全国ツアーでは「各地のおいしいものを食べ尽くす」
――今年8月から11都市を巡るリリースツアーの真っ最中ということで、SPECIAL OTHERS名義としては1年ぶりの全国ツアー開催ですね。
宮原さん そうですね。マスクをしなくてよくなって、楽だなと。僕たちももう44歳なので、そろそろ死ぬんだろうなって思って。各地のおいしいものは絶対に食べようっていう気持ちが強いです。今までもさんざん食べてきたんですけど、もう自腹でも前乗りして、ご飯を食べるべきだと。
――いやいや(笑)。でも、“全国ツアーを楽しみ尽くす”…いいですね!
柳下さん 食べるのは同じくですし、やっぱりどんどん年を重ねていくと、自然に回帰していくというか…。ツアー先で、公園に行ったり、季節の植物を見たり、鳥を見たりして…自然からエネルギーをいただいて、満たされたいという気持ちですね。
――お二人とも、何かあったんですか?!
一同 (笑)。
――これまでのツアーで一番おいしかったグルメはなんですか?
宮原さん 全国各地においしいものがたくさんあるから、悩みますね…。でもやっぱり何にも代えがたいのは、刺身ですね。ご当地のよさがでますよね。やっぱり、輸送していない魚が一番おいしい。でも、今は時代が変わってきちゃってて、例えば、函館といえばイカだったじゃないですか。それが今、ブリのほうが獲れちゃってるみたいなんですよ。
――そうなんですか?
宮原さん 昔は大量だったのに、イカが全然獲れないみたいで。それが今はブリが大量に獲れちゃってるみたいで。環境って一定じゃないなってつくづく感じますね。変化に柔軟に対応していくことが大切だなと感じます。
名古屋に対しての印象
――お二人は、名古屋にはどのような印象をお持ちですか?
柳下さん 名古屋の方ってやっぱり、一つのものを洗練させていくことが上手だなと思います。それこそ「あんかけパスタ」とか、色んなものを融合させて新しいものを作り出してるじゃないですか。そういう一つのものを違う角度でみるのが上手だなと。
――そう言っていただいて、すごくうれしいです。
宮原さん 人の印象だと、野球好きな人が多いイメージです。野球の話を振ると結構みんな答えてくれて。又吉(Ba)以外の3人は野球を全く知らないんですが…(笑)。
柳下さん お店とかでも、選手のサインを飾っているのをよく見かけますよね。
――メジャーデビューから17年となりますが、今後チャレンジしてみたいこと、今後の目標は?
宮原さん 外国でライブしたいですね。外国の方に“スペアザ!”って言われたい。
――海外ではそう略さないかもしれないです(笑)。
一同 (笑)。
――最後に、ファンの皆様に一言お願いいたします。
宮原さん 子育ての合間に、僕らのライブなどいかがでしょうか。スペアザファンの方も、多分お子様がいらっしゃる方も多いと思うので。
柳下さん ライブに行くっていうだけじゃなくて、それとセットで、友達と会ってご飯を食べて、そのついでにライブに行くみたいな。生活のなかに、僕たちの音楽があれば本望ですね。
――ありがとうございました!
SPECIAL OTHERS 9th ALBUM 『Journey』
2023.10.25 Release
≪ 初回盤 ≫
2CD+DVD
価格:6930円 商品番号:VIZL-2175
収録内容:CD(10曲)+特典DVD(10曲)+特典CD(10曲)
[ CD収録楽曲 ]
01. Fanfare 02. Early Morning 03. Apple 04. Bluelight 05. Bed of the Moon
06. Falcon 07. Feel So Good 08. Point Nemo 09. Journey 10. Thank You 計10曲収録
[ 特典DVD「2023年 ニコニコの日全集『252510』」収録内容 (Music Video LIVE映像) ]
01. Fanfare 02. Early Morning 03. Apple 04. Bluelight 05. Bed of the Moon
06. Falcon 07. Feel So Good 08. Point Nemo 09. Journey 10. Thank You 計10曲収録
[ 特典CD収録内容「2023年 ニコニコの日全集『252510』」(Music Video LIVE音源) ]
01. Fanfare 02. Early Morning 03. Apple 04. Bluelight 05. Bed of the Moon
06. Falcon 07. Feel So Good 08. Point Nemo 09. Journey 10. Thank You 計10曲収録
≪ 通常盤 ≫
CD ONLY
価格:3300円 商品番号:VICL-65800
収録内容:CD(10曲) ※初回盤のCDと同内容
初回盤/通常盤いずれも初回生産分には「ジャケットステッカーシート」封入
配信:https://jvcmusic.lnk.to/Journey ]https://jvcmusic.lnk.to/Journey
※音楽ストリーミングサービス:Apple Music、Spotify、YouTube Music、LINE MUSIC、Amazon Music、Deezer、AWA、Rakuten Music、KKBOX、TOWER RECORDS MUSIC
【アナログレコード作品概要】
2023.11.03 Release 9th ALBUM 『Journey』
アナログレコード盤(2枚組)
価格:6050円 商品番号:VIJL-60305~6
収録内容:CDと共通の10曲収録に加えて、アナログのみ約20分のセッション音源を収録。
【インタビュー】名古屋市出身のシンガーソングライター・澤田 空海理が2ndシングル『已己巳己』をリリース!
2024年2月14日(水)、シンガーソングライターとして活動中の澤田 空海理さんがメジャー2ndシングル『已己巳己(いこみき)』をリリース! 澤田さんは、メッセージ性のある歌詞と切ないメロディラインが特徴。美しくも儚い歌声と誰もがハッとさせられる言葉で、SNSを中心に人気を集めています。さらに、2023年12月にはメジャーデビューが決定し、数々のアーティストに楽曲提供も行うなど、今最も勢いのあるアーティストの一人です。 今回は、まだまだミステリアスな澤田さんについて深掘りするべく、新曲「已己巳己」制作についてから、地元・愛知での思い出まで、たっぷりお話をお伺いしました。 澤田 空海理 PROFILE 1993年生まれ。愛知県名古屋市出身。2017年には作詞/作曲/編曲/プロデュース全て自身で担当したアルバム「フラワーガール」をリリースし、多方面から高い評価を得た。2021年3月にアーティスト名義をSori Sawadaから本名の澤田 空海理に変更。作家としても活動し、森七菜や足立佳奈などに楽曲提供も行う。2023年10月にインディーズラストシングル「ケーキの残骸」、12月にメジャーデビューシングル「遺書」を配信リリースした。 新曲「已己巳己」について ――メジャー2ndシングル『已己巳己』リリースおめでとうございます! 新曲「已己巳己」制作のきっかけを教えてください。 赤裸々に話してしまうと、本当は別の曲をリリースするつもりだったんですが、制作チームで会議をしたときに、反応があまりよろしくなくって。それで、一から作り直すということになり、生まれました。 ――そうだったんですね。この楽曲は「心」がテーマになっていると思いますが、このテーマにした理由は? 半分、八つ当たりというか。最初の曲をはねられたっていうのも、やっぱりあると思います。最初に書いていた方は、これまでの作品と比べてみても鬱屈としていない作品で、その鬱屈としていないものをはねられた以上は、っていうのがやっぱりありました。「鬱屈としたものをやっていいんだったら」と(笑)。 ――なるほど。じゃあ「已己巳己」と比べると、明るい印象の曲だったんですね。 そうですね、かなり明るかったと思います。 ――いつかその曲も聞いてみたいです。「已己巳己」を聴かせていただき、私自身これまでの人生で”心がなければ、こんなに辛いと感じなかったのに”と思う場面が何度かあって、すごく胸が痛くなりました。この作品は実体験を基に制作されましたか?—― 他の曲ほどではないんですが、この曲にも必ずその一部はあります。あんまり自分が正しいことをしているという風に年々思えなくなってきていて。やっぱり、言い方が悪いですが、人をないがしろにして曲を書いていると言われれば、それまでで。それをやるからには、ヘラヘラして続けるわけにはいかないというのが自分の中にあります。最後の方に「あなたに出会いさえしなければ こんな惨めな化け物にならずに済んだのに。」という歌詞があるんですが、僕が通ってきた道や、人を題材にして曲を書くという行為自体がそもそもなければ、こういう結果に繋がっていなかった、と。こんなこと、しなきゃよかったと思う。そんな思いから書きました。 次のページ… タイトルの由来「同じ”心”でも、全く異なるもの」 タイトルの由来「同じ”心”でも、全く異なるもの」 ――タイトルの「已己巳己(いこみき)」は、互いに似ている物を例える言葉ですが、どのような思いを込めてこの言葉を付けたのでしょうか? 元々は全然違うタイトルだったんです。中国語で「心」の下に「口」で「吢(シン)」と読むんですが、これを仮タイトルでつけていました。配信の都合で使えないということで、 別のものを考えていくなかで「已己巳己」になったんですが、心ってそうだよな、と。そもそも心が存在するか否かの話をすることになると思うんですけど、じゃあ心が存在したとして。僕らが”心”というものを話す時、多分心の形や場所って、みんな同じものをイメージすると思うんです。みんなが想像する心って、角張ってないんですよ。多分球体で、なんか白っぽいか青っぽいか、多分心臓のあたりにあるものと認識している方が多いと思うんですよね。だからみんな、”心”っていう共通認識はしっかり持っている。じゃあ、中身はどうか。中身は人によって全く違いますよね。同じ心っていう言葉を使っているのに、多分指しているものっていうのは人それぞれ全然違う。 ――自分の思う”心”と他人の思う”心”は同じものだと錯覚してしまうことがありますが、実際は全く違いますよね。 そうなんですよね。そう考えたときに、字形は似ているけれど一つひとつの意味は異なる「已己巳己」というタイトルがハマりました。 ――なるほど。最初に付けた「吢(シン)」はどういう意味合いなんでしょう? 言葉の意味としては、犬や猫が食べたものをもどす行為を指しています。これを選んだ理由としては、僕はずっと犬を飼っていたんですが、犬や猫が嘔吐するときって、すごく苦しそうなんですよね。予備動作があって。ああいうのを見ていると、人間より人間らしいと感じたというか。人間は言葉を話しますから、ぽんぽん色んな言葉が出てきますが、本来言葉って相手のことを考えるんだったら、もう少し慎重に、それこそ吐くような言葉があるはず。 ――言葉があるから、本音も覆い隠してしまう、と。 言葉があまりにも便利すぎるんですよね。 MVとぬいぐるみ「イコちゃん」のコンセプト ――MVも拝見させていただきました。「心」を宿したぬいぐるみが女の子に愛情を返すように抱きついて、力加減が分からずに、拒まれてしまうシーンがとても印象的でした。MV制作にも携わられましたか? ほとんど丸投げさせていただきました。一応プロットというか、僕はこういうのをイメージしたよっていうのはお伝えさせていただきましたが、MV制作でいつもお世話になっている吉田ハレラマさんをとても信頼しているので「僕はこう思ってるので、あとは解釈でお願いします」って感じで投げてます。 ――完成したMVはいかがでしたか? 素晴らしかったです。伝えたいことが、そのまま表現されていました。伝えたのはサブテーマとして、ぬいぐるみとかロボットとか、心がないとされるものの話ということだけはお伝えしていて、それ以外は全部お任せです。 ――信頼し合ってるんですね。ぬいぐるみもすごく印象的な見た目でした。 可愛いですよね。「イコ」ちゃんっていうんですが、以前MVで使わせていただいたスタジオの方が小物制作できる方で、その方に制作をお願いしました。いつもアートディレクションをお願いしている大城くんという方に、心がないもので、毒々しくて、だけど女の子が手に取っちゃいたくなるようなかわいさもあるものってお伝えしてデザインしていただきました。ぬいぐるみのイメージで頼んだら、クラゲが出てきて。クラゲって心臓がない生物なので、クラゲをモチーフにしました。 ――毒々しさもありつつ、かわいさもあって、素敵です。 ありがとうございます。 インプットは「本」と「人」 ――今回の「已己巳己」もそうですが、澤田さんが紡ぐ言葉や表現がすごく美しいと感じていて、ライターとして刺激を受けています。元々持っているものももちろんあると思いますが、表現方法に関して、日頃どんなインプットを行なっていますか? 漫画がすごく好きなので、言葉の表層の部分、どういう言葉を使うか、どこから持ってきているかは、漫画とか本が多いですね。ただ、話す内容に関しては、僕はすごく人に依存していると思います。友達と話したり、過去に人に言われたことだったりをなるべく忘れないようにして、それを自分の言葉で書いています。 ――影響を受けた作家やアーティストはいますか? 小説は、江國香織さんの作品をたくさん読んでます。漫画だと『ハチミツとクローバー』が大好きです。小説は結構、恋愛ものに寄ってますね。あと、どうしても女性作家さんが書く作品が好き。 ――『ハチミツとクローバー』私も好きです! いいですよね! 漫画は結構雑食で、なんでも好きです。以前は、子どもの頃からずっと野球をやっていたので、全然本を読まなかったんです。なので、自分とはまるで別世界だったんですが、ある人との出会いをきっかけに。度々曲にしちゃってる人がいるんですけど、その方から江國香織さんを薦めてもらいました。それで読んでみたら「なるほどな」って。僕にもはまるし、そこで全部紐解けたというか。その子がどう生きたかったのかが江國香織さんの小説に書いてあって、なるほどと思いました。それが俺に合うと思ってくれたのなら、そっかって。 ――その方は澤田さんのことも知り尽くしている? そうですね。僕よりも僕だと思います。 次のページ… オーストラリアに留学経験「以前は、人を疑うことを知らなかった」 「以前は、人を疑うことを知らなかった」 ――高校生の頃は、オーストラリアに留学していたとお聞きしました。どのような経緯で留学に至ったのでしょうか? 当時は特に、「これから英語が大事になってくる時代」と言われていたこともあって、英語を身につけるために留学を決めました。両親も海外に行くのは良い経験だからと快諾してくれて。本当に良い経験でした。 ――留学を経て、自分の中で変化したことはありますか? 孤独に強くなりました。向こうでも友達に恵まれていたとは思うんですけど、それとは別というか。警戒心がある意味すごく強くなりました。元々人が好きで、逆に言うと人が好きすぎて、人を疑うことを知らなくて。向こうではもっと自分の身は自分で守らなきゃいけなかったので、そういう部分も身についていきました。 ――語学力だけでなく、澤田さん自身にとってもすごく良い影響を与えた経験だったんですね。オーストラリアにいる時にギターを始められたとお聞きしました。きっかけは何ですか? 時間がすごく空いたんです。日本の部活ってすごく熱心じゃないですか。中学の時、土日含めて週7で練習と試合があったんですけど、それがなくなって。向こうだと多くても週4とかなんで、とても暇に感じていました。今となってはすごく怠惰な人間になっちゃいましたが、昔は情熱あふれる人間だったんで、この“空いた週4日なんかしなきゃ!”って(笑)。 ――忙しい日々のなかで、急に時間ができちゃうとそうなっちゃいますね。 当時はずっと動いていたかったんですかね。この時間がもったいないって。今だったら絶対そんなこと思わないですが(笑)。 ――元々、ピアノはやられていたとか。 やっていましたが、そんなに意欲はなかったですね。おじいちゃんがピアノ好きで始めたんですが、ピアノの先生が本当に合わなくて…。 ――そうなんですね。それでは、ギターを始めたのをきっかけに音楽に興味をもつようになったんでしょうか。 そうですね。あとは、傲慢な言い方かもしれないですが、余った時間で音楽は作れるということに気付いたのもあります。何かに影響を受けて音楽をやりたいとかではなくて、音楽って自分でも作れるじゃんって思っていたのもあって。あとは、本当に一個のことに集中しやすい性格なので、音楽制作をずっと続けていたらハマっていたっていう。 ――なるほど。音楽制作で影響を受けたアーティストもいないですか? 音楽ではいないですね。もちろん、好きなアーティストはいっぱいいますけど、この人がいたから今の自分がいるっていう人はいないです。そういう面は、小説のほうがあるかもしれない。 次のページ… 制作は作詞から。「忘れないために残す」 制作は作詞から。「忘れないために残す」 ――制作はどのように行っていますか? 基本は作詞から始めて、気に入ったフレーズがいっぱい出てくると、どれも削りたくなくって、結果6〜7分の曲になってます(笑)。人に言われたことってすごく頭に残るじゃないですか。言われて残るものって要は自分が傷ついた、もしくは本当にその通りだったから食らってしまったということなので、それを忘れないために残すのも必要だと思っています。そういうものを書いているので、毎回曲にテーマがあるかと言わあれたらそうではなくて、懺悔だったり、後悔だったり、ある種の希望だったりを曲に昇華させています。 ――去年12月にデビューしてまだ数か月しか経っていませんが、デビューしてから変化したことはありますか? 実は、あんまりないんですよね。マネージャーさんとは一昨年ぐらいから一緒に動いていただいていて。あえていうのであれば、人とやるのってこんなに難しいのかっていう側面と、人がいて助かるなっていう側面の両方ありますね。自分でも認めるくらい、おそらく制作に他人を入れないので、周囲の方々もそれを理解してくれて、入り込まないようにしてくれているので。攻撃的な意味ではなくて、他人をあまり信用できないんです。通ってきたものも違うし、仕事にはその仕事のノウハウがあるわけじゃないですか。それでいうと創作も同じで、そこのノウハウをなるべく自分がパスを握っていないといけないというか。創作だけ、他の人のアイディアが出たから急に進むみたいな、都合のいいことはないと思っています。それも他の仕事と一緒で、自分が責任を持ってやったほうが進めやすいっていうのはありますね。 地元・愛知での思い出 ――名古屋出身とのことですが、愛知での思い出のスポットはありますか? 印象に残っているのは、佐久島かな。佐久島に行ったことが何度かあって。ある時、愛知県外の子で、この島にいきたいって言ってる友達がたまたま二人いて。二人は全く関わりのないんですけど。それで意図せず、その二人をそれぞれ2日連続で案内するってことがありまして。佐久島まで行くフェリーの受付の人に、絶対「こいつ連れてる人変えて、2日連続で来た!」って思われただろうな(笑)。 ――確かに(笑)。 佐久島はアートの島なので、色んな造形物があって楽しかった思い出があります。あと、明治村にもよく行きました。当時も謎解きキャンペーンやってて、よく参加してました。 ――そうなんですね! あと、田原市に「キャベゾウ」っていうゆるキャラがいるんですが、昔バイトで、その着ぐるみに入ったことがあって、すごく記憶に残ってますね。 ――名古屋で好きなスポットやグルメはありますか? 今、思い浮かんだのは「喫茶マウンテン」ですね。大学が近かったので、休み時間とかによく友達と行ってました。 ――どのメニューを食べたことありますか? いちごのパスタ、食べました。あと抹茶も! 上京してから全然行けてないので、また行きたいです。 次のページ… やってみたいことは「始球式」 やってみたいことは「始球式」 ――これからやってみたいことはなんですか?音楽活動の面でも、プライベートでも。 なんだろう。でもツアーとか、県外をまわるみたいなことはまだ全然やったことがないので、やってみたいです。その反面、音楽制作はもう長いことやってきたので、ここから大きく変わるとも思ってないですね。良くも悪くもメジャーに対して夢を抱いているかと聞かれたら、そうではないっていうのは間違いなくて。とにかく、できる範囲のことをやる。 ――プライベートではいかがですか? そうですね…。あ、始球式! 始球式で投げたいですね。野球は今でも大好きで、東京に行ってからも音楽友達と月1くらいでやるくらい。 ――仕事で野球と関われたら嬉しいですね! 野球をやるためなら、何でもします!(笑)。ずっとピッチャーなので、いい球投げれると思うので。若いうちに呼んでほしいな。 ――地元名古屋での始球式、見たいです! その時は、ぜひ見に来てください。キャッチャー指名しますので。 ――お願いします!!(笑)。本日はありがとうございました。 澤田 空海理 2nd single『已己巳己』 2024年2月14日RELEASE 収録曲 1.已己巳己 2.已己巳己 (instrumental) 配信リンク https://sorisawada.lnk.to/ikomiki 公式サイト https://sorisawada.com/ ※掲載内容は2024年3月時点の情報です
【インタビュー】マハラージャンさん「自分の中で一番大事な曲になった」EP『蝉ダンスフロア』をリリース!
2023年7月14日(金)、シンガーソングライターとして活動するマハラージャンさんがEP『蝉ダンスフロア』をリリースしました。 なんといっても、スーツ姿にターバンを巻いた独特のビジュアルが特徴的なマハラージャンさん。ユーモアあふれるリリックと、ソウルやファンクといったブラックミュージックから現代的なエレクトロサウンドまで取り入れた、新感覚なサウンドが話題を呼んでいます。 今回、「蝉ダンスフロア」の制作エピソードや曲へのこだわりをはじめ、収録曲である「波際のハチ公」、国際サイクルロードレース「マイナビ ツール・ド・九州2023」の公式テーマソングにも選ばれた「DREAM」の2曲についても、たっぷりお話を伺いました。 PROFILE マハラージャン 東京都出身の男性ソロ・ミュージシャン。大学院卒業後、CM制作会社へ就職。会社員として勤務する傍ら、日夜音楽活動に勤しみ、2019年11月にEP『いいことがしたい』をデジタルリリース。2021年3月の時点では会社を辞め、マハラージャンとしての活動に専念。音楽番組や人気YouTubeチャンネル「THE FIRST TAKE」への出演が大きな反響を呼んだ。 「蝉ダンスフロア」は一番大事な曲に ――『蝉ダンスフロア』EPリリースおめでとうございます。今回のEPは、それぞれ違った色を持った楽曲が収録されていると感じたのですが、アルバム全体としてのコンセプトはありますか? 全体としてのコンセプトはあんまり決めてなかったんですが、結果として“夏”を表現できたアルバムになったと思います。「蝉ダンスフロア」が自分の中で一番大事な曲になったと感じていて、そういう曲を作ることができたのがまず嬉しいですね。これが出せたらもう良い!ってくらいです。 ――「蝉ダンスフロア」は、ご自身の原点のような曲だとお聞きしました。 そうですね。今回この曲で、アナログシンセサイザーを使用したのですが、僕、アナログシンセの音色が本当に大好きで。大好きってことに気付いたのも徐々にだったんですけど。自分でアナログシンセを購入して、実際に演奏して、“めっちゃ最高!”って思って。どうしてもこれを使った曲を作りたいなっていう思いが高まっていきました。それで今回、この曲を作ることができました。 ――マハラージャンさんがそこまで愛してやまないアナログシンセの魅力は、ズバリどういったところでしょうか? やっぱり、音ですね。ズバリ、この圧倒的に存在感のある、一聴してカッコいい音。デジタルシンセも魅力的ですが、アナログシンセは圧倒的にタイプなんです。ぜひ、皆さんにこの魅力を知ってほしいです。 わかりやすいところで言うと、『まんが日本昔ばなし』のエンディング曲である「にんげんっていいな」の冒頭部分もアナログシンセなんですよ。あれって、めちゃくちゃかっこいい音してるんですよ、実は。実はあの曲にもこの曲にもアナログシンセが潜んでいて…って言いだしたらキリがないくらい(笑)。とにかく好きなんです。 ――そのアナログシンセの魅力を「蝉ダンスフロア」でどのように取り入れましたか? 曲の頭でアナログシンセの音が“ブゥン”って入るんですけど、あれ一つだけ聴いても、やっぱりアナログシンセって最高だなって思います。あれは「オーバーハイム OB-X8」っていう最新のシンセを使った音なんです。アナログシンセって、80年代くらいに最盛期を迎えて盛り上がっていたものなので、若干、音にレトロ感があるというか。それがすごいく好きな理由の一つではありますね。 僕としては、アナログシンセを使って昔っぽい曲を作りたいというより、現代のものに取り入れていきたいという気持ちがあって。この「オーバーハイム OB-X8」は、アナログシンセだけどあまり古く感じさせない音色で、それがすごく気に入っています。 セミの一生をコロナ禍と照らし合わせた ――歌詞は「コロナ禍」をセミに例えているとか。そう聞くと、“セミ”にも共通点を感じる部分があって不思議な気持ちでした。この楽曲を制作しようと思ったきっかけはなんですか? 仮歌の段階でサビの「蝉ダンスフロア」の部分はできていたんです。実は全体のコンセプトの話にも繋がるのですが、普段の僕の作曲の仕方に訳があって。一回、頭の中を空にして適当に歌って、そこに“こういう歌詞にしていこうかな”って感じで歌詞を乗せていくんです。「蝉ダンスフロア」でいうと、「蝉ダンスフロア」っていう音ができたときに“セミの話にいこうかな”ってなって、そこから考えていきましたね。そしたら、セミが地上に飛び立つ日を土の中で待っているように、僕たちも3年間コロナ禍で苦しい閉じこもった生活をしていたよなって。あと、セミの一生もそうなんですけど、人間も7月が始まったと思ったらもう終わってたり、すごく一瞬で時間って過ぎていくじゃないですか。「命短し恋せよ乙女」じゃないですけど、一瞬一瞬を逃さないように謳歌したい、しないといけないっていう気持ちがあったので、それを表現しました。 ――セミの性質とコロナ禍を掛け合わせるっていう着眼点、それをしっかりマハラージャンさんならではの音楽で表現できているのも素敵です。少し話していただきましたが、マハラージャンさんの作曲方法をより具体的に教えていただけますでしょうか。 表現が難しいのですが“適当に歌う”っていうのが結構肝でして。“ラララ”って歌ってしまうと、もう“ラララ”なんですよ。じゃなくて、なんかこう、本当に適当に歌うっていう。僕も適当に歌うモードに入らないと、なかなか歌えないんです(笑)。それで、歌ってみると、出てくる歌詞が意味わかんないんですけど面白かったりする。そこで出てきたものを大事にしていますね。 ――適当に歌っている段階で「セミ」などのワードも出てきたりするんですか? そうですそうです。それこそセミとか、ダンスフロアとか。普段だったら掛け合わせない言葉の組み合わせが出てきたりして、面白いんですよ。 ――色々考えてしまって、“適当”にするには結構難しいですね…。 そうですね。でもハードル高いと思いきや、勝手に口がそういうモードに入っていく瞬間があるっていうか。恥ずかしがらずに適当に歌ってみることがポイントです。 頭の中に夏の景色が広がってつくった「波際のハチ公」 ――「波際のハチ公」は爽やかなテイストで、まさに夏にぴったりな曲だと思いました。こういった季節感のある曲は、これまでのマハラージャンさんの楽曲になかったと思うのですが、どのようなコンセプトで制作されましたか? ただただ、夏にぴったりな、爽やかな曲を作りたいという一心で。去年の真冬の2月ぐらいに考え始めて、頭の中にすごい夏の景色を広げて作りました。 ――「ハチ公」は、かの有名な飼い主の帰りを待ち続ける忠犬のことを指していると思うのですが、“夏を待ち焦がれている”という気持ちで? そのあたりは結構ぼやっとさせてるんですけど、何かを波際で待っていて何かが来た。憧れの人かもしれないし、待ち焦がれていた何かかもしれないしっていう。これも本当に適当に歌って作った曲なので、それぞれの解釈で受け取っていただければと思います。 ――「蝉ダンスフロア」や「波際のハチ公」もそうですが、マハラージャンさんならではの独特なワードセンスや耳に残るフレーズは、どこからインスピレーションを受けているのでしょうか? 日常の中で印象に残ったものや面白いなって思ったものは大事にしていますね。何が面白いか面白くないかを考える癖がずっとついていたっていうのもあると思います。それも、CM制作の現場で働いていた経験が大きいなって、最近すごく感じていて。CMって、おいしい瞬間をピックアップしていくというか、チョイスする能力が必要なんです。そういう能力とか、“何が面白いか”の基準とか、そういうのが現場を通して鍛えられたなと思います。 ロードレースという競技と“夢”の共通点を歌に ――「DREAM」は、これまでの楽曲とまた違う印象で、個人的に一番好きな楽曲でした。“夢”がテーマになっていると思うのですが、楽曲に込めた思いをお聞かせください。 ありがとうございます。去年の全国ツアーのタイトルが「夢」だったんですが、これまでふざけた曲名をつけることが多かったので、逆にあえてそういう名前にしてみたら面白いかも、みたいな軽い気持ちで付けたんです。それで実際、ツアーを回ってみたらすごく“夢”について考える機会があって。それで曲も作ってみようかな、と思って作り始めました。 この曲が、国際サイクルロードレース「マイナビ ツール・ド・九州2023」の公式テーマソングにも選ばれたので、ロードレースの競技と“夢”を組み合わせました。“夢”にもリレーみたいなところがあると思っていて、自分もこういう風に音楽をやれているんですが、かつて自分が憧れていた職業だったわけで。もしかしたら、僕を通してやってみたいと思う人もいるかもしれない。そういう繰り返しがリレーみたいだと思ったんです。サイクルロードレースもチーム戦なんですが、チームの中の一人をゴールさせるために、残りの仲間が風よけになったり、自己犠牲の精神のある競技で。ゴールという一つの目標、夢に向かって、実際にはバトンを持っているわけじゃないんですけど、気持ち的な部分で繋いでいく。そういうものを曲に表現しました。 ――社会人生活を経て、現在は音楽1本で活動しているマハラージャンさんだからこその説得力というか、たくさんの人の心に響く歌詞になっていると思いました。また、この楽曲では、九州の景色もイメージされたそうですね。 僕、九州を一人旅したことがあって。そのとき、特に阿蘇山は、車で運転していてすごく気持ちよかったんです。この大会のプロモーション映像の景色もすごく綺麗で。そういう風景や景色を見て思い出しながら、合う音楽を作っていく感覚で作りました。 ――九州の旅での思い出で印象深かったことはなんですか? 鹿児島の高速道路に入ったときに、車のフロントガラスにべちゃべちゃべちゃって虫がくっついて、それが思い出です。 ――えぇ…(笑)。 (笑)。他には…僕、モンスターハンターシリーズが好きで。桜島がモンハンの舞台なんですけど、なんかもう実際に見てみると、龍とか飛んでないのに太古の景色に見えるっていうか。桜島の山から少し煙が出ていて、噴火している感じとかが、CGを入れたりして映像を撮ったら面白そうとか考えて、とてもインスピレーションを受けましたね。 音楽的な奇跡を起こしたい ――また、今年11月からワンマンツアー「奇跡」が開催されますが、意気込みをお願いいたします。 音楽的な奇跡を起こしたいっていうのが、まず第一です。とにかく僕は音楽が大好きなので。今回もバンドセットで、いつものメンバーとライブをやらせていただくんですけど、奇跡的な演奏ができたらなと思っています。ライブに行くとバンドですごいかっこいい瞬間に出合えたりすると思うんですが、そういう瞬間をとにかく起こしたいっていう気持ちです。 ――22日(水)は名古屋でのライブがありますが、名古屋にはどのようなイメージがありますか? 名古屋にはなんか僕、友達多いんですよね。大阪でしばらく暮らしていたこともあって、ほら名古屋って東京と大阪の間じゃないですか。だから、感覚が近かったりして、そういうのも関係あるのかなって思いますね。全然、僕が思ってるだけの持論なんですけど。 ――名古屋の人にはどのようなイメージがありますか? そうですね…。友達なのに、ライブに来てくれない。 ――あれれ…(笑)。 そうなんです。一回も来てくれないんです。 ――もしかしたら、22日は来てくれるかもしれないですね。 そうですね。去年来てくれてないから、今年どうなのかなって思ってるんですけど、もしかしたら“奇跡”起きるかもしれないですよね。 ――ぜひ、名古屋のご友人の皆様、観に来てあげてください。最後に、ファンの皆様に一言お願いします! そうですね。あのー、僕、水シャワーをよく浴びるんです。夏にクーラーをつけなくても、水シャワーさえ浴びれば涼しくなれるし、汗や臭いも取れますので、水シャワー、オススメです。 ――以上で大丈夫ですか?(笑) ライブあるのでよろしくお願いいたします、だと面白くないと思うので。あとは、えーっと、名古屋の「あつた蓬莱軒」はすごく並ぶので、ちゃんと時間を確保してください。 ――「あつた蓬莱軒」は行ったことがあるんですか? それが行ったことないんです。周りにさんざんおいしいって聞かされてるんですけど、ずっと行けてなくて。ずっと頭の中に残ってます。 ――(笑)。それはぜひ食べてほしいです。 あと、僕、最近、鉄のフライパンを買ったんですけど。それで料理してるんですが、もう全然味が違うんですよ。本当においしくなるんですよ。若干手入れは面倒くさいんですけど、オススメです。 ――有意義な情報、たくさんありがとうございました!(笑) デジタルEP『蝉ダンスフロア』 2023年7月14日(金)リリース 配信リンク https://maharajan.lnk.to/SemiDanceFloor-EP 収録曲 1. 蝉ダンスフロア 2. 波際のハチ公 3. DREAM 4. 噂のキャンディ 5. 雑菌フィーバー マハラージャン LIVE TOUR「奇跡」 11月5日(日)北海道・札幌ペニーレーン24 11月22日(水)愛知・NAGOYA CLUB QUATTRO 11月28日(火)大阪・心斎橋BIG CAT 12月7日(木)福岡・DRUM LOGOS 公式サイト https://maharajan.love/ 撮影/辻瑞稀(@sipruixi) ※掲載内容は2023年8月時点の情報です
Base Ball Bear、ニューシングル「海になりたい part.3」リリース&三度目の武道館ライブ開催!小出祐介さん(Vo./Gt.)にインタビュー
Base Ball Bear(ベースボールベアー)が10月12日(水)にニューシングル「海になりたい part.3」をリリース。さらに、結成20周年イヤー最終日でもある、11月10日(木)にて三度目となる日本武道館ライブの開催が決定しました! 今回、小出祐介さん(VO./Gt.)にインタビューをしてきました! ニューシングルに込めた想いとその制作過程、10年ぶりとなる日本武道館への意気込みを語っていただきました。 Base Ball Bear 新たな試みを発信し続けているスタイルから”実験バンド”とも呼ばれている大人気ロックバンド。2001年11月11日に結成し、2006年にメジャーデビュー、昨年20周年を迎えた。2016年から、小出祐介(Vo./Cho.)、関根史織(Ba./Cho.)、堀之内大介(Dr./Cho.)からなるスリーピースバンドとして活動している。日本最大の野外フェス「ROCK IN JAPAN FESTIVAL」や、年越しフェスといえばの「COUNTDOWN JAPAN」には2006年以降から全て出演し続けている。 「海になりたい」は実は最後にハマった ――まずは、ニューシングル「海になりたい part.3」について詳しく聞かせていただきたいと思います。これまでに「海になりたい」、「海になりたい part.2」と出されていますが、それぞれ違った背景をもつ曲となっていますよね。今作にはどのような気持ちが込められているのか詳しく聞かせてください。 小出祐介さん 今回は「海になりたい part.3」を作ろうと思って作り始めたのではなくて、実は最後にハマったフレーズなんですよね。「海になりたい」っていうフレーズが。ていうのも、すごいややこしい話になるんですけど、そもそも「海になりたい part.1」っていうのが、2010年に出した3.5枚目の『CYPRESS GIRLS』(サイプレス ガールズ)というアルバムに収録の「BAND GIRL’S SPIRAL DAYS」という曲がありまして、その曲の原型が「海になりたい part.1」なんですね。その「BAND GIRL’S SPIRAL DAYS」の男の子版を作ろうと思って今回作り始めたのが最初だったんです。 でも、なんかこう、歌詞とかを考えて作っているうちに、当たり前なんですけど、歌詞なので架空のお話といえばお話なんですが、ただの架空のお話を書くっていうのが今の自分のモードに合わなくて。というのも、3分半のすごい短い曲なので、そこの中で色んな背景を説明して書くにはどうしてもストロークが短すぎるのであまり適してないなと。だから構造上、お話でありながらも、ちゃんと自分の現在と重なっているものじゃないといけないなという思いに至りました。ただ、それに気づいた段階からめちゃくちゃ悩んじゃったんですけど(笑) 終わらない片思いをしている「男の子」と、音楽に対して終わらない追求をしている「自分」 小出祐介さん 俺って制作を本当にしんどいなと思うタイプなんですよね、なんで俺は毎回こんなことを書かなきゃいけないんだろう…って悩みながら朝までかかってる。それでもやめないのは自分がまだ理想の音楽なのか、形にしたいパーフェクトな表現なのか、「これが俺の人生最後の一曲だ」みたいな分かんないですけど、何かに辿り着きたくて毎回頑張ってるんですよね。でも、それって恐らく年齢重ねるごとに、成長していくごとに、ゴールって変化しちゃうんで、終わんないんですよね。終わんないそれというのが、曲という世界の中で終わらない片思いをしている「男の子」と、現実世界で自分が音楽に対して終わらない追求をしている。それを重ねてみたら、上手いこと曲になるんじゃないかって。 小出祐介さん 「海になりたい」というフレーズはこれまでも2度使っているんですけど、それから何回もpart3にあたるようなものは作ろうとしていたくらい気に入っていたフレーズで。「海になりたい」って、あんまり意味わかんないじゃないですか。何を指しているのかわからないっていうか。でも、何を指しているかわかんないけど、自分のうまく言語化できない感情だったりとか、うまく言語化できない言語というのを表現しているフレーズだと思っていて。歌詞にも出てきますけど、「心象風景」でしかないんですよね、「海になりたい」という感覚自体が。すごく曖昧だけど、自分にとっては「こう言うしかない」っていうワンフレーズなので。それが今回、こういうタイミングでうまくハマったというのは、一か月近く歌詞を悩んだ甲斐あったなと思いましたね。 ――私も聞かせていただいたのですが、歌詞にもある“サイダー”のように爽やかで、思わず青春時代を思い出してしまう一曲でした。今作の聴きどころ・ぜひ注目して聴いてほしいところなどあれば教えてください。 小出祐介さん サビのコーラスが良いんですよね。関根さん(Ba./Cho.)が考えたんですけど。良いコーラスラインで、よく思いついたなって。歌入れの順番は大体僕がやって、その間、歌詞とかが上がるのが歌入れの当日なんで(笑)関根さんは歌詞を知らずにとりあえずコーラスラインを考えていて、レコーディングの時に初めてそれが入るんですけど。デカめに音量を出したくなる、素晴らしいコーラスラインでした。 海の一番の思い出は、幼少期に行った「ハワイの海」 ――小出さん自身は「海になりたい」と思いますか? 小出祐介さん うーん(笑)ただ僕、全然泳げないので。海に行ったら行ったで何か怖いんですよね。だからきっと恐らく、現実の海がすごい好きってわけじゃないんだと思います。「海」に関して思い出してみると、溺れかけて怖かったということとかで。子供の頃、ハワイの潜水艦ツアーに行ったんですよ。潜水艦に乗る場所が海の真ん中で、そこまで船で行くんです。潜水艦までのその船が、むっちゃくちゃ揺れて、それで完全に船酔いしちゃって。妹は当時小さかったんですけど、もうダウンしちゃって。潜水艦に乗る前に妹と、父、母はもう帰っちゃったんですよ。おじいちゃんとおばあちゃんと僕だけで行ったんです。 ――強いですね(笑) 小出祐介さん いや僕もダメだったんですよ。でも、なんとか乗って。潜水艦の閉塞感ってすごくて、かつ船酔いが全然持続するんですよね。おばあちゃんに「しんどい…」ってずっと言いながら乗って、ハワイの海をずっと行くと旧日本軍の沈んだ飛行機とか、綺麗な魚がワアってなってて。でも「綺麗だな」っていうのと、死にそうに船酔いしてる自分の気持ちが戦ってて。それでおばあちゃんに「なんでこんなに船酔いしてるんだろう」って言ったら、「日本人だから、体ちっちゃくて酔っちゃうんだよ」って。「日本人だからか」ってチラッと横を見たら白人のおじちゃんが思いっきり吐いてました。海の一番の思い出はこれです(笑) ――ええ(笑) 小出祐介さん (笑)だからあんまり現実的に海になりたいって訳ではないですね。 音楽へのリスペクトと、文学へのリスペクト ――ベボベといえば文学的で叙情的な歌詞が印象的ですが、普段どんなところからインスピレーションを受けられますか?意識してインプットしていることなどありましたら、教えてください。 小出祐介さん いま「文学的」とおっしゃっていただいたのに対抗する訳じゃないんですけど、もう「文学的」って言われるのが本当に嫌だなと思っていて。 ――え! 小出祐介さん あ、今、悪いと思ったわけじゃないですよ。日頃から「文学的だって言ってくれるな」と思っていたんです。なぜかというと、自分が文学とか文芸に対するリスペクトが強いから、申し訳ないというか。だから、今作に「歪む文学」というフレーズをあえて使ったんです、「文学」という言葉を。それを入れたら「文学的だ」って言われないかなと思ったら今言われたんで、ちょっとびっくりして… ――すみません(笑)今作じゃなく、これまでのことで… 小出祐介さん これまでですよね(笑)インスピレーションというと、得ようとしてした訳ではないんですけど、頭回転させるために結構本を読んでいます。最近読んだのは「ペンギン・ブックスが選んだ日本の名短篇29」(新潮社)という本がありまして、村上春樹さんが解説してるんです。でも僕、村上春樹さんの作品を読んだことはないんですよ。「アンダーグランド」っていう地下鉄サリン事件の被害者の方と、加害者の方にインタビューするという本は読んだことがあるんですけど、文芸作品は読んだことがなくて。だから村上春樹さん自体は全然知らないんですけど、ただ文章めちゃくちゃ上手いっていうのは知ってて。あと、何か解説するのもめちゃくちゃ上手い。なので、村上さんの翻訳した作品は結構読んでいます。この本は、村上さんが解説したとあって「絶対面白いな」と思いました。それを読んだところ、三島由紀夫の『憂国』という作品が載ってまして。多分、20年ぶりくらい前に『憂国』を読んだことがあって、お話はすごいなとは思ったんですけど文章の凄さはいまいち分かってませんでした。でも今読んだら、もう本当に凄くて、文章が。言葉の節回し一つ取ってもすごいですし、お話の壮絶さはもちろんなんですけど、比喩表現とか、一つ一つの場面描写・心情描写が。作中で登場人物が最後切腹するんですけども、のちに三島由紀夫も切腹してるじゃないですか。切腹する前に、こんな切腹の描写できんの?っていうほどの描写がされていたりとか、本当に凄すぎた。 それを読んだあとだったから、なおさら僕の歌詞など文学的だと言ってくれるなと思ったので。だから今回、歌詞に「文学」という言葉をあえて使ったのは、自分を文学的だと言ってくれるのは申し訳ないから、恥ずかしいからというのが1つと、あとは同時に自分が音楽やっているとか、これだけ悩んで歌詞書いているっていうことは同時に音楽へのリスペクトもそうだし、文学とか文芸へのリスペクトもそれだけあるからっていうこと。自分は文学をやっている人間ではないと思っているんですけど、その肌の表面にかすむことが出来たらな/pink>と思っています。 メンバーと演奏して曲を作る、どんなもんでも楽しかった ――2020年に『LIVE IN LIVE~IN YOUR HOME~』という仮想ライブ企画を行うなど、コロナ禍においても新たな音楽活動の形を追求し続けていると感じました。今回、楽曲制作の面で、コロナ禍以前と現在とで、心境の変化はございましたか? 小出祐介さん 今ってデータのやり取りで曲作っていくことって全然できますし、実際うちの制作というのも最終的にはデータのやり取りでデモを作っていくんですけど、それに至るまでのプロセス――リハーサルスタジオで音出して曲作るみたいな。それを今回の制作というか、前作のアルバム『DIARY KEY』に入った「ドライブ」という曲が最初の配信シングルになったんですけど、それを作るときにスタジオにメンバーと入って、メンバーと色々曲を作ったり、ああだこうだ言いながら演奏するみたいな、それ自体が…なんせ2020年はメンバーに4か月直接会ってないというのもあったんで。やっぱりどんなもんでも楽しかったんですよね。リハーサルやれるだけで楽しいみたいなのがあって。それから1年、2年経って、2020年よりはライブだとか活動したりだとか増えてはきましたけど、やっぱり演奏する一個一個の機会が貴重だと。そして、それが楽しいっていう感覚を持ってまして。だから、今回もその演奏する体感というか、手ごたえというか、感触とかを大事にしましたね。三人で演奏しているときにそれぞれが良い感触になるまで自分たちのパートを調節・修正して、みたいなことが出来ましたね。 ――なるほど。今回、編曲がBase Ball Bearとなっているんですが、音作りやフレーズなどはそれぞれで考えられたんですか? 小出祐介さん 基本はスタジオで全員で曲を演奏しながら組んでいくので。全体をこういう風にああいう風にしてくれっていうのは僕からオーダーしてっていうのはあるんですけど、ここのフレーズはこうしてみたらどうかという提案は二人からもらって、少しずつ丁寧に大枠決めて、そのあとディテールを詰めていくっていう感じです。 next 三度目の「武道館公演」、前回から10年間を振り返って 三度目の「武道館公演」、前回から10年間を振り返って ――武道館公演おめでとうございます。これまでに日本武道館でのワンマン・ライヴを2度行われていますが、前回の武道館公演から約10年、振り返ってあらためて感じることは? 小出祐介さん この10年はそうですね、前回は2012年なんで…タイミングとしては4枚目のアルバム『新呼吸』出したときですかね。その流れであった武道館なんですけど、それぐらいの時が一番ライブに関して迷子だった時期で。そもそも2010年の1回目の武道館のライブというのが、自分たち、とくに自分なんですけど、「武道館やってやったぞ」という感覚というよりかは、メジャーデビューした勢いの中で、そのレールの上に誰かが用意してくれたという感覚。だから、あんまり武道館やるということに対して感慨に浸ることもないまま迎えました。ただ、武道館のステージに立ってみたら自分が武道館ライブをやる器じゃないとその時に気づいてしまって。ライブ中にどんどん血の気が引いていくっていう感覚があったんですよね。それまで何となく勢いできちゃったけど、勢いで立ってみた結果、自分自身を信じられるほどの実力が伴っていないっていうのを感じたんです。武道館って真上に国旗がぶら下がっているんですけども、その国旗の下で、客席がすり鉢状になっているんで、ステージ上からだとお客さんが壁みたいに見えてくるんです。その壁を見てなんかこう、サーッと熱が引いていく感じがして・・・落ち込んでしかなかったですね、最初の頃は。 そこから二年間、2011年に東日本大震災があったりだとか、ちょうど自分たちの10周年ツアーと震災がぶつかってしまって、世の中のムードと被災地のこととか考えて「なんで俺らライブやってるんだろう」と思いながら、「でも俺らにはバンドしかない」とも思いながら、苦しみながらツアーを回って、そこで作ったのが『新呼吸』というアルバム。そこから二回目の武道館は、一回目よりも頑張ろうという気持ちで、「どうにか攻略してやる」というつもりで立った二回目でした。それでも終わってみたら、感想としては「武道館まだあるな」と。乗り越えるにはまだ何か必要だな、と。課題というか、自分たちの足らなさも感じた二回目でした。 そこから10年間の中で、2012年の直後とかはやっぱりライブ迷子で。もうライブを考えすぎて訳分かんなくなってる時期というか、そういう時期もありました。メンバーが一人抜けて三人になってまた一からというか、新しく何か積み立てを始めなきゃいけないということになり、周りのミュージシャン仲間とか先輩にいろいろサポートしていただいたりする中で、やっと自分たちの形が信じられるようになってきて、ずいぶん逞しくなったもんだなみたいな気持ちになってきた頃に、「20周年は武道館やりたいね」という話が自分たちの中で出てきまして。だから今回の武道館公演は、1、2回目の、どこかレールの上にぽっと湧いてきた武道館ではなく、自分たちが挑戦しようと思って開催するライブ。「やってやろう」という気持ちで臨もうと思っています。 大団円を締めくくってやるという気持ち ――今回の公演に向けて、意気込みを教えてください。 小出祐介さん 僕ら11月11日がバンド結成日で、武道館は11月10日で20周年イヤー最終日になるんですね。平日なんですけど、不幸にも(笑)なかなかこういう日程でスケジュール取れることあんまりないと思うので、20周年のこの1年の活動の大団円を締めくくってやるしかないなと思っております。全力で頑張りたいと思っております。 ——武道館公演を記念してライヴ映像YouTube無料配信も始まりましたね。私も10月4日の生配信、拝見させていただきました。武道館への期待がどんどん高まっていきますが、セットリストはもう組まれてますか? 小出祐介さん 半年くらいにはもうセットリストの土台は考えていました。今リハーサル中なので、細かく変わっていったりはしてるんですが、それくらい早くから準備し始めましたね。やっぱり準備はこの先の自分を裏切りませんから(笑)早く始めるのに超したことはないですね。 ――新曲も半年前から? 小出祐介さん 新曲は違いますね。新曲に関してはその段階では想定していなかったんですけど。 21年目は面白い作品を作って、遊びたい ――バンド結成から20周年を迎えられたということで、バンドも新章へ突入していくことと思いますが、これからどのような“Base Ball Bear”にしていきたいですか? 小出祐介さん 21年目——、来年2023年の展望としては、ざっくりですけど、やっぱりツアーはもうちょっとやりたいとは思ってるんですよね。やっぱりこの2年間、ツアーぼちぼちやらさせてもらえるようにはなりますけど、最大が8か所みたいな感じなので。以前は平気で20か所くらいはやっていましたから。もうずいぶん長らくいけていないエリアもあるんで、そういうところにも行きたいし、それがロックバンドやってる醍醐味だと思ってので。全国各地に行けるようにまたなりたいなと思ってます。作品に関しても、前作『DIARY KEY』と今回の曲で20年という部分を締めくくるには十分な作品を作れたと思ってるんで、次は結構遊びたいです。遊びを必死に堪えていたこの2年間のような気がするので(笑)面白い作品を作りたいと思っております。 最後にファンの皆様に向けて一言 ――最後に応援してくれるファンの皆様に一言、お願い致します! 小出祐介さん 20周年を支えていただいて、本当にありがとうございますという感謝と。“Base Ball Bear”は変化し続けてきたバンドなので、これからもファンの皆様をふるいにかけ続けると思うんですけど(笑)面白がっていただけたら幸いです。 Digital Single「海になりたい part.3」 2022.10.12 Release URL https://baseballbear.lnk.to/umininaritai3 20th Anniversary「(This Is The)Base Ball Bear part.3」 問い合わせ ディスクガレージ 050-5533-0888(平日12:00~15:00) 日程 11月10日(木) 会場 日本武道館 (東京都千代田区北の丸公園2-3) 時間 OPEN/18:00 START/19:00 料金 チケット料金/7700円 ※来場特典有り チケット販売はこちら e+ https://eplus.jp/bbb/ ローソンチケット https://l-tike.com/ チケットぴあ https://t.pia.jp/
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