映画『隣人X —疑惑の彼女-』撮影真っ只中の熊澤監督の思いを撮影現場からもお届け!
――本作を映画化しようと思った経緯を教えてください。
熊澤監督 僕は原作を読んで奥底にあるテーマが、“無意識の偏見”と言いますか、自分が差別していないと思っていても、偏見の目で見たり考えてしまっていたり、自分が気づいてないレベルでもあると思います。そういうのって、時代的にも本当はなくなればいいよねってやっぱり思いますよね。それをすごく巧みに“無意識の偏見”を描いている小説だと思って。それがすごく自分にとっては、ヒットしました。脚本にもありますけど、自分は普通だと思っていても、“普通じゃない”って言われちゃうことってありますよね。それって、何をもって普通なのかなって、僕は普段から違和感を感じるほうなんです。そういったところにすごくコミットしている小説なような気がして、そんな哲学的な小説にすごく惹かれました。そこをちゃんと大切にしながら、映画化したいなと思いました。
――愛知県が舞台の映画でしょうか?撮影が滋賀県になった経緯も教えてください。
熊澤監督 主人公とお父さんは、味噌カツが好きという話をもともと考えていて、東海地方にも触れる内容に一部なっているのもあり、巡りめぐって蒲郡の設定になりました。滋賀県での撮影は、蒲郡の環境と似ていたので撮影場所に決めました。
――今いくつか撮り終えて、熊澤監督の手ごたえはいかがでしょうか?
熊澤監督 上野さんと林さんの二人の共演シーンで、今まで葛藤しているような苦しいシーンばかりの撮影でしたが、雨の中で二人がちょっとほっこりするようなシーンを最近撮影して、やっぱりすごい“これはすごいいいシーンになったな”って思いました。二人の共演シーンは大変ですが、楽しいですし、いいものが出来上がる手応えは感じています。
――撮影中のお忙しいところ、本当にありがとうございました。
環境が大きく変わり、他者に対する疑心暗鬼を深めざるを得ない今の時代だからこそ、熊澤尚人監督が今伝えたい、多様性との葛藤を問う本作。Xの正体は一体誰なのかと、結末までミステリーとしてもちろん面白いですが、自分では意識していなかった無意識の偏見だったり、知らないものへの恐怖心だったりと、今まで見えなかった自分の中にある気持ちにも気づけるような作品で、改めて自分の気持ちを見つめ直すきっかけにもなりました。本当に今は便利な時代で、SNSで良い情報を得られ、自分の中の世界が広がる反面、人と比べて落ち込んだり、自分らしさがわからなくなることがあったりと…本当に大切なものを見失わないように、決して他人事ではない本作をぜひ劇場でご覧ください!
映画『隣人X —疑惑の彼女-』
- 公開日
- 12月1日(金)よりミッドランドスクエア シネマ他で公開!
- 監督・脚本・編集
- 熊澤尚人
- 原作
- パリュスあや子「隣人X」(講談社文庫)
- 出演
- 上野樹里、林遣都、黃姵嘉、野村周平、川瀬陽太、嶋田久作、原日出子、バカリズム、酒向芳 他
- 配給
- ハピネットファントム・スタジオ
- 公式サイト
- https://happinet-phantom.com/rinjinX/
©2023 映画「隣人X 疑惑の彼女」製作委員会 ©パリュスあや子/講談社
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