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【インタビュー】キタニタツヤさん「未熟だからこその“どうしようもなさ”を歌にした」アニメ『呪術廻戦』第2期「懐玉・玉折」OPテーマ「青のすみか」
#インタビュー

2023.8.8tue

【インタビュー】キタニタツヤさん「未熟だからこその“どうしようもなさ”を歌にした」アニメ『呪術廻戦』第2期「懐玉・玉折」OPテーマ「青のすみか」

2023年7月19日(水)、シンガーソングライターとして活躍するキタニタツヤさんが、TVアニメ『呪術廻戦』第2期「懐玉・玉折」OPテーマである『青のすみか』をリリースしました。

昨年には『BLEACH 千年血戦篇』OP主題歌を担当しており、数々のタイアップ楽曲を手掛け、原作やアニメファンからもたくさんの支持を得ているキタニタツヤさん。

今回、「青のすみか」のコンセプトや制作エピソードをはじめ、収録曲である「素敵なしゅうまつを!」「ラブソング (cover)」の2曲についても、たっぷりお話を伺いました。

PROFILE

シンガーソングライターとして活動しながら、作家として数々の楽曲提供も行なっている。ヨルシカのサポートメンバーとしての活動や「Ado」「まふまふ」「TK from 凛として時雨」の音源制作への参加、「ジャニーズWEST」や「私立恵比寿中学」など多くのアーティストへの楽曲提供などジャンルを越境し活躍を続ける。アニメ主題歌やドラマ主題歌を担当、「THE FIRST TAKE」出演などまだまだ勢いの止まるところを知らない、今最も注目すべきアーティストの一人。

アニメ主題歌書き下ろし「青のすみか」制作について


――「青のすみか」リリースおめでとうございます!この曲はアニメ『呪術廻戦』第2期「懐玉・玉折」のオープニングテーマでもありますが、ご担当することになったときのお気持ちは?

デモを提出しては、何度も修正を重ねたんです。そうやって力を尽くした結果、今の形になったので「やったーうれしい!」というよりも、一安心という感じの気持ちでしたね。

――アニメのオープニングをご覧になって、いかがでしたか?

「青のすみか」もそうなんですが、アニメの曲を制作するにあたって、ジェットコースターのような展開にすると映像が付けやすいかな、と考えながら作っているので、ちゃんとキメに合わせて映像が付けられているとうれしいですね。曲をちゃんと聴いて拾ってくれたんだなって。「青のすみか」でいうと、アウトロで歌詞と映像がリンクするところがあって、やってよかったなって思いましたね。

TVアニメ『呪術廻戦』「懐玉・玉折」ノンクレジットOPムービーアニメオープニングPV

――呪術廻戦ファンにとってはたまらない歌詞と演出が詰め込まれていて、感動しました。楽曲について、アニメスタッフとの打ち合わせや具体的なオーダーはあったのでしょうか?

最初は「“青春”をテーマに書いてください」ということくらいでしたね。あとは原作を読んで自由にっていう。僕は以前から原作が好きで読み込んでいたので、色んな歌詞が書けるなと思って、何パターンも提出しました。そこからどれがイメージに近いか選んでもらったり、反応をもらったりして、今の「青のすみか」になりました。

具体的な要望やオーダーをいただくというよりも、できた曲に反応をもらいつつ、微調整することが多かったですね。最初はダーク寄りな「青のすみか」もあったし、明るいポップ寄りな「青のすみか」もあって。それに対して“これのちょうど真ん中くらいです”みたいな(笑)。おおむね、僕が最初に出した曲がイメージと外れてなかったんじゃないかなと思います。

――去年リリースされた『BLEACH』の主題歌「スカー」もそうですが、キタニさんの書き下ろし楽曲には、作品に対してのリスペクトがとても伝わってきます。これまで何度もタイアップ楽曲を手掛けていると思いますが、心がけていることは何ですか?

僕のファンだけどその作品を知らない人もいれば、作品は知っているけど僕のことを知らない人もいると思うので、作品と僕のどっちにも興味を持ってもらえるような曲になってほしいなと思って作っています。あとはやっぱり、作品内の僕が共感できる部分を抽出して、僕なりの見解を歌にするようにしています。そうしないと、僕じゃなくても良くなってしまう。あくまで“キタニタツヤ”の曲として出すので、僕の感性で切り取った作品の一部であるということは意識して作っていますね。

テーマは「青い春」—自身の“青春時代”を振り返って

――『呪術廻戦』第2期「懐玉・玉折」は、原作の主要キャラクターである「五条 悟」と「夏油 傑」の高校時代が描かれているということで、この曲も「青い春」がテーマになっていると思いますが、作詞にあたって意識されたことはなんですか?

五条と夏油の二人は、どうしようもない理由で離別してしまうんですけど、どっちが悪いとかでは全くなくて。どちらも正しいから、結果的にどうしようもなくて別れてしまった。でもあの時、もし二人が大人だったら、きちんと対話をしていたら、そうはならなかったんじゃないかなと思ったりして。

そうやって考えると、自分の青春時代もそういうことあったなと。今思い返してみると“しょうもない”と思える理由で、どうしようもなく破局してしまうみたいなことが、すごく記憶に残っていて。でも、この経験があるからこそ“次はこういうことがないようにしよう”って、他の人間関係を築けているという部分もある。この未熟だからこその“どうしようもなさ”に、思い当たる節がすごくあったので、それを歌にしたいと思いました。

――キタニさん自身は、どのような「青春時代」を送っていましたか?

友達は多い方でしたね。でも、今でも仲いいのは一握りだな…。でも、思い返してみると、“正論で人を殴ること”を先生に怒られてました。「正しいことを言ってるのになんでダメなんだよ」って、よく反発していたんですけど。ダメに決まってるんですよね、今考えたら。でも、その時はそれがよくわからなくて。仲いい人もたくさんいたんですけど、僕のことが苦手だったっていう人も同じくらいいるんじゃないかなと思います。

――だとしたら、キタニさんが今、意見を押し付けず、色んな解釈のできる作詞をされているというところなどを見ると、昔から結構変わられたんじゃないですか?

あー、そうか。そうかもしれないです。ただ一つのことを言ってもしょうがないというのは、その時に学んだのかもしれないです。

曲に対しての解釈は聞く人に委ねている

――歌詞については、聴いた人によって色々な解釈ができるのが魅力だと感じました。特に「近づけるのに 届かなかった」という歌詞に鳥肌が立って。個人的には、夏油の思いや“五条 悟の術式”のことを指しているように感じたのですが、いかがですか?

それは言わないでおこうかな(笑)。でもやっぱり、いろんなことは考えてますね。一つの意味にならないように意識しているところもあるので。例えば、こういうことを書きたいなって思ったときに、でもこれだと僕が思った通りの捉え方しかできない言葉だなって思ったら、表現を変えてみたり、他の角度から見たときに別のようにも見える言葉に変えたりします。そうすることで、僕が意図したものからさらに意味が足されるじゃないですか。今回に限ったことじゃなく、その点は常に意識してはいますね。

――聴く人の解釈に委ねているんですね。

そうですね。そうしないと、発展性がないというか、僕が言っていることを一方的に聴いてもらうだけなのは、面白くないなと思うので。

――曲のタイトル「青のすみか」ですが、あえて「すみか」はひらがなにしているんでしょうか?

漢字だと何かゴツゴツしていて嫌だったんですよね。音のイメージと擦り寄せたくて。ひらがなの方が、音のイメージに近かったっていう。感覚的に決めました。

――サウンドも、ワクワクさせられるような疾走感や焦燥感がありつつ、大人が聴くと「あの頃に戻りたい」と思わせる切なさを感じる曲だと感じました。サウンド面では、どこを意識されましたか?

今回は、切なさとか寂しさとか、「あの頃に戻りたい」という気持ちは中に秘めて、表面的には爽やかに感じられる曲にしようと意識しました。僕もそういった寂しさや切なさをこれまでたくさん音楽にしてきたし、僕自身、そういったテーマが大好きなので、曲も自然にそうなっていく傾向があるんですけど。ただ今回はそれを、この曲を大事に聴いてくれた人にしか伝わらないようにしています。パッと聴いたら「爽やかなロックだね」と感じられるように、すごく意識しました。その上で、切なさをどういう風に忍ばせるかも工夫しましたね。

――曲が発表されてから、どんなMVになるのだろうと楽しみにしていました。まさか「赤」と「青」を対比させるなんて…。期待以上でした。このMVはどのようなコンセプトで制作されたのでしょうか?

MVは曲への想いをわりとストレートに表現していますね。もう取り戻せないものを一人の男が探して、見つけて、追いかける。最終的に“近づけるが届かない”っていう。それを映像1本で表せるようにしました。

作曲家・Mizoreさんとの共同制作「素敵なしゅうまつを!」

――また、『青のすみか』とともに収録されている「素敵なしゅうまつを!」についてもお聞かせください。この楽曲は作曲家・Mizoreさんがアレンジを施したそうですが、どのようなきっかけで制作が始まったのでしょうか。

この曲は、僕が一人で作ったデモが3年くらい前からあって。メロディと歌詞は完成していたんですけど、アレンジがなんかぱっとしないと思っていたんです。自分的にメロディと歌詞をちゃんと生かせていないかもしれないと思って、ずっと寝かせていました。それで、僕はボーカロイドシーンの音楽をよく聴いているんですが、一緒に仕事したいなって思う人がたくさんいて、その中でMizoreさんがこのデモにハマりそうだなと。で、今回ちょっとぶつけてみたっていう感じなんです。

――たしかに、Mizoreさんのギターの有無で曲の印象が大きく変わりそうですね。

Mizoreさんはすごい不思議なギターを弾く方で。今回、めちゃくちゃ良いギターを弾いてくれたから、僕は楽器でいうとベースしかやってないんですけど、後輩がかっこよく弾いてるから、頑張って良いベース弾かないと、みたいな(笑)。結構気合い入れてます。いつもベースは必要最低限にするんですけど、今回はもううるさいぐらい弾いてみようって。

――キタニさんのベースとMizoreさんのギターが左右から聞こえてきて、両者一歩も譲らない演奏だったので、まるで二人の“バトル”を見ているような気持ちでした。

でも、本当にそういうつもりでしたね。後輩に対して見栄を張りたいっていうのは常にあります。

――「青のすみか」もそうですが、タイトルも歌詞も“言葉あそび”が印象的です。この曲はどのようなコンセプトで制作されたのでしょうか?

“いろんなことの終わり”ですね。世界の終わりかもしれないし、例えば人間関係、友人関係、家族関係の破局かもしれないし、何でもいいんですけど、そういう終わりって前触れもなく突然訪れるってずっと思っていて。それを小馬鹿にしたように、笑いながらそういうことを言ったほうが身に染みてくるんじゃないかと。重たいことを重たいように言っても聞きたくないじゃないですか。だから、重たいことをカジュアルに言おうと意図して作りました。

――歌詞の一つひとつに意味があって、それでいて表現の仕方やワードセンスもすごく美しい。ライターとしてもすごく尊敬しています!普段、インスピレーションはどのようなところから得ていますか?

ありがとうございます。本も読まなくはないんですけど、めちゃくちゃ好きって訳でもなくて。漫画はすごく読んでいて、インスピレーション源でもありますね。でも、一番大きいのは、SNS。知らない人のTwitterとかを見るのが大好きで。自分が多分、一生接することがないだろうジャンルの人っているじゃないですか。そういう人の頭の中身を覗かせてもらうっていうのは、かなり刺激的で。言語感覚がすごく独時な人だと面白い言葉の使い方をしていたりするので、学びもありますし、インスパイアされてますね。

Eveさんとのコラボ曲「ラブソング」のセルフカバー

――また、Eveさんをゲストボーカルに招いた「ラブソング」のセルフカバーも収録されていました。この楽曲のセルフカバーを期待されていた方も多いと思いますが、今作の経緯を教えてください。

ズバリ、セルフカバーしてほしいっていう声が多かったからですね。本当にファンサービスくらいの気持ち。自分ではこのメロディは歌えないけど、Eveさんなら歌える。Eveさんのボーカルとして、楽器としての可能性を感じて作った曲だったので、僕が歌ったバージョンはあくまで“おまけ”として、聴いていただけたらうれしいです。

――セルフカバーも珍しいですよね。

あんまりやらないですね。この曲もそうですし、楽曲提供の時はいつもそのシンガーさんに向けて作っているので。求める人が多かったらやりますけどね。

――じゃあもしかしたら声が多ければ多いほど叶うかもしれないんですね。

ああ、それはもうそうですね。ぜひ、声を上げていただけたら。

30代に突入するまでに…全国制覇!?

――9月からは全17公演の全国ツアー“UNFADED BLUE”が開催されます。ツアーに向けての意気込みをお願いします。

実は、東海エリアはこれまで名古屋しか来たことがなかったんです。でも、今回初めて岐阜に来れることになって、ありがたいことに岐阜も完売、名古屋では追加公演も決定していて、“よくここまで来たもんだ”って思っています。初めて名古屋に来たときなんて、せいぜい5人くらいしかいなかったし(笑)。だからずっと名古屋でのライブに苦手意識があったんですけど、それがやっと払拭できたので。東海エリアはぜひキタニタツヤを贔屓にしてください

――ではいつか三重でもよろしくお願いします!三重県民の皆さん、待っていると思います。ぜひ、文化会館で。

三重もそうですよね。じゃあ、三重県文化会館でやることを一つ目標に。あそこまでいけたら、国民的アーティストだと言えますもんね。

――全国ツアーやアニメの主題歌、「THE FIRST TAKE」出演など最近目まぐるしい活躍ですが、これから挑戦してみたいこと・やってみたいことはありますか?

やってみたいこと、そうですね。子どもの時の将来の夢は、レーサーだったんです。この間初めてレーシングカートに乗って、自分の思わぬ才能に気付いて。あ、三重県には、鈴鹿サーキットがありますね。

――つながってきましたね(笑)

もともと僕、無趣味人間で。趣味の音楽が仕事になっちゃった人間じゃないですか。だから、一般的に皆が趣味としていることをとにかくやってみたいとは思います。どれが自分にハマるか分からないので。

――旅行とかいかがですか?

あー、旅行か。たしかにそれで言ったらやっぱり、ツアーでもなかなか行けない土地には遊びに行きたいと思ってます。仕事でもプライベートでもいいので。じゃあ、30代に突入するまでに47都道府県を全て制覇します。これはリアルです。

――めっちゃいいですね。東海にお越しいただいた際にはご案内します!

ありがとうございます。愛知の下の方にも行きたいですし、もちろん三重も。よろしくお願いします!

『青のすみか』
2023年7月19日リリース

初回生産限定盤(CD+BD) 5500円
通常盤(CD)1980円

【CD】
1. 青のすみか
2. 素敵なしゅうまつを!
3. ラブソング (cover)
4. 青のすみか – Instrumental

【BD】(初回盤のみ)
「One Man Tour “UNKNOT / REKNOT”
Live at Zepp DiverCity(TOKYO) 2022.10.15

※掲載内容は2023年7月時点の情報です
※価格は全て税込み表記です

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【インタビュー】キタニタツヤさん「未熟だからこその“どうしようもなさ”を歌にした」アニメ『呪術廻戦』第2期「懐玉・玉折」OPテーマ「青のすみか」

WRITER

Eri Kimura

Eri Kimura

三重県出身。学生時代は、読書や映画鑑賞、バンド活動に、アパレル店員として働くなど多趣味全開で奔走。現在は新人編集者として奮闘中!

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