2023.10.26thu
【インタビュー】間寛平さんプロデュース公演「新喜劇出前ツアー2023→2024」が開催中! 11月26日(日)「岐阜市民会館」の公演情報も
2022年2月に、吉本新喜劇のGM(ゼネラルマネージャー)に就任した、間寛平さん。
2023年8月より、間さんプロデュース公演の「新喜劇出前ツアー2023→2024」が、全国9会場で開催中!
東海エリアでは、2023年11月26日(日)に、岐阜県の「岐阜市民会館」にて開演されます。
今回は岐阜公演を控える、間さんにインタビュー!
本公演のみどころ、「新喜劇出前ツアー2023→2024」への特別な思いを伺いました。
吉本新喜劇の若手に継承したい「出前ツアー」
――本日は名古屋プロモーションということで、名古屋めしは堪能できましたか?
「矢場とん」の味噌カツを食べました。大阪はソース文化なんですよ。トンカツ用のソースがあるんやけど、名古屋は、味噌ソースなんですね。
――いろいろな料理にかけて食べる、チューブタイプの味噌ダレの商品があるくらい、味噌は名古屋人の味です。あらためまして、今回は「新喜劇出前ツアー2023→2024」の開催、おめでとうございます!
ありがとうございます。東海エリアでは、11月26日(日)に、岐阜県の「岐阜市民会館」で開催します。この出前ツアーというのは、昨年から始めました。前回は、ツアーのサブタイトルを「寛平ちゃんがグングカッカ、グングカッカポッポ~♪あなたのお側に」としたんですよ。今年は、最後の部分を「あなたのお膝に」にしました。
出前ツアーの前に、吉本興業に入って50周年記念のライブをしようと思っていたんですけど、コロナ禍でできなくなってしまって。その次の年に、「芸能生活50周年+1記念ツアー」というものを開催しました。このためのプロジェクトを作って、準備しました。
――以前から、このようなツアーをやりたいと思われていたのでしょうか。
そうですね。昔は、興行で名古屋とかの地方にも行っていたんですけど、今は吉本興業主体で、出前ツアーをしています。
――今回は9つの会場で開催されますね。
出前ツアーは8月から始まって、まず福岡の「博多座」で2日間、開催しました。僕は2022年2月に、吉本新喜劇のGMに就任したんですけど、こういう公演をして、爪跡を残して、そこでお客さんを掴んで、若手の子たちの道を作ってあげたいんです。なので、この出前ツアーは、これからもずっと残しておいた方がええなと思っています。吉本新喜劇には、本当にたくさんの若手の子たちがいるんですよ。
――GMになってから、そのようなお考えになったのでしょうか。
そうですね。GMになってから、こういうことを積極的にやり出しました。
そもそも、吉本興業の社長が僕の「芸能生活50周年+1記念ツアー」を見て、「そうや、新喜劇はこれや」となったようなんですよ。それで、「吉本新喜劇のGMになって、若い子たちにその新喜劇を教えてくれないか?」と、お話をいただいたんです。
――寛平さんたちが当時、最前線で活動されていたエッセンスを、今の新喜劇にも取り入れているんですね。
僕らは先輩から教えてもらうというか、先輩たちがやっている姿を見て、覚えてきたんですよ。最近までずっと頑張っていた、桑原和男さんが今年の夏に亡くなって、今は僕たちの先輩たちがいないんですよ。だから、僕が何とか頑張ってやって、若い子に「こういうのを継いでいきなさい」と、伝えていきたいですね。
――若い世代に継承していくことに、注力されていらっしゃるんですね。
僕は33年ぶりに新喜劇に改めて入ってやってますけど、若い子らは、昔の新喜劇を知らんから、僕が教えていかないと。
とにかく、これを読んでいる皆さんは、今回の出前ツアーで「岐阜市民会館」に来てください(笑)。昔の新喜劇を知っている人は、「うわ~懐かしい」「これや、これや!」って感じてもらえると思います。
――昨年の出前ツアーに行った方のブログなどを拝見しまして、「アドリブが多くて楽しかった」という感想がいくつもありました。そういったアドリブも、いわゆる寛平さん世代の新喜劇なのでしょうか。
そうですね。脚本はちゃんと書いてもろてるから、それに対してアドリブを入れて、枝葉をいっぱい付けていく感じですね。結局、“コテコテ”のお笑いなんですよ。
僕らは、お客さんがウケたら、何度もやります。「もうええやん」ってなっても、一度ウケたら、ずーっとやって、しつこいんですよ(笑)。バーンってこけたり、すごい動き回ったり。だから、新喜劇が終わった後は、むっちゃ汗かいてる。だから、衣装をもう1着用意しています。新喜劇メンバーのアキも、汗かくんですよ。それで、いつも僕の分の衣装も洗ってくれる(笑)。8月に出前ツアーで「博多座」へ行った時は、衣装屋さんが来ていたので、公演終わりにホテルで洗ってくれていました。今の新喜劇も、汗かくくらい、たくさん動いてほしいね。
――新喜劇の笑いは、体力勝負みたいなところもあるんでしょうか。
そうですね。昔は、衣装の着物とかバリバリに破けていました。当時、新喜劇でコンビのようにやっていた相方が、舞台を引きずり回ったり、ぶつけ回ったりとかして、衣装がボロボロになるんですよ。そうしたら、やっぱり怒られるんですよね(笑)。でも、(明石家)さんまちゃんとか、村上ショージとかをかわいがってくれた、衣装屋さんが優しくてね。衣装が、ぐっちゃぐちゃ、ボロボロになるけど、公演が終わったらいつも縫って直してくれました。
――そこまでダイナミックに動いていらっしゃったんですね!
例えば、家族の食事シーンで食べ物の取り合いになる場面があったら、パーンと食べ物を取って、そのままセットの上まで上っていましたよ。セットも潰すくらい、舞台上で動いていましたね。今はいろいろな制限はありますけど、「それくらい動かないと」と思います。
まあ、今も昔の僕のままだったら、芸能界から抹殺されるでしょうね(笑)。当時は、ほんまに会社に怒られて。いろいろなことがあったんやけど、お客さまに大事にしてもらったんですよ。その人たちに、育ててもらいました。会社に謹慎されたら、「許してやってくれ」って言うて、おっちゃん、おばちゃん、子どもとかが手紙をくれたり、会社に電話したりしてくれて、僕を復活させてくれたんですよね。
――寛平さんとファンの皆さんの間に、強い絆があったんですね。
そもそも謹慎するような、人に迷惑がかかることは絶対にあかんけど、当時はファンの方に、ほんまに大事にしてもらいました。
実は、社長から「GMになってくれ」と言われた時、最初は断ってたんやけど、僕の嫁が「あんたは、ほんまにどうしようもない人間やった。こうしてここまで、あんたがいろいろとしてもろたんは、会社のおかげやで。会社に迷惑かけた分、恩返しやで」って言うたんですよ。そう言われたら、わかったと。
――奥様のお言葉が後押しになったのでしょうか。
はい。結果が出るまで何年かかるかわからないけど、恩返しのつもりでやろうと決意しました。
新喜劇のGM・寛平さんによる若手グループ「秘蔵っ子」
――新喜劇のGMになってからのご活動について、詳しく教えてください。
GMになって、新喜劇の12名の若手を集めて、「秘蔵っ子」というグループを作りました。それで、その子たちが、自由に新喜劇ができるように、大阪の「なんばグランド花月」の地下に、セカンドシアターと銘打った劇場(YES-Theater)を、社長にお願いして作ってもらいました。そこで、若手の子たちを育てています。ちょっとずつお笑いもわかって、一人前になってきて、この子らの周りに、ファンがうわーっと集まってくるようになってきたら、GMとしての目標達成かもしれません。GMとしての役割を終えたら、自分の夢に向かっていきたいとも考えているんですよ。
――GMのお話をいただいた時は、引退を考えていらっしゃったんですよね。劇場を作るというのは、寛平さんが舞台に立っていらっしゃったからこその施策だと思います。
そうですね。漫才をやっている人は、「漫劇」って言う、「よしもと漫才劇場」があって、そこで育って、「なんばグランド花月」や「M-1」へいくように頑張る。落語は、「天満天神繁昌亭」っていう、落語家さんだけの劇場があるんです。新喜劇だけ、育てる場所がなかったんですよね。なので、「若い子らに一生懸命やらせて、スターを作っていきたから、劇場を作ってくれへんか」と、社長に相談しました。あと1年半~2年ぐらいで結果出さなあかんと思ってます。
――結果を出すまでの期間のことを思うと、少しドキドキしますね。他のインタビューで、寛平さんが“「秘蔵っ子」の住吉大和さんに注目しています”と、お話されている記事を拝見しました。
最近は、住吉大和、小林ゆう、筒井亜由貴、重谷ほたるとか、5~6人のええのがキテますよ! 絶対、売れると思う。とにかく、何でも新鮮なんです。自分のところの劇場でやっている新喜劇は、出てきたら大体何をするか、僕なんかは想像できるんですよね。この「秘蔵っ子」たちは、一生懸命芝居をするのが、本当に新鮮やし、面白いんですよ。まあ、経験のない子たちなので、ある程度の脚本は脚本家に頼むことはありますけど、「とりあえず、自分らでちゃんとせぇ」と言って、自分たちでいろいろと考えてやらせています。
――すごく貴重な経験の場になりますね。
そうすね。あと、僕、怒るのめっちゃ苦手やねん。でも、ブレたらあかんと思って、怒るんですけど、僕が怒った子が上手いことやっていたなと思ったら、ものすごい褒めます。電話をかけて、「お前見たで。良かった」とか伝えています。褒めるとこるは褒める。こっちも、感情を全部出してやらな、向こうに伝わらへん。気持ちが伝わると、一生懸命やってくれるんですよね。それか、上辺だけかもしれんな。僕に合わせているだけちゃうかな(笑)
――自分に対してこれだけ一生懸命になってくれているというのは、絶対に伝わっていますよ! その思いに応えたいという気持ちが、頑張るエネルギーになっていると思います。
そうだと良いですね。それと、「どうしたら売れますか」ってよく聞かれるんですよ。まあ待て、と。「とりあえず面白いこと考えて、ずっと頑張っとけ」と伝えています。
今回の出前ツアーは、僕が辻本茂雄とコンビのようにやっているんですけど、年に1回だけ、僕が座長をやらせてもらう、「なんばグランド花月」の新喜劇の公演では、普段は全然出ていないような子ばっかりを起用しています。舞台を見せんと、わからへんやん。今までできたことが、舞台に出てないとできへんようになってくるから。なので、そういう場を作っています。そこでまた新しい芝居にして、次の出前ツアーに持っていくんです。
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