アルバム収録曲について、ジャケットは大好きなモンチッチ!
――アルバム名にもなっている1曲目の「i 触れる SAD UFO」は、「赤ん坊」という歌詞から始まるのがとても印象的でした。「赤ちゃんなら宇宙人も慎重に扱ってくれるだろう」という世界観が、ちょっと奇妙だけどかわいらしくて素敵でした。この曲は、何からインスピレーションを受けたのですか?
「宇宙」「ひと夏の未知との遭遇」というテーマを、少し絵本っぽい感じというか、奇妙だけどかわいいようなタッチで書いた曲です。歌詞なども特に、好きなイラストレーターさんにアニメを作ってほしいくらいの気持ちで書いたというか。
出だしの「赤ん坊」という歌詞は、この曲がまだ今の形でない時からずっとありました。「赤ちゃん」って輝いているというか、”宝”だよな…。と常日頃、町を歩いている時も感じます。おとぎ話で竹を割ったら光り輝いて出てくるみたいな感じを表していたりとか。サビでは自分の思想だったり、気持ちも書いています。あとは、ある種「未知との遭遇」じゃないですけど、そういった少しメタファーっぽい要素も入っている曲です。
――今回、バンド編成で作られている曲が多く収録されている印象ですが、バンド編成で曲を作る上で難しい・面白いと思うことはありますか?
バンドで曲を作るときは、主に自分がデモを作っていくので、もっとこういうができるなっていう気持ちとか、レコーディング、サウンドの作り方、音の配置などをもっと勉強したいなっていう気持ちはあります。
素晴らしい方々と曲作りをさせてもらっているので、皆さんのポテンシャルで曲が生きていくっていう感じはしていますね。それは、1人で曲を作る時にはないグルーヴなので面白いなと思います。
――「いかれた夜を」は、かっこいいベースラインにタブラの音色が印象的でした。
当初のデモにはタブラの音は入っていなかったんですけど、タブラの音があったらかっこいいなと思ったのと、この曲でタブラを担当してくれた林怜王くんと、もともとSNSを通じて仲が良かったので、一緒に曲を録りたいなという気持ちがあって。怜王くんにも曲の流れを考えてきてもらって録音しました。
――「プレデター」は中毒性があって、何度も聴いています。誰かからの返事を待ち続けて、逃げているような追いかけているような焦燥感のある一曲でしたが、こちらはラブソングでしょうか?
この曲は、即興っぽく作った曲で。なんとなくサビとギターリフを思いついて、アコーステックギターと歌だけでボイスメモで録り始めました。歌詞もその時思いついたものを、そのまま使っていたりするんですけど。それにトラックなどを乗せて作り上げた曲です。だから「何を歌っているのか」っていうのが、自分でも分かっていないというか。でもまぁ、ラブソングなのかな……。瞬発力で作りました。
――すごいですね。即興で曲を作ることは多いですか?
2018年にリリースした「国」という曲は、即興で18分くらい歌った曲をギュッとまとめてできていて。歌詞も書き留めていなくて、後で書き起こしています。頭をフル回転させながら即興で歌詞とメロディーを合わせていくんですけど、その作り方が合う曲と合わない曲とあって。「プレデター」は、特に歌詞とメロディーが当てはまりやすかったですね。
――「覚えていたのに」は、テスト直前の学生の心情のようなものを感じて、胸がぎゅっとなる感覚を覚えました。これはどのようなシーンから生まれた曲なのでしょうか?
ポリリズムっぽい感じで、サビが変なところで戻ってくるみたいなのがやりたくて、最初は「覚えていたのに不安で」という歌詞とメロディーを思いついて、そこからテーマを決めました。それから、歌詞の内容を考えたときに、学校でのテストのことなどを紐づけました。
――ちなみに、崎山さんは普段のライブなどで、緊張して歌詞を忘れてしまう…みたいな経験ってありますか?
一番忘れそうになるのは、ライブよりもテレビの収録の時とか。まだ緊張して、頭が真っ白になる時があります。
――アルバムの最後に収録されている「太陽よ」は、唯一ギター1本で弾き語りをしている曲ですよね。「死ぬ」「生きる」というメッセージ性の強い歌詞が印象的でしたが、この曲はどんなことをイメージされて制作されましたか?
この曲は、自分の気持ちがグッと下がっているときに書いた曲なんです。歌詞もカタルシスっぽいような。かなり赤裸々にその時の気持ちを書いた曲です。色々考えて歌詞を変えちゃうと違う曲になってしまうので、その時心に浮かんだ言葉をそのまま使いました。
――今回のアルバムにも「太陽」「月」「オーロラ」など大自然のモチーフが登場しましたが、意識的に使われていますか?
実は意識はしていなくて。「太陽よ」もそうですが、気分が落ちているときにボーっと空を見がちで、遠いものを目で追いかけるというか。それも関係していると思います。自分の住んでいた静岡県浜松市って空がすごく広くて、登下校時もマジックアワーがきれいに見えたり、一番星が光り出していたり、その雰囲気が自分にとっての青春っていうか、思い出の風景なんですよね。だから自然と歌詞に出てくるというか、そこにロマンや愛しさを感じるので、空を見上げるのはとても好きですね。遠い何かに思いを馳せるような気持ちもあります。
――歌詞はどんな時に浮かんでくることが多いですか?
歌詞はスマホで電車に乗っている時とか外出する時にメモしたり、様々ですね。適当に分からないまま歌ってみて、それがこう聞こえるから、こういう曲にしてみようとか。最初は何を歌っているか分からなくても、だんだん意味が分かるようになってきたり。そうやって思うままに曲を作っていくことが多いですね。それが本当は一番自分に合っている気がします。
――ジャケットには、ご自身の大好きな「モンチッチ」を起用されていますが、どのような経緯でモンチッチをカバーに?
アルバムの曲をまだ半分くらいしか考えていなかったときに、ふとカメラマンのTOKIさんにモンチッチを撮影してもらうっていうアイデアを思いつきました。以前からTOKIさんの写真がめっちゃいいなと思っていて、実現しちゃったっていう。贅沢なジャケットになりました。ありがたいです……。
――モンチッチは小さいころからお好きなんですか?
もともと、タヌタヌっていうモンチッチの友達みたいなキャラがいるんですけど、そのキャラクターから入りました。3歳くらいの時に自分が「これめっちゃいい」って母親に言ったみたいで、母親も昔モンチッチが好きだったので、親子で定期的にグッズを買っていました。もちろんモンチッチも持っていますし、モンチッチグッズも結構持っています。
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