【インタビュー】吉澤嘉代子“青春”をテーマにしたEP「若草」をリリース!
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2024.1.9tue

【インタビュー】吉澤嘉代子“青春”をテーマにしたEP「若草」をリリース!

唯一無二の世界観と、ズキンと胸を刺す繊細ながら力強い歌声、変幻自在な表現力が魅力のシンガーソングライター・吉澤嘉代子さんが、‟青春”をテーマにしたEP二部作をリリース。

「青春の日向にある部分を表現したかった」という1作目の「若草」には、自身が17歳のころに制作した楽曲や、同世代のミュージシャンとタッグを組んだ「吉澤嘉代子とナインティーズ」によるバンド編成の楽曲の他、映画『アイスクリームフィーバー』の主題歌として話題になった「氷菓子」など全6曲を収録。

それぞれの曲に込められた思いや、5年ぶりのリリースイベント&全国ツアーについてインタビューしました。

「甘くもない、辛くもない」リアルな青春を振り返る

――今、“青春”をテーマにアルバムを作ろうと思った背景を教えてください。

これまでは、自分と向き合うような内省的なアルバムをずっと作ってきていました。前作の『赤星青星』というアルバムから、‟2人きりの関係”に終着するアルバムを作ったんですけど、今は対人関係をどんどん広げていきたいなと思っていて。その中で 2人ではなく、3人、4人、5人みたいなグループを描くときに、‟青春”というテーマはすごく輝くのではないかなと思ったんです。

――1曲目には、映画『アイスクリームフィーバー』の主題歌「氷菓子」が収録されていますね。こちらは吉澤さんにとっても思い出深い1曲でしょうか?

そうですね。今まで私のアートワークやMVを手掛けてくださっている千原さんが初めて映画を撮るということで、何年も前からお話をいただいていたので。『アイスクリームフィーバー』が公開されて、私もすごく胸がいっぱいです。曲もタイアップではあるんですけど、お仕事として書いたというよりは、 友人である千原さんにお手紙を書いたみたいな気持ちで作ったので、とても特別な曲です。

――リードトラックにもなっている「青春なんて」は、軽快なアコーステックの爽やかなメロディと、歌詞には少し切ない“青春“が綴られていますよね。

‟青春”をテーマにアルバムを作るということで、「青春ってなんだろう」という、自分の中の1つの答えのようなピースを曲に入れたいと思って。青春について考えたときに、私は高校生の頃バンドを組んで、自分の曲を作って、文化祭でライブして、みたいな、今思うとすごく青春らしい青春を送ったなって思うんですけど、当時はそう思えていなくて。

「17歳になったら何か特別なことが起きる」と思ってたんですけど、現実ではただ日常が続いていって、なんかこう「やっぱそんなもんなんだな」って思った時があったんです。だけど今思い返すと、 やっぱりその頃の自分もキラキラして見えるんですよね。

例えば、曲の中では「彼氏がタバコなかなかやめてくれない」とか「このまま付き合ってていいのかな」みたいに、くすぶってるような関係の時期も、未来の自分からしたら「あの頃青春だったな」ってまた思えるんじゃないかな、みたいな。振り返った時に“胸にヒリヒリと懐かしい痛みが走る”みたいなのが青春かなと思ったので、そんな気持ちを曲にしました。

――人形劇で構成されたMVもとてもかわいらしかったです。

ライブでもお世話になっていて、大切な友人でもある人形操演の山田はるかさん、そしてはるかさんを介して知り合った、子ども向け番組の『シナぷしゅ』を制作しているチームに、MVの制作をお願いしました。日本の最先端の技術が集結したプロフェッショナルな現場で、MV自体はとてもかわいらしく仕上がっているんですけど、お仕事となると皆さん眼差しが熱くて。それを間近で見られて感激しました。

――「セブンティーン」は吉澤さんが17歳の時に書き下ろした曲とのことですが、作曲当時の事を振り返ると、吉澤さんはどのような気持ちでこの曲を書いたのでしょうか?

高校生の頃、授業で川柳を作る授業があって、そこで生まれたのが「甘くもない、辛くもないな、セブンティーン」というフレーズで。青春の真っ只中にいるのに、特に甘酸っぱい気持ちも、苦いような苦しみも味合わず「ドラマチックじゃないな…」ってその時は思っていました。

ただ、最初の2行だけ言葉が稚拙過ぎたので、今回もう1度書き直して、手を入れたんですけど、その部分とそれ以降の部分が、ちょっと解離してるなって自分でも感じていて。最初の2行は、ちょっと青春のキラキラフィルターかかっている感じが拭えないんですよね。当時の気持ちで書きたかったんですけど、思い返すとどうしても、ちょっと素敵に書いちゃうなって。2番は当時の自分が書いた歌詞で「豚」とか書いてるんですけど、「今なら歌詞に入れないだろうな」と思います。なのでこの曲は、“今の自分と17歳の自分”が同居したような曲になっています。

心の中に“ギャル”のイマジナリーフレンドを持つ

――「ギャルになりたい」は、クセになるメロディにギャル語が散りばめられていますよね。吉澤さんのギャルへの憧れやリスペクトを感じられました。

私はギャルになれなかった人間なんですけど。大人になってもギャルへの憧れってまだあるな、と思って。「ギャルって明るくて強くて無敵だ」というステレオタイプな理想を押し付けている歌なんですけど。心の中のイマジナリーフレンドというか、心の中でギャルが慰めてくれたらな、みたいな理想を書いてますね。

――ギャルへの憧れは健在なんですね。

はい。もう大人になっちゃったけど、今回のEPは“青春”がテーマだしと思って、金髪にしてみたり、ギャルメイクをしてもらったりとかして。だけどやっぱり、自分はギャルにはなれないというか。なんかギャルって角度から違うっていうのかなって。でも、形からとはいえ、だんだんなんかギャルマインドがついてきてるような気もしていて、 最近ちょっと落ち込んだりしても、最終的になんか「ま、いっか」みたいな気持ちになれてる自分に気付きました(笑)

――今回初タッグを組んだMomさんとどのように曲を作り上げていきましたか?

Momくんの曲には、Momくんだけが作れる味わいがあって、すごく好きなシンガーソングライターで。「ギャルになりたい」は、独白のような曲にしたかったというか、“自分だけが知ってる自分”みたいなものを封じ込めたかったので、Mom君のサウンドにすごく合うんじゃないかなと思って。キャッチーで耳に残りつつ、アコースティックでパラパラが踊れるみたいな「アコースティックパラパラソング」というオーダーを出しました。

同世代メンバーで組んだ「吉澤嘉代子とナインティーズ」

――「セブンティーン」と「夢はアパ―ト」は、吉澤さんと同世代の素敵なメンバーで構成されている「吉澤嘉代子とナインティーズ」のバンド構成で作られた曲ですが、なぜ5人でバンドを組むことに?

“青春”をテーマにアルバムを作るときに、 絶対に同世代のミュージシャンとレコーディングした曲を入れたいっていう風に思っていて。 私の音楽人生に欠かせない存在であるOKAMOTO’Sのハマ・オカモトくんに相談しました。ハマくんを介して知り合ったSANABAGUN.のイッペイちゃん(澤村一平)とユウダイくん(大樋祐大)、私の一番古くからの音楽友達であるTAIKINGくんもお誘いしたいなって思って。話し合いながらみんな集まってくれました。

テーマとしては“高校生の時、初めて組んだバンド”。町のスタジオとかに入って、何かのコンテストで優勝して、そのご褒美としてレコーディングできてる人たち、みたいな(笑)。レコーディング中は、本当にバンド結成当時の気持ちに帰るというか、初めて音楽を仲間と一緒に演奏するみたいな感覚に陥って、終わった瞬間、ちょっと泣きそうになりました。

――5人でレコーディングを行うのは今回が初めてだったんですよね。「夢はアパ―ト」の制作現場はどのような雰囲気でしたか?

仲良しで穏やかな人たちが集まったので、とにかく楽しかったですね。通常はレコーディングって、譜面をミュージシャンに渡して、当日録音して終わりっていうのが普通だと思うんですけど、今回はみんなで練習もしたので、一から作り上げていった感じでした。

あと、私は普段ソロで活動しているので、そういう喜びを分かち合うみたいな感覚が薄くて、色々と1人で抱えがちなんですけど、今回は「ナインティーズ」をみんなで作ってるという感覚があってすごく楽しかったです。

吉澤嘉代子が「えこひいきしてしまう曲」とは?

――最後に収録されている「抱きしめたいの」について、先日行われたリリースイベントにて「えこひいきしてしまう曲」とご紹介されていましたよね。

この曲は、長年ライブで披露してきた大切な曲で、今回初めてレコーディングを行いました。自分の中でも、上手く形になっていないけど、この曲に対する一つの答えがあって、きっとこの曲を大切にしてくださってるファンの方にも、この曲に対する答えがあると思うので、それを裏切らないような仕上がりにしたいっていう気持ちがすごく強くて。

最初に編曲をお願いした君島大空さんにデモを作ってもらって。バンド編成のデモも作ってもらったりしたんですけど、最終的に「いつもライブでやっているようなものを封じ込めたような作り方にしよう」ということになって。それで、よりライブ感を強める感じで「せーの」でレコーディングしたり。いつもライブでやっていたりとか、ファンの方が思ってる「抱きしめたいの」から解離しないようにっていうのを心掛けました。

――聴く人の心に静かに染みていくような歌詞とメロディですが、どういった思いが込められているのでしょうか?

なんかこう、子どもの頃の自分を抱きしめに行くような気持ちで、自分のために曲を書きたくて作った曲だったんです。いつもは、物語の主人公を設定して曲を書くことが多いんですけど、この曲はちょっと違った気持ちで作りました。ここ数年はずっと支えてもらっているような大切な曲なので、えこひいきしちゃいますね。

平成ギャルをイメージしたアー写&ジャケ写に注目!

通常版

初回限定版

――“平成のギャル”を彷彿とさせるジャケ写や、プリクラ風に撮影されたアーティスト写真は、『アイスクリームフィーバー』の監督・千原徹也さんがアートディレクターを担当されていますよね。撮影はどのような感じで進められたのですか?

ジャケット撮影は、実際に高校生の女の子たちに来てもらって撮影をしたので、「キャッキャッ」と楽しく進んでいって。初回限定版が私服の休日バージョンで、通常版は制服で学校モードという感じに仕上がりました。

――アー写もプリクラ風のデザインですごくかわいいですね。

ありがとうございます。私は「ギャル文字」が書けないので、落書きはおまかせしました。SNSの企画で、ギャルメイクもしたんですけど、形から入るじゃないけど、メイクをするとだんだんと気持ちも強くなって、ギャルポーズも自然に出てくるようになりました(笑)

5年ぶり!リリースベント&全国ツアーについて

――「若草」のリリースに際して、各地でサイン会やミニライブが行われますが、リリースイベントは5年ぶりなんですね。

ファンの方と実際にお会いして曲の感想教えてもらったりとか、どういう風に私の音楽に出会ったかのかとか、短い時間ではあるんですけど聞かせてもらえると、もうそれだけで本当生きていけるというか、ご褒美のような時間です。

どんなことがあっても、自分の歌を聴きに足を運んでくれる人のことは、信じられるというか。その時間がどれだけ自分にとって大切だったかというのを、振り返るような時間でもありますね。ツアーもめちゃめちゃ久しぶりで、今からすっごく楽しみです。曲を書くのはいつも苦しいんですけど、それを聴いてもらえる時間というのは、本当にうれしいですね。ライブで歌うのは緊張するので、リラックスして交流を楽しめるサイン会などのイベントが、やっぱり好きかもしれません。

――来年1月から「吉澤嘉代子 Live house tour “若草”」が始まりますね。久々のツアーとなり各地のファンもとても楽しみにしていると思いますが、今どのような心境ですか?

めちゃめちゃ楽しみです。ちょうどセットリストを決めたりとか、衣装を準備しているところです。普段はワンマンだと、ホールでライブ演奏をすることが多いんですけど、今回は久しぶりにライブハウスでの演奏ということで、“初めて組んだバンド”をテーマに、お客さんも自分も、青春を追体験できるようなライブにしたいなと思っています。

――ライブ衣裳もいつも素敵ですが、こだわりはありますか?

そうですね。アルバムは全部自分の人生の軸みたいになってて、リリースの度にそのアルバムのモードに入るというか。暗いアルバムを出す時とかは、少し内省的になって、どこまでも一緒に沈んでいっちゃう感じもありますし、今回みたいな元気で楽しいアルバムを出した時は、自分も健康的になってる感じがあって。衣装もやっぱりアルバムのテーマに合わせて、色々なスタイリストさんやデザイナーさんと日々チェックをして決めています。

――名古屋には、これまでもリリースイベントやツアーで来られていると思いますが、名古屋にまつわる思い出はありますか?

私の1番最初の、インディーズ時代の「未成年の主張」という曲をかけてくれたのが名古屋のラジオ局さんだったんです。名古屋のファンの方は、今でもずっと長く応援してくださってる方がいっぱいいて、名古屋はアツいです。あと以前、名古屋に住んでいる友人と演劇を見に行ったことがあって、その時に「スガキヤ」に行きました。それが、なんかすごく楽しくて。なんか「スガキヤ」の発音のイントネーションが難しいんですよ。「スガキヤ↘」じゃなくて「スガキヤ↗」だよ、と教えてもらって。それからイントネーションに気をつけています(笑)

全国ツアー「吉澤嘉代子 Live House Tour “若草”」

2024年1月10日(水)宮城公演
2024年1月12日(金)北海道公演
2024年1月15日(月)東京公演
2024年1月18日(木)東京公演
2024年1月19日(金)愛知公演
2024年1月24日(水)大阪公演
2024年1月25日(木)福岡公演

EP『若草』
通常盤(CD)2750円
01 氷菓子
02 青春なんて
03 セブンティーン
04 ギャルになりたい
05 夢はアパート
06 抱きしめたいの

※掲載内容は2023年12月時点の情報です

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