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【公開中!】映画『ファイアバード』に出演するトム・プライヤーさんとオレグ・ザゴロドニーさん、ペーテル・レバネ監督にインタビュー! 名古屋で開催された舞台挨拶の様子もレポート
#映画

2024.2.16fri

【公開中!】映画『ファイアバード』に出演するトム・プライヤーさんとオレグ・ザゴロドニーさん、ペーテル・レバネ監督にインタビュー! 名古屋で開催された舞台挨拶の様子もレポート

2月9日(金)に公開された映画『Firebird ファイアバード』は、ロシアの無名俳優・セルゲイ・フェティソフが執筆した原作『ロマンについての物語』が題材。セルゲイ自身の経験をもとに綴られた、ノンフィクションの物語です。

監督を務めるのは、エストニア出身のペーテル・レバネさん。2021年に完成し公開された作品で、2年後の2023年3月には、国会で悲願の同性婚法案が議決。2024年3月に法律が施行される原動力にもなりました。
今回、日本公開を記念して、映画に出演したトム・プライヤーさんとオレグ・ザゴロドニーさん、ペーテル・レバネ監督の3人が来日! 映画についてじっくり伺いました。
また、インタビュー後に行われた、公開舞台挨拶の様子もレポート! 映画に対する熱い思いから、仲睦まじくおちゃめな様子までをお届けします。

あらすじ

​1970年代後期、ソ連占領下のエストニア。モスクワで役者になることを夢見る若き二等兵セルゲイ(トム・プライヤー)は、間もなく兵役を終える日を迎えようとしていた。そんなある日、パイロット将校のロマン(オレグ・ザゴロドニー)が、セルゲイと同じ基地に配属されてくる。セルゲイは、ロマンの毅然としていて謎めいた雰囲気に一瞬で心奪われる。ロマンも、セルゲイと目が合ったその瞬間から、体に閃光が走るのを感じていた。写真という共通の趣味を持つ二人の友情が、愛へと変わるのに多くの時間を必要としなかった。しかし当時のソビエトでは同性愛はタブーで、発覚すれば厳罰に処された。一方、同僚の女性将校ルイーザ(ダイアナ・ポザルスカヤ)もまた、ロマンに思いを寄せていた。そんな折、セルゲイとロマンの関係を怪しむクズネツォフ大佐は、二人の身辺調査を始めるのだった。

作品の世界観を忠実に再現するために参加したこととは…

――役作りのため取り組んだことや挑戦したこととは。

オレグ・ザゴロドニーさん
まず英語を学び、それから軍の規律を学ぶために基地へ伺い、射撃や森の中での睡眠方法など、軍人としての仕事も学びました。とても興味深い経験でした。さらに、1970年代に起きた出来事など、その当時の人たちの恐怖や状況を知っていくことに努め、映画に落とし込みました。

トム・プライヤーさん
私は共同脚本家でもあるので、ライターと俳優として、“セルゲイ”という登場人物を演じる上でのリサーチをたくさん行いました。例えば、衣装や小道具、立ち居振る舞いなど。映画の中では、当時のことを忠実で、真実のままに描きたいと思っていました。
オレグが言った通り、軍のトレーニングも受けたんです。エストニアとNATOの国防部に行って、トレーニングを受けました。

――作品を制作する上で、困難に感じたことや、鑑賞してくれる人に伝えなければならないと思ったことは何かありましたか。

ペーテル・レバネ監督
この作品を映画館で放映して、観客のみなさんに観てもらうことです。そして、宣伝をしてもらうことも非常に難しかったです。なので今、この物語を共有できてとてもうれしいです。今日ここにいることは素晴らしいことだと思っています。
また、この作品に関して、当時の状況や時代背景を「詳細にわたって全てを忠実に描き出したい」と思っていたので、 エストニアがソ連の占領下だった1970年代の環境を再現することにこだわりました。
映画は、違う世界を見る・経験することができるものだと思っています。だからこそ、この作品を観て、自分とは異なる人生や環境を、周りの人に共有してください。
女性と男性、女性同士、男性同士のラブストーリーを理解してほしいです。この映画を見ることによって、共感や社会的差別の溝が小さくなってくれることを期待しています。

トムさん
主人公の“セルゲイ”が自分の愛というものを追い求めていたように、自分の心に従うということを深く信じ、同時に真実だということを映画を通して知ってほしいです。

オレグさん
人生はいつどんな時でも自分自身のものなんです。でも、映画で描かれている時代は、選択するチャンスがなくて、悲劇だったと思います。セクシュアリティの違いとか、誰とどのように過ごすかとか、自分たちで決断することの大切さを伝えられたらうれしいです。

多くの人が同性愛を受け入れるきっかけに

――『FireBird』の作品力やレバネ監督のロビー活動が、エストニアで同性婚が承認される大きな原動力になったと聞いています。日本ではまだ同性婚は法的に認められていませんが、愛の形が認められず苦悩している人々に、何かメッセージをお願いします。

レバネ監督
2023年にエストニアでは、同性愛が合法化されました。日本は非常に先進的な国で、他人を思いやるという文化があるのに、同性愛が認められていないということは、悲しいことです。全ての人が平等で幸せになるべきですからね。これからの将来のためにも、難しいとは思いますが、声を発信することが重要だと思うんです。何事も、恐れず自分の意見を大切にしてください。
また、合法化には半分以上の投票が必要だったので、エストニアで同性愛が合法化されたのは、ゲイの人たちの力だけではなく、ほとんどはストレートの人たちのおかげだったんです。いつか、平等というものが日本でも与えられることを願っています。

――主演の2人を抜擢した決め手は何だったのでしょうか。

レバネ監督
最も大切なことは、“何かをしよう”と計画することではなく、俳優に対して、意見や状況に耳を傾けることだと考えています。あることを無理やりこう達成しようと努力するのではなく、信憑性の高いことを見極めることが、監督としての務めだと思います。例えば、悲しい演技をしようと試みてしているのではなく、ドラマの意図を受け入れて、自分ごとのように考えることが、私が思う“良い役者”の定義だと考えています。そのビジョンに、2人が当てはまっていると思ったので、抜擢しました。

公開舞台挨拶をレポート♪

――まずはトムさんから、皆さんにご挨拶をお願いします。

トムさん
今日は来てくださってありがとうございます。この映画を観て、“愛とはどういうものか”、そして“どれだけ深めることができるのか”ということを分かっていただけたらうれしいです。

オレグさん
今日はありがとうございます。ここに来られて大変うれしく思います。私たちの映画を気に入ってくださったらとてもうれしいです。

レバネ監督
皆さん、おはようございます。映画館で“おはようございます”なんて言うチャンスもないですよね。 朝なのに、わざわざお越しいただき、ありがとうございます。
私たちが作った、実話に基づくこの“アート作品”は、完成までに何年もかかりました。心からの情熱の結果、出来上がったこの映画を今日皆さんと共有でき、これから日本のあちこちで放映されることがとてもうれしいです。

――アートという言葉が出ましたが、文字通りの美しい作品でしたよね。レバネ監督へ、この映画を撮ることになった経緯を教えてください。

レバネ監督
この物語が私を見つけてくれたんです。私の友人が、主人“セルゲイ”の自伝を所持していて、ロシア語はそれほど完璧ではないんですが、読んだことがきっかけです。
読み終わった後、泣きました。そして、脚本を書く準備ができたときに、ハリウッドのプロデューサーが、この脚本をトムに紹介してくれました。それから2人で数年かけて、脚本を書き、その後オレグと出会いました。

――レバネ監督とトムさんの共同脚本ということで、この作品のことを映画化したいと相談されたとき、トムさんはどのように思われましたか。

トムさん
軍人やアクション、ロマンティックなスリラー、愛の物語の深さなど、ストーリーが持つさまざまな要素に心を奪われ、プロジェクトに参加することにしました。レバネ監督は、構造的な部分の感性が鋭く、私は“セルゲイ”の信念や“真実の愛”を軸に、感情の深さなどをより詳細に追求しました。
また、“セルゲイ”の人生をさらに忠実に反映するべく、ロシアへ行って、本人と対面し実際に話を伺いました。過酷な時代だったにもかかわらず、彼の希望や喜びに満ちた部分を細かく表現できたと思っています。撮影直前まで、彼らの情報が全てクリアに表現できるよう書き換え続け、約2年の歳月をかけて脚本を完成させました。

ウクライナ出身のオレグさんは撮影中に英語をマスター

――オレグさんは、ウクライナご出身なんですよね。今も故郷が戦火にあるとのことで、資材を投じて兵士に軍服を提供するという活動もされています。今着ている服などを販売して、その収益で提供しているということでしょうか。

オレグさん
はい。この映画を通して私のことを知ってくれたので「ウクライナ兵士にできることはないのではないか」と思ったのがきっかけです。私が制作しているアパレルアイテムなどの売り上げで、軍服やブーツなど、兵士に必要なものを提供しています。

――撮影前は英語がほとんど話せなかったのにも関わらず、2カ月ほどでマスターしたと伺いました。何か苦労したことはあったのでしょうか。

オレグさん
レバネ監督に、「この素晴らしい作品(マスターピース)に参加したければ、英語を学ぶ必要があるよ」と言われたので…(笑)

――トムさんから見て、オレグさんの英語はいかがですか?

トムさん
It’s OK.(いいと思うよ)(笑いを交えた冗談で)
素晴らしいと思います。オーディションに彼が来たときは、英語でコミュニケーションをすることができなかったんです。 でも、撮影の過程で、様々な体験を英語で共有できるようになりました。
英語が話せないときでも、撮影を通して強い絆が結ばれていました。でも今は、お互い英語で会話ができて、とてもうれしいです。

――レバネ監督は、英語が話せないオレグさんを採用したいほど、魅力的だったんですね。

レバネ監督
はい。オレグと一緒にやってみたい、取り組みたいと思いました。(役を演じる上で)大切なことは、その登場人物を具現化することができるかっていうことだと思います。彼と初めて会ったときに、戦闘機のパイロット役にぴったりだと実感しました。

きれいな肌を手に入れるための秘密を大公開!

――お肌がとてもきれいですね。撮影期間中に、何か特別なケアはされたのでしょうか。また、普段から気をつけていることがあれば教えてください。

トムさん
はい。〈ドクター・ジャクソン〉という化粧品を何年も使っています。
オンラインで買うことができて、非常にシンプルなケアです。他はやっていないので、秘訣と言えば、何もやらないことですかね(笑)

オレグさん
実はトムから、〈ドクター・ジャクソン〉をプレゼントでもらったことがあります。デイクリームとアイクリーム、オイルなどが入っていました。それを撮影が終わるまで、ずっと愛用していました。
――(ただの冗談じゃなくて)本当のことですか?

オレグさん
本当ですよ。もし〈ドクター・ジャクソン〉を使いたいって人がいたら、トムさんにぜひお願いしてみてください! トムさんがプレゼントしてくれますよ(笑)

――では、〈ドクター・ジャクソン〉が欲しい人は、挙手しましょう!
(「はーい」と皆さん挙手していました)

オレグさん
〈ドクター・ジャクソン〉のウェブサイトをスクリーン上に出すことはできますか?(笑)トムからプレゼントしてほしい人は、「〈ドクター・ジャクソン〉がほしい」と、ずっと書き続けてくださいね。いつか叶うかもしれませんよ!

――兵士役なので、体作りもされたんじゃないかなと思うのですが、体作りについて、何か特別なトレーニングをしているのですか。

トムさん
撮影前と撮影中は、ジムでトレーニングを受けていました。レバネ監督と、作品を美しく撮るために、「制服に合う体や、肌色をよりブライトにしたいね」と話していたので、体づくりにはこだわりました。

オレグさん
私もたくさんトレーニングを行いました。

1970年代の舞台を作るために苦労したこととは

――レバネ監督へ、映画を撮影する際に苦労した点を教えてください。

レバネ監督
1970年当時を再現するために、現代のものは使わないように念入りに計画しました。、マッチ箱やカップ、車、制服などはすべて特注で用意したもので、労力と予算がかかっています。 約120人の徴兵が集まるシーンでは、制服やブーツなどオーダーメイドで全員分制作したんです。
1960年代や80年代のものは普及していたのですが、1970年代のものは借りることができず、素材を集めるのにも苦戦しました。また、サウンドステージはあまり使いたくなかったので、軍基地も絶好のロケーションを探して撮影し、合計約46の拠点に足を運びました。当時ソ連の占領下だった兵舎などは、別々の場所で探しました。
1970年代の状況を、精度や信憑性を高く再現したかったので、演者にも雰囲気を感じてもらいながら演じてほしかったんです。もしかしたら、観ている人には伝わっていないかもしれませんが、役を全うするうえで、当時を再現した小道具は大きな影響力があるものだと思っています。

――最後にトムさんからみなさんへメッセージをお願いします。

トムさん
皆さん、自分自身を愛してください。そして、〈ドクター・ジャクソン〉を使ってみてください!
そして、映画も観てくださりありがとうございました。今日、皆様とお会いできて、私たちの物語を共有できたことをとてもうれしく思います。
作品を通して 「愛は深めるもの」というメッセージを伝えたいです。

オレグさん
私は、このストーリーが好きです。なので、これを観て、皆さんも愛を感じてもらえればうれしいです。

レバネ監督
(朝早くから名古屋に来たため)もう少し睡眠が必要かもしれませんが、今日は名古屋に来れてうれしいです。次回はもっと名古屋を見てみたいです!
私たちをここに呼んでくださって、皆さんとお会いすることができて、作品を共有することができたこと、とても感謝しています。もし、この映画を気に入ってくれたのなら、友人にもぜひ共有してください。 そして、より多くの人が、“セルゲイ”の物語”を知ってくれたらうれしいです。

『Firebird(ファイアバード)』

出演
トム・プライヤー、オレグ・ザゴロドニー、ダイアナ・ポザルスカヤ
監督
ペーテル・レバネ
脚本
ペーテル・レバネ、トムプライヤー、セルゲイ・フェティソフ
原作
セルゲイ・フェティソフ
配給・宣伝
リアリーライクフィルムズ
公式サイト
https://www.reallylikefilms.com/firebird

© FIREBIRD PRODUCTION LIMITED MMXXI. ALL RIGHTS RESERVED. / ReallyLikeFilms 2023

※掲載内容は2024年2月時点の情報です

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Yuna Hoshikawa

Yuna Hoshikawa

愛知県出身。まだまだ未熟なひよっこ編集部。ファッションと旅行が好き。暇を見つけては、お気に入りの洋服を着て、一人旅へ出かけるほど。何事も、思い立ったらすぐ始める派。

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