広い縁側やモダンな店内で、思い思いの時間を過ごせる「SoN COFFEE」

建物の左手にあるのが、コーヒースタンドの「SoN COFFEE」です。こちらでは、知多市にある「OISEAU COFFEE(オワゾーコーヒー)」が焙煎を手がけるオリジナルブレンドのスペシャルティコーヒーや、地元のフルーツを使った自家製ジュースなどと共にスイーツが味わえます。

「自家製ガトーショコラ」(495円)と「ミルクプリン」(420円)、「カフェラテ」(600円)

OKDのクラフトビールをリキュールの代わりに使った濃厚な「ガトーショコラ」や、常滑牛乳を使用した「ミルクプリン」など、スイーツもすべて自家製!

「SoN COFFEE」では、施設内にあるベーカリー「かもぱん」で購入したパンのイートインもできます。

「かもぱん」で購入したパンを、「スペシャルティコーヒー」(550円)や夏みかんを使用したイタリアで定番のジュース「自家製キノット」(600円)と共に

「SoN COFFEE」には、懐かしい広い縁側があるのも特徴。ここで岡田の風景を眺めながら、コーヒーやビールを楽しむ人も多いそうです。

「SoN COFFEE」でもOKDのクラフトビールが味わえるうえ、他では買えないボトルビールも購入できる

SoN COFFEE・スタッフのお二人「SoNにはじめて来られた方には、どんなお店があるのかなど、施設について丁寧にお伝えするよう心がけています。また、お客さまは、友達との会話を楽しんだり、ゆっくり読書をしたり、作業をされたりと、過ごし方は様々。それぞれのお客さまに寄り添うような、接客ができればと思っています」。

長時間発酵で甘みやうま味を引き出したパンがそろう「かもぱん」

もう1店舗、正面入り口の右手にある小さな扉をくぐった先にあるのが、「かもぱん」です。

「かもぱん」には、長時間発酵で甘みやうま味を引き出した「バゲット」や、高加水により歯切れと口どけの良さを実現した、もちふわ感がたまらない「食パン」など、ハード系のパンを中心に20種類以上がそろいます。

▼詳しくは、こちらの「かもぱん」の取材記事をチェック!

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味わい深いハード系パンがそろう「かもぱん」が、複合施設「SoN」に開店【愛知県・知多市】

味わい深いハード系パンがそろう「かもぱん」が、複合施設「SoN」に開店【愛知県・知多市】

知多市・岡田にある古民家をリノベーションして、2022年6月にオープンした小さな複合施設「SoN(ソン)」。施設内にあるレストランやコーヒースタンドなどと共に開業して以来、多くの人で賑わっているのが「かもぱん」です。 店主は、もともとパンを食べるのが大好きで、脱サラしてパン屋で修業し、地元の岡田に念願だった自分の店を開いた加茂雅彦さん。 そんな「かもぱん」では、どんなパンが味わえるのか、人気のパンや製法のこだわりなどについて、加茂さんにお話をうかがいました! 100軒以上のパン屋を食べ歩いた店主が、修業を経てオープン 名古屋から車で約40分。黒板壁の土蔵や民家が立ち並ぶ、知多市・岡田という小さなまちに「かもぱん」はあります。 複合施設「SoN」の入り口を進むと、右手にかわいいアーチ状の扉があり、そこをくぐると20種類以上の焼きたてパンがずらりと並んだカウンターが目の前に!どのパンを買って帰ろうかと、思わずワクワクしてきます。 店主の加茂さんは、パンの道に進む前からパンを食べることが大好きで、グルメサイトで愛知県TOP100に掲載されているお店は、ほぼすべて食べ歩いたのだとか! その後、会社を辞め、名古屋市や半田市、東浦町などにあるパン屋で腕を磨き、「SoN」に「かもぱん」をオープンしました。 次のページ… 理想の食感・甘み・香りを叶える3つのポイント 理想の食感・甘み・香りを叶える3つのポイント 加茂さんが理想のパンとして思い描くのは、「しっとりもちもちとした食感で、小麦の甘みや香りがふんだんに感じられるパン」です。 そのために工夫しているポイントが、大きく3つあります。一つは、小麦に混ぜる水分量を多くする、いわゆる「高加水」です。 人気の「角食パン」は、生地に小麦粉を熱湯でこねた湯種を入れることで高加水の生地になり、もちもちふわふわな食感に。トーストせずに、そのまま食べてもおいしい食パンに仕上がっています。 「くるみ&レーズン」(1/2・324円) 「くるみ&レーズン」も湯種を使って加水率100%にすることで、しっとりもちもちになり、日数が経っても硬くなりにくいのが特徴です。 二つ目のポイントは「長時間発酵」です。「かもぱん」では、食パン以外は前日に生地を仕込み、15時間ほどかけてゆっくり発酵させることで、生地の甘みとうま味をできる限り引き出しています。おいしさのために、手間ひまを惜しまないよう心がけるのが、加茂さんのこだわりです。 明太子バターをふんだんにトッピングした「明太フランス」(334円)も人気商品の一つ 最後のポイントは「4種類の小麦をブレンド」していること。パン作りで、加茂さんが大切だと考える「食感・甘み・香り」のすべてを、1種類の小麦で実現するのは難しい。 そこで、4種類をブレンドすることで、食感・甘み・香りがバランスよく満たされた生地を、試行錯誤しながら作り上げています。 あんこやクリームなども、すべて自家製 自家製のあんことバターを挟んだ「あんバター」(280円) もちもちとしたハード系の生地を使った「あんバター」や、生地に桑名もち小麦を使った「クリームパン」も人気商品の一つ。あんこには北海道産の小豆を、カスタードには常滑牛乳をふんだんに使用し、すべて手作りしています。 購入したパンは、コーヒースタンドの「SoN COFFEE」やウッドテラスで、スペシャルティコーヒーや地元のフルーツを使ったドリンクと共に味わうことができます。 「かもぱん」で購入した「ブルーベリーデニッシュ」(334円)と「アールグレイ&ホワイトチョコ」(237円)。「SoN COFFEE」でイートインもできる 店主・加茂さん「2023年6月でオープンから1年が経ちました。地元・岡田に暮らす皆さんをはじめ、遠方の方にもリピートしていただけるように、日々試作を重ねて、もっともっとパンの種類を増やしていきたいと思っています」 店主・加茂さんにインタビュー ――脱サラして、パンの道に進んだ理由とは? もともとものづくりが好きで、プリンターの設計の仕事をしていたのですが、30代後半になり、「もっと自分の好きなものを作りたい」と思うように。そのとき頭に浮かんだのが、ずっと好きで食べ歩きを楽しんでいた“パン”だったんです。 食べ歩きをしながら、働くお店も自分で探して。ハード系のパンを焼く小さなお店から、スーパーに入っている大型店まで、数軒のお店で経験を積んで独立しました。 ――「SoN」での開業を決めたポイントとは? 実は、「SoN」のオーナーである新美くんとは、保育園からの同級生なんです。パン屋での修業を終えて、地元周辺で出店場所を探していたときに、新美くんが「この物件を入手できそうだから、一緒にやらないか?」と声をかけてくれたんです。 「自分たちが生まれ育った岡田のまちを、もう一度多くの人が集まる場所にしたい」という思いにも強く共感し、ここでの開業を決意しました。 建物の前にあるウッドテラスでは、「かもぱん」のパンやビールを楽しんだり、読書や仕事をしたりすることもできる ――これから力を入れていきたいことは? もっちりとした食感で、小麦の甘みや香りがふんだんに感じられる理想のパンを目指して、日々改良を加えていきたいです。今は、歯切れが良く、口溶けも良いパンにするためには、どうしたらいいかと試行錯誤しているところです。 具材についても、地元の生産者の方との繋がりを広げていきながら、なるべくオーガニックのものを使っていきたいと考えています。 WRITER Sugiyama ハード系のパンというと、ちょっと硬いイメージがありますが、「かもぱん」のハード系パンは、中がもっちりふわふわ!食べやすく、生地の甘みも感じられてとてもおいしかったです。店主の加茂さんは、パンのおいしさをより高めるために、常に試作や改良を重ねていて、パンのことが本当に好きなんだなと伝わって来ました。クラフトビールが好きで、地元・岡田で「OKD KOMINKA BREWING」や「SoN」を立ち上げた醸造家の新美さんと、同級生の加茂さんが、岡田でどんな新たな試みを展開していくのか、これからも目が離せません! かもぱん 問い合わせ 0562-77-0190 場所 愛知県知多市岡田東島9 営業時間 10:00~17:00 ※なくなり次第終了 定休日 月・火曜 駐車場 あり(共同)※岡田街並み観光駐車場 支払方法 カード不可・電子マネー可(PayPayのみ) Instagram @ kamo_pan アクセス 西知多産業道路「長浦IC」より車で約10分 撮影/Ubud伊藤公一 ※掲載内容は2023年6月時点の情報です ※価格は全て税込み表記です

オーナー・新美さんにインタビュー

――新美さんが岡田で、ブリュワリーや複合施設を始めた理由とは?

岡田のまちは、かつて知多木綿で繁栄し、通りには劇場や商店、木綿工場などが立ち並んでいたそうです。しかし、僕たちの世代は、その賑わっていた岡田を知りません。

だからこそ、僕たちが知多木綿だけではない、クラフトビールやコーヒー、パンなど新たな魅力を作り上げることで、「岡田のまちをもう一度、世界中から多くの人が集まる場所にしたい!」と思ったことが、ブリュワリーや「SoN」を始めた理由です。

私の実家は、岡田であられやおかき、せんべいなどの製造販売を手がけています。私もそこで働いていましたが、34歳のときに一念発起し、徳島や鳥取でクラフトビール作りを学びました。その後、2019年にブリュワリー、2022年に「SoN」をオープンし、ようやく大きな目標に向かって一歩を踏み出したところです。

――「SoN」という名に込めた思いとは?

店名には、3つの思いを込めています。

一つは、「SoN」=「村」という意味で、もう一度この岡田のまちを、いろいろな商店が集う、かつての賑やかな村のような場所にしていきたいと思っています。

二つ目は、「Symbol of Neighborhood」=「近隣地域のシンボルになる場所」という意味です。「SoN」に行けば、誰かとつながり様々な情報が得られる。そんな地域のシンボルになるような場所を目指しています。

最後は、「息子」という意味の「son」です。自分たちが作り上げていくものを、地域に根付かせ、次の世代に繋げていきたいという思いを込めて、「息子」という意味も重ね合わせました。

エントランス上の照明には、木綿工場から譲り受けた機織り機をリメイクして使用

――これから力を入れていきたいことを教えてください。

新しいお店が2、3店舗できただけで、まちは大きくは変わりませんが、それでも地元の人間である僕たちが、空き家を活用するモデルケースを作れたことは大きな前進だと思っています。

これからは、岡田で新たなことにチャレンジしたいと外から来てくれる方たちが、物件をスムーズに見つけられるよう、地元の皆さんの理解を少しずつ広げていくような取り組みに、力を入れたいと考えています。


取材に訪れたのは平日でしたが、オープン時間が近付くと次々とお客さんが訪れ、あっという間にダイニングは2階席まで埋まっていました。若い人たちだけでなく、地元に暮らす年配の方なども、ゆったり過ごされているのが印象的でした。その秘密は、この岡田の地域や建物の歴史を受け継ぎながら、新しいものを融合させた居心地の良い空間と、スタッフの皆さんの温かい接客にあるのだと感じました。中庭などには、まだ活用されていない建物もあり、これからどう発展していくのか、とても楽しみです!

SoN

問い合わせ
0562-77-4901
場所
愛知県知多市岡田東島9
営業時間
【SoN DINING】
11:00~17:00(ランチ・アラカルトLOは14:30、ドリンクLO16:00)
※金・土曜は〜21:00(ランチLOは14:30、ディナーLOは20:00、ドリンクLOは20:30)
※日曜は~17:00(ランチLOは14:30、アラカルトLOは15:30、ドリンクLOは16:00)
【SoN COFFEE】
9:30~17:00(LOは16:00)
【かもぱん】
10:00~17:00※なくなり次第終了
定休日
月・火曜
駐車場
あり(共同)※岡田街並み観光駐車場
支払方法
カード不可・電子マネー可(PayPayのみ)
公式サイト
https://son-okada.com/
Instagram
@ son___okada
アクセス
西知多産業道路「長浦IC」より車で約10分


撮影/Ubud伊藤公一


※掲載内容は2023年6月時点の情報です
※価格は全て税込み表記です

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レストラン、パン屋、カフェが一棟の古民家に。新たな繋がりを育む場所「SoN」が誕生【愛知県・知多市】

WRITER

Masahiro Sugiyama

Masahiro Sugiyama

金沢の出版社、東京の雑誌『自休自足』(現『TURNS』)の編集部を経て、2009年に独立。2016年秋から、地元・愛知へUターン。月刊『KELLy』では、おでかけ記事を担当し、年間200軒以上のショップや飲食店を取材!著書に、『ふだんの金沢に出会う旅へ』『レトロカーと。』(ともに主婦の友社)など。

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