旧中山道に佇む古民家本屋「HUT BOOKSTORE」でとっておきの出合いを【岐阜・美濃加茂市】
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2023.6.9fri

旧中山道に佇む古民家本屋「HUT BOOKSTORE」でとっておきの出合いを【岐阜・美濃加茂市】

中山道の宿場町として栄えた歴史と、豊かな自然に恵まれた岐阜県美濃加茂市。今回紹介するのは、2021年4月にオープンした本屋「HUT BOOKSTORE(ハットブックストア)」。美濃加茂市の魅力に魅せられた愛知出身の店主・古池弘幸さんが、古民家を改築してオープンしました。

本と出合える「HUT(小屋)」を目指して

美濃加茂市の中山道太田宿にある、木造の長屋の右端に「HUT BOOKSTORE」はあります。もともとは魚屋さんだった場所で、その後民家となり、空き家になったところを店主の古池さんが改築しました。本屋の店主の他に、建築士としての一面も持ち合わせる古池さん。改築時の設計やデザインは、自ら行ったそう

店名の「HUT」は「小屋」という意味で、小さな小屋のようなお店を作りたい、という想いから名づけられています。本の囁きが聴こえてきそうなほど、静かで落ち着く店内。ゆっくりと時間をかけて、1冊1冊を吟味できるこのサイズ感が、本屋好きにはたまりません。

入って左手には、座って読書ができる、素敵な小部屋が。こちらは、建物を改築する際、耐久性などを加味したうえで、偶然生まれたスペースなのだとか。家まで待ちきれない!という人のための読書スペースとしてはもちろん、地元の作家さんや、店主さんとコラボレーションをして、ギャラリーとしても活用しているそう。

古い本、新しい本、小さい本、岐阜らしい本

アートや工芸品に関する本

美濃加茂市ならではの、「山」をテーマにした本

店頭には様々なジャンルの古本が1500冊ほど、新刊書籍が400冊ほど並びます。エッセイや小説はもちろん、建築を専門とする古池さんの選書で、建築やデザイン、アートに関連する本も豊富。限られたスペースだからこそ、店主選りすぐりの本をじっくりと選ぶことが出来るのも、町の本屋の魅力です。

ZINEやリトルプレス

大手の書店では扱われていない自主制作のZINEなどの出版物は、編集されすぎていない分、作者の感情がストレートに伝わってくる面白さがあるといいます。

また、県外から来店するお客さんに、この地域ならではの出合いを楽しんで欲しいと、岐阜にちなんだ書籍もそろいます。岐阜出身の漫画家・塚原祐基さんの〈岐阜マン〉。ゆるいイラストと、ちょっぴりシュールな世界感がクセになると、全国にファンが多数。

恵那市にある本屋「庭文庫」がスタートした出版レーベル「あさやけ出版」が刊行する詩集〈きょうは いい日だ〉。美濃和紙を使用した透明感あふれる装丁が素敵です。

その他、いつもお店に足を運んでくれる常連さんの好みに合うような本を見つければ積極的に仕入れているという古池さん。町の本屋さんだからこそできる心遣いで、ここにしかない本との出合いを提供しています。

店主・古池さんにインタビュー

――建築士をしながら、本屋を開こうと思ったきっかけは?
もともと本が好きで、岐阜市の古書店「徒然舎」さんによく本を買いに行っていたんです。そんな時に「徒然舎」さんから古本市を開催するという話を聞いて、「おもしろそうですね」と声をかけたら「ぜひ出てみませんか?」とお誘いをいただきました。古本市に参加するのも初めてだったのですが、手持ちの本を持ち寄って、自分の市場を開いたのが始まりです。それをきっかけに、本が好きな人に会う機会が多くなって、「本屋をはじめてみようかな…」と考え出しました。

――なるほど。ただならぬ読書家さんの香りがします。
本屋さんをやっていると、「たくさん本を読むんでしょ?」と思われがちなのですが、そうでもなかったりします(笑)。ただ、本のこの四角い形そのものが好きだな、とよく感じます。後は、コーヒーを飲んだり、何かを食べたりしながらパラパラと本を読む、その「時間」が好きなのかもしれません。

――古池さんは愛知のご出身ですよね。なぜ美濃加茂市を選んだのですか?
すぐ近くに「コクウ珈琲」さんというお店があって、そこのコーヒーが好きでよく飲みに来ていたんです。それでこの通りの存在を知って、良い意味で賑やかすぎなくて、静かな感じが気に入りました。「賑やかじゃない」というと、さみしいイメージを持たれてしまうかもしれませんが、そこに癒しだったり、魅力を感じてくれる人もいるのかなと思います。

――こちらの古民家は、どのようにして見つけたのですか?
この辺の空き家が少し気になりだして、市役所の「空き家バンク」を見に行きました。そんな時、いつものように「コクウ珈琲」でコーヒーを飲んでいたら、店のマスターに、「空き家探してるの?」と声をかけられたんです。

――え!すごい偶然ですね。
いえ、どうやら市役所の方から「空き家を探している人がいるよ」と聞いていたみたいです(笑)。それで「コクウ珈琲」のマスターが、この場所を紹介してくれました。

――美濃加茂市でお店をオープンしてみていかがですか?
何より落ち着く町ですし、地域の人が、県外から来た私にも温かく接して下さって、とても感謝しています。近すぎず遠すぎず、絶妙な距離感でご近所づきあいができる場所だと思います。

――これからどんなお店にしていきたいですか?
誰でも気軽に立ち寄れて、気軽に本を連れて帰ってもらえる本屋にしたいです。あとは、今各地で小さな出版社や本屋が増えてきているなという印象があるのですが。そういった、本に携わる人たちと手を取り合って、地域を盛り上げていけたら良いなと思います。

EDITOR IMAI

‟個性”を大切にしながらも、お店にやって来るお客さんのニーズを考慮しながら厳選された本の数々、古民家の持つしっとり温かい空気感に癒されました。大型書店やオンラインストアにはない、ゆっくりと味わいながら、読みたくなるような1冊に出合える場所です。そして、お店のお隣のお花屋さんもかわいいので、ぜひ覗いてみて!

HUT BOOKSTORE(ハット ブックストア)

問い合わせ(メール)
[email protected]
場所
岐阜県美濃加茂市太田本町2-4-8
営業時間
13:00~18:00
定休日
火・水・木曜
支払方法
カード・電子マネー可
Instagram
@hutbookstore_hkarchitects
駐車場
2台
アクセス
JR「美濃太田駅」より徒歩で約10分


※掲載内容は2023年5月時点の情報です

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WRITER

Kanon Imai

Kanon Imai

座右の銘は「百聞は一見に如かず」。気になったら、まずは体験する派な編集部員。趣味は読書とジョギングで、猫は目に入れても痛くないほど好き。

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