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【9/16公開】映画『雨を告げる漂流団地』名古屋での舞台挨拶に石田祐康監督と齋藤響プロデューサーが登壇!
#インタビュー

2022.9.16fri

【9/16公開】映画『雨を告げる漂流団地』名古屋での舞台挨拶に石田祐康監督と齋藤響プロデューサーが登壇!

スタジオコロリドが贈る長編アニメーション映画第3弾は、夏の終わりの冒険ファンタジーを描く『雨を告げる漂流団地』。2018年初の長編映画『ペンギン・ハイウェイ』を手掛けたスタジオコロリドは、2020年Netflixにて全世界独占配信された映画『泣きたい私は猫をかぶる』において世界30カ国以上で再生回数の多い映画ランキングTOP10に入るなど、全世界からの賞賛を浴びたいま注目のアニメーションスタジオです。そんなスタジオコロリドの最新作は、小学6年生の幼馴染、航祐と夏芽、その仲間たちが取り壊し前の団地に入り込んだことから始まるひと夏の冒険物語。8月20日(土)には、109シネマズ名古屋で「『雨を告げる漂流団地』全国劇場キャラバンin名古屋」が開催され、愛知出身の石田祐康監督と、齋藤響プロデューサーが作品や監督の地元の愛知のエピソードを語っていただきました。その様子をレポートします。

STORY

まるで姉弟のように育った小学校6年生の航祐と夏芽。二人は、航祐の父・安次の他界をきっかけにギクシャクし始めた。夏休みのある日、航祐はクラスメイトとともに取り壊しの進む「おばけ団地」に忍び込む。その団地は、航祐と夏芽が育った思い出の家だった。航祐はそこで思いがけず夏芽と遭遇し、謎の少年・のっぽの存在について聞かされる。すると、突然不思議な現象に巻き込まれ、気づくと航祐たちを乗せた団地は、謎の海を漂流してしまっていた。初めてのサバイバル生活。力を合わせる子どもたち。泣いたりケンカしたり、仲直りしたり?と、果たして元の世界へ戻れるのか?ひと夏の別れの旅が始まる―。

石田監督のホームグラウンド!地元愛知にお帰りなさい

――今日はたくさんの方に集まっていただきました。まずは一言お願いいたします。

齋藤プロデューサー こんにちは。株式会社ツインエンジンでプロデューサーをやっております齋藤響と申します。本日はよろしくお願いします!

石田監督 スタジオコロリドでアニメーション監督をしておりまして、今回の『雨を告げる漂流団地』の監督させていただいております。石田祐康と申します。今日はみなさんにお足を運んでいただき、ありがとうございます。よろしくお願いします!

MC:松岡さん 監督は愛知県出身ですよね。

石田監督 愛知県の知多半島の美浜という場所で過ごしておりました。

MC:松岡さん おかえりなさい。

石田監督 ただいま(笑)

MC:松岡さん 今日はもしかして、その知多半島からいらっしゃった方いますか?おぉ!たくさんいらっしゃる!

石田監督 同郷!ありがとうございます。うれしいですね。

――キャラバンで2つ目の会場ですが、地元愛知・名古屋で登壇するっていうのはどんなお気持ちですか?

石田監督 高校生の時に名古屋の方に幾度となく知多半島から通っていたんですよ。だから名古屋駅もいつも往来をしていたんですけど、キャラバンで名古屋駅に降りた途端に、同行するメンバーに「この金時計で待ち合わせをして…どうのこうので。あの映画館はたぶんあそこにあるんですよ」みたいな話をしていました(笑)。土地にいろんな思いが宿ってしまっている感じですね。

MC:松岡さん 齋藤プロデューサーもガイドを受けたわけですね?

齋藤プロデューサー 名古屋に着いた途端に饒舌になられたので、ホームグラウンドなんだなと思いました。

MC:松岡さん では、その調子でいっぱい映画のこと語っていただこうかなっと思っておりますが、みなさまはこれから映画をご覧になられるんですよね。

石田監督 調子に乗り過ぎないように気を付けないといけないので、ちょっとほどほどにがんばります(笑)

団地は空母みたいなもの。これが面白い!

――この『漂流団地』というタイトルですけど、団地を舞台にしようと思ったきっかけは?

石田監督 自分の家は集合住宅とは正反対の、本当に昔ながらの日本家屋の一軒家だったので、友だちの家に遊びに行くとこういう集合住宅に住んでいる文化の違いにびっくりしました。子ども心に単純にこういう場所にいつかは住んでみたいなって思いもきっとあったんだと思います。その時に感じていた文化の違いや普通に「カッコいいかも」って、思っていた気持ちもあって、東京に来てからもいろんな場所を引っ越していく中で、当時の気持ちを思い起こして「今だったなら住めるかも」っと思っていまは団地に住んでいます。

アニメをいざ作ろうと思った時に、子どもたちが走り回るような舞台が欲しいなと考えていて、ちょうどこの団地が思い浮かんでしまったのがきっかけで、元々子どもたちを主人公にした作品を作りたくて、本作に限らず前回も作りました『ペンギン・ハイウェイ』もそうですし、今回はそれに加えて何かしら子どもたちが冒険をする、それも具体的に言うと海に漂流してしまうっていう状況を描きたいと思っていたところに、「じゃあこの子たちが乗り合わせる船はなんだろう?団地でいってみるか」っていうような紐付け方をして描いていました(笑)

他作品ですが、『トップガン』がすごくヒットしているじゃないですか。僕『トップガン』が昔から好きなんですけど、戦闘機が好きで、空母の離陸している光景がすごく子どもの時から好きだったんですよ。それで『トップガン』観てハマっていったわけですよ。例えでいうとこの団地は空母みたいなもので、海の上でこの子どもたちを乗せる船は何がいいんだろうって考えた時に、現実の目的を持って造られた船っていうのもいいなとも思いましたが、そこをあえて本来は海の上を行かないもの、そのために造られていないもの、団地っていうものが空母みたいな感覚で、「なんで!?」って形で漂流しているその画ずらがなんか気に入ってしまいまして、舞台は団地にしました。

MC:松岡さん 団地の屋上、これからご覧いただくんでちょっと言えませんが、空母みたい、なんかそういう風に見えてきましたね(笑)

石田監督 見えちゃうんですよ。これが面白くて。

――齋藤さんはこのアイデアをご一緒に作られたんですけれど、齋藤さんとしてはみなさんに感じて欲しいことを教えてください。 

齋藤プロデューサー これから観ていただければわかると思うんですけど、子どもたちがすごく生き生きしていて、シリアスなシーンでもコミカルなシーンでも子どもたちがすごくリアルなんですよね。映像の力もありますし、田村さん、瀬戸さんらキャストの声の力もあって、子どもたちのすごく命の宿っている作品になっているので、そこをぜひ観て欲しいなっと思ってます。

本当に田村さんと瀬戸さんの相性が良くて、声を聞いた瞬間にぴったりだと思った

――主役の航祐と夏芽を演じた声優の田村さん、瀬戸さんのお二人が本当に素晴らしかったんですが、オーディションでしょうか?

石田監督 やっぱり主役なので、そこは大事に慎重に選びたいと思っていたんですけど、もう悩むことなくすぐに決まりました。とにかくこの二人の主人公が描きたくて、団地が漂流するという企画を決めた時とほぼ同時ぐらいに、この二人にどうゆう声がいいか、この二人の雰囲気・性格で、どうゆう声かというところまで、意識はしていたんですよ。それで、オーディションで聞いた時にぴったり!本当に相性がいいです、この二人の。二人は元々ラジオも一緒にやっていたぐらいで、本当に顔は見えないけど、声を聞いただけでもすぐに「あっ!この人がしゃべってる!」ってすぐわかるくらいにすごく相性がいい二人。二人のこともそうですし、その二人を通して観るこの主人公二人のキャラクターをどうか観届けていただけたらと思っています。

――本当に細かいディテールが素晴らしかったなって思うんですけど、監督は特にお気に入りのディテールみたいなところはありますか? 

石田監督 それで言うとですね、『漂流団地』と言っているからには、これがなによりも空母と例えたこの子たちの母船となる船。この船が、美術さん撮影さんいろんな方の手を経て完成されたわけなんですけど、一つの船ととらえていただいた時のこの船のディテール感。この団地は取り壊されゆく運命で年代物の場所だけど、けして雑に使われた場所じゃなくて、愛されて、人の住まいとして、大切に使われてきて、単純に時代がもう半世紀以上経ってるんで、その経年劣化として自然とくたびれてるその感じ、その感じのディテール感は本当に良く描いてくれましたね。

劇場のいい音響で聴いてほしい!「ずっと真夜中でいいのに。」さんが書き下ろした挿入歌と主題歌

――団地自体生命を感じる、そんな気も私はしました。プロデューサーはどうでしょうか?お気に入りのディテールは?

齋藤プロデューサー 難しいですね(笑)。シーンで言いますと、音楽ですね、今回はアニメとしては初のタイアップとなる「ずっと真夜中でいいのに。」さんが挿入歌と主題歌の合計二曲を書き下ろしてくださいました。すごく魅力的で、劇場のいい音響で聴けるのは貴重な体験ができるんじゃないかなと思っております。

MC:松岡さん さすが!プロデューサーのお名前が「齋藤響さん」というだけあって、やっぱり音楽については(笑)。また、監督にご質問があってですね。今回はツイッターで試写会を公募させていただいて、本当にたくさんの期待コメントをいただきました。その中から一つ選ばせていただきました。

石田監督が楽しみながら描いた、子どもたちのドタバタシーンやクライマックスの動きも見どころ

――自主制作『フミコの告白』の短い時間の中でぴょんぴょん動くのが強く印象に残っております。『ペンギン・ハイウェイ』を観た時にも『フミコの告白』の監督なんだなぁっと妙に腑に落ちたことを覚えております。今回は動きはありますか?

石田監督 『フミコの告白』の時にやっていた若気の至りって言っていいのか・・・。あの~、作品性も相まってですね、最終的にぶっ飛んで、もう人間離れしたところまで描いていました(笑)。やっぱりアニメーションを作るうえでは、そういう動かすことの喜びっていうことは大事に感じながら描いてはいますので、この作品の中で一番描きたい焦点を当てたいお話部分ですね、そこを冷静に守りながらも、その中で子どもたちが団地の中でちょっと肝試し的な形で「わぁー!」って走り回るそんな肝を冷やすようなシーンがあるんですよ。『フミコの告白』のような疾走感とは違うんですけど、ただ気持ちのうえではすごくドタバタと叫んだり泣きわめいたりしながら何かやっているのは、自分自身も楽しみながら描いていたので、そんなところもこれから楽しみにしていただきたいなと。それもそれですけど、クライマックスもクライマックスで自分も映画としてこういうことはやれたらなっと、いろいろありました。

――すごく夏の昔の懐かしい思いを思い出しますね。小学校時代とか、そういうこともどうでしょうか?

齋藤プロデューサー めちゃめちゃ思い出しますよね。子どもたちがすごくリアルなので、観ていて「自分が子どもの頃こんなこともあったかもな~」大人になって観るとそういう風に思いますし、たぶん子どもの方が観たら自分事のように体感できるような作品になっていると思うので、大人が観ても子どもが観ても自分の物語として消化できるような作品になっていると思いますね。

知多半島の美浜のあの場所が、建て替わっていたり・・・

――監督の経験も入っていますか?

石田監督 ドタバタな感じの話とちょっと裏腹に、場所にまつわる話、その想いというのは、自分自身も人並みに、もしかしたらそれ以上にあるんですよね。例えば、やっぱり知多半島の美浜にたまに帰った時にあれだけ遊んでいた「あの場所が」「あの公園が」「あの廃屋が」「あの空き地が」みたいな。なくなっていたりとか、他の建物に建て替わっていたりとかして、景色がこうどんどん変わっているんですよね。特に今回コロナ禍もあったんでしばらく帰れてなくて、またこれから帰ると余計にあるんだろうなと思いつつ、そこに対するなんとも言えない気持ちっていうのは、あるんですよね。それがまさにこの主役の主人公の航祐、特に夏芽という女の子の想いを自分も描きながらどういう風に折り合いを付けるかとかあったので、それはご覧になってください(笑)。

雨男!石田監督の水の表現にも注目!

――水の表現ってアニメーションでは難しいと聞いたんですが、漂流ですから、ほぼ水、“雨に告げる”だから雨ですし、いかがでしょうか。

石田監督 ひたすら雨(笑)。水成分が好きで、学生時代に作っていた作品『Rain Town』もまさにそうで、ひたすら雨。水たまり、水に反射する景色だとか、今回も漂流するって言っているだけあって、画面の6割7割は海で埋め尽くされています。これは画作りの上では避けられないんですよ。変な話、自分は“雨男”なんで(笑)今日こそなんとか大丈夫だったんですけど、今までのイベントはたいがい雨になっちゃうんですよ。そういうこともあるくらい雨には、ちょっとした思い入れもあったりして、今回もモチーフとしては、結構ありましたね。そんなところで水の表現を注目していただけたらと。

――注目するシーンばっかりなんですけどね。大きなスクリーンで隅々まで観ていただけたらと思います。そろそろお時間ですので、監督から最後に一言お願いします。

石田監督 せっかくの地元なので。やっぱり自分が地元で経験したことやあったことなんかを思い返しながら、『ペンギン・ハイウェイ』の時もそうでしたけど、今回はオリジナルということも相まって余計にそういうことを考えながら作りました。今回は『漂流団地』という、これが空母みたいな感じでたまたま扱って、団地は一つの例え、一つの象徴で、この作品を観て、それぞれが思う自分にとっての“あんな場所があったな~”というようなことを思い出す一つのきっかけになったら幸いだなと思います。団地に乗って、一緒に漂流するような気持ちで観ていただけたらうれしいです。

石田監督にもっと詳しく聞いちゃいました!単独インタビュー!

――本作はなぜ“団地が漂流する”という設定にされたのですか?

石田監督 元々『十五少年漂流記』とか漂流ものが好きで、なにかしら漂流させてみたいなと思っていて…そこで船とかわかりやすいものを選ぶより、「なぜ、浮かぶ!?」って、ツッコミどころ満載の団地を選ぶのは、映画として面白くなりそうだなと思いまして。団地のイメージは地域や人によっていろいろ違うとは思いますが、東京においての話で言えば、近年では、リノベーションをしてすごく住みやすく造り替えていたり、むしろ若い世代の方が興味を持っているような状況もあって。実は自分も興味を惹かれて団地に住んでいるんです。いつかはそうゆう場所に住んでみるのもいいなと思っていて、それが大人になって団地への興味と紐付いて、結局住むことになりました。自分自身も結局描くうえでは、興味関心のあるものと、熱量を込められるものじゃないと映画制作は大変なので、公私混同みたいな形かもしれないんですけど、その時に自分が住んでまで興味関心が高まっていた団地を舞台にしました。

古い部屋は、航祐の祖父・安次が団地と共に過ごした時間を物語っていた

――本作のモデルになっている場所はありますか?

石田監督 すでに取り壊されてピカピカの建て替えが済んだ場所、東京で最初期の頃にできた象徴的な“マンモス団地”って呼ばれる「ひばりが丘団地」という場所があります。戦後の1959年にできて、100棟以上あって住人も1万単位の人が暮らしていました。その場所だとは言ってはいないものの、そこをモチーフにしながら脚色して描いているような感じですね。その当時、60年代ぐらいに高度経済成長でみんなの所得が上がって生活が豊かになり、団地に住んでいることが一つのステイタスだったので、今でいう“タワーマンション”のような感じですね。団地族って呼ばれる人たちの新しい生活の形で、その当時の天皇陛下も視察に来たぐらい象徴的な場所だったんです。そういう歴史とかも全部ひっくるめて、「ここをモデルにするのは面白いかも」と思って描きました。漂流中に航祐たちが生活の場にしていた部屋も、リノベーションされる前の当時の状態のまま。だからあれだけ古めかしいんです。この作品の中に出てくる「安次」というおじいさんが元々、入居開始当時から住んでいて、ずーっと60年以上、大切に暮らしていたってことですね。だけどこの団地は取り壊しの運命を避けられなかった場所ということで。

――現実からファンタジーの世界に観客を連れていく映像体験がすごいとの声もありますが、物語を描くにあたり注力していることはありますか?

石田監督 とにかく物語自体が、団地が漂流するっていう変な状況なので(笑)。話がファンタジーであっても、本当に漂流しているように感じてもらうためには、よりリアルに一つひとつの描写を丁寧に描かないといけないっていうところはありましたね。海の描写もそうですし、質感・色・音に関してもそうです。団地のちょっとした進む速度とか、その切り取り方一つひとつをあんまり派手にすることではなく、割と地道に描いています。後半の方こそ、嵐の中で、結構ぶっ飛んでいますが(笑)

個性的なキャラクターは、航祐と夏芽を軸に生まれていった

――素直になれない夏芽と航祐。強気な令依菜ちゃん、優しい珠理ちゃんなど、個性的なメンバーが集まっていますが、キャラクターの造形はどのように生まれていったのでしょうか?

石田監督 最初に考えたのが航祐と夏芽でしたね。その二人がケンカするほど仲がいいっていうような形で描こうとは思っていたので、最初に作ったストーリーなんかもありました。ただその時にやっぱり周りのキャラクターも重要だなっていうことで、一人ひとり作って名前を与えていって。性格も少しずつ「あ~、こんな子がいたらこういう子もいたらいいな」みたいな。例えば太志っていう、この子だけ学年がちょっと下なのかな?と思うくらいやんちゃで元気な感じの子。この子がいたら見守り役が必要だよね?ってことで譲というしっかり者の男の子でバランスを取っています。令依菜はギャルっぽくて強めな感じ。それも繊細な夏芽の好対照になるだろうなということで対になるような形で考えました。珠理は令依菜を見守ってあげられる子、支えてあげられる子として考えましたね。

――声優さんの声も役にぴったりでした。声優さんのキャスティングについても教えてください。

石田監督 主役の二人は支え合えて、いい意味で対になるような声がいいなって考えた結果が瀬戸さんと田村さんでした。譲と太志もまず基点は太志の方。太志の声が元気いっぱいでかわいらしい小林さんの声になった時に、その見守り役、兄貴的な感じという意味で山下さんが良いなという決まり方でした。令依菜の声は、夏芽よりも若干幼く聞こえるかわいさが欲しいなと思いました。そういうところで水瀬さんの声がぴったりでした。水瀬さんのその声を見守るっていう意味で花澤さん。優しい感じのふんわりした声がハマるなと思いました。のっぽくんは別枠って感じです。だからもう存在として際立っている村瀬さんのなんともいえない声、ハマるなと。そういう基準でしたね。

映画製作中、声優さんとの印象的だった裏話

――映画製作にあたり、印象的だったエピソードとかありますか?

石田監督 令依菜は浮き沈みの激しい子なので、ギャグっぽいところも結構あって、水瀬さんの収録では毎回笑いましたね。面白くてすごく弾けていて(笑)。それに水瀬さんは演技力がすごい。あの爆発力というか。令依菜は令依菜なりにガミガミ言っていたけれど、夏芽の持っている気持ちを、この子はこの子なりに自分と通ずるものとして感じていたっていう。そういう場面もドラマ後半にかけてずっと考えていたんですけど、そこに演技のじんわりとした豊かさというか、そういうところも令依菜のコントラストの付け方というところですごく良かったですね。

石田監督の少年時代は、太志と譲を足して2で割った感じ?

――石田監督は愛知県知多半島出身ですが、子どもの頃の地元での思い出や、監督自身の子ども時代を教えてください。また、本作で似ているキャラクターはいらっしゃいますか?

石田監督 太志半分、譲半分ぐらいの感じかな。航祐はちょっと違う気がします。航祐は明確にキャプテンっていうよりかは、なんかエースストライカー的な、自分が行くみたいな感じ。みんなサッカー部なんですが、譲と太志はそれぞれゴールキーパーとウィング。まさに僕も美浜で小・中学生とずっとサッカー部だったので、そういうサッカーをやってた時のことをなんとなく思い返しながら、この子たちのこと考えていましたし、しゃべらせていましたね。本当にあの時は汗水垂らして割と小学生の頃なんかは「サッカー選手になりたい!」というぐらい、サッカーに熱中していました。

キャラとしても中間ぐらいかな、足して2で割った感じなのかな。確かに航祐みたいな子もいました。こんなつっけんどんな感じではないんですけど、カッコ良くって目立っていて、この子はモテそうだっていう感じの。自分は脇からその子のことを見て、でも仲良くもあって一緒に練習してた感じですね。夏芽みたいな女子チームメイトは自分のチームにはいなかったので、いたら華やかだったんだろうな(笑)。だけど、男子と対等に渡り合っているどころか、夏芽が一番運動神経良くって、この中で一番のエースストライカー。こんな子が実際にいたら、それはすごかったんだろうな~っと想像しながら描いていましたね。

思い出の場所や形に残すということを自分なりに、観た後に持ち帰ってもらえたらうれしい

――最後に、これから作品を観られる読者のみなさまへ一言お願い致します。

石田監督 特に航祐と夏芽、途中から令依菜もそういうエピソードが出てきますが、自分が大切にしていた場所、育った場所、そういうものに想いを巡らせながら描いていました。自分も美浜で過ごした時のいろんな場所に一つひとつ記憶がある訳ですよ。それが今も気持ちのうえでは全部残っているんですけど、形としては、残っているものと無くなっていっているものがある訳で。
形に残すにも限度があるんだろうなっていうのは薄々分かってはいつつ、だけど自分自身がその断捨離をあんまりできないタイプだからこそ、今回そういうことをテーマにして作品をつくっているっていうのが、なんとなくありました。
描くことになっているっていうのが、なんとなくあったので、それは誰しも共通してあることだと思ってもいたので、観てくれた方が自分なりのものとして思い出して、持ち帰ってもらえたらありがたいです。

なんだか懐かしさも感じられる『雨を告げる漂流団地』。みなさんの思い出の場所はありますか?形に残っていますか?昔の子ども時代を思い出しながら、自分にとっての大切な場所を振り返ったり、想いを巡らせてみてはいかがでしょうか。そして、漂流してしまった子どもたちはどうなってしまうのか。ぜひ、石田監督の水の表現にもこだわった迫力ある本作を大きなスクリーンで見届けて。

雨を告げる漂流団地

公開日
109シネマズ名古屋他、Netflix全世界独占配信で2022年9月16日(金)より公開!
監督
石田祐康
脚本
森ハヤシ、石田祐康
声の出演
田村睦心、瀬戸麻沙美、村瀬歩、山下大輝、小林由美子、水瀬いのり、花澤香菜 他
主題歌・挿入歌
ずっと真夜中でいいのに。(EMI Records)
公式サイト
https://www.hyoryu-danchi.com/
©️コロリド・ツインエンジンパートナーズ


※掲載内容は2022年8月時点の情報です
※新型コロナウイルス感染症の影響で、掲載内容は予告なく変更する場合があります。公式サイト・SNSで事前にご確認ください。

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【9/16公開】映画『雨を告げる漂流団地』名古屋での舞台挨拶に石田祐康監督と齋藤響プロデューサーが登壇!

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Mai Shimomura

Mai Shimomura

岐阜県出身。スタジオやブライダルでの 撮影経験を6年経て、編集者へ転身。 カメラと映画が好きなミーハー女子。 素敵な出会いを写真に記録しながら、 みんなの心に届くモノを発信したい。

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