2024.1.11thu
【抽選で当たる】松村北斗さん×上白石萌音さんがW主演を務める映画『夜明けのすべて』が公開!「オリジナル“夜明け”メモ(非売品)」を抽選で3名様にプレゼント
映画『夜明けのすべて』が、2024年2月9日(金)より公開します。
本作は、『そして、バトンは渡された』で2019年に本屋大賞を受賞した瀬尾まいこさんの原作小説を、『ケイコ 目を澄ませて』で数多くの賞を獲得し、国内外から絶賛を浴びた三宅唱監督が映画化。NHK連続テレビ小説「カムカムエヴリバディ」で夫婦役を演じた松村北斗さんと上白石萌音さんが、W主演を務めます。
“「出会うことができて、よかった」
人生は想像以上に大変だけど、光だってある―“
「PMS(月経前症候群)」と「パニック障害」という、お互いに悩みを抱える同僚同士の2人が、友達でも恋人でもない特別な関係を築いていく心情を、フィルムならではの温かさで届けます。
人生の様々な瞬間に、何度も思い出してしまうような作品をぜひ劇場で!
あらすじ
映画公開を記念して、「映画『夜明けのすべて』オリジナル“夜明け”メモ」を抽選で3名様にプレゼント!
▼ご応募は下記の応募フォームより
【応募締め切りは2024年1月22日(月)まで】
夜明けのすべて
- 公開日
- 2024年2月9日(金)
- 監督
- 三宅唱
- 出演
- 松村北斗 上白石萌音 (※W主演作品)
渋川清彦 芋生悠 藤間爽子 久保田磨希 足立智充
りょう 光石研
- 原作
- 瀬尾まいこ『夜明けのすべて』(水鈴社/文春文庫 刊)
- 脚本
- 和田清人、三宅唱
- 音楽
- Hi’Spec
- 製作
- 「夜明けのすべて」 製作委員会
- 配給
- バンダイナムコフィルムワークス=アスミック・エース
https://yoakenosubete-movie.asmik-ace.co.jp/
【大ヒット公開中】映画『キングダム2 遥かなる大地へ』の名古屋舞台挨拶に佐藤信介監督が登場!
実写化不可能とも言われていた大ヒット漫画を、邦画史上最大級のスケールで描き、エンターテインメント超大作として話題となった、2019 年 4 月 19 日(金)公開の映画『キングダム』。興行収入は 57.3 億円を突破、2019 年に公開された邦画実写作品で見事No.1 を獲得し、映画界に大きなインパクトを与えました。そして 2022年7月15日(金)から、続編の『キングダム2 遥かなる大地へ』が公開。7月19日(火)時点で動員観客数93万人、興行収入13.7億円を超えるいま最注目の作品です。 名古屋の舞台挨拶に佐藤信介監督が登壇 7月24日(日)に名古屋のミッドランドスクエア シネマで行われた舞台挨拶に、佐藤信介監督が登壇。制作の裏側や本作に込めた想いを語っていただきました。その様子をレポートしたいと思います。 ――名古屋はいつぶりですか? 佐藤監督 ちょうど1年ほど前に撮影で名古屋に来ていました。とても大きな通りを封鎖してかつてないレベルの撮影をさせてもらったり、その他の場所でも撮影させてもらったりと、長期間にわたって名古屋の皆さんにはご協力をいただきました。この場を借りて御礼申し上げます。 ――ご来場の方で、2~3回ご覧になった方もたくさんお見えになりました。お気持ちはいかがでしょうか? 佐藤監督 昨今暗い話題が多い中で、自分の気持ちを奮い立たせる、前を向ける映画を撮れたと思っています。元気をもらってくれたらうれしいです。 映画としてのオリジナリティ、この“世界”を生きているということが表現できた ――1作目から3年、今回は信の初陣となる蛇甘平原の戦いが描かれます。原作を忠実に再現していると思いましたが、どう作られたのでしょうか? 佐藤監督 原作には原作の、アニメにはアニメの、映画には映画の良さがあります。原作を大切にしてはいるけれども、映画には映画の良さを出していくために、いろんなカスタマイズを行いました。例えば(渋川さん演じる)縛虎申は、原作とちょっと違うと言われるけど、脚本を書いた時点から、我々の拡大解釈が進んでいく。自分たちの世界で映画がつくられていきます。映画としてのオリジナリティ、この“世界”を生きている、ということが表現できたんじゃないか、と思っています。 ――作者の原先生が、1に続いて2にも脚本で参加されていますね。 佐藤監督 脚本を見てもらって、キャラクターのセリフなどこうしたほうがいいんじゃないか、という戻しをしてもらったり、1では人間ドラマにしたかったので、最後の敵となる左慈を原先生のアイディアで“元将軍”というバックボーンを付け加えたりして、ご協力いただいています。 コロナ禍で、未だかつてやったことのない撮影スタイルを実施 ――前作2019年の公開から3年。前作では中国での撮影も行っていたといいますが、ちょうどコロナ禍になってしまいましたがどのように撮影していましたか? 佐藤監督 まず、絵コンテを作った後にアクションチームはキャストに身の危険がないように撮影するために、ビデオコンテを作っています。絵コンテとビデオコンテを準備したうえで、本番撮影に臨みました。当然、中国へ行くつもりで準備を進めていましたが、この日を過ぎるとビザが取れない、スケジュールも取れないなど、中国での撮影は無理だった。それでも中国での撮影はどうしても必須だったので、中国で絶対必要なシーン、日本でも撮影ができるシーン、っていうのを絵コンテで分けました。そこで、中国で撮影できるチームを編成し、劇中衣装などを中国へ送り、日本で撮影した素材をすぐに編集して中国へ送り、こういう場面のこういうシーンを撮影してほしい!と中国チームとリモートで打ち合わせをしながら現地での撮影を行った。未だかつてやったことのない撮影スタイルで実施したので、とても緻密な作業でした。 王騎に似せるのではなく、大沢たかおさんの持っている世界観でお願いしたかった ファンのお客さんからの質問にも特別に佐藤監督が全力で回答してくださいました。 お客さん 原作、アニメ、とある中で、映画のキャスティングはどうやって決めましたか? 佐藤監督 映画は常々この人にしたい!と思っても、スケジュールが取れなかったりしますが、この作品についてはかなり早い時期からキャスティングの検討ができたので、いい人を抑えられました。ただ、似ている人がいいのか、その人の世界がある人がいいのか、考えさせられます。王騎役は、大沢たかおさんにお願いしましたが、王騎に似せるのではなく、大沢たかおさんの持っている世界でお願いしたかった。撮影までにバルクアップをしてもらったことで、撮影に入る時点ではもう、王騎そのものになっていました。 ついつい“もう一回”って、粘って何度も撮影したシーン お客さん 麃公将軍と王騎将軍が二人で話す夕日のシーンがとても好きですが、監督の思いれのあるシーンはどこですか? 佐藤監督 あのシーンは、丘の上から戦場を見渡すところで撮影する予定だったので、使わない予定だったんですが、素晴らしい夕日が取れることが分かったので、急遽シーンを変更して撮影することにしたんです!でも、大沢さんのスケジュールが取れなくて1か月後にもう一度撮影することになって、あの体をキープしてもらって撮影できたんです!それでいうと、信と羌瘣の最後のシーンも、同じ夕日のシーンだけど、二人の撮影時は、粘りすぎて夕日が沈んでしまったり、曇ってしまったりで、なかなかできなくて。でも、お二人のスケジュールも無理くり空けてもらって三回目でようやく晴れていい撮影ができたので、ついつい“もう一回”って何度も撮影してしまいました(笑) “アクションシーンが圧巻”“大スクリーンで観るべき作品”と、SNS上でも口コミが広がり、賑わいを見せる『キングダム2 遥かなる大地へ』。前作よりスケールアップしたアクションや、仲間と共に戦うそれぞれの人間ドラマにも心震える本作となっています。老若男女問わず、熱く、前向きな気持ちになれること間違いなし。ぜひ劇場へ足を運んでみてください。 STORY 時は紀元前。春秋戦国時代、中華・西方の国「秦」。戦災孤児として育った信(山﨑)は、王弟のクーデターにより玉座を追われた若き王・嬴政(吉沢)に出会う。天下の大将軍になると一緒に誓いながらも死別した幼馴染の漂と、うり二つの国王に力を貸し、河了貂(橋本)や山の王・楊端和(長澤)と共に王宮内部に侵入する。信は、みごと内乱を鎮圧し、玉座を奪還することに成功した。その半年後、隣国「魏」が国境を越え侵攻を開始したと知らせが届き、秦国は国王嬴政の号令の下、魏討伐のため決戦の地・蛇甘平原に軍を起こす。歩兵として戦に向かうことになった信は、その道中、同郷の尾平(岡山)と尾到(三浦)と再会。戦績もない信は、尾兄弟に加え、残り者の頼りない伍長・澤圭(濱津)と、子どものような風貌に哀しい目をした羌瘣(清野)と最弱の伍(五人組)を組むことになってしまう。魏の総大将は、かつての秦の六大将軍に並ぶと噂される軍略に優れた戦の天才・呉慶将軍(小澤)。かたや秦の総大将は戦と酒に明け暮れる猪突猛進の豪将・藨公将軍(豊川)。信たちが戦場に着く頃には、有利とされる丘を魏軍に占拠され、完全に後れを取った秦軍だったが、信が配属された隊を指揮する縛虎申(渋川)は、無謀ともいえる突撃命令を下す。 キングダム2 遥かなる大地へ ミッドランドスクエア シネマ他で大ヒット公開中! 監督 / 佐藤信介 脚本 / 黒岩勉、原泰久 原作 / 原泰久「キングダム」(集英社「週刊ヤングジャンプ」連載) 出演 / 山﨑賢人、吉沢亮、橋本環奈、清野菜名、豊川悦司 他 主題歌 / Mr.Children 「生きろ」( TOY’S FACTORY) 公式サイト / https://kingdom-the-movie.jp/ ©原泰久/集英社 ©2022 映画「キングダム」製作委員会 ※掲載内容は2022年8月時点の情報です。 ※新型コロナウイルスや天候の影響で、開催予定のイベントは、中止・変更になる場合があります。主催者の公式サイト・SNSで事前に確認して、おでかけください。
【大ヒット公開中!】映画『死刑にいたる病』白石和彌監督と主演の阿部サダヲさんにインタビュー!
5月6日(金)より公開中の映画『死刑にいたる病』。映画『孤狼の血』、『孤狼の血 LEVEL2』の白石和彌監督がメガホンをとり、阿部サダヲさん×岡田健史さんがW主演を務めた最新作です。櫛木理宇さんの同名小説を実写映画化したサイコサスペンスで、世間を震撼させた連続殺人鬼・榛村から一件の冤罪証明を依頼され、鬱屈した日々を送る大学生・筧井が真相を明かしていく姿が描かれています。 24件の殺人容疑で逮捕される、日本犯罪史上類をみない数の若者を殺した連続殺人鬼・榛村大和を演じるのは、映画『彼女がその名を知らない鳥たち』以来のタッグとなる阿部サダヲさん。収監されている榛村の元に通い事件の真相に迫る筧井雅也には、ドラマ『中学聖日記』で衝撃のデビューを果たして以来話題作への出演が続く注目の若手俳優・岡田健史さん。 今回は、白石和彌監督と主演の阿部サダヲさんに、製作の裏側や本作に込めた想いをインタビューしてきました! 榛村大和というキャラクターと物語の展開が圧倒的に面白く、チャレンジせざるを得ない作品 ――櫛木理宇さんの同名小説を映画化するにあたり、どのような思いがありましたか? 白石監督 映画『凶悪』と入口が似ているので、難しいなと原作を読んで思いました。でも、榛村大和というキャラクターが圧倒的に面白いのと、物語の展開もとにかく面白くて、面会室をどうするか問題はありましたが、これはチャレンジせざるを得ないなと感じました。『凶悪』の時の面会室は2方向から撮影して、ひたすら単純に切り替えしていく手法にしたので、今回は逆に何でもやろうと舵をきれたのも面白かったかなと思います。 ――シリアルキラーの話なので、凄惨なシーンなども監督のさじ加減ですごくなると思いますが、監督の中でそのあたりのさじ加減はいかがでしょうか? 白石監督 さじ加減が麻痺しちゃっています(笑)。この前も「こういう描写が好きなんですか?」って言われて、好きなわけではなくて、こういう描写を撮るために監督になったわけでもないです(笑)。みんなの話を聞きながら、ある程度必要そうなシーンは撮影しておいて、あとは編集してみんなに見てもらったりして、加減していきました。 ――原作はどれぐらいまで描写があったのでしょうか? 白石監督 原作には映画で入れたかった魅力的なエピソードや描写がもっとたくさんありました。佐村弁護士が途中で榛村の学生時代の事件について話すシーンで事件を描きましたが、実はもう1シーンあったんですよ。それはちょっと酷すぎるので、削りました。 普通の人がおまけに人を殺しているような感じが一番いいんじゃないかな ――得体の知れないキャラクターだなと思って観させていただきましたが、シリアルキラーを演じるにあたって阿部さんの中で何かプランはありましたか? 阿部さん プランは立てないほうが良いんじゃないかな、普通に見えたほうが良いかなと思って、普通の人ですよね。普通の人がおまけに人を殺しているような感じが一番いいんじゃないかなって思いました。 ――近づいて信頼関係を築いてからの裏切る時の目が得体の知れないもので…監督の演出などもあったのでしょうか? 阿部さん 細かい演出はなかったですけど、監督も榛村大和のような感じなので(笑)監督の言うことを聞いていたら大丈夫でした。 ――あの目をする時のモードとかってあるんですか? 阿部さん 舞台挨拶の時も言いましたが、『彼女がその名を知らない鳥たち』の目がという話で、説明が難しいですが・・・ 白石監督 『彼女がその名を知らない鳥たち』の演出の時に「5分前に人を殺した目をしてください」って言ったんですけど、改めて見ると、まあまあそういう目をしているなと思いました(笑)。 阿部さん そうですね。これでしょ、監督!って、ことなんですかね(笑)。 白石監督 どっかで何人も殺しているんだというようなフィルターもあるから、榛村が自然とレジを通過するだけでも不穏な感じになるんで、普通に会話しているだけでも全セリフがこの人いま狙ってるんだなと、そう見えるんでしょうけど、そう思わせるのも阿部さんの力で、そこはもう監督から手が離れているものなので、すごいなと思いました。 ――この役を受けるにあたり、一度は役者としてやってみたかった役という話がありましたが、凄惨なシーンの撮影での心境はいかがでしたでしょうか? 阿部さん すごくフラットな感じでした(笑)。これから怖くなるぞとか、そういうことは考えていなくて、普段通りでした。被害に遭っている人たちの演技がすごく良かったので、それは助けられました。演技されるみなさんも辛そうではなくて、「こういう役はなかなかできないから、楽しかったです!」っていう感じで楽しんで帰っていくので、フラットにできましたね。 白石監督 さっきの舞台挨拶では、中山さんの「50/50」の曲が流れていたとも言っていましたよね(笑)。 ――撮影の現場ではとても良い雰囲気で進んでいたとのことですが、ここが大変だったなど、共演者の方とのエピソードがあったら教えてください。 阿部さん 僕は本当に大変なシーンはなかったかと思います。根津かおるさん役の佐藤さんが大変だったと思います。特殊メイクもあったりして。そういう意味では、僕は本当に日常のお芝居だったので、全然苦労というのはなかったですね。 白石監督 このへんから出す道具の順番とかね(笑)。 阿部さん そうですね。燻製小屋に武器がいっぱいあるんですよ。 白石監督 何に使っているかわからないスパナとかね(笑)。 阿部さん 監督のアイデアがいっぱい詰まっていますね。そういうのも面白いなと思ってやっていました。看守さんを僕のほうに巻き込んだような会話、『赤毛のアン』を娘さんにあげたとか、現場で思いついてやっていましたね。そこにリアリティがあって、あの一瞬でわかりますもんね。あの看守も取り込まれたんだって(笑)。 ――岡田さんとは野球をやっていたような話は出ませんでしたか? 阿部さん あちらがすごい強豪校で、僕らは一回戦で負けたというような話はしていました(笑)。強いんですよね。キャッチャーでしたよね。だから、カーブとか大嫌いだったんじゃないかなと思います。 白石監督 意志の強さがないと強豪校で野球やれないよなっていう感じはありますよね。 撮っても撮っても掴みきれない阿部さんと、とにかく真面目でストイックな岡田さん ――本作を通して改めて、主演を演じました阿部さんと岡田さんの俳優さんとしての魅力を教えてください。 白石監督 阿部さんに関しては2作品目で、『彼女がその名を知らない鳥たち』の時もやっぱり圧倒されて、阿部さんのお芝居の深みを撮り切ったと思ったけど、やっぱり阿部さんのほんの一部分しか撮れていないなと思うことがあるんですよね。今回こそそれをもうちょっと撮り切ろうと思いましたが、終わってみると、全然一部しか撮れていないなと思いました。その撮っても撮っても阿部さんを掴みきれない感じが、榛村大和というキャラクターの見え方と、僕の思う阿部さんの見え方と僕の中に少しシンクロする部分があって、それがとんでもない魅力で、演出家や監督が阿部さんと仕事したいと思う魅力なんじゃないかなと思いますね。 岡田くんは、とにかく真面目でストイックで曲がったことが嫌いで、何より「こういう作品に出たかったんです。僕は本当にいま何に変えても芝居をしたいです」という気持ちをストレートに投げかけてくれる人でした。もちろん、岡田くんの芝居に助けられたこともありますし、最終的には、面会室で全部受け止めた阿部さんと、いい感じで2人のセッションが撮れたのかなと思います。 ――会話で印象に残る言葉もたくさん散りばめられていました。特に「BLTO」という言葉ですが、“「BLTO」って言ってごらん”って雅也に言わせるシーンがとっても怖いなと思いました。ちなみに、雅也と同じように鬱屈した時代など、お二人にもありましたか? 白石監督 鬱屈しっぱなしですよ。生まれてもう翌日ぐらいから鬱屈してますよ(笑)。何をやってもうまくいかないし、鬱屈しかしてなかったですね。今は本当に映画をこうやって撮れるようになって、いろんな人と仕事をさせていただいているので、スタッフやキャストのみんなに感謝しながら過ごしています。でも世の中が良くなっているのかと言うと、決して良くなっているとは思えないし、映画界も良くなっているかと言うと、決して良くなっていないし、そういうことに関しては当然鬱屈を抱えながらもなんとかしたいなと思いながら、自分が撮った映画ももう少しこうやっていたらうまくいったのかなとか、後から気づいたりとか、日々戦いながら生きているって感じです。 阿部さん 大変じゃないですか!だからBLTOとか思いつくんですよね、あれは面白かった。確か、雅也の子役の子がなんか間違えたんですよ。Bはベーコン、Lはレタス、何か1個間違えて、そこから始まって面白くなっていったと思います。「BLTO」って言ってごらん?って・・・(笑)怖かったですよね(笑)。 僕は芝居を始める前ですね。岡本健一さんが床に寝そべって、背中で過ごしている作品があるんですけど、僕もそうやって生きている時期がありました。部屋の中を背中を使って動いて「何になろうかな」と考えていて、それを壁に逆さまに書いていた頃がありました。実家に帰ると家にそれがいまだにあります。ちょっとぞっとしますよね(笑)。そういう時期がありましたね。本当に芝居始めて良かったです。 リアルな場所で苦労しながら撮ることが、実は映画にとって重要 ――面会室のシーンが最初から最後に向かって中の雰囲気が変わったり、面白い画がたくさんありました。面会室での撮影にこだわられた部分など、注目のポイントなどありますでしょうか? 白石監督 いろいろと試行していますが、結局は阿部さんと岡田さんのお芝居の強さに何をやっても助けられました。お芝居やタイミングに本当に助けてもらって、結果何もしないほうが一番強いなと思った部分は編集でなくしたりしました。 ――面会するシーンで、非常に狭い場所だったかと思いますが、どうやって撮影されたのでしょうか。 白石監督 圧迫感ある空間を撮るのは得意なんです。映画のセットは狭く映すことも可能で、例えば、6畳の部屋を4畳半に見立てて撮影することもできます。そういう時もありますが、美術の今村さんに「普通には撮影できるけど、それだと4畳半の空気感には絶対にならない。やっぱり狭い所は狭く作り込んで、邪魔だってなりながら、カメラの置き場にも困りながら、なんとかかんとかして成立させた、そういうごちゃごちゃとした感覚が画に映る」って言われたことがあり、僕も無理に広い所では絶対やらないようにしています。3畳の部屋のシーンがあったら3畳で撮る、そこで苦労しながら撮ることが実は映画って重要なんだなって思っています。これに関しては染みついているので、その中でどう撮るかという方法もいろいろ確立したりして、そういうことを肝に銘じてめんどくさいこともあえてやっています。 ――燻製小屋自体は元々あった建物ですか? 白石監督 元々あったのは、水門と紅茶を飲んでいた母屋だけで、あれは実は売家なんです。阿部さんにぜひ買って住んでもらいたいんですけど(笑)。燻製小屋は、広く作ったつもりでしたが、焼却炉を入れたりして結果かなり狭くなりました。母屋と水路の奥に、僕らが大好きな鉄塔があったりと、素晴らしいロケーションで。ここを見つけられたから、大和の造形がすごく広がっていきました。そういうところから発想することが多いので、土地にも助けられました。 ――もともと違う場所で探していたんですよね? 白石監督 延期する前は信州で探していましたが、思った所がなかなか見つからなく、緊急事態宣言の影響もあり、もう少し東京から近い地域で探したという経緯もあります。 ――キャストの表情も魅力的で、記憶に残る映画になりました。そういったものは意図して撮影しているのでしょうか。 白石監督 意図して撮っていると言えば、撮っていますが、こんな顔をしてくれって言うことはあまりなく、こんなシーンにしたいとは話していきますが、みなさんプロですから、僕が思う以上の表情をしてくださいますし、そこを的確にどこを取り込んでいくかを考えていく、そういうことの繰り返しです。 三重県出身の宮﨑優さんは、撮影現場に2時間くらい前に入るほどすごく頑張り屋さん ――三重県出身の宮﨑優さんも大切な役どころだったと思いますが、キャスティングされた理由を教えてください。 白石監督 オーディションですね。宮﨑さんには失礼になってしまうかもですが、この役はまだ名前があまり出ていない人っていうのが重要な要素の一つでもありました。彼女はまだ映画にもそんなに出ていなくて、挙動不審な感じと言いますか、どう私はこの映画に関わっていったらいいんだろうという立居振る舞いの感じが灯里って役にいいなと思いました。すごく頑張り屋さんで、撮影現場に2時間くらい前に入って一言のセリフでも何度も練習したりしていました。すごく感性豊かな子なので、これからも面白い俳優さんになるんじゃないかなと思います。 最初と最後の同じシーンでも観る前と観た後でがらりと印象が変わる本作に衝撃を受けました。細かい部分までこだわり抜かれた映像表現ならではの工夫にも注目です。阿部さん演じる榛村大和とは一体どういう人物なのか。ラストに待ち受ける本当の真実とは―。ぜひ、劇場でご覧ください。 映画『死刑にいたる病』 ミッドランドスクエア シネマ他で大ヒット上映中! 監督白石和彌 脚本高田亮 原作櫛木理宇「死刑にいたる病」(ハヤカワ文庫刊) 出演阿部サダヲ、岡田健史、岩田剛典、宮﨑優、鈴木卓爾、佐藤玲、赤ペン瀧川、大下ヒロト、吉澤健、音尾琢真、中山美穂 他 PG-12 公式サイトhttps://siy-movie.com/ ©2022 映画「死刑にいたる病」製作委員会 ※掲載内容は2022年4月時点の情報です。 ※新型コロナウイルスや天候の影響で、開催予定のイベントは、中止・変更になる場合があります。主催者の公式サイト・SNSで事前に確認して、おでかけください。
【絶賛公開中】カンヌ映画祭で2冠!映画『怪物』是枝裕和監督にインタビュー
監督・是枝裕和さん、脚本・坂元裕二さんによる映画『怪物』。カンヌ国際映画祭コンペティション部門で「脚本賞」ならびに、日本映画初の「クィア・パルム賞」を受賞するなど、今最も注目が集まっている作品です! 今回、編集部では、カンヌに滞在中の是枝監督にリモートインタビューを行いました!以前より、ファンだったという坂元裕二さんについて、『怪物』の制作秘話など、詳しくお聞きしました。 ※取材日は2023年5月24日 さらに、映画の公開を記念して、映画『怪物』オリジナルトートバッグを抽選で3名様にプレゼント! ※応募フォームは記事の最後に記載しております。 カンヌに滞在中の是枝監督 尊敬する脚本家・坂本裕二さんに対する想い ――是枝監督は、かねてより坂元裕二さんをリスペクトされていたとお聞きしました。今回、念願のコラボレーションとなりましたが、これまで抱いていたイメージや、コラボを経て改めて感じた坂元さんの脚本の魅力を教えていただけますでしょうか。 僕が書く脚本は、「スライス・オブ・ライフ」というか、日常の一コマを切り取って照らすような作品が多いんですが、今回の映画は、先へ先へ引っ張っていくストーリーラインが強いところがとても力強くて魅力的だと感じました。これまでも、自分と同じモチーフを持っていて、違う角度から表現している作り手だと思っていたんですが、僕は、基本的に“何かが起きた”あとのアフターを描くことが多くて。今回の作品は“何かが起きそう”なビフォアの時間を描いていて、「なるほどな」とすごく勉強になりました。次回、脚本を書くときにはこのテクニックを盗もうと思っております(笑)。 ――坂元さんの脚本の素晴らしさに気付いた・出会った作品はなんでしたか? もちろん、90年代に書かれていたラブストーリーなどの脚本も面白いと感じて見てましたが、改めて“おっ”と思ったのは、ドラマ『わたしたちの教科書』(2007年放送)ですね。その後の、ドラマ『それでも、生きてゆく』(2011年放送)が決定的で。あのドラマは、20年に一本のものだと思っております。90年代に国民的ラブストーリーを書いていた作家が書いたのか、と。被害者と加害者という関係で、こんなふうにラブストーリーが成立するのか、というところに本当に脱帽でした。そこからもう作られていくものをずっと追いかけている、ただのファンです。 ――『怪物』が始まる前、自分が書く人物に飽きてきたとお聞きしました。 やっぱりどうしても自分が書ける人物像・物語が固定化してきたという気をしていたので、もう一回解体して組み立てなおそうと。組み立てなおすからには、何か違う遺伝子を入れなきゃいけないので、海外でやってみたりということも繰り返しながら模索していこうかなと思っていました。 ――“登場人物それぞれの視点”がとても重要となる今作を、演出の面で意識したことはなんですか?特に、瑛太さんが演じた保利視点が気になります…。 “ギリギリを攻める”という感じですかね。そもそも坂元さんの脚本がギリギリを攻めているので、やりすぎないところでどう留めるかっていうのは意識しました。ただ、安藤サクラさんが演じるサオリの視点では、異様に見えていたほうがいいので、観ている人に「なんだこの人は」って思われながらも、「まあ、ギリギリありえるかな」というラインを探っていました。 僕もですけど、保利を演じる瑛太さんもそれを十分わかった上で、「やりすぎてたら言ってください」って言ってくれて。ですが、今回も、役者たちから出てきたものを、そんなに修正していません。瑛太さんは特に、坂元さんの脚本への理解力がとても高くて。坂元さんは「瑛太だったらこういう芝居をするだろうな」とピンポイントで書いていて、瑛太さんも「こういう芝居を求められてるんだろうな」とピンポイントで演じられているという印象でした。 次のページ… タイトルが決まったのは“撮影直前”!? タイトルが決まったのは“撮影直前” ――映画を観終わったあと、「怪物」というタイトルがずっしりと心に響きました。脚本の形ができている状態で、是枝監督のもとに届いたとお聞きしているんですけども、このタイトルも既に決まっていたものなんでしょうか? 僕がもらった段階でのプロットでは、別のタイトルがついていました。「怪物」と最終的に決まったのは、撮影直前ですね。 ――そうだったんですね!どうやって決められたのでしょう? 僕の記憶では、僕が提案したと思ってます。坂元さんの中で“怪物”と決めるのに、躊躇いがあったみたいで、ずっと“怪物”のあとに(仮)がついていて。 最終的に、企画・プロデュースの川村元気さんと僕で、説得じゃないですけど、「怪物がいいですよ」って言って、「じゃあそれで」と。 そこから、インディアンポーカーをしながら「怪物だーれだ」というシーンを坂元さんが書いてくれたりとか、ディテールの書き込みをしていただいて。その段階ではもう「怪物」がしっくりくるようになってましたね。それまでに何度もタイトルが変わったりもしていました。 予告編では、「怪物だーれだ」と言いながら湊と依里がインディアンポーカーで遊んでいる様子が印象深い 次のページ… 「一緒に聴いてくれている、そんな気持ちになりました」故・坂本龍一さんとのやりとり 「一緒に聴いてくれている、そんな気持ちになりました」故・坂本龍一さんとのやりとり ――川村元気さんとは、『舞妓さんちのまかないさん』でもご一緒されてたと思うんですが、今回の作品に川村さんが加わったことによる影響はございますか? もともと、実は『怪物』の制作が先で、コロナ禍の影響で一旦ストップになっちゃったんです。それで、再開するまでに川村さんから「何かドラマやりませんか?」と声をかけていただき、『舞妓さんちのまかないさん』が始まりました。最初、僕の周りの人たちは、大丈夫なのか?って感じで(笑)“水と油”なんじゃないかって。でも、意外とうまくいきましたね。何でかはよく分かってないんですけど。 いつもプロデューサーに意見をもらって修正していく作業をしているんですが、川村さんの意見って、非常に細かいんです。「このシーンのカット尻、1秒半短くしたほうがいい」だとか。“うるせえよ”って(笑) そこは監督の領分だろっていうところに踏み込んだ感想が届くので、見ないんですけど。見ないまま、自分で直したあとに一応確認しとくと、八割くらい同じなんですよね。そういう価値観を共有してるんだなと思いました。だから、腹が立ったり、カチンとくることとか、なかった。そういう意味でも、良い関係をつくれたと思ってます。 ――今回、音楽を坂本龍一さんが担当されました。オリジナルで2曲作っていただいて、あとは既存曲を使用されたとのことですが、坂本さんとどのようなやりとりを行なわれましたか? 病状のことも聞いていたので、負担になるのは申し訳ないと思いながら、坂本さんに頼めないのであれば、今回、音楽はなしにして、音楽室に響く音だけで押し切ろうと思ってたんです。でも、どうしても、夜の湖のシーンには、坂本さんの曲を入れたくて。 撮影後、編集したものに坂本さんの既存曲を当てて、お手紙を添えて届けました。返事もこない覚悟でいたんですが、すぐにお手紙が届いて。「とても面白かったです。お引き受けします」と。「ただ、映画全体の音楽を作る体力が残っていないので難しいのですが、観終わってイメージできたものが1、2曲あるので、まずそれを形にしてみますので、できたらお渡しします」という手紙でした。 音源が届いて、ドキドキしながらそれを当てて。残りの曲は、昨年発表されたアルバム『12』から使用してもいいとのことだったので、そこから選ばせていただきました。 仮当ての段階から、最後の子どもたちのシーンには“この曲を”と思っていた曲があったんです。2人の気持ちに寄り添って、2人の未来を祝福するような曲だと思っていて。カンヌ上映の時、最後にあの曲が会場に流れてエンドロールが始まったとき、「あぁよかったな」と思いました。あの場には居ていただけませんでしたが、一緒に聴いてくれている、そんな気持ちになりました。 次のページ… 「日常の至るところで姿を出す“怪物”を表現しよう」 「日常の至るところで姿を出す“怪物”を表現しよう」 ――「いじめ」や「モラハラ」などの社会問題が描かれていますが、このテーマを扱うにあたって、どのようなことを意識されましたか? 最初にもらったプロットの段階で、「攻めているな」と思って、逃げずにちゃんと向き合わなければいけないと。色々調査をしたり、勉強会を開いたりもしました。ただ、学校で起きる事件だけれど、学校批判ではないと感じて。この映画は、組織というものが持つ、個人に対しての抑圧だったり、暴力性だったりを伝えるものだと思ったので、そこを踏まえた上で、きちんと描写していこうと。組織や親の心など、日常の至るところで姿を出す“怪物”を表現しようという意識ではいました。 ――物語の中心となる2人の少年を演じる黒川想矢くんと柊木陽太くんはオーディションで選出されたとのことですが、どこが決め手となりましたか? 子役はいつも直感なんです。ただ、タイプの違う二人を選ぼうとは思っていました。色んな組み合わせで見てみても、あの2人の役割や雰囲気にスタッフも満場一致だったと思います。僕も迷わなかったです。 個人的には黒川くんの横顔のラインが好きだったのと、柊木くんに関していうと、役柄に求めている達観した感じというか、人生3週目のような感じが好きでした。 ――「カンヌ国際映画祭」にも出品されたということで、現地での反応はいかがでしたか? 前回もそうでしたが、街中歩いてると、観た方々から声をかけてもらえるんですよね。それもカンヌのいいところだな、と。あとは、やっぱり子役の2人を誉めてもらえることも多くて、「あの2人は最後どうなったんだ?」っていう質問も結構多いです(笑) 観終わった方々の表情も晴れやかで、良かったです。今回、作品に携わった制作スタッフがたくさん来てくれて、皆もうれしそうでしたね。 ――ありがとうございました! 今回、映画の公開を記念して『怪物』オリジナルトートバッグ(非売品)を3名様にプレゼント! ▼ご応募は下記の応募フォームより 【応募締め切りは2023年6月30日(金)まで】 映画『怪物』 公開日 ミッドランドスクエア シネマ他で絶賛公開中! 監督・編集 是枝裕和 脚本 坂元裕二 音楽 坂本龍一 出演 安藤サクラ 永山瑛太 黒川想矢 柊木陽太 高畑充希 角田晃広 中村獅童 田中裕子 STORY シングルマザーの早織は、息子の湊と大きな湖のある町に暮らしている。湊は同級生の依里と仲が良く、子供たちは自然の中で穏やかな日常を過ごしていたが、ある日学校で喧嘩が起きる。双方の言い分は食い違い、大人やメディアを巻きこむ騒動に発展していく。いったい 「怪物」 とは何か。 登場人物それぞれの視線を通した 「怪物」探しの果てに、 私たちは何を見るのか。 その結末に心揺さぶられる、 圧巻のヒューマンドラマ。 ©2023「怪物」製作委員会 ※掲載内容は2023年6月時点の情報です