2021.11.13sat
泊まる、呑む、出会う。旅人以外もウェルカムな「ゲストハウスよるよなか/bar にどね」が仕掛ける楽しいこと【名古屋・東別院】
月に一度の、古道具やクラフトのマルシェ「たちばな大木戸ひなた市」。その会場となる中区橘の日置神社からすぐのところに、2021年6月、「ゲストハウスよるよなか/bar にどね」がオープンしました。旅人が滞在するだけでなく、お泊まり女子会が開かれたり、ご近所さんがお酒片手に語り合ったり……。ゲストハウスってこんなに自由だったの!? という驚きをくれる、注目すべきスポットです。
DIYでコツコツと。居心地の良い空間ができるまで
寺院や神社が多く、名古屋の寺町として知られる中区橘周辺。数年前までは1階で仏具店が営まれ、2・3階は住居として使われていた建物が、ゲストハウスに生まれ変わりました。海外旅行先のゲストハウスで多くの出会いがあったという、オーナーの河尻千尋さん。「いつかは自分もゲストハウスを」という長年の夢を叶えるため、慣れない大工仕事にも果敢に取り組んだ彼女のパワーには驚くばかりです。
ーーこの規模の大改装を、ほぼDIYでやり遂げたと聞いて驚きました。
河尻さん 電動ドライバーにすら触れたことがなかったのに、やらざるを得ない! という気持ちでしたね。1人でできることから始めて、そのうちに友人や旅先で知り合った人、改装の様子をアップしていたインスタグラムのフォロワーさんも手伝ってくれるようになって……。大工仕事の経験のある人にいろいろ教えてもらったりしながら、完成までに半年ぐらいかかったと思います。今では図面も引けるし、ベッドだって1人で組み立てられるんですよ。
ーーすべてに思い入れがあるかと思いますが、特に気に入っている空間はありますか?
河尻さん 2階のリビングスペースです。モロッコなどの先住民の家をイメージして、絨毯敷きの床に座るスタイルにしました。日本の畳もそうですが、床に座るとなんだか落ち着きませんか? くつろいだ気分で、自然と会話が生まれるような空間になったらいいなと思って。本当はもっとたくさん絨毯を敷き詰めたいんです。1枚ずつ手作業で板を張ったフローリングの床が見えなくなるのも悔しいんですけど。
かつて河尻さんが滞在した、海外のゲストハウスもお手本にしたとか。温かい布の肌触りが気持ちをリラックスさせてくれます。チェアやソファも座面の低いもので統一。古材のテーブルを囲んで、初めて会った人同士でも会話が弾みそうです。
旅人目線で使いやすさを追求。客室&設備をチェック
客室や宿泊者のための設備を紹介。メインの客室は、ゲストハウスでは典型的な1人1ベッドタイプ。男女混合のミックスドミトリー(1泊3300円)は、8つのベッドからなる客室です。「知らない人と相部屋はちょっと心配」という人も安心して。ベッドごとに壁で仕切られたポッド型という造りで、個人のプライバシーはしっかり守られます。1人分のスペースが広く、ベッド脇に大きな荷物が置けるのも、旅人にはうれしいポイントです。
ミックスドミトリーとは別に、女性専用ドミトリー(1泊3520円)もあります。こちらは、ポッド型の2段ベッドとシングルベッド1台の3人部屋。女性3人で一部屋貸切にもできます。室内に専用の洗面台と化粧カウンターが設けられているのは、女性オーナーならではのうれしい気遣い。古道具屋で見つけた琺瑯のたらいを洗面ボウルにするなど、こだわりが一杯のスペースです。
ドミトリー以外には、1〜4名まで利用できる個室も。布団を敷いて寝るタイプの部屋は窓の外に桜の木があり、春はお花見も楽しめそうです。共用の洗面所は各階に、十分な広さのシャワールームは2つ。リビングルームに併設のキッチンには、調理器具や食器・カトラリー、調味料などが一通りそろっているので、食材を買ってきて自炊もできます。
旅人じゃなくてもどうぞ。ゲストハウスの新たな形
ゲストハウスといえば、比較的安価で泊まれることからバックパックで旅する人などに選ばれる宿、というのが一般的なイメージです。「名古屋に住んでいるから利用する機会はないかも……」と思った人、もったいない! オーナー・河尻さんの考えるゲストハウスは、旅行者だけでなく街にも広く開かれた場所なのです。
ーーそもそもゲストハウスを始めようと思ったきっかけを教えてください。
河尻さん これまで海外を何カ国か旅しましたが、現地のゲストハウスで日本人旅行者と出会うのが楽しみでした。初対面でも、その国のことや旅行が好きな人同士だからすごく話が弾んだりして。そんな出会いの場所を自分も作りたいと思ったんです。名古屋には旅人におすすめできるところが少ないと言われますが(笑)、ゆくゆくはここが旅の目的地になったらいいなと思っています。
ーーゲストハウスって、旅先で滞在する場所だと思っていました。
河尻さん 昨今あまり遠出がしづらいので、近場で小旅行気分を味わってもらうのもいいし、遠くから友達が訪ねてきたので一緒に泊まりにきたという方もいらっしゃいます。女性同士お泊りで誕生日会をするとか、街で飲んだ帰りに泊まるとか、そういった利用の仕方も。自宅飲みの感覚で、宿泊はせずリビングだけ使わせてほしいというリクエストにも応じられます。このエリアに住んでいる方にも気軽に使ってほしいですね。
街の人が夜な夜な集うバーでは、おいしい間借り営業も
午後7時を過ぎると、「ゲストハウスよるよなか」の1階に「bar にどね」がオープンします。カウンターに立つのは、オーナーの河尻さん。顔なじみのご近所さんと盛り上がっているところに、その日に宿泊する旅人が加わったりすることもあるとか。メニューはドリンク中心で、スコッチやバーボンなど、ウイスキーの種類が豊富にそろいます。写真は、女性に人気の「ゴトーさんのレモンサワー」(650円)。
そして、「bar にどね」のスペースには昼の顔も。間借り営業のスタイルで、焼き菓子と自家焙煎コーヒーの「ジーナトコケシ」、スパイスカレーの「スパイスアワー」などが週末を中心に出店しています。今後も、様々なコラボやイベントを計画中で、来たる11月23日には、ご近所の「おにぎりやさん」、美容院「Ricceta」とともに企画した「秋暮れ 昼呑み」が開催予定(12:00〜17:00)。前日22日の前夜祭(17:00〜21:00)から盛り上がりそうです。
旅人のための場所だと思っていたゲストハウスが、実は、地元に暮らす私たちにも開かれていると教えてくれる「ゲストハウスよるよなか/bar にどね」。人と人との出会いによって、ますます楽しいことが起こりそうなこの場所から、今後も目が離せません。
ゲストハウスよるよなか / bar にどね
- 場所
- 名古屋市中区橘1-17-27
- 営業時間
- IN16:00~ / OUT12:00
bar にどね / 19:00〜24:00
- 定休日
- 不定休(バーは日曜定休)
- 駐車場
- なし
- 問い合わせ
- 052-720-4572
取材・原稿 / 徳久千恵
WRITER
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