2023.6.10sat
【絶賛公開中】カンヌ映画祭で2冠!映画『怪物』是枝裕和監督にインタビュー
監督・是枝裕和さん、脚本・坂元裕二さんによる映画『怪物』。カンヌ国際映画祭コンペティション部門で「脚本賞」ならびに、日本映画初の「クィア・パルム賞」を受賞するなど、今最も注目が集まっている作品です!
今回、編集部では、カンヌに滞在中の是枝監督にリモートインタビューを行いました!以前より、ファンだったという坂元裕二さんについて、『怪物』の制作秘話など、詳しくお聞きしました。
※取材日は2023年5月24日
さらに、映画の公開を記念して、映画『怪物』オリジナルトートバッグを抽選で3名様にプレゼント!
※応募フォームは記事の最後に記載しております。
尊敬する脚本家・坂本裕二さんに対する想い
――是枝監督は、かねてより坂元裕二さんをリスペクトされていたとお聞きしました。今回、念願のコラボレーションとなりましたが、これまで抱いていたイメージや、コラボを経て改めて感じた坂元さんの脚本の魅力を教えていただけますでしょうか。
僕が書く脚本は、「スライス・オブ・ライフ」というか、日常の一コマを切り取って照らすような作品が多いんですが、今回の映画は、先へ先へ引っ張っていくストーリーラインが強いところがとても力強くて魅力的だと感じました。これまでも、自分と同じモチーフを持っていて、違う角度から表現している作り手だと思っていたんですが、僕は、基本的に“何かが起きた”あとのアフターを描くことが多くて。今回の作品は“何かが起きそう”なビフォアの時間を描いていて、「なるほどな」とすごく勉強になりました。次回、脚本を書くときにはこのテクニックを盗もうと思っております(笑)。
――坂元さんの脚本の素晴らしさに気付いた・出会った作品はなんでしたか?
もちろん、90年代に書かれていたラブストーリーなどの脚本も面白いと感じて見てましたが、改めて“おっ”と思ったのは、ドラマ『わたしたちの教科書』(2007年放送)ですね。その後の、ドラマ『それでも、生きてゆく』(2011年放送)が決定的で。あのドラマは、20年に一本のものだと思っております。90年代に国民的ラブストーリーを書いていた作家が書いたのか、と。被害者と加害者という関係で、こんなふうにラブストーリーが成立するのか、というところに本当に脱帽でした。そこからもう作られていくものをずっと追いかけている、ただのファンです。
――『怪物』が始まる前、自分が書く人物に飽きてきたとお聞きしました。
やっぱりどうしても自分が書ける人物像・物語が固定化してきたという気をしていたので、もう一回解体して組み立てなおそうと。組み立てなおすからには、何か違う遺伝子を入れなきゃいけないので、海外でやってみたりということも繰り返しながら模索していこうかなと思っていました。
――“登場人物それぞれの視点”がとても重要となる今作を、演出の面で意識したことはなんですか?特に、瑛太さんが演じた保利視点が気になります…。
“ギリギリを攻める”という感じですかね。そもそも坂元さんの脚本がギリギリを攻めているので、やりすぎないところでどう留めるかっていうのは意識しました。ただ、安藤サクラさんが演じるサオリの視点では、異様に見えていたほうがいいので、観ている人に「なんだこの人は」って思われながらも、「まあ、ギリギリありえるかな」というラインを探っていました。
僕もですけど、保利を演じる瑛太さんもそれを十分わかった上で、「やりすぎてたら言ってください」って言ってくれて。ですが、今回も、役者たちから出てきたものを、そんなに修正していません。瑛太さんは特に、坂元さんの脚本への理解力がとても高くて。坂元さんは「瑛太だったらこういう芝居をするだろうな」とピンポイントで書いていて、瑛太さんも「こういう芝居を求められてるんだろうな」とピンポイントで演じられているという印象でした。
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タイトルが決まったのは“撮影直前”!?
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