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方正さんだからこそ感じる芸人と落語家の違い

落語への思いをたっぷりと語ってくれた月亭方正さん。

――芸人さんから落語家さんへ転身されたことは、方正さんだけの強みだと思うのですが、どちらもご経験されているからこそ感じる、決定的な違いはありますか?

決定的な違いはいろいろとあるんだろうけど、今パッと浮かぶのは、テレビは団体芸だから甘えてしまうよね。だって、人間ずっとやっていたらちょっとしんどいけど、テレビではそれをみんなが助けてくれる。そこで緩んでしまう。
ただ、落語は一人きりなんで、誰も助けてくれない。テレビに出ている時に、なんかわからんけど、脳みそに雲がかかってるような時があったんですよ。でも落語の時は、雲が一切かかっていない。だから、やりがいもあるし、終わった時の充実感もやっぱり違うし、やるしかない。そこの違いは明らかに違いますね。

――落語の公演はアーティストのライブなどと違って、舞台にいる噺家さん一人をお客さんがじっと見ている状況ですね。噺家さんが発することを集中して聞いて、身振り手振りを含めて情景を想像するので、本当に一瞬たりとも気が緩められないですね。

そうなんです。だから、不親切な芸なんですよ。落語はお客さん自身が、その場で言葉を紡いでいって、自分で楽しむ芸。本と一緒ですね。

――受け取り手の感性や感情に委ねる感じですね。

こっちは最小限の所作ですね。例えば、「向こうから、ぽちゃぽちゃっとして色白で、ここにホクロがある、ええ女が歩いてきた」しか言わなかったら、お客さんがこれを想像できなかったら無理なんですよ。みんなに観ていただきたいんだけど、ある種、すごく不親切な芸なんです。

――お客さんの感情や経験の積み重ねで、受け取り方が変わってくるような気がします。

感情のひだみたいなものがあればある人ほど、聞いていて泣いてはるし、すっごい笑います。いろいろな情報がその人にはダダッと入ってきて、それが面白い、可笑しいっていうのがわかるっていうことなので、すごい笑う人っていうのは、人生得していますよね

――それだけ感情が豊かになっていきますよね。講演会へお越しになった方からの、メッセージや感想を知る機会はありますか。

エゴサーチはめっちゃします。僕のテレビの出方が、ダメ芸人の出方やったから、落語を聞いた後に、「方正、こんなに喋れんの」「こんなにおもろいの」とか、お客さんの僕への印象が、黒色から白色へとバーッと変わっていく感覚があるんですよ。それがすごい楽しくて。これは初めの方だけやろなって思っていたんですけど、まだまだ落語を聞いていない人が多いので、今でもまだ黒色から白色へ変わっていきます。なので、落語家としてもっと露出が増えていった時に、またどんどん増えると思います。すごくワクワクしていますね。

――今後の展望を教えてください。

今が噺家生活15年で、思春期で突っ走ってる。やっと古典落語が身についてきたので、もうそろそろ、“本当の自分の核みたいなのをどろんと出していきたい”です。とても大事な基礎がやっとできてきたから、その基礎から、じゃあ何を立てんねんっていう。もう決めたのは、2024年11月30日(土)に、大阪の「心斎橋PARCO」の劇場「SPACE14」で僕オリジナル創作だけの講演会を開きます。新喜劇の劇作家の子と、小説を作っている子と、3人のプロジェクトなんです。作・構成は僕で、3本、とにかく僕が面白いと思う“核”みたいなものを出します。

――20周年に向けて、早速動き出したという感じですね。

今56歳で、あと4年で還暦なんですよ。いわゆるジジイになります。ジジイっておもろいんですよね。若い時と違って、ここでかっこよく見られようとか、ここで良い人に見られようとか、そういうのは思わへんから。もうどうでもええから、おもろくなるねん。もう自分の思うことをドーンと、やっと出せんねん。でも、死ぬ時に品格は残さなあかんと思います。その品格を残したところで、本当に自分の言いたいことが言えるんです。あと4年で還暦を迎えると、ちょうど落語20年。その時の僕、おもろいやろなって楽しみです。

――自分でも楽しみと思えるのは素敵ですね。皆さんに披露するものがちょっとずつ変わってきそうですね。

そこで一気に変わると思います。僕は正直、落語を始めるのが遅かったなと思っていて。気力と体力が比例したらいいけど、どうしても体力はなくてなってきてしまうので、30歳ぐらいから落語をやっていたら、と思いますね。

――公演前のルーティーンなどはありますか?

「なんばグランド花月」が800席くらいあるんですけど、大きい会場は煮詰まってしまうんですよね。特に前日やったら、ネタをくるんだけど、ちょっと煮詰まったら、すごい焦ってしまうから、まだあかんねん。おそらく20年目ぐらいなったら、そんなんも 普通の日として捉えることができんちゃうかなと思っています。

――煮詰まった時に気持ちを和らげる対策などはあるのでしょうか。

なんやろうな。もう来るしかないかな。モードはそこに入るから、どうしてもピリピリしてしまうんです。それが本当に嫌なんですけどね。

――次の20周年に向けて、心持ちの変化も楽しみですね。

そうですね。もう少しずつ変わってきてます。初めは、大きい会場が嫌で嫌でしょうがなくて。なんでこんな嫌や嫌やって思いながらやらなあかんねんって。でも、ずっとやっていったら楽になってきました。そうは言うても、僕一人に対してお客さん1000人とかそういう世界から。完全に楽しみに変わるかはわからないですね。

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落語家・月亭方正さん『噺家生活15周年記念 月亭方正 独演会』開催に向けた特別インタビューを掲載!

WRITER

Satomi Hirata

Satomi Hirata

千葉県出身。週末の楽しみは、東海の温泉やスパに足を運ぶこと。ヨガ、お散歩も大好きな健康オタク。名古屋歴は浅いながらも、日々の発見を大事に、新鮮で楽しい情報をお届け。

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