林さん×熊澤監督は15年ぶり!厳しい熊澤監督に対して、15年前は裏で鬼澤監督と呼んでいた!?

――林さんは15年ぶりの熊澤監督で、昔怖かったと聞きましたが、今回の熊澤さんはいかがですか?

上野さん 熊澤さん、前は鬼澤って言われてたって(笑)

林さん 昨日の舞台挨拶で初めてエピソードを出したんですが、それも舞台上で思い出したからなんですよ

熊澤監督 生でそこで感じたことなんだね。

林さん そうです!『ダイブ!!』という映画がありまして、今でも仲良くしている池松壮亮とかの俳優メンバーがいるんですけど、当時、みんな16、17歳で、若者が集まる青春スポーツ映画だったんですけど、監督が厳しくてですね。お芝居に対してとか、あの合宿所での過ごし方とかに厳しくて、裏では鬼澤監督って呼んでたんですけど、でも、ずっとみんな監督のことが大好きで、怖いというよりはその愛情のある厳しさですね

熊澤監督 樹里ちゃんがそんなに厳しくないよって。

林さん 上野さんはどうでした?

上野さん 昔は、自分のことで精一杯すぎて、監督の感じが思い出せないですね(笑)

林さん 男が集まって集中していない時とかかな(笑)

熊澤監督 高校生たちが合宿しながら撮影を撮っていくから、どうしても修学旅行のような感じになっちゃうのよ(笑)

上野さん その感じがやっぱり、撮った時に面白いんじゃないんですか。

熊澤監督 面白いからいいんだけど、大人の役割でこれ以上やったらダメだよってちゃんと聞いてって言いましたね。人数もたくさんいるから、どうしてもそのへんは厳しくしないといけないからね。そういうのはありましたね。

林さん お芝居の部分でも全員に対してすっごく突き詰めて向き合ってくださっていたことをすごく覚えていて、本当にその最初の頃、自分が出た・・・

上野さん 関西弁でたね(笑)

林さん (笑)。十数年やってきて、なかなかそこまで向き合ってくださるなんて、そんなに頻繁に会えるわけではないので、会った時に今の自分を監督に見てもらいたいなっていう思いがあって、本作でお会いした時は本当にすごくうれしかったですね

熊澤監督 ありがたい話ですよね。

名古屋の食べ物が出てくるシーンはぜひ注目!

――信頼や絆がしっかりあるんですね。本当に素敵な話をありがとうございます。今回の撮影の中で思い出に残ったシーンを教えてください。

上野さん 名古屋だから、名古屋の食べ物が出てくるところは、たぶん皆さん反応されるんじゃないでしょうか。今日、初めてじゃないという人いますか? じゃあ、もう皆さんご存知ですね。この食べ物は何か。監督が名古屋出身だから。

熊澤監督 観てのお楽しみで、名古屋めしがなんとなくね、さりげなく。ちゃんと意味ある形で出ていますから。

――名古屋めしにはついつい反応しました!林さんは滋賀県出身でいらっしゃいますよね?今回、滋賀県での撮影はいかがでした?

林さん ほとんどロケ地は滋賀県の彦根市で。最初、ロケ地が滋賀県って聞いた時にうれしいと思って、それも熊澤監督の作品で。滋賀県が大好きなので、実家から通ったりなんかしてみようかなと思ったんですけど、そんな余裕はなく、どちらかというといつもと変わらず地元にいるっていう感覚も特になかったですね(笑)。ただ、樹里さん演じる良子さんと一緒のシーンで割と僕が学生時代によく過ごしていた場所が、撮影のロケ地に使われているシーンがあるんですけど、本当に学生時代に琵琶湖を学ラン着てずっと歩いていた場所だったので、上野樹里さんと並んで待ち時間にこんなに話して…あの時の自分に見せてあげたいなっていうような思いや感慨深さがありましたね。

――上野さんは、滋賀県について教えてもらったり、お話されていたんですか?

上野さん 撮影の合間に遣都くんの俳優になられる前のいろんな思いだったり、いろんな話を聞けて、お互いパーソナルな部分で過ごせたので、そこが役のお芝居にも反映されているかなと。肩書きを意識すると、この人はなんで私の近くに来ているんだろうとかの違和感とか良子から見たら、笹が異質な存在だし、笹からすると良子さんがXなんじゃないかって拭いきれない思いがあったと思いますが、そういうプライベートな話を裏ではできていたので、なんか自然といい空気で穏やかでした。私はマンスリーハウスを借りて自炊をしながら、そこで本当に暮らしているような感じで撮影ができました

――少しずつ距離が近づいていたというところでは、本作の中の二人にリンクしますよね。ありがとうございます。名残惜しいですが、舞台挨拶も本当に早いですね。

上野さん あんまり長く話していると皆さんもね、映画もこのまま休憩挟まずに観るわけですもんね。お手洗い行きたいとかもあるかもしれないですよね。1時間ぐらいしゃべったら、限界になっちゃうかも。

林さん お手洗いぐらいの時間はありますよね?え!すぐ始まるんですか?そうなんですね。

偏見という心のフィルターの変化を体感して楽しんでいただきたい

――最後に、これからご覧になる皆さまに向けて熱いメッセージをたっぷりと聞きたいと思います。

熊澤監督 林くんが演じる笹憲太郎がX探しをするところからお話が始まりますけれども、Xは誰かって言った瞬間に無意識の偏見がどうしても生まれちゃうと思うんですね。それは皆さんの中にもXは誰なんだろう?と思った瞬間に、生まれてしまうものがあると思うんですよ、無意識の偏見が。今回この映画を観て、そうやって生まれてしまう無意識の偏見と皆さんだったらどう向かい合っていくのか。それを映画を観終わった後に、考えてもらえるんじゃないのかなと思って。それが描きたくてこの映画を作りましたんで、結構エンタメとして面白いんですけれども、観終わった後も持ち帰って考えることができる映画だと思います。もう一回観るとまた違う角度で面白かったりすると思うんで、ぜひ観て考えて友達と“私はこう思った”“僕はこう思った”っていうふうに話してもらえるとうれしいなと思っています。よろしくお願いします。

林さん 本当にすごく僕も何度か観て、観れば観るほどいろんなこうことを考えさせられる映画で、やっぱり今、SNSとかいろいろ発達して、いろんな情報がいっぱい入ってきて、人と比べたりだとか、自分自身がこれでいいのかなとか、すぐ考えてしまいやすくなっちゃう世界だと思っていて、樹里さんと一緒に取材をしていて、すっごく僕自身も勇気をもらったと言いますか、印象に強く残ったことがあって、樹里さんのこの舞台挨拶で言わなかったら僕が言おうと思っていたんですけど(笑)

上野さん 言ってください(笑)

林さん もしあの最後の挨拶で、それ言いたかったんだなってなったら(笑)。やっぱり自分の見え方と言いますか、人にどう見られているかとかってすごく気にしやすくなっちゃう世の中だと思うんですけど、本当に大事なのは、自分がどうありたいかっていうところをやっぱり大事にしていくべき。この映画から、そういうことを感じてほしいなとおっしゃっていて、僕も本当に結構気にしやすいところがあって、やっぱり自分らしくいた方が心と心で人と会話したほうが楽ですし、呼吸がしやすくなると言いますか。厳しい世の中ですけど、自分のことを信じてね、愛してあげて、自分らしくいる方がすごくいいことがいっぱいありますし、そういう風に生きている姿を見せてくれる登場人物達だと思うので、そんなことを考えながら観てくださったりしたらうれしいなと思います。ちょっとまとまらないです。すみません!ありがとうございました。

上野さん こんなね、年末の最後の月にクリスマスやお正月やね、いろいろ盛り上がっていくっていう時に、この『隣人X -疑惑の彼女-』は、ポスターもそうですけど、かなりシリアスで予告もなんかちょっと怖そうだし、そんなムードの12月にね、こういった映画を今日、皆さん本当に来てくださって本当に感謝しています。コロナ禍にこの話をいただいて、やっぱり隣を見れば、こう周りを見渡せば、マスクで顔が見えなかったりとか、そういう学生の子たちが入学して卒業するまでアルバムを見ても、そういった本当の素顔が見えにくいと言いますか、いろんな情報が素早く飛び交う便利になったといえばそうなんですけど、本当に今自分が何を感じているかということも、簡単に見逃しがちだったり、見失いがちだったりも同時にすると思いますし、同時に何かいろんなことを考えるみたいなことにも慣れてしまって、でも心の静寂を保つ時間とかも大事だと思うんですよ。自分の心に耳を澄ます時間とか。何もなさそうで、実はすごく大事な時間だと思うんですね。この良子さんみたいな人はすごく何でヒロインなの?という感じがすごくするんですけど、でも笹が追っていくうちに笹が徐々に心の変化が表れて、皆さんもこの劇場で今日は笹憲太郎と共に良子さんという一人の女性を追っていきながら、自分の心のフィルターの偏見というフィルターの変化を体感して楽しんでいただきたいです。

二転三転して、最後に誰がXだったのかっていうのはわかるんですけれども、わかったところで終わりじゃないっていう、普通のミステリーだったらスッキリそこで解決して、あ~そうかそうだったんだって、謎解きスッキリで終わりなんですけど、この映画を伝えたいことはそこじゃないんだっていう、この映画の伝えたいメッセージはなんだろう?あのシーンのあそこから僕はこんなことを感じた、私はこんなこと感じたって、みんな引っかかるポイントも違うと思いますし、その偏見だけじゃなくて、概念とか常識とかもそうですけど。多数の方が同じ意見だから、それが正解だとしてまかり通っている世の中っていうものって本当に本当にそれでいいのだろうかとか、世の中は誰が動かしているんだろうかとか。やっぱり一人ひとりの心のあり方っていうのを、今一度この映画を観て、そしてこの世界を作っているのは自分自身、そして隣にいる大切な人だったりだと思うので、なんか自分で言っていて泣きそうになった。はい、なので、今日は体感していただきたいと思います。よろしくお願いします。

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【12/1公開】映画『隣人X -疑惑の彼女-』の名古屋舞台挨拶に上野樹里さん、林遣都さん、熊澤尚人監督が登壇!

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