介護の限界を迎えた斯波に対して司法は何ができるのか、とても難しい問題
湯原教授 長澤さんは、検事の大友役を通じてこの問題をどう考えればいいのか?映画の主題歌にもなっている“そうであろう”という意味の「さもありなん」という言葉もありますが、本当にそうでいいのか?検事の貫く正義を問いかけてくださっていました。斯波に対して、どのような刑罰が必要かと考えられますか?
長澤さん とっても難しい質問ですが、斯波がした行為というのは、やはり許されるものではないと思いますし、厳しい刑罰を受けるということは必要なのかなと思います。だけど、斯波自身が自分の犯したことに対して、これは“救い”だと、彼の正義を元に語っていて、法的な刑罰を与えても、斯波にとって罰として捉えられるのが難しそうに思います。斯波自身も父親を憎んでいたわけではなくて、すごく大切にしていた存在であったからこそという、彼の正義があるという部分もまた難しくて、斯波と同じような事件が年々増えているようなことを聞くと、やはり解決するにはとても難しい問題だなと思います。
そういったところも踏まえて、悪いことをしたから罰を与えるだけではない考えを、今後考えていかなくてはいけないのかなと思いました。一言でこうしたほうがいいというようなはっきりとした答えは言えないですが、そういったこともまた変わっていくのかなと思いますので、都度考えていかなくはいけないなと思いました。
湯原教授 ありがとうございます。本当にすごく難しいことを聞いてしまったなと思いますが、斯波は“救い”だと語っていて、自分のしたことに対して、罪悪感を表に出していません。原作でも繰り返し問われている部分になっていて、斯波がこのままかなり重い刑でずっと刑務所にいるようなことがあった場合に、斯波はこの時間をどう過ごすのか、どういうふうに居続けるのかとも思います。司法が斯波に対して、何ができるのか、本当に長澤さんがおっしゃったように難しい問題で、個別に考えていかなければならない問題だと思います。
みなさんは映画を観たので、斯波の背景を知り、考えを知り、その中で考えているかと思います。でも先ほど新聞の話もありましたが、新聞ではやったことや内容があり、それに対してこういうことになったという情報だけなので、その背景にも目を向けてほしいと思います。
介護の課題をたくさんの人と共有していくことで、救われる命が増える可能性がある
湯原教授 松山さんは、プロセスをたどりながら、愛する父親に対して犯行を行い、“救い”という考え方で犯行を重ねていく役でした。介護者が直面する困難が様々な角度から描かれていて、特にここが大事だとか、みなさんにぜひ知ってもらいたいとシーンを教えてください。
松山さん 異常者ではないというのを大事に、斯波はみなさんと何も変わらない、僕とも変わらないということをすごく意識しました。柄本明さんが演じるお父さんと斯波は、母親や親族もいない親子で孤立化しやすい状況ではあったのですが、小さい頃から男手一つで育ててきてもらったのだから、今度は自分が返す番だと一生懸命介護をしていく。その中で限界がきてしまって、選択肢の一つでもあった生活保護を申請しに行くが断られてしまう。そこで残った選択肢というのが、柄本さんが伝えていた「自分を殺してくれ」という言葉だった。
外側から見ていると、法律やルール、社会の常識でしか物事が見づらいので、事件ということだけを見て、何でこんなことになったんだろう、誰か助けてあげれば良かったじゃない、助けを求めれば良かったじゃないと、思ってしまうと思いますが、そうではない状況が内側にあります。立場によって見ている景色が全く違うんですよね。それを防ぐために斯波ができたことは、誰かとこの話を共有する、介護をしていることを共有することだったり、どういったセーフティーネットがあるのか調べることだったりと、選択肢を持っといてほしかったなと僕は思いますね。
ただ、それも結局余裕のある人ができて、余裕がなければそれすらもできない、本当に今目の前にあるお父さんの介護で精一杯になってしまう。ある意味子育ても一緒だったりすると思います。周りの人たちが孤立化させないというのもまた一つ大切になってくる。
みなさんも介護の経験をされたりとか、これから介護の仕事に関わってくることになるかもしれませんが、こういう素晴らしい大学で学んでいらっしゃるみなさんですから、知識を持って目の前にある介護の課題をたくさんの人と共有していくことで、介護する側も介護される側も救われる命が増える可能性があります。学んだ人だけが見えている問題ではなくて、たくさんの人が見ていかなくていけない課題で、そういうところが大事だと思いました。
湯原教授 ありがとうございます。本当に異常さがないというところは大事なことで、私も何人もの介護殺人の加害者の方に出会ってきましたが、みんな一生懸命に介護しようと思っていて、普通の生活をしていたけど、こうなってしまったという人でした。私もこの斯波が誰かと共有できる人がいたら良かったなと観ていてつくづく思いました。最後にスライドでまとめたいと思います。
一人でも多くの人がこの社会問題に関心を持ち、個として考えること
――斯波の第一の事件を防ぐとしたら、どんなことで防ぐことができたのか。
湯原教授 まず、斯波の第一の事件を防ぐとしたら、どんなことで防ぐことができたのか。介護殺人の中でも防げる事件と防げない事件があると思っています。今回のこの事件は非常に難しいです。なぜかと言うと、斯波はできる限りの努力をし尽くしていた。介護殺人の法廷でも「自分は精一杯できることをやったので、一体何を反省したらいいのかわからない」と述べる被告がかなりいます。父親が息子へ殺してくれと頼んでいる。介護当事者の努力による状況打開は見込めない、父親がいくら努力しようともこの状況が良くなったかと問われると非常に難しいと思います。
かなり貧困な状況でしたので、介護サービスを使うことに関してもサービスの利用料が払えない状況で、使用できなかったのではないかと。高齢者への虐待防止法、障害者への虐待防止法などもあり、もし斯波が虐待していて通報されていたら、外部の支援が入りました。でも今作では、そういうことはしていないため、孤立していったのだと思います。唯一斯波が助けを求めたのは、生活保護の申請へ行った時、この時に斯波は助けを求めていました。でも、あなたは働けるでしょと言われてしまった。生活保護の行政からしたらしょうがなかったと言われるかもしれませんが、ここでみなさんにぜひお願いしたい。支援者としてこういった方をサポートする時は、目の前にいる人の背景にぜひ思いを馳せてください。なぜ働ける人はここにいるのかなど。介護者が力尽きないようにする、私は支援者として行った斯波のケアはとても素晴らしいと思いました。自分がやってもらえなかったことをやっている。葬儀での介護者への言葉がけもよく頑張られました。これは介護者としてかけてもらいたい言葉だなと思います。
そして、要介護者のみならず、介護者への支援が必要だということをぜひわかっていただきたいと思います。介護者自身の健康は大丈夫か。きっと斯波もこの介護が始まる前は東京で働いていた普通の若者だったんでしょう。介護者が大切にしたい自分の時間や大切な人と過ごす時間のためにも、良くなってほしいなと思います。介護者自身の人生、例えば、あのままお父さんを看取ったとしても斯波は仕事をしていないし、お金も持っていません。これからどうやって生活していくのか、とても辛い状況であります。それもぜひ気にかけるということが必要です。
介護者を支援するための法律は、全国的なものは今はまだないのですが、条例が立ち上がっています。何よりも大切なのは、このような高齢者の調査、介護者支援が充実する法的なものもさるものながら、一人でも多くの人がこの社会問題に関心を持ち、個として考えることです。今回の『ロストケア』でメッセージを伝えることができ、本当に期待しています。みなさま、ありがとうございました。
映画『ロストケア』を通して、高齢者問題や介護殺人など、どう向き合っていくべきなのかと公開特別授業で呼びかけました。校内には、大きなパネルも設置され、公開特別授業後には多くの人が撮影する場面も。今後の課題として、介護問題について深く考えることのできる授業となりました。決して他人事はない、今考えるべき社会問題に向き合った衝撃の感動作。柄本明さんが演じる父と、斯波の迫真に迫る親子の葛藤するシーンにも注目です。目を背けず、社会問題としっかり向き合う本作をぜひ劇場でご覧ください。
STORY
ロストケア
ミッドランドスクエア シネマ他で絶賛公開中!
監督 / 前田哲
原作 / 葉真中顕「ロスト・ケア」(光文社文庫刊)
主題歌 / 森山直太朗「さもありなん」(ユニバーサル ミュージック)
出演 / 松山ケンイチ、長澤まさみ、鈴鹿央士、坂井真紀、戸田菜穂、峯村リエ、加藤菜津、やす(ずん)、岩谷健司、井上肇、綾戸智恵、梶原善、藤田弓子、柄本 明 他
公式サイト / https://lost-care.com/
©2023「ロストケア」製作委員会
【12/16(金)より公開中!】映画『Dr.コトー診療所』名古屋での舞台挨拶に主演・吉岡秀隆さん、髙橋海人さん、中江功監督が登壇!
12月5日(月)、109シネマズ名古屋にて映画『Dr.コトー診療所』の舞台挨拶が実施され、主演の吉岡秀隆さん、髙橋海人さん、中江功監督が登壇しました。 累計発行部数1200万部を超える山田貴敏さんの同名漫画を原作に、東京から離島に赴任してきた外科医“Dr.コトー”こと五島健助と、島の人々との交流を通して命の尊さを描く本作。テレビドラマでは、シーズン1と2と共に大ヒットを記録し、ファンも多い『Dr.コトー診療所』の最新作では、16年ぶりにオリジナルキャスト&スタッフが再集結し、19年にわたり孤島に生きたひとりの医師の物語のいまを届けます。舞台挨拶では、本作の制作の裏側や現場の話を語っていただきましたので、その様子をレポートします! STORY 日本の西の端にぽつんと在る美しい島・志木那島に19年前東京からやってきた五島健助=コトー(吉岡)。以来、島で“たったひとりの医師”として島民の命を背負い、信頼関係を築いてきた。数年前、長年コトーを支えてきた看護師の星野彩佳(柴咲)と結婚し、もうすぐコトーは父親になる。2022年現在、日本の多くの地方がそうであるように、志木那島もまた過疎高齢化が進む。現実を前にしながらも、コトーの居る診療所があれば大丈夫だろうと、皆心のどこかで思っていた。そんな診療所の穏やかな日常にもある変化が忍び寄っていることを、誰もまだ気づいてはいない。 みなさんの好きな名古屋めし! ――それではまずは、Dr.コトーこと五島健助を演じました吉岡秀隆さん、ご挨拶をお願いいたします。 吉岡さん こんにちは。五島健助を演じました吉岡秀隆です。ここにいる(髙橋)海人くん演じる(織田)判斗先生と一緒に志木那島の旅を楽しんでください。今日はよろしくお願いします。 ――ありがとうございます。新米医師・織田判斗を演じました髙橋海人さん、ご挨拶お願いします。 髙橋さん 織田判斗を演じさせていただきました、King & Princeの髙橋海人と申します。みなさんこれからなんですもんね?なんだかワクワクが伝わって、こっちもドキドキしてきちゃいますよね(笑)映画のことを少しの時間ですが、ネタバレしないように今日は話させていただきます。よろしくお願いします。 ――本作の監督を務められました中江功監督、ご挨拶をお願いします。 中江監督 King & Princeの中江です(笑)こちらにコトー先生と判斗先生の2人の医師がいらっしゃいますが、この2人がどうやって絡んでいくのかぜひお楽しみに、ご覧になってください。 ――今回、名古屋での舞台挨拶ということですけれども、吉岡さんは名古屋はお久しぶりですか? 吉岡さん はい。相当久しぶりだと思います。 ――好きな名古屋めしだったり、思い出などありますでしょうか? 吉岡さん 昔、映画のキャンペーンなんかで連れてきてもらった時は、ひつまぶしや手羽先などいただきました。とってもおいしかったです。たぶん(柴咲)コウちゃんは、味噌煮込みうどんとか好きだと思いますよ。昔そういう風に言っていました。 ――そうなんですね!名古屋めしを愛していただいていることでよろしいでしょうか? 吉岡さん そこまで上位に食い込んではないです(笑) ――記憶の片隅にはありました? 吉岡さん はい、ありましたよ。おいしかったなって。 ――ありがとうございます。髙橋さんはもう何度もライブなどでも名古屋には来られていると思いますけれども、名古屋での思い出はありますでしょうか? 髙橋さん やっぱりライブをさせていただいているっていうのが、一番の思い出ですね。でも、うちのメンバーの平野紫耀が名古屋出身なので、友だちの地元っていう感じですごく近い距離感は勝手に持たせていただいています。 ――もうかなり上位に食い込んでくるくらい名古屋は大好きということで、よろしいですか? 髙橋さん そうではないです(笑) ――ちなみに名古屋めしはお好きですか? 髙橋さん 名古屋めしですか?僕、手羽先が好きです。 ――手羽先!食べ方とかわかりますか? 髙橋さん (平野)紫耀が教えてくれて。端っこをクリンって折って、それから歯で吸って食べる。 ――それはもう、名古屋の人に認められた証でございます(笑) 髙橋さん それだけで認めてもらえる(笑) ――いや、もう名古屋民です。 髙橋さん ありがとうございます! ――よろしくお願いいたします。中江監督は名古屋どうでしょうか? 中江監督 僕の名古屋めし聞きたくないですよね(笑)ずいぶん前に映画のキャンペーンで1回来させてもらって。その時に一番おいしい味噌カツを食べた覚えがありますよ。 ――味噌カツ。あの、鉄板の上にのっている味噌カツ? 中江監督 だったと思いますよ。 ――じゃあ、もう味噌カツは大好きということで。 中江監督 あ、あ、はい(笑) 吉岡さんが演じているのは、コトー先生ではなく、五島健助という一人の医師 ――名古屋エピソード、ありがとうございます。本題の映画についてお話を伺いたいと思います。16年ぶりの『Dr.コトー診療所』の続編ということですが、続編を作ると聞いた時に吉岡さん、まずどのように思いましたか? 吉岡さん ずいぶん前から監督とは、「やる、やらない」の話はしていたので、そうこうしている間にコロナ禍になって、そういう中でも監督といろいろちょこちょこと会って『Dr.コトー診療所』の続編を「やるならなんだろうね?」って、テーマを2人で考えながらやっていました。今思うと、こういう時代だからこそ、コトー先生がまた帰って来たんだろうなっていう感じではありますね。 ――久々にコトー先生を演じられて、最初は不安っていうものはあったんでしょうか? 吉岡さん 不安しかないです。不安だけです。 ――難しい部分があったということですか? 吉岡さん 僕が演じているのはコトー先生ではなくて、五島健助という一人の医師なので、その医師が持つ悲しみみたいなものをきちんと僕自身が理解しないとまわりの人から見た時に「コトー先生」とは呼んでもらえないと思っていたので、そこはいつも大事に心の中では思っていました。 ――髙橋さんは今回このシリーズから長く続いてきた『Dr.コトー診療所』という作品の続編に新しいスパイスとして出演が決まった時、どのように感じましたか? 髙橋さん 出演が決まった時は、宝くじに当たったような感覚でした(笑)シリーズが始まった最初は僕が4歳で、初めて観たのは小学校の時に母親と一緒に再放送を観て。ドラマも本当に大好きだったので、あの世界観に自分が入れるのかってワクワクと、でもやっぱり長く続けられている作品なので、ファンの人も絶対いますし、そういった方にどう思われるんだろうとか、キャストさんやスタッフさんにどう思われるんだろうと考えていくうちに、自分の中にプレッシャーがどんどん強くなっていって。でも、現場に入ってからは、そこは気にせずに織田判斗として、この志木那島に立ち向かっていこうという覚悟でずっと臨ませていただいていましたね。 ――そうそうたる顔ぶれの中に入っていくのは、すごく緊張されたと思うんですが、監督から見てこの織田判斗演じる髙橋さんはどのように感じていますか? 中江監督 かなり緊張していました。撮影に入る前にちょっと話したんですけど、かなりのプレッシャーと緊張の中で闘っていたと思います。僕は髙橋くんとは初めてだったんですが、役が先に当然あって、「どうだろう?」って実はちょっと思っていました。どちらかというと、柔らかくて弟キャラみたいな感じでいろいろ演じているのを見てきたので、「ちょっと判斗先生とは、違うんじゃないかな?」って、最初思っていて。それを本人にも言って、そことの闘いもかなりあったと思います。この先はみなさんに観ていただき判断していただきたいと思います。頑張って最後まで闘っていました。 僕一人じゃなくて、島の人も含めて僕をコトー先生にしてくれた(吉岡さん) ――今回、髙橋さんも加わっての与那国島での撮影は3週間ということでしたが、何か印象に残ってることはありますでしょうか? 吉岡さん みんなと最初はウォーミングアップで、コトー先生に戻るために、往診のシーンから自転車のシーンをずっと撮ってて、その度に島民の人が「コトー先生!コトー先生!」って、いつも声を掛けてくれるので、それがとてもうれしかったですし、そういうことでなんとなくコトー先生に戻してくれているんだなって思いました。だから僕一人じゃなくて、島の人も含めて僕をコトー先生にしてくれていたって感じです。 ――16年ぶりに自転車を漕いで、島の中を走った時というのはまた16年前とは違った感じがありましたでしょうか? 吉岡さん 今回は電動自転車なので楽でした(笑) ――機械の発達ということですね(笑) 吉岡さん そうです(笑) 次のページ… 髙橋さんがかわいいと思ったヤギは、実は・・・ かわいいヤギは、食べられちゃうかもしれないヤギ!?島の厳しさを教わる(髙橋さん) ――髙橋さんはそうそうたる顔ぶれの中でいろんなことを諸先輩方から教えていただいたと思いますが、何か吉岡さんとのエピソードを教えてください。 吉岡さん 何もないよ!そんなこと教えないよ!(笑) 髙橋さん 本当に教えていただいたことはたくさんあるんですけど、心にしまっておきたくて・・・。ちょっとジャブ程度のものでもいいですか? 与那国島で現場に向かっている最中に民家の前にヤギがいて。ペットで飼われているんだなって思っていたんです。これちょっとなかなかな話なんですけど(笑) 「あれ、ペットですか?」って、吉岡さんに聞いたら「あれは、ヤギ汁だよ」って(笑) 吉岡さん 歓迎の意味を込めて振舞ってくれるんですよ“ヤギ汁”を。そのためのヤギだよって。ヤギかわいいかわいいって言っているけど、あのヤギは食べられちゃうかもしれないヤギなんだよっていう。芝居の話とは違います(笑) 髙橋さん すみません!(笑) ――ヤギのその後の厳しい人生を教えてもらったんですね。 髙橋さん それが出てきてしまって、すみません!(笑) 吉岡さん ヤギ汁食べた? 髙橋さん いや、食べてないです! 久々にキャスト陣がみんなそろっても親戚の人が集まったような感覚だった(中江監督) ――その話を聞いた後だと、なかなか食べにくいかもしれないですが、そうだったんですね。中江監督は、久々に『Dr.コトー診療所』のキャスト陣みんながそろった時はどのように感じました? 中江監督 本当に16年ぶりの人もいたんですけど、あんまり年月を感じなかったです。「ついこの間まで撮っていましたよね~」みたいな感じで。なんか懐かしいとも違うし、久しぶりでも、なんだか不思議な感じでしたね。 ――キャストのみなさんが家族のように? 中江監督 そう、親戚の人が集まったみたいな感じだったんで、なんか違和感なく撮影に入れました。 ――監督は、キャストのみなさんからドラマシリーズを振り返ると、本当に大変だったという話も聞いております。そのあたりはどうでしょう?かなり待ち時間があったりとか? 中江監督 待たせている方なので…僕にはよくわからないんですけれど(笑)いや、大変だったと思います。僕自身も結構大変で、「やっぱり、やろう!」って言いながら、「これ、もう1回やるの!?また大変だな」って僕自身が思ったり、最初は撮影を始めるのにちょっと躊躇しました。 ――映画を撮影した時は、ドラマシリーズの時の懐かしさはありましたか? 吉岡さん もう大変です(笑)本当にスケジュールがあってないようなものなので、「いつになったらこのシーン終わるのかな・・・」って思うと、完全に千本ノックを受けながら限界突破をしていました。モニターで観ていて、“判斗先生、ちょっと大変だな”って思って、判斗先生が手袋をはめるのを手伝ったり、思わずしたぐらい監督は厳しかったですね。「まだまだ」って、何か奇跡を待っていたんでしょうね。 ――髙橋さん、何十テイクも重ねたシーンがあったそうですね? 髙橋さん ありましたね、島民のビック4と。何もないゼロの状態で観て欲しいなと思いますけど。そういうシーンもありまして、基本的に愛の千本ノックは受けていたなと。 ――泉谷しげるさんと最初にお会いした時はビックリされたと聞きました。いかがでしょうか? 髙橋さん 最初に泉谷さんとのシーンがあった時「俺たちにビビんじゃねーぞっ!」って言われて、それにちょっとビビりました(笑)っていうのがありましたね。 ――吉岡さん、これがまた『Dr.コトー診療所』らしい一面でしょうか? 吉岡さん 判斗先生、本当に忙しいので、湾岸スタジオの前室で2人でいた時に、あと生田さんもいたのかな。その時に、「ちょっとでも横になれる時に寝てた方がいいよ」って言っても、「大丈夫です、大丈夫です」って言っていて。「コトー先生命令だから15分でも横になってなさい!」っていう風に言って、ちょっとウトウトっとしかけた時に役柄のしげさんのまんまで泉谷さんがいらっしゃるんですよ(笑)判斗先生、(横になったのに)また起き上がってしまうので、大変だなと思いながら。泉谷さんは泉谷さんで、サービス精神旺盛な方なので、盛り上げよう盛り上げようとしてくださって。 五島先生同様、判斗先生に教えてもらったオペシーン ――ちなみに今回、髙橋さんも医師っていうのは初めてで。吉岡さんにもお聞きしたいんですが、ドラマシリーズを通じて島民の人たちに認められて家族のような存在になっていくという部分においてコトー先生を16年ぶりに演じて、苦労した部分はありましたか? 吉岡さん コトー先生に関して言うと、医師を育てると言いますか、コトー先生によって何かが変わって、また医師としての一歩踏み出すという。三上先生だったり鳴海先生だったり、それが今回は判斗先生で、今後『ドクター判斗物語』を僕はお客さんとして観たいなと思っています。継承してください(笑) ――髙橋さんも医師を演じる上で、大変だったことはありましたでしょうか? 髙橋さん 初めてだったというのもありましたし、判斗自身のバックボーンが医者の家庭に育った設定だったので、判斗の人生を考える上で、志木那島で暮らしているみなさんと同じように、パッと出の人間にはなりたくなかったので、ちゃんとバックボーンを考えたて臨もうと思って内側から作りました。あとは、医療シーンも見て、その手際だったりとかどういったオペがあるのかを勉強しました。 吉岡さん 今回、教えてもらいました、判斗先生に。「吉岡さん、こうですよ」って。僕もすっかり忘れちゃって。「どうやったっけ?」みたいな(笑)オペのシーンは、五島先生同様ずいぶん助けられました。 次のページ… ドラマを思い出しながら観てくださる人の歴史と僕らの歴史をこのスクリーンで共有できたら・・・ ドラマを思い出しながら観てくださる人の歴史と僕らの歴史をこのスクリーンで共有できたら、それが一番この作品にとってはいいことかな ――ぜひみなさんも映画でそのシーンを楽しみながら観ていただきたいと思います。では最後に一言名古屋のみなさまへ、そしてこれからご覧になるみなさまへメッセージをいただきたいと思います。 中江監督 わざわざ今日はお越しいただきまして、ありがとうございます。今日観るにあたって、テレビシリーズが昔あったんですけど、それを全く観てない方も全く心配する必要はございません。映画単体で楽しめるようになっていると思いますので、ぜひご覧になって、今のコトー先生、そして今の島の人たちをご覧になっていただいて、ちょっとだけホッとしていただければいいかなっと思っております。 髙橋さん 歴代シリーズを観てきたから、観てきた人からすると僕が映画の感想なんて言うの、おこがましいかもしれないですけど。僕が観させていただいて、僕の年代として自分がこう命のことを考えるのって、もっとずっと先なんだろうなって考えてたんですけど、やっぱり命あること生きること、想い合うことの尊さだったりと、すごく感じさせていただきました。なにより魅力はあの同じキャストが今もずっと生きているっていうことなので、織田判斗と志木那島にみなさんも一緒に行っていただけたらっと思います。そしてその中で、織田判斗の成長も少し観ていただけたらなっと思います。 吉岡さん 僕からは特にないかもしれない(笑)僕らの今この時代、コロナ禍でできる精一杯の作品です。これ以上のことは、もうできません。主役は16年という年月が経っています。「16年前、自分はこうしてたな~」とか、「この人と一緒に観たな~」とか「再放送でもこうやって観たな~」なんて思いながら観てくださる人の歴史と僕らの歴史をこのスクリーンで共有できたら、それが一番この作品にとっては、いいことなのかなと思っております。今日は本当にどうもありがとうございました。 命の大切さや尊さを改めて考えるいまの時代だからこそ観てほしい、いまの『Dr.コトー診療所』をぜひ劇場でご覧ください! Dr.コトー診療所 ミッドランドスクエア シネマ他で12月16日(金)より絶賛公開中! 監督中江功 脚本吉田紀子 原作山田貴敏『Dr.コト―診療所』(小学館) 出演吉岡秀隆、柴咲コウ、時任三郎、大塚寧々、髙橋海人(King & Prince)、生田絵梨花、泉谷しげる、筧利夫、小林薫、朝加真由美、大森南朋、富岡涼 他 主題歌「銀の龍の背に乗って」中島みゆき(ヤマハミュージックコミュニケーションズ) 公式サイトhttps://coto-movie.jp/ ©山田貴敏 ©2022 映画「Dr.コトー診療所」製作委員会 ※掲載内容は2022年12月時点の情報です
【絶賛公開中!】映画『すずめの戸締まり』名古屋での舞台挨拶に岩戸鈴芽役・原菜乃華さんと新海誠監督が登壇!
11月21日(月)、ミッドランドスクエア シネマで開催された新海誠監督最新作『すずめの戸締まり』の“「行ってきます日本」全国舞台挨拶”に岩戸鈴芽役の原菜乃華さんと新海誠監督が登壇しました。動員460万人・興行収入62億円を突破した大ヒット上映中の本作。制作の裏話や名古屋について語っていただきましたので、その様子をレポートします! STORY 九州の静かな町で暮らす17歳の少女・鈴芽(すずめ)は、「扉を探してるんだ」という旅の青年に出会う。彼の後を追うすずめが山中の廃墟で見つけたのは、まるで、そこだけが崩壊から取り残されたようにぽつんとたたずむ、古ぼけた扉。なにかに引き寄せられるように、すずめは扉に手を伸ばすが…。やがて、日本各地で次々に開き始める扉。その向こう側からは災いが訪れてしまうため、開いた扉は閉めなければいけないのだという―。不思議な扉に導かれ、すずめの“戸締まりの旅”がはじまる。 名古屋めしがおいしくて、羨ましい ――はじめに会場の皆様にご挨拶をお願い致します。 新海監督 皆さんこんばんは、初めまして。映画『すずめの戸締まり』の監督をいたしました、新海誠です。2時間の長い映画を観てくださり、本当にどうもありがとうございます。お疲れだと思いますが、30分程お時間いただいておりますので、楽しいお話ができればと思います。ぜひ、一緒に楽しみましょう。どうぞよろしくお願い致します。 原さん 岩戸鈴芽役を演じさせていただきました、原菜乃華です。本日はお越しいただき、本当にありがとうございます。こんなにもたくさんの方に観ていただくことができて、すごくうれしいです。短い時間ですが、本日は宜しくお願い致します。 ――どうもありがとうございます。日本全国舞台挨拶ということで、本日は名古屋にお越しいただきました。新海さんは、名古屋はお久しぶりですよね。 新海監督 名古屋には、3年前に『天気の子』という映画を作って、6年前に『君の名は。』でお邪魔いたしましたので、3年ごとに来ているという感じです。この3年間、新型コロナウイルスだとかすごく大変なことがあったと思うんですけれども、今日、また皆さんの顔を見られたことがとても幸せです。皆さん、お元気でしたか。 会場 (拍手) 新海監督 元気そうですね。菜乃華さんは名古屋には? 原さん 名古屋は6、7年ぶりに来ました。子供の頃に来た時以来です。昨日は、新海さんと一緒に名古屋めしの名古屋コーチン、今日のお昼には味噌煮込みうどんを食べさせていただいて、最高においしかったです。 新海監督 やっぱり、名古屋は食べ物がおいしいですね。名古屋の皆さんが羨ましいです。 ――名古屋を堪能してくださって、ありがとうございます。さて、先程、上映後には大きな拍手をいただいておりました。今日初めて観たという方もいらっしゃると思います。 原さん 今日初めて観たよっていう方、手を挙げていただいてもよろしいですか? 新海監督 ありがとうございます。4割ぐらいの方が手を挙げていますね。今日初めてご覧いただいた方には、たくさんの色んな味をギュッと詰め込んだ映画ですので、何を感じればいいんだろうともしかしたら整理できないまま、映画を観ていた方もいらっしゃるかと思います。今日、質疑応答や一緒にお話をしながら、映画が好きだったかそうじゃなかったか(笑)感想を定めていっていただければうれしいです。 最初の直感で、鈴芽の声は菜乃華さんじゃないかなって思いました ――原さんは本当に鈴芽ちゃんがスクリーンからでてきたかのように、ぴったりでした。ぜひ、オーディション時のお話を聞かせてください。 新海監督 ご存知かと思いますが、原さんは1700人の中から選ばせていただきました。宗像草太役の松村北斗くんに関してもそうなんですが、しっかりオーディションを行わせていただいて。中でも、鈴芽役はオーディションの人数が多かったんです。アニメーションですので、声優さん、女優さん、アーティストさんやアイドルの方も含めて、鈴芽の年代に近い方々から広く募って、候補をいただきました。自分の脚本は、自分の子どものようなものなので、1700人いたとしても一目で見つけられるんです。1700人の中で候補を出して、一人ひとり丁寧に、お芝居を聞かせていただくんですが、やっぱり最初に感じた「鈴芽の声は菜乃華さんじゃないかな」という直感を確認していく作業を進めていきました。 僕にとって一番怖いのは、もしオーディションに彼女がいなかったら…1700人の中からいくら探しても見つからなかったら途方に暮れていたと思います。今回、幸いなことに菜乃華さん、そして北斗くんがいましたので、そこから始動したレコーディングについては何の不安もなく、この2人に託せば大丈夫かなと思っておりました。 最初のアフレコでは、北斗さんが叫んでいた!? 原さん やっぱり、最初はうれしさよりも不安や心配の方が大きくて。その度に、監督は「僕たちは何も心配していません」とはっきり言ってくださって、安心しながらレコーディングすることができました。 新海監督 不安そうにしていたのは菜乃華さんも北斗くんもなんですが、特に北斗くんはアフレコを初めて行った時になんか叫んでいましたよね(笑) 原さん 「できないー!!」って叫んでらっしゃいましたね(笑)でも、松村さんもこんなに緊張されているんだったら、私なんかが緊張するのは当たり前のことなんだと思えたので、きっと松村さんなりの優しさだったんじゃないかなと思います。すごくありがたくて、隣で一緒に戦ってくれているような感覚がありました。 新海監督 僕は大丈夫かなと思いましたけども(笑)でも同時に、2人が不安そうに取り組んでくれているのが、うれしいなと思いました。その不安も含めて映画にもらえると思いましたし、映画ってなんでもそうですけど、物語がスタートした時点では、主人公というのは何らかの欠落や不安、不全感というのを抱えていて、それがこうエンディングを迎えたときには一歩背筋が伸びるような状態で「行ってきます」と言えるようになるのが映画だったりしますので、同じ工程を役者たちが2カ月かけて辿ってくれて、鈴芽の成長とシンクロするような芝居をお2人にはいただけたと思います。 舞台挨拶で生アフレコを披露! 新海監督 せっかくの機会なので、ここでアフレコをしてもらおうと思います!よろしいでしょうか? 会場 (拍手) 新海監督 急遽、新幹線の中で台本を書いてきたので、やりましょう! 原さん 実際のアフレコの時の定位置でよろしいでしょうか?目の前に画面があって、ガラスを一枚隔てた向こう側に監督がいらっしゃって、ここからは声は聞こえないのですが、マイクで演出をくださいました。 新海監督 僕たちは役者の横顔や台本を見ながら、声だけ聞いているんですけど、今日はみなさんが芝居をする役者の顔を正面から見られるので羨ましいなと思います。 原さん ガラスの向こうで監督がマイクを通さずに何か喋っている時は、聞こえなくて、すごくけちょんけちょんにされているのではと思っていました(笑) 新海監督 そういうことはないです。僕1人で決めるわけでなく、音響監督をはじめ、皆さんに「今、3回目やってもらって1つ目がいいと思うけど・・・」と、意見を聞いたりとか、このテイクだったら次の声はどんなトーンがいいかなだったりとか、そういう指示出しも含めて相談しているんです。 新海監督 今日は草太役がおりませんので、すずめに祝詞を唱えてもらいましょう。扉を押しながらなので、力を込めて言ってみましょう。 原さん わかりました! 新海監督 そして、北斗くんが今日いませんので、本人もとても悔しがっていましたがお仕事がどうしてもあって、みなさんによろしくお伝えくださいと結構頻繁にラインをくださいますので、だったら来てほしいなと思いながらも(笑)僭越ながら、僕が草太役をやらせていただきます。 会場 (拍手) 原さん よーいスタート! 生アフレコを終えて、会場一同拍手 ――体が震えますね!ありがとうございました。 新海監督 今のようにやりながら、北斗くんに今のはもっと泣きそうに情けない感じで言ってみてとか、菜乃華さんには、声は裏返ってもいいから本当に泣き出しそうな感じで言ってみましょうかとか、何度も何度もやりとりしましたね。時には、10回、20回、30回と2カ月かけてやっていました。 ――監督、役がお上手ですよね。 原さん 本当にお上手で、最初に鈴芽役も草太役も監督の声を入れたビデオコンテみたいなのをいただくんですけど、監督がお上手なのでこれを超えなくていけないとハードルがとても高くて、鈴芽役でも違和感ないんじゃないかなと思うくらいです。 新海監督 そんなわけないです(笑)ちょっと声のトーンを上げて喋るんですけど、ビデオコンテのラフに声と仮でアイフォンで録音した効果音を入れて2時間のコンテを作るんですけど、それを声は役者たち、画はアニメーターたち、背景は美術・CG人たちで 1コマ1コマ、1枚1枚、1言1言を上書きしていくんですよね。1年8カ月くらい続けて完成するんですけど、僕にとってはビデオコンテが全部完成カットになって、全部役者さんの声になった時は、本当に空気が入れ替わったような、色が入れ替わったような、新しい作品になったような感動があって、それが楽しみでやっているようなところもあります。今日は聞いていただけてうれしかったです。 新海監督・原さん ありがとうございました。 遊び心ある演出も見どころ ――本作は冒険物語でしたが、どうやって場所を決めたのでしょうか?(会場のお客さん) 新海監督 場所を選んだのはいくつか理由がございまして、映画の尺の中で描き切れる、展開的に観客を飽きさせないルートを最優先に決めさせていただきました。それまでには、神話をモチーフにしている部分もあるので、ヤマトタケルノミコトの東征のルートだったり、「戸」という文字のつく地名を辿っていくだとか、色んな案がありました。 ――私は今回で映画を3回観させていただいているんですが、何度観ても楽しめる注目ポイントを教えてください。(会場のお客さん) 新海監督 僕はいっぱいあるんですけど…最後の鈴芽と草太のシーン。僕としてはすごくいいなと思っていて、鈴芽をより好きになれました。 原さん 私もあのシーンすごく好きです! 『すずめの戸締まり』は、これ以上ないと思う映画 ――薄っぺらい質問になってしまうかもしれないんですが、次の作品は作り始めていたりするんですか?(会場のお客さん) 新海監督 薄っぺらくないですよ、重い質問でいらっしゃいます(笑) 会場 (笑) 新海監督 僕としてはこの前出来上がった作品という感じで、終わったと思ったら休む間もなく色んなところに行っていて(笑)次作はまだ白紙なんです。公開してから「怖くて怖くて仕方ない」と泣き言を菜乃華さんにも言っちゃっているんですけど。怖い理由はいくつかあって、この映画を皆さんにどのように受け止めていただけるんだろうっていう怖さ。8年ぐらいずっと考えてきたもので、最高のスタッフを集結させて、これ以上ないという映画を出したつもりなので、これで無理だったら次どうしたらいいか分からないなっていうくらいなんです。僕はこの先の人生でもう少し映画を作り続けられると思うんですが、『すずめの戸締まり』より良いと思える作品を作れるかどうかの自信が全くないんですね。どうしたらいいですかね?(笑) 会場(笑) 新海監督 ただ、菜乃華さんたちと色んな場所を回りながら、皆さんの顔を見て、もしかしたら何か出てくるんじゃないかなと思っています。次回作を作れと言われた気がしますので(笑)背中を押されたつもりで頑張りたいと思います。 観客の皆さんと一緒に作ったような濃い作品 ――最後に一言お願いします! 新海監督 長い時間、お付き合いいただきありがとうございました。『すずめの戸締まり』は僕1人の力では出来なかった作品なんですね。エンディングの曲である、RADWIMPSの「カナタハルカ」のなかに「僕にはない 僕にはないものでできてる 君がこの僕を形作ってる」という歌詞がありますが、そういう映画を作ったようなつもりでおります。素晴らしいキャスト、スタッフの力もそうなんですが、観客の皆さんと一緒に作ったような気持ちがどこか濃い作品なんです。皆さんの声がずっと聞こえてきているような気がして、この映画に導かれたと思っておりますので、少しでもこの映画を気に入っていただけましたら「私もこの映画に参加した」というくらいに寄り添っていただけるとうれしいです。『すずめの戸締まり』という映画は、これから日本全国、世界に旅立っていく映画となります。それでは、すずめさん! 原さん 行ってきます! 新海監督・原さん 本日は本当にありがとうございました。 何度も観ても楽しめる、約8年温め続けてきた新海監督のこれ以上ない最高傑作『すずめの戸締まり』。まだまだ大ヒット上映中なのでぜひ、劇場ですずめと一緒に旅へ出かけてみてください! すずめの戸締まり ミッドランドスクエア シネマ他で公開中! 原作・脚本・監督新海誠 声の出演原菜乃華、松村北斗 他 音楽RADWIMPS×陣内一真 公式サイトhttps://suzume-tojimari-movie.jp/ ©2022「すずめの戸締まり」製作委員会 ※掲載内容は2022年11月時点の情報です
【絶賛公開中!】映画『沈黙のパレード』名古屋での舞台挨拶に主演の福山雅治さん、柴咲コウさんが登壇!
福山雅治さんが演じる、変人だけど天才的頭脳を持つ物理学者・湯川学が、不可解な未解決事件を科学的検証と推理で見事に解決していく、大人気・痛快ミステリー「ガリレオ」シリーズの待望の最新作。映画第3弾となる本作では、ベストセラー作家・東野圭吾によるガリレオシリーズ第9弾『沈黙のパレード』を原作に、前作を凌ぐ怒涛の展開と心揺さぶる人間ドラマを描きます。また、柴咲コウさん演じる、湯川のバディ的存在の刑事・内海薫と、北村一輝さん演じる、湯川の親友で内海の先輩刑事・草薙俊平が9年ぶりに再集結。そして、主題歌は9年の時を経て再結成となる福山雅治さんと柴咲コウさんによるユニットKOH+が担当していることでも話題になっています。 9月20日(火)には、名古屋のミッドランドスクエア シネマにて公開記念舞台挨拶が行われ、主演の福山雅治さん、柴咲コウさんが登壇。東海にまつわるお話や作品の裏話も聞けましたので、その様子をお届けします。 STORY 行方不明になっていた女子学生が、数年後に遺体となって発見された事件で、天才物理学者・湯川学(福山)の元に、警視庁捜査一課の刑事・内海薫(柴咲)が相談に訪れる。内海によると容疑者は、湯川の親友でもある先輩刑事・草薙俊平(北村)がかつて担当した少女殺害事件で、完全黙秘をつらぬき、無罪となった男・蓮沼寛一(村上)。蓮沼は今回も同様に完全黙秘を遂行し、証拠不十分で釈放され、女子学生の住んでいた町に戻って来た。そして、夏祭りのパレード当日、蓮沼が殺された。女子学生を愛していた、家族、仲間、恋人、全員に動機があると同時に、全員にアリバイがあった。そして、全員が沈黙する。果たして、沈黙に隠された真実とは―!? 東京から近いので、愛着や親しみがある名古屋 ――さあ、名古屋にようこそお越しくださいました。それではまずご挨拶いただきましょう。湯川学役の福山雅治さん、内海薫役の柴咲コウさん、お願いいたします。 福山さん 天気も良くてよかったです。朝方までどうなることかって感じでしたけど、お会いすることできました。本日はよろしくお願いします。 柴咲さん みなさん、こんばんは。柴咲コウです。台風の影響で朝5時ぐらいにゴウゴウとした風の音で起きて、「ん?行けるのかな?」とドキドキしましたが、無事にたどり着けて良かったです。よろしくお願いいたします。 MC ありがとうございます。本当に無事に開催できてホッとしております。お二人、晴れ女、晴れ男なんですかね。 福山さん みなさまのおかげでございます。強い願いの力です。 ――名古屋駅は東海地方の玄関口なんですけれども、お二人にとって愛知・岐阜・三重にどういった印象がありますか? 福山さん 愛知・岐阜・三重、CBCさんで『地底人ラジオ』をオンエアしてくださいまして、ありがとうございます。えぇ!?ラジオ聴いてくれてない空気!?(笑) MC みなさん聴いていますよ。 福山さん ありがとうございます。ライブで、デビュー当時からもうずーっと名古屋のファンの方や名古屋の街にも撮影でもお世話になっています。東京から近いのでね、すごく愛着というか、親しみを覚えております。 柴咲さん 名古屋にはツアーや映画の宣伝でも来させてもらって、いい意味での独特な雰囲気があります。ツアーの時は会場ごとに色を付けたりしていますが、茶色系の暖色のイメージが強いです。名古屋をイメージしてお洋服を選んできました。オレンジ寄りなんですが濃い色が入っていて、名古屋は東と西のいろいろないいところが内包している場所だから、そういったイメージで選びました。 MC そういったイメージで衣装も選んでくださったんですね!うれしいです!暖かい暖色系のイメージがおありなんですね。 柴咲さん そうなんです!ツアーの時もついついリラックスして喋っちゃうことがあります(笑) 柴咲さんがお伊勢さんで食べ歩き!? ――三重県だと伊勢神宮、岐阜だと世界遺産の白川郷もあるんですけども、お二人に時間があれば行ってみたいなぁっと思う場所はありますか? 福山さん お伊勢さんは1回行きましたよ。 柴咲さん 1回ですか?もっと行っているのかと思いました。 福山さん いやいや、1回でしたね。素敵なところでした。柴咲さんは行かれました? 柴咲さん 何度も何度も参拝させていただいております、朝5時から。 福山さん あそこはすごいところですね。あとね、ライブでも行きましたよね。サミットの後にも行ったんですけど。なんでサミットが三重県伊勢でやることになった理由って聞きました? 柴咲さん 知らないです。 福山さん いい意味でメインの道路が一本しか走ってないので、あと島がいっぱいあって、入り組んでいるので、立地的に攻撃されにくい。そうやって聞きましたけど、そうですよね? MC そうですね。警備もしやすくて、場所としても風光明媚な場所ですし、よく知ってくださってますね。お二人、伊勢神宮に来られた時は、おかげ横丁で食べ歩きをしたり、赤福召し上がったりしたんですか? 福山さん 僕は食べ歩きの余裕はなく、お伊勢さんに直行していました。 柴咲さん 福山さんが食べ歩きしてたらねぇ(笑)。帰れなくなるかもしれない(笑) 福山さん 柴咲さんは食べ歩きしました? 柴咲さん 私は全然食べ歩きしますよ。 ――今日もよかったら名古屋土産を何か買っていってもらいたいです。何か食べたいものはありますか? 福山さん 僕は味噌煮込みうどんは毎回食べるようにしているんですけど、今日はその余裕がないですかね。 ――今日のお昼はどうされましたか? 福山さん 差し入れでひつまぶしをいただきました。ありがとうございます。本当においしかったです。 ――柴咲さんどうでしたか?ひつまぶしのお味は? 柴咲さん ごちそうさまでした!おいしかったです! MC 次回はぜひゆっくりお越しいただけたらと思います。 映画化の話を聞いて、ただただ楽しみでうれしかった ――9年ぶりの共演、最初に本作の映画の話を聞いた時はどう思われましたか? 福山さん 東野圭吾先生の『沈黙のパレード』の原作が出ますってなった時に、原作が出るってことはもしかして、もしかしちゃうのかなって思って、そんな思いで読んでいました。そしたらやりましょうって話になりまして、ただただ楽しみだったし、うれしかったですね。 ――柴咲さんはどうでしたか? 柴咲さん 私は初めのテレビドラマで出演させていただいていたので、本当に久しぶりの感覚でしたが、東野圭吾先生の原作を西谷監督で、また声をかけていただけたことがうれしかったです。今のこの年齢で、時を重ねた内海薫であり、私だからこそ演じられるものがありそうだなと思ってお引き受けしました。また、湯川先生、内海薫、そして北村一輝さん演じる草薙さんとのトライアングルを待ち望んでいたという温かい声と、制作陣の愛情が、フィッティングなど準備の段階からものすごく伝わってきて、“これはいい現場になりそうだな”と思って始まりました。 9年の時を重ねた厚みもあり、今の福山さんが演じる湯川先生が一番いいなと思います ――9年ぶりに湯川先生と内海薫が着替えて出てくる瞬間はどうでしたか? 柴咲さん 湯川先生は何年ぶり? 福山さん 9年ぶりですが、『禁断の魔術』という最初のドラマから先に入っていたんですよね。映画を撮る2カ月くらい前なんですけど、まず『禁断の魔術』の衣裳合わせの時に、スタッフさん全員の前に湯川学として出ていこうと思っていたので、その時に「湯川さんだ~!テレビで観ていた湯川先生だ~、帰ってきて良かった~!」なんて思ってもらえたら、この作品の入り口としては良かったのかなと、“まずここから行こうかな”という気持ちで衣装合わせに臨みましたね。 ――変わらない部分とあえて年月を経て変えた部分とあるかと思いますが、どういったことを意識して演じられましたか? 柴咲さん 私は変わる良さが人間にはあるなと思っていて、経年変化があったりとか、時を重ねた厚みだったりとか、薫もそうだし、湯川先生に特にそれを感じたんですよね。今の福山さんが演じる湯川先生が一番いいなって私は思っています。30代の時の福山さんが演じた湯川先生も素敵なんですけど、やっぱりなんかいいなって。佇まいとか、特に特殊なキャラクターだと思うんですよ。プライベートで何をしているのか特に描かれてないし、洗濯はしているのか?料理はしているのか?全くわからないままどんどん心のボトムが深くなっていっているような感じが、スクリーンでも出ていて、すごく素敵だなぁって思いました。 次のページ… 柴咲さん「福山さんの苦労を感じさせないところや、几帳面な一面が天才的!?」 福山さんの苦労を感じさせないところや、几帳面な一面が天才的!? ――湯川先生というとやはり天才でもあり、変人でもあるかと思うんですけど、柴咲さんからご覧になって福山雅治さんは、どんな点が天才だな、ちょっとここ変わっているなっと思われますか? 柴咲さん 目には見えない努力をしていらっしゃると思うし、でなければこんなにずっと第一線以上でご活躍できないと思うんですよね。私にはわからない苦労もあると思うし。なんだけどそれを微じんも感じさせずに、そしてファンの方と交流し、いろいろなものを提供し、作り続けているって並大抵のことじゃないと思います。それはまず天才的だと思うし、ある種、変人でもありますよね(笑)。すごいことなんですよ、やっぱりそういうことって。それと、やっぱり几帳面。本当に(笑) ――どういった点で感じられるんですか? 柴咲さん 一言では表せないくらい几帳面で、気が付いちゃうんですよ。それで、とっても誠実。私はもしかしたら相手が傷付いちゃうかもしれない一言をパッと言っちゃって後で後悔したりするんですけど、そういったことはなく、でも思ったことをきちんと表現されているし、嘘偽りではないんですよ、決して。だけど誠実。 福山さん ありがとうございます。さっきのね、MCさんのマイクの距離みたいな(笑) MC 先ほどマイクの距離を離し過ぎてしまって、そしたらアドバイスをくださいました。 福山さん 三人が同じくらいの距離で話したほうがPA(音響)さんがやりやすいですよね(笑) MC 本当に天才の目配りをありがとうございます。 福山さん自身も湯川学という人間のファン! ――久しぶりに湯川先生を演じられて湯川学の魅力をどんなところに感じられましたか? 福山さん 魅力・・・。僕も湯川学という人間のファンで、登場してきた当初は、今回撮影に入る前にコロナ禍で撮影が延びたりしていたこともあり、ドラマシリーズから全てのガリレオシリーズの映画を観ました。 最初ドラマの第1作目の第1、2話くらの頃って、本当にこの人は何を考えているんだろうって、人としての人情みたいなものは、当然描かれてないんですけれど。それどころか「お前、面白い」って言ったら「何が面白いんですか!」って薫さんに怒られているんですよね。怒られていることもわからず、ポカンとしているみたいな、そういう湯川さんだったんですけど。だんだん時を経て『容疑者Xの献身』での石神とのこともあったり、『真夏の方程式』で少年との出会いがあったりして、彼自身もなんだかんだ言いながら実は人情味のある、深い情にもろいところがあるっていうのが、少しずつこう浮き彫りになってきて。湯川さんは、両方を合わせ持っているのが魅力なのかなと思いましたね。 みなさん一人ひとりの心でこの作品を育てていっていただけるとうれしい ――「ガリレオ」シリーズは、お二人にとってどんな存在なのかを教えていただきたいです。 柴咲さん そうですね。私にとってはかけがえのない作品で、これで一切終わりですってことではなく、希望を持ってこれからも関わっていけたらいいなっと思っていたりとか…。 福山さん モジモジしてる(笑) 柴咲さん というのも、これからみなさんに作品を観ていただきますが、本当に緻密で画面全体をくまなく見てる西谷監督のまさに愛情ですよね。スタッフさんもそうですけど、西谷監督率いるスタッフ陣の愛情っていうのがギュギュっと詰まっている作品ですし、もちろんその原作のパワーっていうのもありますし、なによりずっと主演でやっている湯川先生を演じていらしゃる福山さんの愛情っていうのもあると思います。ぜひ、それをみなさん、心で感じていただければなと思います。 MC ありがとうございます。最後の主題歌までじっくりお楽しみいただきたいと思います。最後に福山さんお願いいたします。 福山さん 音楽より先に映画が始まって、そこからカウントすると、僕がこのエンターテインメントの仕事を始めて34年ぐらいですかね。15年間1つの作品が続いていくこと、1つの役柄を続けられること、まさかこういう風に1つの役柄と人生を過ごしていけるとは思っていませんでした。 自分自身も作品や原作のファンであり、そしてキャストのファンであり、僕は湯川さんのファンであると同時に、薫さんのファンでもあるし、草薙さんのファンでもあって、そういう自分の好きな作品に長く一緒に過ごせるということ、そういう出会いがあったことを本当に幸せに思っています。 みなさまによって育てられたっていうのが事実なので、「観たいな!」って思ってくれて、「また次がないかな?」とか、「もう一回DVD観よっかな」とか、そういう風に思ってくださるからここに居られる、続いていくわけですから、どうか・・・、柴咲さんのモジモジで伝わったと思うんですけど、この作品はですね、みなさん一人ひとりの心で育てていっていただけるとうれしいです。実は初めて観る!という人はどのくらいいらっしゃいますか?ありがとうございます!2回目以降は“追いパレード”ですね(笑) 柴咲さん 一気にキュートになりましたね(笑) エンディングで流れる「ヒトツボシ」を聴くと、さらに味が深まってくる ――最後に一言ずつお願いします。 柴咲さん これからご覧になられるということで、先入観を植え付けてはいけないんですけれど、制作陣の愛、出演者の愛っていうのは、観ていただければ伝わるかなと思います。濃厚な濃密な人間ドラマで、そしてやっぱりサスペンス・ミステリーっていうところもあって、観ていて心苦しくなる憤りを感じるっていうような内容の部分もありますけれども、きっと観ていただいた後には、それぞれの気持ちに寄り添う、考えさせられるものがある作品になっていると思いますし、後は、最後に流れる「ヒトツボシ」という曲が癒しになってくれるんじゃないかなと思います。ぜひ、ご堪能していただければと思います。 福山さん 先にお礼を言わせていただきますと、9月14日に発売されております、映画『沈黙のパレード』の主題歌であるKOH+の「ヒトツボシ」が、オリコンチャート1等賞をいただきました!本当にありがとうございます。映画を観た後にこのエンディングで流れる「ヒトツボシ」を聴くと、さらに味が深まってくると思います。最後までお席を立たずに、もちろん今日来てくださっている方は聴いてくださると思うんですけど、最後までご覧になってください。なんかちょっと心配だなぁ(笑)。それでは、本日の映画『沈黙のパレード』お楽しみください!よろしくお願いします。 9年の時を経て帰ってきた「ガリレオ」シリーズ。果たして、福山さん演じる湯川学と、柴咲さん演じる刑事・内海薫、北村さん演じる先輩刑事・草薙俊平は今回の難事件にどう立ち向かっていくのか。沈黙に隠された真実とは―。愛情がたっぷり詰まった本作をぜひ、劇場でご覧ください! 沈黙のパレード ミッドランドスクエア シネマ他で大ヒット公開中! 監督西谷 弘 脚本福田 靖 原作東野圭吾「沈黙のパレード」(文春文庫刊) 出演福山雅治、柴咲コウ、北村一輝、飯尾和樹、戸田菜穂、田口浩正、酒向 芳、岡山天音、川床明日香、出口夏希、村上 淳、吉田 羊、檀 れい、椎名桔平 他 主題歌「ヒトツボシ」KOH+(アミューズ/ユニバーサルJ) 公式サイトhttps://galileo-movie3.jp/ ©2022 フジテレビジョン、アミューズ、文藝春秋、FNS27社 ※掲載内容は2022年9月時点の情報です ※新型コロナウイルス感染症の影響で、掲載内容は予告なく変更する場合があります。公式サイト・SNSで事前にご確認ください
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