2023.11.4sat
映画『ABYSS アビス』が絶賛公開中!岐阜のトークイベントに大森南朋さん、須藤蓮さん、庄司信也さんが登壇!
映画『逆光』で監督デビューを果たし、昨年の「ぎふ柳ヶ瀬夏まつり」をプロデュースしたことでも記憶に新しい須藤蓮さんの新作『ABYSS アビス』が絶賛公開中!再び、脚本家・渡辺あやさんとタッグを組んだ待望の2作目は、渋谷という都会の喧騒と海の静寂を行き来する若者の<傷>と<再生>を描きます。公開を記念し、岐阜のCINEXでは、「第78回CINEX映画塾」に本作で監督・主演を務めた須藤蓮さんが登壇。ロイヤル劇場では、思いやるプロジェクト「須藤蓮さんセレクト35ミリフィルム上映のトークショー」に俳優の大森南朋さん、須藤蓮さん、クリエイティブディレクターの庄司信也さんが登壇しました。その様子をお届けします。
CONTENTS
- 10/28(土)に開催された第78回CINEX映画塾に『ABYSS アビス』監督・主演の須藤蓮さんが登壇!
- 脚本家・渡辺あやさんと共同脚本!その誕生秘話
- 映画音楽は、岩崎太整さんが推す期待の新人!辻田絢菜さん
- 大きなスクリーンでぜひ観てほしい、妥協できずにこだわり続けた音楽と映像美!
- 生きづらい世界をちゃんと辛く描くことで、前が向ける
- もう一度観返したくなる!美しく印象的だった“海中”のシーン。実は…ルミといたのはお兄さん?
- 映画館は、体験として最先端のものを届けていける場に変化していくタイミング
- 10/29(日)に開催された、思いやるプロジェクトに俳優の大森南朋さん、須藤蓮さん、クリエイティブディレクターの庄司信也さんが登壇!
- 90年代はピチピチのTシャツが流行っていた!?
- 音が良くて大森さんが思わず見ちゃった、ロイヤル劇場のスピーカー
- 人気古着屋「TRAVIS」限定のトレインスポッティング×ロイヤル劇場オリジナルTシャツが誕生!
- 大森さんには、台湾を舞台にした官能的でいかつい恋愛映画の怖い人を演じてほしい(須藤さん)
- 監督と主役を務めた須藤さんならではの体験談と、北野武監督最新作の撮影秘話も!?
- 年齢や時代と共に視点が変わる、何度観ても色褪せない面白い映画たち
10/28(土)に開催された第78回CINEX映画塾に『ABYSS アビス』監督・主演の須藤蓮さんが登壇!
『ABYSS アビス』STORY
岐阜新聞映画部 後藤さん 昨年、大イベントをやって岐阜柳ヶ瀬商店街を盛り上げ、本当にいろいろ活躍してくれた須藤蓮さん。その時に、当時は『blue rondo』のタイトルで新しい映画に取り組んでいると聞いて、新作ができたら必ずCINEXに来てねと話していました。その約束を果たして本日は、お忙しい中、来ていただきました。
須藤監督 今日はみなさま、ありがとうございます。監督と主演を務めました須藤蓮です。久しぶりに岐阜柳ヶ瀬商店街に来ることができて本当にうれしいです。今日は、どうぞよろしくお願い致します。
後藤さん お帰りなさい!久々の柳ヶ瀬はどうですか?
須藤監督 お久しぶりです。新しいビルが建っていたり、人通りが今日はたくさんいらっしゃいましたね。活気づいているようですごくうれしかったです。今日は、ロイヤルビルのコメディアンでヒレカツ定食を食べてきました。相変わらず、めちゃくちゃおいしかったです。
脚本家・渡辺あやさんと共同脚本!その誕生秘話
後藤さん 岐阜のお店も詳しくなっちゃいましたね。前作『逆光』は、脚本家の渡辺あやさんの脚本でしたが、今回は、完全に須藤蓮さんの自伝的な要素を織り交ぜた脚本でした。音楽はあまり入っていない仮の完成したバージョンを新宿で観させていただいたんですけど、非常に感動したんですね。音楽や編集が入った後に観ると、また違った視点で新しい『ABYSS アビス』にもなっていた。本当に僕は映画が大好きなんですが、須藤さんが持っているアーティスティックな面や魅力、いろんな叫びが本当に伝わってきて、本当に感動したんです。監督は、いかがでしょうか?
須藤監督 前作『逆光』は脚本が渡辺あやさんで、もちろん自分の監督作品であるんですけど、自分の内面をさらけ出して描く作品というよりは、脚本の描きだしているものを翻訳していくような作業に近かったです。『逆光』を制作する以前に『ABYSS アビス』の脚本を書き始めていたので、元々僕にとっては1作目になる予定でした。2018年くらいに書いたので、それをいかに映画として観るに値するものにできるかという作業で自分と向き合い、ものすごい腕力が必要でした。こうして観ていただけて本当にうれしいです。
後藤さん 本作はラブストーリーでもあるんですけど、音のプロトもすごく素敵だなと思いますし、このポスターは、これはアートですよね。須藤くんや佐々木さんの顔も商業的なものではなく、美術館に飾っていいようなビジュアルで、監督の想いが1つひとつの表現で痛いぐらいに感じました。観る度に、この恋は現代ではこういう形でしか成立しないのかと、そんなことを思ったりして、不燃性も兼ねそろえているような感じでした。渡辺あやさんとやっていく中で、自分のストーリーをどのように仕上げていったんですか?
須藤監督 元々映画監督をするつもりがまだなかったあどけない役者の僕が、自分が出る作品を自分で準備したくて作り始めたんです。脚本家の渡辺あやさんにどういうふうにしたら脚本が作れるのかをアドバイスしていただきながら、3シーンくらい書いたら、直していただき、また3シーンくらい書いて送ってと、そういうやりとりの中で脚本のようなものが完成していきました。転換は、渡辺あやさんのアドバイスのお力をお借りして作っている部分がありますね。
後藤さん 1年前に渡辺あやさんに聞いた時に、蓮くんを投げ飛ばしても投げ飛ばしても、普通はそこまで根性なく返してこない人が多いのに、蓮くんはすごい勢いで来るとおっしゃっていました。
須藤監督 汚い野菜みたいに例えていましたよね。 (泥のついた)汚い野菜が送られてくるから、洗って返しているみたいな、書くという意味では、そういうクオリティのものしか書けなくて、でも本作は『逆光』と違って難しさを撮影の時に痛感しました。
『逆光』は、渡辺あやさんが最初から最後まで紡いでいるので、映像になることを前提として脚本が書かれていて、撮るとそのまま映画になります。着ると足が速くなる服を着ているような、自分にすごく似合う服を着て歩いているような、やりやすさが『逆光』にはありました。『ABYSS アビス』は、実体験も含めた自分の知っている世界を描いているので、70年代を舞台に描く、自分とはかけ離れた『逆光』のほうが難しいように思っていたんですが、いざ現場に入ってみると『ABYSS アビス』のキャラクターと自分の距離が近すぎてしまって、客観視しながら物語を作っていく、客観性を帯びさせていくのに時間がかかって、すごく難易度が高かったですね。
映画音楽は、岩崎太整さんが推す期待の新人!辻田絢菜さん
後藤さん 好きなシーンはたくさんありますが、特に好きなシーンが、烏のシーン。佐々木さんのワンピースだったり、蓮くんがバイトの朝に見る烏(カラス)だったり、黒を連想させる一連の流れの美しさが良かったです。音楽も本作の特筆すべき点で、映画音楽は初めての方なんですよね?
須藤監督 映画音楽は初めての方ですが、映画『竜とそばかすの姫』などを手掛け、去年のぎふ柳ヶ瀬夏まつり「1日限りの昭和歌謡ショー」のプロデューサーも務めてくださった岩崎太整さんがものすごい新人の方がいるから、ぜひ一緒にやってほしいとご紹介してくださいました。その理由が、水の表現が優れているからとのことで、言葉にならないようなことを音楽として形作るのに長けた方でした。
後藤さん 音楽は、映像を観て作っているんですか?
須藤監督 逆ですね。『逆光』の時は、ある程度映像ができていて、編集が終わった段階でお見せして、何曲かまとめて送っていただいて、こんな感じの曲があるとうれしいですと打ち合わせをし、それをどうはめていくかを決めていきました。『ABYSS アビス』は、ここにこういう曲が欲しいというのを伝えて、1曲ずつやっていったので、音楽作業に1年ぐらいかかって、耳鳴りの音のシーンとか、烏のシーンもそうですが、シーンごとに探っていくような感じでした。
烏は本作を作る上で結構モチーフにしていて、人間ってエネルギーが停滞していくと黒を着る傾向があるみたいで、ピンクとか黄色とか元気じゃないと着られないじゃないですか。喪服とか、2人が着ている服も黒が中心です。意識して脚本の時は書いてなかったんですが、絵コンテの時、烏は鳩の設定でした。実際に代々木公園へ見に行ったら、烏しかいなくて…でも、烏になると急に意味が出てくるなと思って。嫌われものの烏に社会の中で隅っこにいる人たちが黒い服を着てエサをあげるって、1つの象徴的な意味にも見えるなと。海のダンスシーンも鳥のようなイメージで作っていました。
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