岡崎「スパイスカレーかいらす」で“自家野菜ポタージュ”の濃厚カレーを。
#カレー

2022.5.19thu

岡崎「スパイスカレーかいらす」で“自家野菜ポタージュ”の濃厚カレーを。

2022年1月、岡崎市の康生町に誕生して以来、人気を集める「スパイスカレーかいらす」。店主・太田さんの1日は、早朝、畑へと足を運び、父が無農薬・無化学肥料で育てる野菜を収穫するところから始まります。

朝どれのみずみずしい野菜をカレーのトッピングだけでなく、ルゥや副菜にもたっぷりと使用。15年来の友人である「スパイスのガネーシャ」と開発したオリジナルのスパイスと和だしを加えた一皿は、スパイスカレーの概念ががらりと変わるほど、野菜の甘味とうま味が濃厚です。

インドへ毎年のように足を運び、現地のカレーを食べ歩き、20年にわたってカレーを手がけてきた太田さんが調理する様子を、この日は特別に見学させてもらいました!

さらに、カレー作りで大切にしていること、これから挑戦していきたいことなどについてもお話を聞きました。

“野菜そのもの”と言っていいほど、旬の野菜がたっぷり!

「野菜は採れたてが、カレーはできたてが、やっぱり一番おいしい」と話す太田さんは、注文を受けてから「へきなん美人」という品種のニンジンやカボチャなどの野菜をカットし、「かいらすプレート」を作り始めます。

ゴロゴロと切ったニンジンやカボチャ、複数のスパイスをミキサーに入れ、たっぷりの牛乳を加えながらなめらかなポタージュに。それを、“テンパリング”により香りを最大限に引き出したスパイスに加え、ルゥのベースを作ります。

オリジナルのスパイスとともに、味に深みをプラスするのが“和だし”です。この日の「ニンジンとカボチャのポタージュカレー」にはカツオだしを、もう一種類の「ダルカレー」(豆カレー)には無添加のアゴだしを使用しました。

鍋に野菜のポタージュを加えたら、並行してニンジンやカボチャ、ラディッシュ、ししとう、マイタケを素揚げにします。その間に、ルゥにはカルダモンやクローブ、シナモンなど複数のスパイスを、タイミングを見ながら入れて、さらに香りや味わいを高めて仕上げます。

「実は調理のとき、うちでは唐辛子や七味は入れていなくて。なぜなら、小さなお子さんからお年寄りまで、まちの人たち全員にかいらすのスパイスカレーを食べてほしいからです。そこで、好みに応じて辛さを調整してもらえるよう、各テーブルにオリジナルの七味や万能塩を置いています」

混ぜ合わせ、唐辛子や塩で味変しながら味わうのがおすすめ!

「かいらすプレート」(チャイ付き1680円)

こうして完成した「かいらすプレート」は、2種類のカレーがあいがけになった上に、素揚げにした野菜や副菜(大根の甘酢漬け、菊芋の味噌漬け、キャベツとゆかりの塩漬け、ビーツのピクルス、自家製らっきょうの醤油漬け)が、彩りを添えます。

まずは、それぞれのカレーを一口味わうと、ニンジンやカボチャ、豆といった野菜の濃厚な甘さやうま味が、あふれるように広がりました。

そんな野菜の味わいを引き立てるのが、風味豊かなスパイスと和だしです。

太田さんが話していた通り、スパイスは効いていますが辛さは控えめで、とてもマイルドなのでパクパクと食べられます。

途中、2種類のカレーや副菜を混ぜ合わせ、好みによって「スパイスのガネーシャ」の七味や万能塩を加えて、味変するのがおすすめ。混ぜながら食べると一口ごとに違う味わいが楽しめ、飽きることなくどんどんスプーンが進みます。

最後は、すべての具材をごちゃ混ぜにして、この日ここでしか出合えない味を堪能しましょう!

「かいらすプレート」の内容は、畑で採れる野菜によって変わります。季節の畑の恵みを一皿で堪能でき、何度訪れてもその時々の旬の味わいと、新しい発見が楽しめるのも魅力です。

スパイスカレーのおいしさを一人でも多くの人に

——店を開こうと決意した理由とは?
店主・太田さん 「私はこれまで別の仕事をしながら、20年ほど前から趣味でカレー作りを始めました。友人や彼女に食べてもらい、喜んでもらうのをイメージしながら、たまに友人が企画する音楽イベントの賄いやホームパーティーなどで、カレーを提供してきました。最近、スパイスカレーがブームになる中で、インドやネパールに何度も足を運び、現地を巡り、国内外の様々なカレーカルチャーを研究して作り上げたカレーのおいしさを、一人でも多くの人に知ってほしい。自家栽培の無農薬野菜をふんだんに使ったカレーを、ぜひ堪能してほしいとの思いから、実店舗を開くことにしたんです」

——内装はDIYで仕上げたんですよね。
店主・太田さん 「そうなんです。開業資金がふんだんにあるわけではなかったので、内装は友人に手伝ってもらいながら自分たちの手で仕上げました。棚や椅子も、もともとあったものをリメイクしたんです。オリジナルのスパイスを作ってくれているのも友人であり、無農薬野菜は父が、副菜は母が手がけてくれています。まさに、仲間と家族の繋がりに支えられてできたお店、カレーなんです」

——お店を開いてうれしかったことは?
店主・太田さん 「うちは女性のお客さんが多いのですが、大半の方が残すことなく、ペロリとカレーを食べてくれること。しかも、『おいしい!』と言っていただけることが本当にうれしいです。スタッフとして働いてくれている皆さんもインドやネパールが好きな人ばかりで、あるスタッフは、うちのスパイスカレーを食べて『ここで働きたい』と言ってくれて。それもすごくうれしかったですね。そんな、これまでは経験できなかったような、魂を揺さぶれる感動を日々感じています」

——これから挑戦していきたいことは?
店主・太田さん 「まだ、オープンしたばかりなので、まずは四季の畑の野菜をいかしたおいしいスパイスカレーを、幅広い年代の方に届けていきたい。その上で、少人数制のお料理教室や、地元のお店や企業とコラボした岡崎らしいカレーを監修し、それを国内だけでなく海外にも発信していけたらと考えています」

ライター
杉山

かいらすのスパイスカレーは、まさに「季節の野菜のおいしさを、丸ごと堪能できるカレー」だと感じました。畑で栽培から手がけているからこそ、朝どれの新鮮な野菜をたっぷりと使うことができます。夏にはフレッシュなトマトを使用したカレーも登場するそうなので、ぜひまた足を運びたいです。この他、店内にはガチャガチャが置かれていたり、Tシャツやスウェット、靴下、缶バッジなどのオリジナルグッズが販売されていたり、まだまだ紹介しきれない魅力がたくさんあります。ぜひ一度足を運んで、確かめてもらえたらうれしいです!

取材・文/杉山正博 撮影/北川友美
※価格はすべて税込み
※掲載内容は2022年5月時点の情報です。
※新型コロナウイルス感染症の影響で、掲載内容は予告なく変更する場合があります。公式サイト・SNSで事前にご確認ください。

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WRITER

Masahiro Sugiyama

Masahiro Sugiyama

金沢の出版社、東京の雑誌『自休自足』(現『TURNS』)の編集部を経て、2009年に独立。2016年秋から、地元・愛知へUターン。月刊『KELLy』では、おでかけ記事を担当し、年間200軒以上のショップや飲食店を取材!著書に、『ふだんの金沢に出会う旅へ』『レトロカーと。』(ともに主婦の友社)など。

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