タイトルの由来「同じ”心”でも、全く異なるもの」

――タイトルの「已己巳己(いこみき)」は、互いに似ている物を例える言葉ですが、どのような思いを込めてこの言葉を付けたのでしょうか?

元々は全然違うタイトルだったんです。中国語で「心」の下に「口」で「吢(シン)」と読むんですが、これを仮タイトルでつけていました。配信の都合で使えないということで、
別のものを考えていくなかで「已己巳己」になったんですが、心ってそうだよな、と。そもそも心が存在するか否かの話をすることになると思うんですけど、じゃあ心が存在したとして。僕らが”心”というものを話す時、多分心の形や場所って、みんな同じものをイメージすると思うんです。みんなが想像する心って、角張ってないんですよ。多分球体で、なんか白っぽいか青っぽいか、多分心臓のあたりにあるものと認識している方が多いと思うんですよね。だからみんな、”心”っていう共通認識はしっかり持っている。じゃあ、中身はどうか。中身は人によって全く違いますよね。同じ心っていう言葉を使っているのに、多分指しているものっていうのは人それぞれ全然違う

――自分の思う”心”と他人の思う”心”は同じものだと錯覚してしまうことがありますが、実際は全く違いますよね。
そうなんですよね。そう考えたときに、字形は似ているけれど一つひとつの意味は異なる「已己巳己」というタイトルがハマりました。

――なるほど。最初に付けた「吢(シン)」はどういう意味合いなんでしょう?

言葉の意味としては、犬や猫が食べたものをもどす行為を指しています。これを選んだ理由としては、僕はずっと犬を飼っていたんですが、犬や猫が嘔吐するときって、すごく苦しそうなんですよね。予備動作があって。ああいうのを見ていると、人間より人間らしいと感じたというか。人間は言葉を話しますから、ぽんぽん色んな言葉が出てきますが、本来言葉って相手のことを考えるんだったら、もう少し慎重に、それこそ吐くような言葉があるはず。

――言葉があるから、本音も覆い隠してしまう、と。

言葉があまりにも便利すぎるんですよね。

MVとぬいぐるみ「イコちゃん」のコンセプト

――MVも拝見させていただきました。「心」を宿したぬいぐるみが女の子に愛情を返すように抱きついて、力加減が分からずに、拒まれてしまうシーンがとても印象的でした。MV制作にも携わられましたか?

ほとんど丸投げさせていただきました。一応プロットというか、僕はこういうのをイメージしたよっていうのはお伝えさせていただきましたが、MV制作でいつもお世話になっている吉田ハレラマさんをとても信頼しているので「僕はこう思ってるので、あとは解釈でお願いします」って感じで投げてます。

――完成したMVはいかがでしたか?

素晴らしかったです。伝えたいことが、そのまま表現されていました。伝えたのはサブテーマとして、ぬいぐるみとかロボットとか、心がないとされるものの話ということだけはお伝えしていて、それ以外は全部お任せです。

――信頼し合ってるんですね。ぬいぐるみもすごく印象的な見た目でした。

可愛いですよね。「イコ」ちゃんっていうんですが、以前MVで使わせていただいたスタジオの方が小物制作できる方で、その方に制作をお願いしました。いつもアートディレクションをお願いしている大城くんという方に、心がないもので、毒々しくて、だけど女の子が手に取っちゃいたくなるようなかわいさもあるものってお伝えしてデザインしていただきました。ぬいぐるみのイメージで頼んだら、クラゲが出てきて。クラゲって心臓がない生物なので、クラゲをモチーフにしました。

――毒々しさもありつつ、かわいさもあって、素敵です。

ありがとうございます。

インプットは「本」と「人」

――今回の「已己巳己」もそうですが、澤田さんが紡ぐ言葉や表現がすごく美しいと感じていて、ライターとして刺激を受けています。元々持っているものももちろんあると思いますが、表現方法に関して、日頃どんなインプットを行なっていますか?

漫画がすごく好きなので、言葉の表層の部分、どういう言葉を使うか、どこから持ってきているかは、漫画とか本が多いですね。ただ、話す内容に関しては、僕はすごく人に依存していると思います。友達と話したり、過去に人に言われたことだったりをなるべく忘れないようにして、それを自分の言葉で書いています

――影響を受けた作家やアーティストはいますか?

小説は、江國香織さんの作品をたくさん読んでます。漫画だと『ハチミツとクローバー』が大好きです。小説は結構、恋愛ものに寄ってますね。あと、どうしても女性作家さんが書く作品が好き。

――『ハチミツとクローバー』私も好きです!

いいですよね! 漫画は結構雑食で、なんでも好きです。以前は、子どもの頃からずっと野球をやっていたので、全然本を読まなかったんです。なので、自分とはまるで別世界だったんですが、ある人との出会いをきっかけに。度々曲にしちゃってる人がいるんですけど、その方から江國香織さんを薦めてもらいました。それで読んでみたら「なるほどな」って。僕にもはまるし、そこで全部紐解けたというか。その子がどう生きたかったのかが江國香織さんの小説に書いてあって、なるほどと思いました。それが俺に合うと思ってくれたのなら、そっかって。

――その方は澤田さんのことも知り尽くしている?

そうですね。僕よりも僕だと思います。

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オーストラリアに留学経験「以前は、人を疑うことを知らなかった」

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【インタビュー】名古屋市出身のシンガーソングライター・澤田 空海理が2ndシングル『已己巳己』をリリース!

WRITER

Eri Kimura

Eri Kimura

三重県出身。学生時代は、読書や映画鑑賞、バンド活動に、アパレル店員として働くなど多趣味全開で奔走。現在は新人編集者として奮闘中!

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