルバンを観られるのはいつになるかわからないけれど、フラメンコに限らずダンスに興味がある方、音楽が好きな方にはぜひ!観てほしい公演でした。

フラメンコ鑑賞の後はスペインワインが飲みたくなって…

このコロナ禍という世界中が大変な時期に、スペインからアーティストを招へいしての公演はいろいろ大変だっただろうな…と思いながらも、劇場に集った人々の嬉しそうな顔や、終演後のアツいスタンディングオベーションを目の当たりにすると、こんな時期だからこそ、みんなアートやエンターテインメントを望んでいて、それらの力は人々を幸せにするなぁと改めてしみじみ。

公演後は大好きなワインバーに寄り道。こんな時期だからこそ、夕方早くからお店が開いていて嬉しい。

そしてフラメンコを観たなら…安直だけど、この日のお酒はスペインで決まり。選んだのはスペイン北部・アラゴン州を原産地とするガルナッチャ(グルナッシュ)。赤ワインながら、暑い日でもさっぱりと飲めるのでおすすめです。
ガルバンはスペイン南部・セビリア生まれなので地域が少し違うけれど、こうして食と合わせてアートの余韻に浸る良き時間が過ごせて幸せな1日でした。

これからも私的発見のあったアートと、それにまつわるお酒ネタを発信していくので、楽しいと思っていただけるひと時になれば幸いです。では!

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