【7/21より名古屋で公開】映画『ドキュメント サニーデイ・サービス』デビュー30年の曽我部恵一さんにインタビュー!
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2023.5.3wed

【7/21より名古屋で公開】映画『ドキュメント サニーデイ・サービス』デビュー30年の曽我部恵一さんにインタビュー!

今年、デビュー30年を迎えた「サニーデイ・サービス」。フォーク、ロック、ギターポップ、ヒップホップと、ありとあらゆる音楽を飲み込み吐き出し続ける変幻自在のロックバンド「サニーデイ・サービス」初のドキュメンタリー映画が7月7日(金)より公開されます。

1992年、曽我部恵一さんと田中貴さんらを中心に結成されたロックバンド「サニーデイ・サービス」。1994年にメジャーデビューし、翌1995年に1stアルバムにして日本語ロックの金字塔「若者たち」を発表した以降も、怒涛の楽曲制作、突然の解散、ソロ活動、インディレーベルの設立、再結成を経て活躍し続ける大人気のバンドです。また、本作を手がけるのは、カンパニー松尾さん。90年代から現在までをメンバー、関係者によるバンドの歴史や解説、選りすぐられた楽曲の初公開を含む新旧の貴重なライブシーンも織り交ぜた壮大なドキュメントロードムービーに仕上がりました。

昨年末にリリースしたニューアルバム『DOKI DOKI』のツアー真っ最中の曽我部恵一さんに2月24日(金)に開催された名古屋ダイアモンドホールライブ後に今の心境や本作についてお話を伺いました。

大げさかもしれないけど、幸せを感じられる時間にしたい

――昨年末にリリースされたニューアルバム『DOKI DOKI』。素直にまっすぐに、音楽というものの楽しさが伝わるアルバムではないかと感じています。

曽我部さん そうですね。それぐらいのシンプルなことですからね。曲を一生懸命やって聴いてもらうだけで、そこに他の意味はあんまりないです。とにかく一生懸命やるだけ。ただそれだけなんですが、その深さや難しさは、やりながらすごく感じています。

――久しぶりの今回のツアー、手ごたえはいかがでしょうか?

曽我部さん 久しぶりのアルバムを出してのツアー。なかなか「完璧だった!」みたいな感じはなくて手探りですが、どうにか一生懸命やるしかないかと。音楽って何なのか、ライブってどういうものか、自分でも分からないです。どんなものがいいのかも分からないけど、お客さんは僕らの音楽が好きでライブにも来てくれる。どんな気持ちで歌うのが一番いいのかと考えながら、難しいけど、頑張りますって感じです。

歌えばいいというものではなく、お客さんと大事な関係性が生まれることをやりたい。でもそれって何だろう?幸せというと大げさだけど「生きていてよかった、生きているんだな、かけがえのない時間だったな」って、お客さんが感じてくれたらいいなと思います。

僕らは30年ぐらいやっているみたいで、30年前から聴いてくれている人もいます。その日々が色づいて、自分の人生とか、今日に至る全てのものが美しいと思える何か。自分たちもそうですが、そんなふうに思える夜になるのが一番いいと思っていて、それに向けてやっている。でもどうしたらそうなるのかは分からない。そうなればいいなと思っています。

時間じゃなく、物事ってどんな気持ちでやっているかが大切

――先ほど「30年ぐらいやっているみたい」と仰いました。30年続けるのは、並大抵でできることではないのではないでしょうか?

曽我部さん 長くやったからどうというのは、あまり感じないですね。物事って、どんな気持ちでやっているかだと思うんです。例えば料理でも子育てでも、どんな思いでやっているかだと思う。長くやると慣れることはあるかもしれないけれど。

――振り返ったら30年経っていたという感覚でしょうか?

曽我部さん あちこち行きながらやってきたので、一つのことに脇目も振らず打ち込んできたって感じはしないんです。普通の人の30年とあまり変わらないし、実はそこは意識してないですね。意志を持って続けるというより、ダラダラ続いていっている感じ。人生もそうじゃないですか?「生きるぞ!」って生きているわけでもないし。使命感も全然ないです。ファンの方々がいて、まだ聴きたいと言ってくれる人がいるからやれているという感じです。

キャリアというのは、僕は本当に何も思わないんです。その人がその仕事をどんな気持ちでやっているか、何をその作品に込めているかの方がよっぽど大事だと思う。30年間一つのことをやるってかなり難しいから、僕らも一度解散したり、メンバーが亡くなったり、そういう中で何とか続けている。続けようとも思ってなくて、結果的に何かやっているよねという感じですね。だから「何十周年」とかもやりたくないんですが、ちょうど映画があり、30年としました。

フラットな日常をありのままに撮ってくれました

――映画『ドキュメント サニーデイ・サービス』をご覧になった感想はいかがでしょうか?

曽我部さん 僕は単純に「面白いなー」と思いましたね。客観的になれているかどうか分からないけど、飽きずに最後まで楽しめました。

――どんなところにそう感じられたんでしょう?

曽我部さん 画がやっぱり、いい。見ちゃう。人の顔の撮り方、風景の撮り方。きれいだし、何だか観ちゃうんですね。うまいなーと思いました。

――曽我部さんご自身もコアな映画ファンで、たくさんの映画をご存じだと思います。自分が被写体側になる感覚はいかがですか?

曽我部さん 全然ないです。普通でしたからね。お芝居をして俳優として映ると恥ずかしくて全然見られないんですが、ドキュメンタリーは普段のままなので何も違和感はなかったです。人が喋ったり動いたりするのは面白いので、そういう感じで観ました。そういうところをちゃんと撮っていたカンパニー松尾さんはすごいなと。

――監督はカンパニー松尾さんとのことで、どのように始まった企画だったんでしょう?

曽我部さん 僕がサニーデイのライブ映像を1時間半くらいにまとめたものを自主制作し、スペースシャワーの高根さんに見ていただき「こういうのをちゃんとまとめてサニーデイのライブ映画にしたい」と相談したんです。そしたら「ライブ映画もいいけど、ドキュメンタリーにしませんか」と。そこで監督としてカンパニー松尾さんの名前が挙がり、「おお」と思いました。松尾さんは昔から知っていたし、サニーデイを聴いてくれているのも何となく知っていた。以前、川本真琴さんの仕事で一緒になり、松尾さんの仕事ぶりを初めて現場で拝見して、この人は自分のスキルを全て注ぎ込んで仕事をする方だな、すごいなと思っていたので「喜んで」ということになりました。松尾さんもやりたいと言ってくれたんですが、「僕でいいんですか?」とも言われました。AV監督だし、と。でも人間を信頼していたので「全然大丈夫です」と答えました。

――カンパニー松尾さんは自分でカメラを回すスタイルの監督ですが、撮影中、何か印象に残っていることを教えてください

曽我部さん 最初に松尾さんと打ち合わせで挨拶した時に「曽我部さん、ドキュメンタリーなのでちゃんと内面を見せてくれますか?」と言われました。「いやいや、俺は全然見せますよ」と。そんなつもりはないんですけど、僕が内面を見せない壁のある人だと松尾さんは思っていたのかもしれない。内面の見せ方も、苦悩したり泣いたり、そういうことではないんじゃないかなと思ったので普段通りやっていました。松尾さんも深く内面を掘り下げるわけでは全然なかったです。

――「ドキュメンタリーだから掘り下げるべき」ではなかったということですか?

曽我部さん そう。ドキュメンタリーというとすごく大それた感じで、人が泣きわめいたり苦悩を吐露したりするのも多い印象で、僕らもそうなるのかなと思っていたんです。でも全然そんなことなかった、ただフラットな日常。移動してライブして「そうっすねー」とか言っている感じ。本当にありのままを撮ってくれました。

カンパニー松尾さんが撮る、クールだけどキラリとした物語が見えるちょうど良い見せ方が好き

――「サニーデイ・サービス」とカンパニー松尾さんの相性のよさに驚きました。それぞれの世界がとてもうまく溶け合っていると感じます。

曽我部さん そうでしょ?松尾さんも僕らに「あっ、監督が来た」とか思わせない。リラックスして僕らがそこにいるのを撮っているだけで、身構えなくてもいい空気を作ってくれました。画には物語をことさら入れない。でも、物語がないわけじゃない。その塩梅がすごく僕の好きなところです。説明が多いものや情緒過多なドキュメンタリーもありますが、松尾さんの映像はそうじゃない。クールだけど、でも何かあるんですよね。どこかにキラリとした物語がある。それをちょっと見せる感じが、すごく素敵だなと思います。

デビューして30年。「サニーデイ・サービス」の物語を紡ぐ、彼らの魅力がぎゅっと詰まった本作。彼らのありのままの姿を観ながら、一緒にこの30年を振り返ってみてはいかがでしょうか。新旧の貴重なライブシーンも観られるので、ぜひ、劇場の大きなスクリーンでご覧ください!

ドキュメント サニーデイ・サービス
公開日 / 7月21日(金)よりセンチュリーシネマ他で公開!
監督・撮影・編集 / カンパニー松尾
出演 / サニーデイ・サービス、曽我部恵一、田中 貴、大工原幹雄、丸山晴茂、渡邊文武、藏本真彦、新井 仁、杉浦英治、北沢夏音、やついいちろう、山口保幸、阿部孝明、小宮山雄飛、ワタナベイビー、夏目知幸、安部勇磨 他
ナレーション / 小泉今日子
配給・宣伝 / SPACE SHOWER FILMS
公式サイト / https://films.spaceshower.jp/sunnyday/
©2023 ROSE RECORDS / SPACE SHOWER FILMS

映画公開予定スケジュール

7月7日(金)~ 渋谷シネ・クイント(東京)
7月21日(金)~ センチュリーシネマ(名古屋)
7月21日(金)~ 京都みなみ会館(京都)
7月21日(金)~ シネマート心斎橋(大阪)
7月21日(金)~ サツゲキ(北海道) 他
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【7/21より名古屋で公開】映画『ドキュメント サニーデイ・サービス』デビュー30年の曽我部恵一さんにインタビュー!

WRITER

Mai Shimomura

Mai Shimomura

岐阜県出身。スタジオやブライダルでの 撮影経験を6年経て、編集者へ転身。 カメラと映画が好きなミーハー女子。 素敵な出会いを写真に記録しながら、 みんなの心に届くモノを発信したい。

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