絞り込んで探す

▼ジャンルで絞り込む

▼エリアで絞り込む

    • ▼主要駅で絞り込む

    • ▼区で絞り込む

ドラマでは泣く泣くカットしていたシーンも合わせて再編成した『本気のしるし(TVドラマ再編集劇場版)』の深田晃司監督

STORY

退屈な日常を過ごしていた会社員の辻(森崎)はある夜、踏切で立ち往生していた不思議な雰囲気の女性・浮世(土村)の命を救う。そこから辻と浮世の泥沼の関係が始まった。辻は分別のない行動をとる浮世をなぜか放っておけない。そのせいで辻はさらなる深みへ、破滅の道に入り込む。

MC神取さん  TVドラマ再編集劇場版『本気のしるし』監督の深田晃司さんです。宜しくお願いいたします。4時間耐えていただいたみなさまに、ご挨拶お願いいたします。

深田監督  どうもみなさん、お疲れ様でした。監督・脚本を務めました深田と申します。ホントに4時間ですね、インタビューの時に人が減っていないことを祈っていました(笑)。ちょっと短い30分程度なので、たぶん、あっという間に過ぎ去ってしまいそうですが、ちょっとお話させていただきます。宜しくお願いいたします。

MC神取さん  テレビドラマが最初なので、それをなんとか4時間にしたってことですよね?

深田監督  いや、えーと、そうでもないですね。あの、元々テレビドラマがCMとか抜くと23分で1話、それが10話だったので、企画はほぼ同じですね。多少いろいろ編集を見直したりとか、カットするシーンもあるんだけど、カットするシーンもあれば、逆にテレビドラマより伸ばしたり、増やしているシーンもあったりするんで、プラマイゼロぐらいじゃないかなっていう印象ですね。

MC神取さん   ちなみに、教えていただくとしたら、劇場用に伸ばしたシーンっていうのは、どちらなんですか?

深田監督  まず、ドラマ版って23分何秒っていうものを、ホントに1秒でもオーバーしちゃいけないっていうのがあったんで、結構そこを詰め詰めでいったんですね。もうちょっと余力的に残したいんだけどなっていうような所を、結構伸ばしていったりっていうのと。あと本当に丸々増えたっていうシーンって、実はパッと思い出せないくらい、あんまりないんですけど。ただ分かりやすいところで言うと、後半でみっちゃんが、怒って廊下を歩いているところ。同僚の二人の間をガーンって歩いていて、走ってくるところです。まだ髪がピンクになる前ですけど。このシーンのみっちゃんは、増やしていますね。あれは、なんか好きな表情だったんだけど、ドラマの方は、泣く泣くカットしていたので。決定的になにかすごく重要なシーンが増えているっていうことは実はないんですけど、全体的に再編集はリズムを整えたって感じです。

MC神取さん  ドラマを観ていたって方いらっしゃいますか?お一方。

深田監督  ありがとうございます。

MC神取さん   今回、この「本気のしるし」劇場版を初めて観たって方?おっ、いました!

深田監督  これはうれしいですね!

MC神取さん   手を挙げなかった方は、何回か観たって方ですか?すごい!

深田監督  貴重な時間をいただいてしまって(笑)。

MC神取さん   それだけお好きってことなんですね。もしかしたら、原作の星里もちる先生が好きとかね。先生が好きって方?いらっしゃる?意外といらっしゃいましたね!

深田監督  これは先生に教えないと(笑)。

MC神取さん   前に名古屋で舞台挨拶いただいた時、結構先生のファンがいらっしゃったんですよね。

深田監督  結構いらっしゃいましたね。

「この漫画ヤバいよ」「これ絶対、映像にしたら面白いよ!」って、言いふらしていたら現実に!

MC神取さん  実は深田監督も、この『本気のしるし』の原作が結構お好きだったっていう。

深田監督  はい、そうですね。元々20歳の時に単行本で読んでいたんですけど、その時最初に読んだ印象は、なんてストーリーが面白いんだっていう、転がし方の面白さとか、キャラクターの面白さとか、そういうのがあって、その当時、もう映画学校に入っていたので、結構いろんな人に「いや、この漫画ヤバいよ」「これ絶対、映像にしたら面白いよ!」って、結構言いふらしていたんです、友人とかに。いろんな人に言いふらしていたら、たまたま友人の知り合いのプロデューサーの戸山剛さんが、真に受けてくれて、「じゃ、ちょっとすぐに買ってみるよ」って、買って読んでくれて、すぐにね「これ面白いから、ちょっとホントにちゃんとやろうよ!」って。で、メ~テレに持って行こうって話になって、メ~テレに持ってったっていう。

MC神取さん  その辺のメ~テレに対する信頼が、何かおありなんですか?

深田監督  もちろん信頼はしていますけど、持って行きやすかったっていうのもありました(笑)。まぁ、そうしたらすぐに乗ってくれて、テレビドラマだったんですね。その時、映像プロデューサーの戸川さんがたまたまドラマをテレビ東京さんでやっていて、ドラマも面白いっていう風に彼も感じていたのもあり、自分も結局この原作を映像化しようとしたら2時間、いわゆる映画の一般的な尺の2時間に収めるのは無理。いまの自分の立場で、日本映画で4時間の長編、いわゆる商業映画の枠で通すっていうのは、ホントにハードルが高くて、絶対無理と思って、その原作を無理に縮めて2時間の中途半端な作品にするよりは、ドラマって形で出来るだけ原作のエッセンスを損なわないで、4時間くらいでがっつりやろうっていう風になったっていう感じでしたね。

MC神取さん  じゃあ、劇場版になることありきではなかったんですね?

深田監督   全然なかったです。連続ドラマとしてスタートしました。監督として自分にとってもちょっと初めてのことだったんで、いろんな先入観があって、ドラマだとテレビ局からガンガンなんか制限かかるんじゃないかとか、いろんな恐れはあったんですけど、蓋を開けてみたら、あんまり全然そんなことはなかったです。結構ドラマとしては異例だと思うんですけど、主演の森崎ウィンさんも土村芳さんもオーディションで決めさせていただくぐらい自由にやらせてもらったので、撮影現場でも、結局いつも通りの撮り方をさせてもらったという感じです。むしろ、いつもよりも自分の中でも、せっかくのテレビドラマだったらって、自分があんまりやってこなかった演出をやろうって、いつもズームがあるんですけど、じんわり寄ってくズームが多いのは、普段劇場用ではあまりやってなかったんですけど、今回ちょっとそれを対応しようってことで、カメラマンさんにも「ズームレンズで!」って。そのズームするレンズって、普通、発注しなきゃ付いてないんですよ、撮影現場に。カメラさんにそれを発注してもらって、じんわりズームするみたいな感じなことを試したりとか。逆に結構いろいろと普段やってないことをやっているくらいですね。

MC神取さん  いままでの撮影現場では見られなかった深田さんの演出ですね。

深田監督  まぁ、って自分はそう言っているけど、結局「や、いつもと同じじゃん」って風に思っているかもしれません(笑)。基本的には普段映画を撮っている時、そんなに自分のやり方を変えてないっていうか、変えられるほど器用でもないので。メ~テレさんなので、この東海三県でそのテレビドラマの放送が始まりました。あと、テレビ金沢さんも買ってくれたとかで、あっちのこともちょっとあったんだけど、基本的には全国で観られなかったので、評判も良かったってことに気を良くして、だったら劇場版って形にして、CMの部分を切って繋いで、そうすれば映画館でかけられるんじゃないかってところからスタートはしたんですけど、実際編集しようとすると、結構大変だったんですよ。

劇場版では、ほぼ作り直している音にも注目

MC神取さん   制作者として、ドラマと映画の一番の違いは何だと思いますか?

深田監督  ホントは画面のサイズとか、そういったものもあるんでしょうけど、そこは気にしないでロングショットでバンバン撮ったりしていました。途中でちょっと不安になったメ~テレさんのプロデューサーの方が「どうも深田がアップは全然撮ってないらしい」って言ってそういう噂が伝わったらしいですが、「ここをもうちょっと寄っても」って言われても、「あ~、無理ですね」って話をすぐに聞いてくれるぐらい寛容なメ~テレさんでした。ただ、明確に違ったのは、家庭用のテレビで観る分には映像面ではそんなに配慮もしてないんですけど、音ですね。音だけはどうしても、各家庭で観る生活音の中で観ることを前提にして作らなきゃいけないので、結構、台詞を立たせる、台詞がきちんと聞こえるような、そりゃ台詞が聞こえるに越したことはないんだけど、台詞を立たせるような音の設計になっています。劇場版で作る時に、実は一番時間がかかったのは音。音はほぼ作り直しています。やっぱり、サラウンドの音環境にして、効果音っていうのをだいぶ足したりしています。普通にサラっと観ていると、別に気が付かないかもしれないんだけど、テレビ版と劇場版で、だいぶ音は直しています。

MC神取さん  辻の部屋に水槽がありまして、水音がずーっと聞こえてるのが落ち着かない感じがしました。あれはなんかちょっと変えていたりしますか?

深田監督  あれは、ドラマ版でも入ってはいるんですけど。でもその音のバランス、台詞とのバランスを変えているので、もしかしたらより目立つようにはなっているかもしれないです。

MC神取さん  その、水音を目立たせるっていうのは、深田さんの演出の中で、ちょっと不穏な雰囲気を出すとか、なんかそういう意味合いもあるんですか?

深田監督  それはありますね。不穏さってことだけで目立たせた訳ではないんですけど。ただ、音も結構、実は流れとしては脚本段階では、あの演出プランは全然なくって。実はあのロケーション、ちょっと込み入った話になるんですけど、映画作る時ってロケ班をするんですよね。ロケ班をして、いろいろと「どこがいいかな?」って探しに行くんですけど、最初の辻の家って別の家だったんですよ。ロケ班をしている時には別のマンションをお借りする予定だったんですけど、ちょっと最初にお借りする予定が、大家さんが超厳しいってことになって、「これ、撮影無理だ」っていうことで、結構土壇場で変わっちゃったんです。

MC神取さん  そういうこともあるんですね!?

深田監督  仕切り直したんですよね。ただ、実はロケ班もそこでやるって決めていたから、撮影プランもそこに合わせて組んでいました。その時にそこになんか窓越しに撮れるベランダがあったんですね。窓越しに撮れるから、序盤の方のシーンで、辻さんと細川先輩が部屋の中に帰ってきて、細川先輩がサラダを作ってくれたりとか。あのシーンは、ホントは窓越しに撮って、台詞をオフにして撮ろうっていうプランを決めて、それに合わせて脚本も書いていて、ロケーションは決めていました。そうしたら使えなくなっちゃったので、新しくなんとか決まったところが、窓越しに撮れなかったっていう状況があって、どうしようってなったんだけど、その演出プランを崩したくないから、じゃあ、水槽を置いて水槽越しに撮ろうってことになって、いきなり水槽を美術部にお願いしました。水槽があったら、何かいないといけないっていう、何もいない水槽とか置いてあるって、それはそれで別の不気味な感じになっちゃうんで、だったら何か生き物入れようって、グッピーとか入れたいけど、ちょっとなんかありきたりだしな~って、ザリガニを入れようってなりました。最初はロブスターって言っていたんですけどね。

MC神取さん   ザリガニに何か意味はあるんですか?

深田監督  最初はね、ちょっと言いかけちゃいましたけど、「ロブスターにしてくれ」って言いました。ロブスターって、寿命がないっていう話があって、小ネタに。本当になんかこう、脱皮をする時に内蔵ごと新陳代謝していくから、本当に寿命が確認されてないっていう。100年でも200年でも。

MC神取さん  へぇー!?

深田監督 退化構築されて、死んじゃうんですけど、脱皮に失敗したりして。もしかしたらロブスターとかそういうのにしたら、ちょっと脚本のネタでも使えるのかな?そんな気持ちで、ロブスターにしたら、美術部に「いや、ちょっと無理です」ってことになって「ザリガニでいいですか?」って言われ、「はい、ザリガニでいいです」っていう感じで、ザリガニになりました(笑)。

MC神取さん  いろんなプランA、プランBとかでね。やっぱりあるんですね。

深田監督  そうですね。そういう偶然によって、結構いろんなことが変わってくるっていう。

監督も浮世みたいな女性と巡り会ってしまったら、惹かれる!?

MC神取さん  なんかちょっと面白い質問が来ています。実際に浮世みたいな女性と巡り会ってしまったら監督は惹かれてしまいますか?

深田監督  全然惹かれると思いますよ。

MC神取さん  どういうところが?

深田監督  いや、どうでしょう?でも、やっぱりたぶん、次にどう動くか分からない面白さみたいなところあると思うんですけど、結構この映画公開した時に、ドラマの時から、『本気のしるし』のワードを入れると、関連ワードでイライラが出てくるらしく、とにかく浮世にイライラするっていう。

MC神取さん  みなさんはイライラしました!?私はめちゃくちゃ4時間しました。

深田監督  イライラしましたか?

MC神取さん  はい!させるつもりでしたか?

深田監督  はい。客観的に演出家として、イライラする人がいるんだろう~なってことを、理性で分かっている自分がいるんですけど。自分個人では全然イライラしなかったんで、原作読んでいる時から、イライラしなかったです。想像以上にみんなイライラしているなってことは思いました(笑)。でも、面白かったのが、さっきのテレビドラマの違いのところで言うと、テレビドラマで面白いなって思ったのが、そのお客さんの反応がより細かにこっちに伝わってくるっていう感想があって。やっぱり映画って2時間映画とか3時間映画とかって、お客さんが観てくれて後にお客さんに「どうですか?」って感想が聞けたとしても、大抵、2時間3時間の中で、特に面白かったところを1カ所2カ所伝えてくれるっていうのが当たり前なんですけど。テレビドラマだとそれが10話細切れで、毎週毎週そのシーンでちょっとした芝居とか、ちょっとした仕草とか、そういったものも結構ピックアップして、拾った感想を聞けるっていうのが面白かったですね。

MC神取さん  監督としては、細かな感想の方がこれからのためにもなるっていう?

深田監督  そうですね。それは、本当になりますね。逆にこういうところもお客さんが気づいてくれるんだって。それは普通の映画でもみなさんたぶんそれはそういった面白さ、同じように感じるはずなんだと思いますけど。やっぱりこっちのがなかなか伝わってこないので。そういった細かいところというのは、最初は浮世さんにイライラするって言っていた子が、だんだんと浮世さんに振り回される辻にだんだん「辻もヤバいよ」って気づき始めて、途中から辻にイライラし始める人が現れるっていう。なんかそこら辺の感想の変化みたいなのも面白かったです。

MC神取さん  イライラするのも、一つかもしれないですけど。浮世の衣装が隙だらけでした。

深田監督  あっ、はいはいはい。そうですね。

MC神取さん  浮世さんって、みなさん観るとなんかね。ノースリーブのワンピースをいつも着ていて。あれはどうなんだ!って、ちょっと思っちゃいましたけど。

深田監督  あ、でもあれは比較的原作に忠実ですね。原作の協賛が結構そういうイメージで描かれていて。で、やっぱりそこの、別に全然露出の多い服ではないんだけど、男性からするとエロと感じてしまうっていうっていうところの匙加減として、いい衣装だなって思うんですけど。

MC神取さん  私が観た感じ、その前半の浮世さん隙だらけっていうのは、なんか「あ~、こういう女性なんだな」っと思って。ちょっと途中で、浮世さんが辻君を探すことになるじゃないですか。その最後のシーンも結構、浮世さんノースリーブだから「この人、小悪魔だなぁ」って思ったんですけど。

深田監督  あれはもう、結構意図的に最初と衣装合わせていますね。最初と最後でグルっと物語が円になるような印象にしたかったので。お客さんの中で気づく人と気づかない人、分かれると思うんですけど、印象で最初に戻ったっていうような感じにしたかったんで、衣装のイメージを辻さんも浮世さんも合わせています。

私たちの生きる本質って、いかにその自分には理解知りえない他者と暮らしていくか

MC神取さん  演出というか監督のこだわりについての質問があります。『淵に立つ』『よこがお』など、深田監督の作品には、ある人物の人生に他者が介入することによって、狂っていくというストーリーが多く感じます。そういったっテ―マに何かこだわりがあったりするのでしょうか?

深田監督  これは結構ご指摘いただくことが多いんです。自分自身は脚本を作る時にあえてそういう風にそういうテーマにしようと、そんなに意識はしていないです。ただ作ってみて確かに言われてみると、そういうものが多いなって思いました。やっぱり自分にとって表現の中で他者性っていうのはすごく大事だと思っていて、自分が映画を作る時にできるだけ私たちが生きる現実に近かって欲しいっていう。映画っていろんなタイプあって、全く現実とは違うようなもので、楽しく2時間過ごすそういうのも大好きなんですけど、ただ、やっぱりその本当に大事な本質的な部分で、現実とやっぱり近くあるべきであると思っていて、私たちの生きる本質ってやっぱり、いかにその自分には理解知りえない他者と暮らしていくかって。暮らしていかざるをえないですよね。

特にそれこそ、いま現代の移民の問題で外国人のこととか、別に移民とかじゃなくたって、同じ日本人だって本質的には隣りにいる人の気持なんか分かんないし、家族だろうが、兄弟だろうが、本質的には分からなくて、そこをなんとか騙し騙し、お互い探りながら生きていくっていうのがたぶん自分にとってできることの本質で、それをこういった形で2時間のある種デフォルメされたような映画。その表現っていう形でデフォルメされた映画でやる時に、やっぱり他者性っていうのはたぶん避けては通れない。そこの映画の中の他者性を導入する一つの方法として、ある種コミュニティだったり、家族や夫婦っていうのも最小限、最小サイズのコミュニティだと思うので、そこに、外部から人がやって来る物語を、だぶん描いてしまうんだと思うんです。

森崎ウィンさんは、本当に好青年を絵に描いたような感じ

MC神取さん  なるほどね。『淵に立つ』もメ~テレシネマ映画祭、明日ね、やるんですけど。監督もまた舞台挨拶に立っていただきますので、気になる方はぜひお越しいただければなぁって思っております。そして、キャストについてもご質問で、深田監督から見た、森崎ウィンさんの魅力を教えてください!

深田監督  森崎ウィンさんの魅力。まず、個人的な彼本人のパーソナリティは、めちゃくちゃいいヤツっていう。本当に、ホントにいい人ですね彼は。本当に好青年を絵に描いたような感じで、本当に撮影中楽しかったですね。やっぱり現場の雰囲気って、誰でも朗らかに楽しくやりたいと思いながら、やっぱりそれが仕事なんで、そんな楽しいことばっかりじゃないんですけど、『本気のしるし』は、自分のいままで撮った撮影の中でも、特に日本で撮った撮影の中では、結構別格に楽しい現場で。やっぱりそれは、森崎ウィンさんの後ろにその人柄もあったし、主演の二人、森崎ウィンさんと土村芳さんが、ホントに仲が良かったっていうのもあって、それが現場にいい雰囲気になっていたなって。俳優としては、オーディションに来てくださって、演技を見させてもらっていたんですね。最初のコンビニで浮世と出会う場面と、途中でファミリーレストランで浮世が酔っ払っちゃって「酔ってまーす」みたいなこと言っているシーンと、最後の車の中ですごく怒る場面、浮世って人に怒る場面の、この3つのシーンをやってもらったんですけど、やっぱりそれがすごく良くて。まず見た目の雰囲気からして、結構自分の中での原作を読んでいる辻にシンプルに近かったっていうのもあったんですけど、そこでまず「おっ!」って思って、オーディションで見た時に演技をやっていて、すごくいいなと思うのが、森崎さんがもうキャラクターを変に作ってしまって、こういう風に演じようって、技術で演じる感じじゃなくて、本当にちゃんと自分の言葉として台詞を言っている。相手役もこちらで準備して代役でやってもらうんですけど、ちゃんと目の前の共演者とちゃんとコミュニケーションのキャッチボールをとれる人だなってことが、すごい感じれたので、それで森崎さんにお願いしました。

土村さんは最後に現れた救世主!

MC神取さん  土村さんに関しては、結構難航してキャスティングがされたとか。

深田監督  そうですね。

MC神取さん  最後の最後に現れた土村さんになったみたいな。

深田監督  救世主みたいな感じでした。土村さんのオーディションもやらせていただいて、ホントに上手い人とかいい俳優さんが大勢来てくださってたんですけど、やっぱりあの浮世っていうキャラクターがちょっと特殊で難しくて。あれをドラマ化しようってことが、メ~テレさんで決まった時点で、そのプロデューサー戸川さんとは「浮世がこれ本当にキャスティング大変だよ」と、もう言ってはいたんですけど、案の定大変で。この浮世さんが、男女の駆け引きをしている人じゃダメだっていうのがあって、いわゆる恋愛ゲームの台本みたいな感じで、その辻さんと対等に男女の駆け引きで、その台詞を言ったり、「私、ちょっと酔っぱらってるのかな~」みたいなこと言ったり。やっぱりさっきの辻さんと同じ3つのシーンでやってもらったんですけど、やっぱり土村さんは本当に「私、あの、辻さんに油断してるのかな?」っていう台詞を、男女の駆け引きじゃなくて、本当に素直に言っているっていう。その何の戦略も無く策略も無く言っているっていう風に見えたので、そこが決め手になりましたね。
MC神取さん  絶妙なキャスティングだな~って、本当に思いましたね。

深田監督  自分もとても絶妙なキャスティングだと思っております。

MC神取さん  絶妙といえば、石橋けいさんの細川先輩は大好きです!

深田監督  そうですね。石橋さんは、今回初めてだったんですけど、元々結構映画や演劇で、特に演劇で石橋さんのお芝居をずっと観ていて、細川先輩を誰かリアルな俳優にやってもらうなら石橋さんだなって最初に浮かんでいて、オファーさせてもらいました。

MC神取さん  最後のさっぱり感ですもんね。石橋さんでしか出せないかな~みたいな感じで。

深田監督  そうですね。原作を今回ドラマとして4時間の時間で撮らせてもらって、良かったなぁっていうのは、これが2時間の映画だったら、最後に辻がいなくなった後に、その後三人の、浮世がみっちゃんと細川先輩のところを回ってくっていう流れになるんですけど、たぶんあの部分描けないんですよね。4時間あったから、それを描くことができたんだけど、やっぱりそこで三者三様の女性の姿を描くことができたっていう。そもそも男なんて要らなかったじゃんってことに至る細川先輩と、さっさと辻さんのこと忘れて次の男性と交際しているみっちゃんと、辻にこだわり続ける浮世っていう。あの最後の石橋さんの本当にすっと憑き物が落ちたってこんな感じ(笑)、憑き物が落ちちゃった感じの表情が絶品ですね。現場でもいいなって興奮しました。

MC神取さん  ここを見逃した方はもう一度観ていただきたいけど、4時間また観ていただくことになります(笑)

深田監督  はい!ぜひぜひ。ひかりTVとかでもね、配信してるので。気になる方はぜひ!加入していただいて。あと、ドラマ版のDVDも出ています。

MC神取さん  ぜひ、メ~テレ映画祭でもいいですし、ぜひぜひ観ていただきたいなと思います。ありがとうございます。

深田監督の最新作『LOVE LIFE』の公開日も9月9日(金)に決まったことも発表され、今後も目が離せません。「メ~テレ60周年メ~テレシネマ映画祭2022」は26日まで伏見ミリオン座で開催中です。ぜひ、訪れてみてください。

メ~テレ60周年メ~テレシネマ映画祭2022

開催日時
2022.5.20〜2022.5.26
場所
伏見ミリオン座(名古屋市中区錦2-15-5)
料金
再上映作品1300円
公式サイト
https://www.nagoyatv.com/60th/


※掲載内容は2022年5月時点の情報です。
※新型コロナウイルスや天候の影響で、開催予定のイベントは、中止・変更になる場合があります。主催者の公式サイト・SNSで事前に確認して、おでかけください。

LINEお友だち登録

RANKING ランキング

TAGS #人気のタグ

MAGAZINE 雑誌『KELLY』

Please Share

「メ~テレ60周年メ~テレシネマ映画祭2022」が開催!映画『ホテルローヤル』『淵に立つ』などメ~テレ製作映画が再上映。

WRITER

Mai Shimomura

Mai Shimomura

岐阜県出身。スタジオやブライダルでの 撮影経験を6年経て、編集者へ転身。 カメラと映画が好きなミーハー女子。 素敵な出会いを写真に記録しながら、 みんなの心に届くモノを発信したい。

  1. トップページ
  2. ENTAME
  3. 映画
  4. 「メ~テレ60周年メ~テレシネマ映画祭2022」が開催!映画『ホテルローヤル』『淵に立つ』などメ~テレ製作映画が再上映。

KELLY’S
RECOMMEND
おすすめ記事

RANKINGランキング

PICK UP! 注目の記事

SERIES 連載もの

ABOUT日刊ケリーとは

"GOOD LOCAL"な、
東海のライフスタイルマガジン。

雑誌『KELLY』がお届けする、"GOOD LOCAL LIFE(地元でのよりよい暮らし)"のためのWebマガジンです。「地元での暮らしがより心地良く、自分らしく、喜びを感じる日々になりますように」。そんな思いを込めて、まちの情報を丁寧に編んだコンテンツを配信します。身近な巡り合いで、地元がもっと好きになるはず。