寒くない顔をしていたけど、震えるほど本当に寒かった湖のシーン

坂口さん 僕は寒くて景色どころじゃなかったです(笑)。映像ではふわぁとした顔をしているんですけど、本当に寒かった!あの日は。監督がチョイスした未山の衣裳が薄いんですよ(笑)。これは寒いな~と思いながら、寒くない顔をしていましたけど(笑)本当に寒かったんです。

伊藤監督
 あんな素肌のような服着てね(笑)

坂口さん あれは着てないようなものですよ(笑)

伊藤監督 着てないね(笑)。あそこは標高も高くてちょうど前日に雨も降っていたりして、あまりにも寒くてスタッフたちはみんなコート着て、震えながらやっているのに、坂口くんは震えることもないし、鳥肌も立たないし、本当にすごいなと思いました。

坂口さん いや、鳥肌は立ってる(笑)

伊藤監督 え!鳥肌立ってたの?(笑)

坂口さん 立ってますよ(笑)。僕もめちゃくちゃ震えていましたよ。

伊藤監督 プロ根性がすごいなと思いました。大事な芝居なので結構何度もやらせてもらってね、本当に頑張ってもらいました。

未山の人生を清算する旅路のような感覚で演じていた

――他の共演者さんの印象なども教えてください。

坂口さん 実日子さんは本作では、陽の部分を請け負ってくれて、飛鳥ちゃんは陰の部分で、未山ももちろんそうなんですけど、やっぱり未山にとっても莉子にとっても、詩織にとってもお互いがいて初めて成立すると言いますか、完璧な人たちではないので、どこか欠けている部分があって、その部分を彼女たちが埋めてくれるような感覚が撮影中はありました。ニュアンスだったりとか、未山の芝居で言うと、相対する役者さんだったりと、未山は変化のあっていい男の子だからと監督が最初におっしゃっていました。

僕は未山像を考えてクランクインしていましたが、逆にそれを一度手放してみて、実際に現場で生まれる空気感だったりと、お芝居を大事にしてみようと思って。実日子さんがお芝居をしている時は、詩織さんといる未山になるし、莉子ちゃんといる時は莉子ちゃんといる未山になるし、僕の未山の捉え方って、彼の語られていない過去の人生だったり、なんとなく清算する旅路のような感覚がありました。

最後のストーリー展開では、未山の中でも大きな落としどころを見つけたんだなという、そんな感覚を持ちながらお芝居をしていたかもしれないですね。

伊藤監督 未山が周りをすごく感じ取る能力があるので、相手に対して相手に合わせたコミュニケーションのとり方をする、それを自然とやってしまう人だったのですが、詩織だけは受け取るものがもう少し大きい。未山が家で着ている服のパーカーは黄色と薄紫色なんですけど、あれは普段着ている服は白いのに、詩織のカーテンの色がまるで染まっているような服にしています。

観る人で捉え方が違って、観る日によっても違う映画になる

――お話を聞いていると隅々まで観たくなりますね。最後に一言お願い致します。

伊藤監督 たくさんの人に観てもらいたいと思っている映画なので、気に入っていただけたら周りの人にちょっと内容は言いづらいかもしれませんが、おすすめして下さるとうれしいです。本日は観ていただき、本当にありがとうございました。

坂口さん 今日はエイプリルフールじゃないですか。なんか言おうかなって、幸せな嘘がつけたらいいなと思っていましが、先にこれ言っちゃうと全然だめですね(笑)。

今日はみなさん、ありがとうございました。この作品は、本当に観る人で捉え方が違うし、観る日によっても違うと思うんですよね。この前、市川実日子さんが初めて観た時と、完成披露試写会の前に観た時とでは、作品に対するイメージが全然違って、違う映画を観ているみたいだったとおっしゃっていて、そんな映画ってなかなかない気がするんです。監督が今回挑戦している説明をあえて省くことだったり、みなさんにこう感じでもらおうとみなさんだけの『サイドバイサイド』ができたらいいなというような気持ちが今の映画界や作品作りにすごく必要なことだなと僕は思っています。ジャンルが明確にある作品ではないので、すすめ方が難しいと思いますが、みなさんの中で今回観た感覚を大事にしていただいて、本作の奇妙さや面白さみたいなところを周りの方々に伝えていただけたらうれしいなと思います。今日はありがとうございました。

いまの自分の隣にいる人、過去に隣にいた人、ずっと隣にいる人など、いまの時代だからこそ大切な人との関係性を改めて考えたい、多くを語らず、受け取る側の気持ち次第で自由に考えられる本作。人と人の距離感や人物の服装の色に心情を反映させるなど、細かく丁寧に描かれたシーンにも注目です。長野の自然たっぷりの景色に癒されながら、この春を彩る切なくも美しい物語をぜひ大きなスクリーンでご覧ください!

サイド バイ サイド 隣にいる人

監督・脚本・原案
伊藤ちひろ
企画・プロデュース
行定勲
音楽
小島裕規 ”Yaffle” 
主題歌
「隣」クボタカイ(ROOFTOP/WARNER MUSIC JAPAN)
出演
坂口健太郎、齋藤飛鳥、浅香航大、磯村アメリ、茅島成美、不破万作、津田寛治、 井口理(King Gnu)、市川実日子 他
公式サイト
https://happinet-phantom.com/sidebyside/
©2023『サイド バイ サイド』製作委員会


※掲載内容は2023年3月時点の情報です

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【絶賛公開中!】映画『サイド バイ サイド 隣にいる人』名古屋での舞台挨拶に主演・坂口健太郎さん、伊藤ちひろ監督が登壇!

WRITER

Mai Shimomura

Mai Shimomura

岐阜県出身。スタジオやブライダルでの 撮影経験を6年経て、編集者へ転身。 カメラと映画が好きなミーハー女子。 素敵な出会いを写真に記録しながら、 みんなの心に届くモノを発信したい。

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