二人の本作準備期間から撮影への臨み方
――今回は“中途半端にはできない”ということがよくわかる、ストーリーになっていますね。ボクシングシーン、トレーニングシーンは、皆さん期待が膨らんでいると思うのですが、お二人がどのように撮影に臨まれたんでしょうか。
佐藤さん 僕は、引退したボクサーで、現役時代から体型がほぼ変わっていないという役柄だったので、体型キープがありましたね。ボクシングは、9月くらいからトレーニングに参加して、ボクシングジムに通いました。撮影自体は、11月下旬から12月でした。流星は、4月くらいからトレーニングしていましたね。それでも「時間が足りない」っていう気持ちがすごい出ているのが、流星を見ていてわかりました。お互いミット打ちしたり、いろいろとトレーニングをして撮影に臨みました。
――横浜さんは、一般的なボクサーと同じようにトレーニングされていたのですか?
横浜さん いや、足りないと思いましたね。お芝居なので、それっぽく見せることはできるんですけど、自分の中でどこか気持ち悪くて…。なので、その時できる限りのことをやりました。役柄が世界チャンピオンを目指すボクサーなので、観てくださる方々にその説得力を持たせなきゃいけないので、とにかく練習あるのみでしたね。
――ポスターのように、お二人が向かい合うシーンもあるかと思うんですが、本気をどのくらい出すのかみたいなことも考えましたか? 大先輩の佐藤さんに向かっていく、というのはいかがでしたか?
横浜さん ミット打ちって、自分もやったことがあるんですよ。友人の那須川天心のキックを受けたりしたこともあるんですけど、まあ痛いんですよ。経験者でも痛いんで、それを浩市さんに受けてもらうと思うと、最初は躊躇がありました。でも、「気にせず、本気で来い」と浩市さんが言ってくださったので、躊躇するのも失礼ですし、画にも表れるので、そこは失礼にならないように、思いっきりいかせてもらいました。
――それを受けた佐藤さんは、その感覚はいかがでしたか。
佐藤さん そりゃ、キツいですよ。
客席 (笑)
佐藤さん プロ野球のブルペンで練習するように、キャッチャーはピッチャーの球を受け取る時に、いかに良い音をさせるか。球がきているのがわかって、送り出す。ミット打ちも同じような感じで、パンチを打っている人にとって、気持ち良い音を出してあげる。そのためには、引いたら絶対ダメなんですよ。引いたら、そのパンチは向かってくるんですよ。なおかつ、良い音をさせるために、ミットの中に鉄板か何かが入っているんですよね。全部、肩の裏に衝撃がきて、かなりキツかったです。
でも、流星が言ったように、画に映るので。撮影中はカットがかかったら、ボクシング指導の松浦くんの方を見て「どう?」と顔で伺って、「大丈夫」と頷いてくれたらOKでした。
――本作は、“この一瞬の大切さ”という強いメッセージを持っています。映画の中で、“この一瞬”と印象に残るものはあるでしょうか。
横浜さん どの一瞬も記憶に残っていますが、特に、入場シーンですかね。格闘家を志していた自分にとっては、入場からリングへ入って、レフリーから説明を受けて、第一ラウンドのゴングが鳴って始まる、あの瞬間。自分が成しえなかった夢を、翔吾と共に叶えられた瞬間だったので、すごく印象に残っています。
佐藤さん 入場シーンは、演出サイドとしては、もう1シーン足したかったんだよな。
横浜さん そうですね。
佐藤さん でも、十分っていうくらいのシーンになったんです。花道を通ってリングへ向かう時に、「よし、行こうぜ」ってみんなで目を見て、ガッと向かうシーンで。流星は26歳、僕は62歳、鶴太郎さんは68歳ですけど、年齢なんて関係なくて、全員男の子になっていました。
横浜さん そうですね。向かっている方向が同じなので。
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