2024.4.19fri
【撮り下ろし】BREIMENがメジャー1stアルバム『AVEANTIN』をリリース! Gt&Baの高木祥太さん、Gtのサトウカツシロさん、Saxのジョージ林さんにインタビュー
昨今注目を浴びている、5人組オルタナティブファンクバンド・BREIMEN(ブレイメン)。2024年4月3日(水)、ソニー・ミュージックレーベルズのアリオラジャパンよりメジャーデビュー、さらに、メジャー1stアルバム『AVEANTIN』をリリース!
BREIMENは、確かな演奏技術と、セッションからなるジャンルにとらわれないサウンドセンスで、多くの著名人やアーティストから称賛を受けています。今回のアルバムは、第二章の幕開けとともにバンドの“型破り”を表す最高作として豪語! リリース時から話題を集めています。
今回は、Gt&Baの高木祥太さん、Gtのサトウカツシロさん、Saxのジョージ林さんに、アルバム収録楽曲についてのお話やメジャーデビューを迎えた心境など、たっぷりインタビュー!
BREIMEN(ブレイメン)
- PROFILE
- 5人組オルタナティヴ・ファンクバンド。2020年2月に1stアルバム『TITY』、2021年5月に2ndアルバム『Play time isn’t over』をリリースし、多くの著名人やプレイヤーから称賛を受け、2022年にはASIAN KUNG-FU GENERATION後藤正文氏主催の「Apple Vinegar Award」において特別賞を受賞。2022年5月9日にリリースされた岡野昭仁×井口理「MELODY(prod.by BREIMEN)」ではBa.Vo 高木祥太が作詞・作曲、BREIMENメンバーが編曲・演奏に参加。2022年7月20日には3rdアルバム『FICTION』をリリース。
リリース&メジャーデビューへの心境
――メジャー1stアルバムリリースおめでとうございます! 今の心境を教えてください。
高木祥太 制作スケジュールを詰め詰めでやっていたので、今はとにかく解放感が半端ないです。制作自体はすごく楽しくて、精神的にきつかったというよりも、体力面ですね。限界まで追い込んでいたので。
――制作期間中はどのように進行していたのでしょうか。ストイックに毎日とか?
高木 結果、毎日やってたよね。
ジョージ林 結果的に毎日やってましたが、スタジオにいても人によってはやることがない時もあったので、自主的に判断して、自分の体力と相談して休むみたいなこともありましたね。
――ホワイトですね。
高木 すごくホワイトです。
サトウカツシロ なんていうんだっけ。フ…フレックス。
ジョージ でも、祥太は最終ジャッジみたいなところを担っているんで、彼はずっといました。なので、一人だけブラック。
――(笑)。
高木 俺が単純に全部見たいって思っちゃうからね。例えば、俺が弾かないところでも、見ておきたいなって思って、結果そうなってるだけで。やりたくてやってるから、全然きつくなかったです。
――体力面だけきつかったと。
高木 でも、その時は集中してアドレナリン出てるから、やってる最中にきついなっていうよりかは、1日通しで朝までやって、やっと帰れるって時に「おやおや?」みたいな。全然動けないの。
――それが後半はずっと続いてたんですね。無事にリリースを迎えることができてよかったです。
サトウ いやでも、なんか本当に終わるのかな?みたいな感じだったよね。
ジョージ 最後はもうあれだったもんね、海外ドラマの『24』みたいな。
高木 ほんとに、ほんとに。僕も初めての経験でした。
――記念すべきメジャー移籍後初のアルバムとなりますが、メジャー前と後で、変化したことはありますか?
高木 やっぱり予算ですかね。
――現実的ですね。
高木 いきなり切り替わることはないですね。なんかよく「メジャーにいくと変わった」とか言う人いるじゃないですか。あれって絶対、変わったって言ってる人たちが変わってるだけなんですよ、8割。
――というと?
高木 例えば、メジャーになってから、いつのなんだよみたいな同級生からいきなり連絡来るとか。
――なるほど、自分が変わったわけじゃなくても。
高木 そうそう。自分自身は変わってなくても、メジャーっていうフィールドを押し出すことによって、周りが変わる。でも、それは別に悪いことじゃなくて、良いこともあるとは思う。あと、やっぱり音楽って、中にいる人は別にメジャーもインディーズも変わらない、別に関係ないというマインドはあると思います。けど、普通の人からしたら、メジャーデビューってなんかすごそうだし、なんかちゃんとしてそうじゃないですか。だから、社会的に意味があるって感じかな。これで俺らがメジャーを離れたとき、また変わるんだよな。
ジョージ あ、見る目が?
高木 絶対変わるよ。
ジョージ メジャーじゃなくなった、と。
高木 そう、あいつら終わりだって。
――個々の意識的に変わったことはありますか?
高木 やっぱりみんな、見だしなみに気を使うようになりました。(サトウを見る)
サトウ …(ファンデーションを塗りながら)
高木 さっきからすげぇ塗るじゃん(笑)
サトウ 俺は全然気にしてないですね(ファンデーションを塗り続ける)。
一同 (笑)
高木 意識的に変わったこととして、関わる人も増えたので、どこかを納得させないといけなくなる瞬間とかがあるじゃないですか。そういうところで、どうやっていくか、みたいに考えるようになりました。
サトウ でもなんかそれって、結局自分が変わったというよりも、周りにそういう人が出てくるようになったというか。
高木 それは確かにそう。
サトウ なんかそういうのを考えるようになってから、「ついにメジャーか」って思ったときもあったけど、それは別に周りの人がそうだと思ってるだけだなと。だから最近、それこそさっきの話じゃないけど、「メジャーデビューもうすぐじゃん」って友達に言われた時も、もう俺メジャーデビューすること忘れてましたもんね。
――自分の中で変わらなさすぎて。
サトウ あっ!もうすぐじゃん、みたいな。
「ライブのBREIMENを楽しんでいただければ」
――ライブスタイルにも変化はありましたか?
ジョージ 全然変わらないです。
高木 ライブスタイルは多分まじで変わんないと思う。
ジョージ 本当に変わんないよね。
高木 今、ツアー前でリハーサルをしている最中なんですけど、アップデートされつつも、これまでと同じベクトルに向かって突き進んでるから、より極められているというか。具体的な話をすると、みんなメジャーデビューのタイミングで、オケが増えちゃったり、ストリングスが入っちゃったりして、じゃあこれをいざライブでやるってなった時に同期演奏を使うけど、俺らは「同期演奏を使わない」って結成当初から決めてるので。今もリハで、林さんがすごいことやってます。ダンス・ダンス・レボリューションみたいな。
一同 (笑)
――BREIMENの曲は特に、同期演奏じゃないと無理じゃない!?って曲が多いじゃないですか。
高木 無理じゃないんですよ。林さんをダンス・ダンス・レボリューションさせることによって。
サトウ いけちゃうんですよ。
ジョージ いやでもね、もうそろそろ、腕2本じゃ足りないです。
一同 (笑)
サトウ そのうち、同期演奏っていうテクノロジーを林さんが追い越す。
高木 超えるんだ(笑)
一同 (笑)
サトウ パソコンよりも、ハイスペック(笑)
高木 違う、アナログなんだよね。林さんは。だから、トラブルが少ない(笑)
サトウ 同期ですら再現しきれない部分がこの先出てきても、林さんはもうそれカバーできるようになってます。サンプラーの粋を超えてるよね。
高木 超えてる。だから、ダンス・ダンス・レボリューションだって。足使ってるから。もう、もはや4プラー。サンプラーを超えて。
――うまい(笑)
高木 てか、6プラーくらいいってるね。サトウ、みたことある?
サトウ 俺、みたことない。いや、でも祥太のアンプ越しにみたことある。足でサンプラー踏んでた。
一同 (笑)
――同期演奏は、今後も使っていくつもりはないと。
高木 やっぱり俺らのライブが結構その場で変わったりするから、そもそも同期だと成り立たないんですよね。俺は同期が悪いとは思ってなくて、同期を使ってかっこいいライブもあるんだろうけど、俺らがとにかく飽き性だから、同期という制約があると、ライブの時に逃れられなくてきついなと。だから最初から俺らはずっと「同期を使わない」って公言してて。そういうライブスタイルで行くからって。音源だと何回も聴いて、「ここにこんな音入ってたんだ」とかあるじゃないですか。ライブって1回きりだから、そもそもそんなめちゃくちゃな量の情報があったとしても、人間そこまで聞き分けられない。だから、どちらかというとBREIMENのライブは、それぞれの5人の音を楽しめる状態にしたくて。曲として成り立たせないといけないものは、ジョージさんが出したりはするけど、ライブのBREIMENを楽しんでいただければと思います。
BREIMENの“ニュースタンダード”な曲
――アルバムリード楽曲「ブレイクスルー」は、まさにそんな、新たなステージでどのような気持ちで挑んでいきたいかが伝わりました。ここから始まる、“第二章”への一歩としてぴったりな楽曲だと感じましたが、皆さんにとってどのような一曲になりましたか?
高木 俺は、まさに「ブレイクスルー」は、BREIMEN第2章の看板曲だと思っていますね。皆さんどうですか。
ジョージ 個人的には、一番を決めるのは難しいんですけど、今まで過去3枚出させていただいて、いつもいいんですけど、「ブレイクスルー」は特に。
高木 ぼやっとしたコメントだな(笑)。ニュースタンダードって感じだよね。今までのBREIMENにとって「IWBYL」が多分スタンダードなんだけど、俺は「IWBYL」に代わるニュースタンダードができたという気持ち。
――サトウさんはどうですか?
サトウ 僕は最近、なんかよく聴いてます。
高木 なんだそれ。リリースされたからな。お前ファンと一緒なんだよ!
一同 (笑)
サトウ これまでの我々のアルバムのリード曲って、特にオルタナティブ感が強いっていうか。「MUSICA」とか「Play time isn’t over」とか。そういう“何色”か形容しがたい曲を、今回も作れてよかったって。
――新しさももちろんありつつ、ベースは変わらないというか。
サトウ それを更新できたっていうのがうれしいですね。
高木 それは確かにそうかも。同じ調理方法だけど、素材は全然違うみたいな。
サトウ この先、聴く人がどんどん増えていったときに、“BREIMENっぽい”っていうイメージに直結するような楽曲が、今回も作れてよかったなって思います。
ジョージ あと、俺も「ブレイクスルー」で言いたかったことがあって。趣味でたまにランニングしてて、音楽を聴きながら走るんですけど、BREIMENの曲って、本当に走りづらくて。
高木 わかる。「FICTION」とかね。
ジョージ 「FICTION」なんか走ってるとき絶対聴かないし、他も走るときには微妙だったんですけど、この曲は走れる。
一同 (笑)
高木 テンポが速いから?
ジョージ テンポとかじゃない。何かがある。何かにすごい引っかかったんだ、この曲は。それがすごくいいなって思いました。走れてよかった。
高木 感想が「走れてよかった」って(笑)
ジョージ 今までの過去3作の中で走れる曲がなかったけど、走れる曲ができたっていうのは、大きな違いというか。明確な変化だなと思います。
――みなさんもランニング曲にぜひ、と。
サトウ ランニングに適している曲は、他でもっとありそうだけどね(笑)
それぞれのマイベストソングとは
――どれも思い入れのある楽曲だと思いますが、今回のアルバムの中で、マイベストソングを挙げるとしたらどの曲ですか?
サトウ 僕は「yonaki」ですね。すごい感覚的な話をすると、例えばですけど、昔付き合っていた人の家へ行きや帰りに、一人で歩いて聴いていた音楽を思い出してるとき、みたいな気持ちになる。キュンキュンとかときめくとかじゃなくて、胸がちょっと苦しくなる。
高木 それ病気じゃない?
サトウ 胸きゅんじゃない。きゅんって。心の琴線に触れるというか。特に「yonaki」のサビを聴いていると、当時に呼び戻されます。思考レベルじゃなくて、感覚にダイレクトにくる曲だなと思って、好きです。
――ジョージさんはどうですか?
ジョージ 本当に難しいんですけど、「LUCKY STRIKE」が久しぶりにトランペットとトロンボーンのホーンセクションが入った曲になっていて。アルバム『FICTION』の時は「5人だけのサウンドで」と決まっていたので、ホーンセクションは入れられなかったんです。けど、今回、ホーンセクションを解禁して、久々に書きました。書いたものがどうというよりも、すごくいい音で録れてよかったというか。僕はホーンセクションが結構好きで、バンドでも、いわゆるJ-POPと呼ばれている音楽でも、「ホーンセクションでどういうフレーズを入れてるんだろう」って、普段から注目して聴いていて。BREIMENの前体制の時代、ホーンセクションを書きたくて書きたくて、そればっかり書いてたんですけど、一回そこから離れようみたいな期間を経て、今回解禁したんです。すごく気持ちがスッキリしました。
――積年の思いを、成仏できたというか。
ジョージ そうそう。これで微妙な感じだったら、またやりたいって気持ちになるだろうけど、今は一旦これで収まったような感じがしましたね。
――ホーンセクションにも注目してほしいですね。高木さんはいかがですか?
高木 「L・G・O」ですかね。「Life Goes On」の頭文字をとってるんですけど、その時にしか書けない曲が書けたなって思います。当時28歳だったんですけど、28歳の自分にしか書けなかったなって。22歳が「Life Goes On」って、ちょっと早いなっていう気もするし。前だけ向いて生きていようと思ってたけど、年を取れば取るほど過去が増えてくる。このアルバムに入っている「眼差し」は、幼少期を思い出して書いた曲なんですけど、27歳ぐらいまでは、過去を振り返らなかった。28、9になった時に初めて過去を振り返ることができるようになったので、「眼差し」は今だと書ける曲だし、「L・G・O」は今はもう書けない曲。年相応のその時の本当に素直な気持ちが入っているし、アルバムをちゃんと締めくくる曲だなって思います。
謎深まる言葉「アバンチン」
――アルバムタイトル「AVEANTIN(アバンチン)」、調べてみたものの全然ヒットしなくて……。Xでエゴサーチしてみても、みんな暗号のように使用していて、余計分からなくなったんですが、意味を聞いても大丈夫ですか?
サトウ なんだと思います?逆に。
――えっ。
サトウ 「アバンチン」って叫びたくなる瞬間って、どんな時ですか。
――ライブとかですか…?
高木 うーん。いや、そうかもしれないですね。「アバンチン」は、今もうすでにBREIMENのものになってしまっているから、どうしても紐づいてしまいますよね。でも以前はなかった言葉だから。ないものがあるものに、いつの間にか変わる。「BREIMEN」っていうバンド名も2010年から、この表記になったのは2018年なんですけど、前の体制も含めたその時はまだ「BREIMEN」という言葉自体、存在してないですよね。それがいつのまにか、「BREIMEN」という言葉が確立されている。つまり、皆さんがアナグラムして、一番気に入った響きが正解で大丈夫です。
――なるほど…?
サトウ 僕、小学生のときにハムスター飼ってたんですけど、2匹。1匹の名前がハムコで、2匹目がアバンチンでしたね。
――えっ。
高木 なので、ハムスターの名前でもあったこともあると。
――本当ですか?
ジョージ 僕もいいですか?
高木 いいよ。
ジョージ 毛は、その部位を守るためにあるって言うじゃないですか。果たしてそれに科学的な根拠がどれだけあるのか。っていうことです。
サトウ っていうことです。
ジョージ じゃあ、男性ホルモンが増えていくと髪の毛が抜けていくじゃない。守らなくていいのかっていう。っていうことは、本当に守るべきためにあるのか、とか…。
高木 という疑問が、彼にとっての「アバンチン」なんです。
――じゃあ、私もいいですか?
高木 どうぞどうぞ。
――私の下の名前が「エリ」なんですけど、エリ以外の名前の候補は「アバンチン」でした。
一同 お~!
――こういうことですよね?
高木 そういうこと。そういうことです。じゃあ、僕もいいですか? バケットハットの中にも形がキュッとなってる、タイトなものあるじゃないですか。それを生み出した人の名前が「アバンチン」です。
サトウ 僕もいいですか?
高木 僕もいいですか?ってなに(笑)
サトウ 一部の日本人の方が、ロサンゼルスのことを「ロス」っていう人たちのことを総称して、アメリカ人が「アバンチン」って呼んでます。
高木 “あいつ「アバンチン」だよ”って。
サトウ そうですね。文脈的には、ちょっとダサいな、みたいな。そんな感じですね。
――なるほど、「アバンチン」について分かった気がします。
高木 これからもどうぞ探し続けてください。
目標はつくらず、自分たちのペースで進化し続ける
――ここ最近、「THE FIRST TAKE」出演にドラマ主題歌、高木さん作詞作曲で演奏にはBREIMENメンバーが参加した岡野さんと井口さんとのコラボ楽曲「MELODY」のリリースなど、すごい活躍でしたよね。たくさんのアーティストの方に高い評価を得ているBREIMENですが、どのように感じていますか?
高木 湧いている期間が、ありがたいことに長く薄いんですよ。長く、色々なミュージシャンの方々に評価いただいてるんですけど、その方々が「いいぞ」って言ってくれるタイミングが転々としすぎていて。このメジャーのタイミングで、今まで俺らのこと良いって言ってくれた人全員に、改めてもう一回「良い」って言ってほしい。
サトウ それいいね。
高木 まばらにずっと評価されてるから、ずっと評価されてるバンドってなってるけど、一回集中してほしい。名前を挙げたら、すごい著名人の方もいらっしゃるんですよ。その影響力を全部集結させて、元気玉作ってくれっていう。
ジョージ 面白いね、それ。
サトウ そうしたら、バズってるみたいになるよね。
一同 (笑)
――自分たちとしては、ここ数年の活動を振り返るとどうですか?
高木 コロナ禍もあったしね。1作目のバンドを出した瞬間に、コロナが襲ってきたので。怒涛の時期もあるけど、ゆるゆると歩いてきたなっていう感じですね。
ジョージ 「武道館、5人で立つぞ!」とか、そういう目標を掲げてこなかったから。でも、それってすごく良くって。その方が色々なことができるから、いつも楽しくて。武道館に立つみたいな目標があって、じゃあ2年後に立とうみたいな目標があったとして、立てなかったりしたら、多分凹むし。そういう目標がないから、良いペースでやれてるし、じゃあ滞っているかと聞かれると、そんなことは全然なくて。どんどん進化できてる気がするから、楽しいです。
高木 関わる人が増えたから、俺らの中では実験に近いかな。目標ではないけど、武道館は視野に入ってます。明言はしてないけど、視野に入ってる。目標があまりにも遠いと、そこに向かってちゃんと道を決めないといけないけど、武道館は視野に入ってる。捉えました。
――BREIMENの武道館ライブ開催決定、楽しみにしています。ありがとうございました!
BREIMENメジャー1stアルバム
『AVEANTIN』
2024年4月3日(水)RELEASE
【収録曲】
M1. a veantin
M2. ブレイクスルー
M3. 乱痴気
M4. ラブコメディ
M5. 眼差し
M6. LUCKY STRIKE
M7. T・P・P feat.Pecori
M8. 寿限無
M9. 魔法がとけるまで
M10. yonaki
M11. L・G・O
▼CD予約はこちら
https://va.lnk.to/2BAGxO
▼アルバム『AVEANTIN』特設サイト
https://aveantin.com/
【通常盤(CD】
BVCL-1372 2980円
【初回生産限定盤(CD+Blu-ray)】
BVCL-1370~1 5980円
Blu-ray収録内容:
LA滞在ドキュメンタリー
BREIMEN ONEMAN TOUR「COME BACK TO BREIMEN JAPAN TOUR 2023」
東京公演ライブ映像
■ライブ情報
BREIMEN MAJOR 1st ONEMAN TOUR「AVEANTING」
2024年春に全国8都市にてワンマンツアー開催決定!
4月19日(金)東京 人見記念講堂
4月26日(金)札幌 sound lab mole
5月10日(金)仙台 Rensa
5月18日(土)大阪 なんばHatch
5月24日(金)金沢 AZ
5月31日(金)福岡 BEAT STATION
6月1日(土)広島 LIVE VANQUISH
6月7日(金) 名古屋 ボトムライン
【チケット】
東京公演
一般:6000円
学割:4500円
その他公演
一般:5000円
学割:3500円
※ドリンク代別途
【インタビュー】マハラージャン、EP『ゾーンに入ってます。』&アルバム『ミーンミーンミーン☆ゾーンゾーンゾーン』を同時リリース!
2024年2月7日(水)、シンガーソングライターとして活動するマハラージャンさんがEP『ゾーンに入ってます。』&アルバム『ミーンミーンミーン☆ゾーンゾーンゾーン』を同時リリース。 スーツ姿にターバンを巻いた独特のビジュアルが特徴的なマハラージャンさん。ユーモアあふれるリリックと、ソウルやファンクといったブラックミュージックから現代的なエレクトロサウンドまで取り入れた、新感覚なサウンドが話題を呼んでいます。 過去記事では、時に真面目に、時にウィットに富んだ回答を繰り広げ、マハラージャンさんのユーモアあふれる人間性が見えたと思います。今回も、アルバム制作エピソードや曲へのこだわりをはじめ、「水曜日のカンパネラ」の作詞作曲を担当するケンモチヒデフミさんとのコラボ曲についてなど、たっぷりお話を伺いました! 【インタビュー】マハラージャンさん「自分の中で一番大事な曲になった」EP『蝉ダンスフロア』をリリース! PROFILE マハラージャン 東京都出身の男性ソロ・ミュージシャン。大学院卒業後、CM制作会社へ就職。会社員として勤務する傍ら、日夜音楽活動に勤しみ、2019年11月にEP『いいことがしたい』をデジタルリリース。無名ながらも話題が広がり2021年3月に「セーラ★ムン太郎」でメジャーデビュー。ユニークなリリックとダンサブルなサウンドで話題沸騰中。2024年には全国ツアー「変」を開催決定! 今回はシックな衣装を意識。ターバンの正体は!? ——3作同時リリース、おめでとうございます!盛りだくさんの内容となっておりますが、リリースを迎えてどのような心境ですか? 聞いてくださった方々のリアクションを見ているとかなり良いんじゃないかな、と。手応えを感じています。 ——EP『ゾーンに入ってます。』には、最新楽曲の5曲が収録されていますが、どのようなアルバムになったと感じていますか? とにかく踊れるダンスミュージックが入ったアルバムになっていると思います。実際にそういう風に言っていただけることもあり、自分もそのつもりで作ったので届いてよかったです。 ——これまでのカラフルな衣装でしたが、今回はモノトーンとシルバーの衣装で、雰囲気がガラッと変わりました。今回のビジュアルのコンセプトはなんですか? 前回は結構カラフルだったと思うんですが、今回は冬にリリースということもあり、ちょっとシックにいこうと。しかも、実は頭に巻いているコレ、記事を読んでいる方には内緒にしてほしいんですけど、自転車カバーなんです。 ——そうなんですか?! そうなんです。スタイリストの方に選んでいただいた、自転車カバーなんです。これがすごく“マハラージャン”を象徴していると思っておりまして。普段あまり使われない言葉とかに魅力をもたせるっていうことを、自分が音楽でやっていることだったりするので。普段あまり注目されない自転車カバーをかっこよく見せることができて、マハラージャンを体現できたと思います。 ——では、皆さんも持っているもので、マハラージャンさんになれちゃいますね。 そうですね、確かに(笑)。 「ゾーンに入ってます。」前回の取材でも… ——どの曲も素敵でしたが「I’m just looking」が個人的にすごくしびれました…。シティポップやロックなどいろんな要素が融合した、ジャンルにとらわれないマハラージャンさんならではの楽曲だと思いました。この曲は、どのようなコンセプトで制作されましたか? ありがとうございます! 実は、最初にできたデモをチームに聞かせたときは、OKをもらえなかったんです。デモの段階では、そこまでかっこよくなるのがあんまり見えなかったということもあって。そうやって死んでいったデモもいっぱいあるんですが、その中でも特にもっとかっこよくなりそうな気がしたデモだったので、もっと練ってみようと思いました。そうやって温めているときに海外に旅行に行くタイミングがあって、買い物しているときに「なにかお探しですか?」って聞かれた時に、僕、「I’m just looking(ただ見ているだけです)」って結構言ってて。それが、すごい日本人っぽいなって感じたんです。自分っぽいといえば自分っぽいんですが、良くも悪くも、見ているだけの人が多いと。そこからヒントを得て、それをテーマに曲を作ってみようと思い、デモにはめてみたらいい感じにはまって「I’m just looking」ができました。 ——確かに、歌詞を聴いていると、現代社会への風刺にも取れます。 そうですね。でも、あんまり皮肉っぽくならないようには意識しています。ネガティブな要素もポジティブに変換して。「でもなんかちょっと引っかかる、なんだろう」ぐらいに感じてもらえるようなバランスで作ってます。 ——「ゾーンに入ってます。」を聞いて思い出したんですが、前回のインタビューで、作曲方法を教えていただいた際に、「“適当に歌う”ゾーンに入る。勝手に口がそういうモードに入っていく瞬間がある」とおっしゃっていましたよね。 覚えていてくださってうれしいです! それこそ『蝉ダンスフロア』をリリースし終わって、適当に曲を作っているときに、ふと、このゾーンに入っている状態を曲にしたら面白いんじゃないかと思ってできたのがこの曲なんです。 ——歌詞からできたのも、これまでのマハラージャンさんからすると珍しいですよね。 珍しいですね。「ゾーンに入ってます」っていうのを、もっと別のファンキーなダンスチューンにもできたかもしれないんですけど、言葉の世界観がそれを呼んでいない感じがして。今のトラックがちょうどゾーンに入っていることをすごく表していると思います。言葉の呼ぶままに、形にしていきました。 ——MVも公開されていました。MVでは、受験生役の子がゾーンに入る様子がうつされていましたね。 今の時期にぴったりですし、そういうゾーンの入り方もあるなと思って。 次のページ… 水カン・ケンモチさんとの初コラボ楽曲 水カン・ケンモチさんとの初コラボ楽曲 ——ケンモチヒデフミさんと初タッグを組んだ「ラジオネーム オフトゥン大好き(feat.ケンモチヒデフミ)」も収録されています。一緒に曲を制作することになったきっかけはなんですか? 元々、水曜日のカンパネラのファンで、関われることはないだろうなとお客さんサイドで思っていたんですが、インディーズの頃に、ケンモチさんとご一緒する機会が何回かあって、「すごい好きなんです!」と伝えたら「ありがとうございます」って。 そこから、フェスで一緒になったり、ご飯も行ったり、何度か交流を持たせてもらう中で、ケンモチさんと一緒に作りたいという気持ちが強くなりました。それで、今回お願いしてみたところ「いいですよ」と言ってくださって。でも、ケンモチさんめっちゃ売れっ子なんで、スケジュールが全然空いてないんです。だから、だいぶ前から伝えていましたね。それで、今回うまくはまって、一緒に制作できることになりました。 ——どれくらい前からやり取りはされてたんですか? いつだったっけな。2023年の6月にはもう言ってたと思います。具体的になっていったのは8月くらいで、9月には電話でやり取りしていましたね。 ——具体的にどんなやり取りを? 3つのタイトルを僕が考えて、ケンモチさんにどれがいいですかって送ったら、「ラジオネーム オフトゥン大好き」がいいと言ってくれて、僕もそれが一番良いと思っていたので“さすがだな”と。ケンモチさんも「マハさんだから今回はファンキーな感じにしよう」と言ってくれて、僕もケンモチさんと同じで、とにかくかっこいい曲にしたいとはお伝えしていたので、そこも一致していましたね。 そこから色々考えていって、僕が歌詞を5パターンくらい送って、それをケンモチさんは忙しい中見てくれて。パターンがありすぎて、多分散らかっているなという風に思われてたと思うんですけど(笑)。それでも、ケンモチさんなりに解釈したトラックと仮歌が入ったものを送ってくれました。 僕からは、ラジオーネーム「オフトゥン大好き」っていう人が、ラジオ局にメールを送るところから始まり、ラジオ番組の構成になっている曲とか、ラジオネームがひたすら羅列されているだけの歌詞の曲とかを送ったんですが、ケンモチさんからは“オフトゥン派vsベッド派”っていうアイデアを送ってくれたんですが、(水曜日のカンパネラの)詩羽ちゃんだったら合うけど、自分には多分合わないなと思って、二人の意見をすり合わせて今の形にまとまりました。 ——「ラジオ局にメールを送るところから始まり、ラジオ番組の構成になっている曲」も個人的にすごい気になります。 実はポルノグラフィティの「ミュージック・アワー」という曲が、僕がやりたいと思っていたことを全部やってるんです。この曲がとにかくもう秀逸で。聴いたことはあっても、多分そういう構成になっていることを知らない人も多いと思うんですが、じっくり歌詞を読んでみてほしい。めちゃくちゃ良いので。 ——今回「オフトゥン」や「睡眠」をテーマにしていますよね。 大体のことって、寝ると解決する。体調であったり、機嫌であったり、寝れてない人の起こす不幸っていっぱいあると思うんです。だから、この曲聞いたら寝ようって思ってもらえればいいなと思います。 ——今回ケンモチさんと制作して、知り合う前と後で印象は変わりましたか? あんまり変わってないですね。ただ、やっぱり制作されているスタジオで感じたのは、ケンモチさんのパソコンを覗くと、色んなMVを見ているタブがバーッて並んでるんですよ。「こういうのが今いいと思うんですけど、どうですか?」って教えてくれたり、EDMやボーカロイドの曲とか、僕が全然通ってきていないジャンルの音楽をたくさん知っていて。本当にいろんな音楽を勉強して参考にされているんだと、すごく感心しました。そういうのを見て、この人がすごいのは、それだけ努力されてるからだなと改めて思いましたね。 ——バンドメンバーのみなさんがコーラスとしても参加されているとのことで、賑やかで楽しい一曲になっていました。特に聞いてほしいポイントはなんですか? 実はギターですね。今回、Naoki Itaiさんという方にミックスしてもらったんですが、ミックスエンジニアとして逆にやってくれるんだってぐらいの感覚で。「ずっと真夜中でいいのに」や「緑黄色社会」の作品などを手掛けていて、アレンジャーや作曲家としてすごく有名な方なんです。今回、Itaiさんにミックスしてもらったことによって、なんか僕が弾いたギターの質感がものすごいかっこよくなったんです。僕としても新しい発見だったので、ぜひ、皆さんにも注目して聴いてほしいですね。 ——MVはマハラ―ジャンさんの希望で実際のラジオブースで撮影したとのことですが、ノリノリで楽しそうな様子が印象的でした。撮影は楽しかったですか? 楽しいっていう感覚よりは、あれ一発撮りで基本やらなくちゃいけなかったんです。どういう風にやっていいのか本当につかめなくて。結果的にうまくまとまってますが、監督の手腕のおかげですね。最初のテイクとか、ぎこちなくてもっとひどかったんですけど(笑)。難しかったけど、現場の皆さん本当に良い方たちばっかりだったので、最後のほうはリラックスして臨めました。 自身の孤独な時代を支えてくれた“ラジオ” ——マハラージャンさんというと、星野源さんのラジオ番組でハガキ職人をしていたというのも有名な話ですが、「ラジオ」はやっぱり思い入れがありますか? 思い入れ…改めて聞かれると、いつもずっとラジオを聴いているので、なんか変な感じですね。音楽制作してるときは、耳を使うので聴けないんですけど、基本散歩したりするときとか移動中は基本聴いてます。ラジオを聴いているとき、耳以外は全部稼働できるので、動画と違って目も使えますし、聴きながら料理もできますし。とにかく、ずっと聴いてますね(笑)。 孤独な時代を支えてくれたのがラジオなんです。僕、就活浪人みたいな時期があったんですけど、その時、社会から何も必要とされていないみたいな気持ちになって。時間はあるけど金はない、ほとんどニートみたいな時期で不安で怖かった。でも、ラジオを聴くとすごく落ち着いて。そういう時期を経てきたからこそ、すごく好きなのかもしれないです。 ——辛い時期を一緒に乗り越えてきたのがラジオなんですね。今、自分のラジオ番組を持てたとしたら、どんな企画をやってみたいですか? 全然考えたことなかったです。どうしようかな。僕、ラジオネームを考えるのが好きなんですけど、ラジオネームを視聴者と一緒に考える企画はやってみたいかもしれないです。 ——色んな発想が出てきそうで、楽しそうです! そうですよね。やっぱりリスナーのお便りを読むコーナーが正直一番おもしろいと思うんですよ。選りすぐりの、めちゃくちゃエッジの効いた、面白いのが出てくるんで。ラジオを聴いていると「この人マジで天才だな」って思うお便りが何通もあって、この人たち無料でこのアイディア送ってんだもんなとか思うと、すごすぎるっていつも思ってます。 カバー曲「タイミング」について ——3rdアルバム『ミーンミーンミーン☆ゾーンゾーンゾーン』には、去年リリースされたEP5曲と、今回リリースされたEPの5曲、そしてブラックビスケッツの「タイミング」のカバーが収録されています。去年のフェスでマハラージャンさんが、リハーサルで歌っていたのを覚えています! すごく楽しかった思い出があるので、ついに収録されてうれしいです。 本当ですか! うれしいです。毎回アルバムにはカバー曲を1曲入れているので、今回何しようかなってなったときに、フェスで盛り上がったということもあり、「タイミング」をカバーさせていただきました。 ——盛り上がった実感はありますか? めちゃくちゃありますね。コール&レスポンスがしやすい曲なので、みんなで一緒に盛り上がることができたのと、フェスという環境と相まって、たくさんの方に集まっていただきました。しかも、ブラックビスケッツが一昨年の紅白で復活していたので、本当に”タイミング”がバッチリでした。 ——“90年代のJ-POP”の良さが詰め込まれていたり、バラエティ番組から誕生した曲だったりと、マハラージャンさんとの相性も抜群な原曲ですよね。 本当に曲が良くって、よくこんな美しい曲作れるなと思いました。番組の中で作るっていうプレッシャーの中で、こんな名曲が誕生したことに驚きです。 名古屋のライブで奇跡が! ——前回のインタビューでは、名古屋のイメージを伺った際に「友達なのに、ライブに来てくれない…今回は奇跡が起きるかも」とおっしゃっていましたが、去年11月のLIVEでは“奇跡”おきましたか? 奇跡、起こりました! ——そうなんですか!? 呼びかけてなくて、来てよって言ったら「もうチケット買ったよ」って。ついに友達の心を動かすことができました。 ——すごい! …ただ、他にも名古屋の同期いるんですけど、全然来てくれないんです。来てくれたのもそいつしか来てないんで、もうちょっとまだ“奇跡”足りない。 ——これはぜひこの記事が届いてほしいですね。 他にも来てほしいけど、特に塩崎くん、来てね笑。 ——ご指名いただきました(笑)。新年明けて1カ月が経ちましたが、今年やってみたいことはなんですか? 今回ケンモチさんとコラボさせてもらって、とても楽しかったし、自分の中にない発想と自分のものが合わさって音楽になり、自分の作品として世に出せるってすごく良い経験でした。みなさんもすごく喜んでくれたので、
【インタビュー】SPECIAL OTHERSがアルバム『Journey』をリリース! Drの宮原"TOYIN"良太さんと、Gtの柳下"DAYO"武史にインタビュー
2023年10月25日(水)、インストバンド「SPECIAL OTHERS(スペシャル アザース)」が9枚目となるアルバム『Journey』をリリース! 「SPECIAL OTHERS」今年の2月から、毎月25日を“ニコニコの日”と称し、9カ月連続で新曲をリリースするという企画を実施。『Journey』はその集大成となるアルバムになります。 今回は、Drの宮原”TOYIN”良太さんと、Gtの柳下”DAYO”武史さんに、アルバム収録曲について、企画を経た今の心情などをたっぷりインタビューいたしました! PROFILE SPECIAL OTHERS 芹澤 “REMI” 優真(Key)、又吉 “SEGUN” 優也 (Ba)、宮原 “TOYIN” 良太 (Dr)、柳下 “DAYO” 武史 (Gt)の4人組インストバンド。横浜の高校の同級生で結成し、2006年にメジャーデビュー。2013年には、日本武道館での初ワンマンライブを達成。2021年、メジャーデビュー15周年を迎えた。 「自分たちの音楽が一番伝わるのは、ライブ演奏」 ――アルバムリリースおめでとうございます! リリースを経て、現在の心境をお聞かせください。 宮原さん そうですね。やることもなくなったので、今はすごくゆっくりしてます。あ、ツアー中ですが(笑)。ツアー中はゆっくりしようと思ってます。 柳下さん やっぱり制作が一番大変なので。制作を終えて、本当に一息ついて、だらだらしてます。 ――安心しました。アルバムリリース後のメンバーコメントで、次のアルバム制作を“ストレス”とおっしゃっていたので、心配してました。 宮原さん あ、書いてましたね。結構大げさに言っているので、気にしないでください(笑)。 柳下さん 今日は8時間以上寝ました。 ――よかった(笑)。2023年2月から、毎月25日に、9カ月連続でリリースされておりましたが、スタートしたきっかけは何だったのでしょうか? 宮原さん なんだろう。MVで弾いたふり(当て振り)するのが、なんか嫌になってきたみたいなところからかもしれません。そういう、演じてるのを見せるのって僕らの性に合わないというか。だから、本気のところを見せたいなと思いました。自分たちの音楽が一番伝わるのは、人間味のあるライブ演奏なんじゃないかなって。それで、ライブ演奏をMVにしましょうっていう企画を始めました。しかも毎月。 まさに“ファーストテイク”!「Journey」のMV制作について ――「Journey」のMVでは、青空の下で皆さんが演奏されていて、マイクもしっかり設置されていたので、まさか通しで録音している!?と驚きました。 宮原さん まさしく。その通りです。実際にやってます。 ――あと、柳下さんの帽子が飛んでいってたのがすごく面白かったです(笑)。 柳下さん びっくりしました(笑)。通常の撮影だったら撮り直しだったり、やり直したりするんですが、帽子が飛ぼうがなんだろうが、演奏と通しの映像が第一っていう。その時の演奏も映像もよく撮れていたので、結果あのテイクを使うことになりましたね。そういうハプニングもあったほうが、ライブ感があるかなって。 ――本当にワンテイクで行なわれてたんですね! 宮原さん そうなんです。つぎはぎじゃなくて、一発撮りで。本当に“ファーストテイク”みたいな感じです。 柳下さん だからよく見ると、スタッフが映りこんじゃってるときもあるんです。 ――気付きました…!タワーの後ろに立っている人がいて、これ大丈夫なのかな…?って。 宮原さん (笑)。映像監督的には嫌だったらしいんですけど、このテイクが一番演奏がよかったんです。だから、メンバー的には“映りこんでても別にいいですよ”って(笑)。 次のページ… MV撮影裏話 実はメンバーが体調不良!? 「Falcon」MV撮影の裏で、実は… Drの宮原”TOYIN”良太さん ――“一発撮り”ならではですね。「Journey」の撮影以外でも、印象に残っているエピソードはありますか? 宮原さん 「Falcon」のMVを撮り終わった後、高熱が出て。10キロ痩せました。 ――え!? 宮原さん 撮影途中から“なんか俺、体調悪いかも…”って思い始めて。終わったころには、震えが止まらなくて。それで、病院に行ったんですけど、コロナじゃなかったんです。インフルエンザでもなく、本当にただの熱。自分的には絶対コロナだと思ってました。 柳下さん 確かに、当日、良太の顔色あんまり良くなかったし、なんか寒いって言ってたし、体調よくなさそうだった。 ――撮影が行なわれたのは7月中なので、寒いわけないですもんね…。 柳下さん そうなんですよ。おかしいですよね。 ――「Bed of the Moon」も「Falcon」同じく「紫金飯店」で撮影されていたと思いますが、同じ日に撮影したのですか? 宮原さん そうですね。リリースの順番と逆で「Bed of the Moon」を最初に撮って「Falcon」を後に。「Falcon」は夜の雰囲気で撮りたかったので。 ――「紫金飯店」を撮影場所に選んだ理由はなんですか? 宮原さん ビクタースタジオでレコーディングしているときに、いつも「紫金飯店」さんで出前をとってたんです。そしたら、ある時ディレクターが“あの中華屋さんでMV撮れそうです”って言われて。そうなんだ、やろう!ってなりました。 ――店舗に行くのは、メンバーの皆さん初めてですか? 柳下さん 店舗に行ったのは初めてですね。 ――感慨深いですよね。 柳下さん そうですね。あれがここから作られて持ってきたんだって。もう10年以上出前をとらせていただいてるので。 ――今回撮影した場所は、思い入れのある場所だったりするんでしょうか? 宮原さん それが、全然ないんですよ(笑)。横浜のシンボルタワーも1、2回行ったことあるな、くらいで。場所は結構おまかせしましたね。ひらめいた時とか、みんなでアイデアを出し合ったときもありましたが。 宮原さん それが、全然ないんですよ(笑)。横浜のシンボルタワーも1、2回行ったことあるな、くらいで。場所は結構おまかせしましたね。ひらめいた時とか、みんなでアイデアを出し合ったときもありましたが。 ――「Point Nemo」や「Feel So Good」では、マンションの一室みたいな…。 柳下さん あー!僕らのプライベートスタジオですね。「SPE STUDIO JAPAN」っていう。マンションではあります(笑)。 ――スタジオだったんですね! YouTubeで「横の部屋に住みたい」っていうコメントがあって、共感してました。 柳下さん 好きな人だったらそうですが、嫌いな人にとっては…。 一同 (笑)。 柳下さん 防音が本当にしっかりされてるんで、絶対に漏れることはないので安心してください。というか、マンション全体が、音楽をやっている人が使うために売り出されているんです。 宮原さん だから、どの部屋がチラ見えしても同業者で“やっほー”みたいな(笑)。 次のページ… メンバーのマイベストソングは? 「ファンと同じ目線で、アルバムが完成していくのを見届けていた」 ――2月から10月まで通してリリースされていた曲が集まっているからか、アルバムを通して聴いてみると、季節を旅した気持ちになりました。特にお気に入りのマイベストソングはなんですか? 宮原さん なんだろう。「Apple」は、これまでに作ってこなかった曲調なので、作っていて面白かったですね。遅めだし、あんまりガッツな感じじゃないし、踊る感じもないし。だから、メロトロンとかストリングスみたいな音を入れて、いつもと違った曲作りだったので、楽しかったです。 柳下さん 僕は「Bluelight」ですね。疾走感のある曲で、20代の頃はよく演奏してたような雰囲気の曲なんですけど、それをあえて今、40代になったこのタイミングでやるっていうことが、逆に新鮮で。これまでより大人な気持ちを若い頃の曲に取り込むようなイメージで向き合いました。勢いはあるけど、どこか落ち着きがあるような曲になったかなと思います。 ―—アルバム全体に込めた思いはなんですか? 宮原さん コロナ禍が明けてきたので、暗い曲は入れないように意識していました。でも、底抜けに明るいと逆に暗く見えたりもするので。テンション感を意識しながら、ちょうどいいところを狙って、制作に取り組みました。 ――これまでの9カ月間、長い道のりだったと思いますが、振り返ってみていかがですか? 宮原さん すごくやりがいがありましたね。これまでは最初の曲を作ってから、1年ぐらい経って発表されるので。それまで何にも感触を得られずに、曲を作らないといけないので、“これであってんのかな”ってたまに思うんですよ。“これ、いい曲なのかな?”とか変なことも考えてしまって。 ――“一年後はどうだろう?”とか。 宮原さん そうそう。でも今回、リリースして制作して、というのをほぼ同時進行でやってみて、昔のミュージシャンってこういう感じだったんだろうなって。一曲ずつ区切っていくから、気持ちもすぐに次の曲にいけるので清々しかったですね。 柳下さん 作り始めたときは、完成したアルバムのイメージは一切ないので、本当に1曲1曲作り上げていく感覚でしたね。聞いてくれているファンの人たちと同じ目線で、アルバムが完成していくのを見届けていたというか。思い出が一つひとつ積み重なっていく感じで、まさに“アルバム”っていう言葉にふさわしいものができました。 ――これはもしかしたら今後も…? 宮原さん はい。めっちゃ気に入ったんで、また絶対にやります。 ――うれしいです! 宮原さん ありがとうございます。各所からの評判もいいので、安心しています。これからも楽しみにしていてください! 次のページ… 全国ツアーや名古屋ライブについて 全国ツアーでは「各地のおいしいものを食べ尽くす」 2023年8月27日に比谷野外音楽堂で行われたライブの様子 ――今年8月から11都市を巡るリリースツアーの真っ最中ということで、SPECIAL OTHERS名義としては1年ぶりの全国ツアー開催ですね。 宮原さん そうですね。マスクをしなくてよくなって、楽だなと。僕たちももう44歳なので、そろそろ死ぬんだろうなって思って。各地のおいしいものは絶対に食べようっていう気持ちが強いです。今までもさんざん食べてきたんですけど、もう自腹でも前乗りして、ご飯を食べるべきだと。 ――いやいや(笑)。でも、“全国ツアーを楽しみ尽くす”…いいですね! 柳下さん 食べるのは同じくですし、やっぱりどんどん年を重ねていくと、自然に回帰していくというか…。ツアー先で、公園に行ったり、季節の植物を見たり、鳥を見たりして…自然からエネルギーをいただいて、満たされたいという気持ちですね。 ――お二人とも、何かあったんですか?! 一同 (笑)。 ――これまでのツアーで一番おいしかったグルメはなんですか? 宮原さん 全国各地においしいものがたくさんあるから、悩みますね…。でもやっぱり何にも代えがたいのは、刺身ですね。ご当地のよさがでますよね。やっぱり、輸送していない魚が一番おいしい。でも、今は時代が変わってきちゃってて、例えば、函館といえばイカだったじゃないですか。それが今、ブリのほうが獲れちゃってるみたいなんですよ。 ――そうなんですか? 宮原さん 昔は大量だったのに、イカが全然獲れないみたいで。それが今はブリが大量に獲れちゃってるみたいで。環境って一定じゃないなってつくづく感じますね。変化に柔軟に対応していくことが大切だなと感じます。 名古屋に対しての印象 ――お二人は、名古屋にはどのような印象をお持ちですか? 柳下さん 名古屋の方ってやっぱり、一つのものを洗練させていくことが上手だなと思います。それこそ「あんかけパスタ」とか、色んなものを融合させて新しいものを作り出してるじゃないですか。そういう一つのものを違う角度でみるのが上手だなと。 ――そう言っていただいて、すごくうれしいです。 宮原さん 人の印象だと、野球好きな人が多いイメージです。野球の話を振ると結構みんな答えてくれて。又吉(Ba)以外の3人は野球を全く知らないんですが…(笑)。 柳下さん お店とかでも、選手のサインを飾っているのをよく見かけますよね。 Gtの柳下”DAYO”武史さん ――メジャーデビューから17年となりますが、今後チャレンジしてみたいこと、今後の目標は? 宮原さん 外国でライブしたいですね。外国の方に“スペアザ!”って言われたい。 ――海外ではそう略さないかもしれないです(笑)。 一同 (笑)。 ――最後に、ファンの皆様に一言お願いいたします。 宮原さん 子育ての合間に、僕らのライブなどいかがでしょうか。スペアザファンの方も、多分お子様がいらっしゃる方も多いと思うので。 柳下さん ライブに行くっていうだけじゃなくて、それとセットで、友達と会ってご飯を食べて、そのついでにライブに行くみたいな。生活のなかに、僕たちの音楽があれば本望ですね。 ――ありがとうございました! SPECIAL OTHERS 9th ALBUM 『Journey』 2023.10.25 Release ≪ 初回盤 ≫ 2CD+DVD 価格:6930円 商品番号:VIZL-2175 収録内容:CD(10曲)+特典DVD(10曲)+特典CD(10曲) [ CD収録楽曲 ] 01. Fanfare 02. Early Morning 03. Apple 04. Bluelight 05. Bed of the Moon 06. Falcon 07. Feel So Good 08. Point Nemo 09. Journey 10. Thank You 計10曲収録 [ 特典DVD「2023年 ニコニコの日全集『252510』」収録内容 (Music Video LIVE映像) ] 01. Fanfare 02. Early Morning 03. Apple 04. Bluelight 05. Bed of the Moon 06. Falcon 07. Feel So Good 08. Point Nemo 09. Journey 10. Thank You 計10曲収録 [ 特典CD収録内容「2023年 ニコニコの日全集『252510』」(Music Video LIVE音源) ] 01. Fanfare 02. Early Morning 03. Apple 04. Bluelight 05. Bed of the Moon 06. Falcon 07. Feel So Good 08. Point Nemo 09. Journey 10. Thank You 計10曲収録 商品情報:https://www.jvcmusic.co.jp/-/Discography/A019738/VIZL-2175.html ≪ 通常盤 ≫ CD ONLY 価格:3300円 商品番号:VICL-65800 収録内容:CD(10曲) ※初回盤のCDと同内容 商品情報:https://www.jvcmusic.co.jp/-/Discography/A019738/VICL-65800.html 初回盤/通常盤いずれも初回生産分には「ジャケットステッカーシート」封入 配信:https://jvcmusic.lnk.to/Journey ]https://jvcmusic.lnk.to/Journey ※音楽ストリーミングサービス:Apple Music、Spotify、YouTube Music、LINE MUSIC、Amazon Music、Deezer、AWA、Rakuten Music、KKBOX、TOWER RECORDS MUSIC 【アナログレコード作品概要】 2023.11.03 Release 9th ALBUM 『Journey』 アナログレコード盤(2枚組) 価格:6050円 商品番号:VIJL-60305~6 収録内容:CDと共通の10曲収録に加えて、アナログのみ約20分のセッション音源を収録。 商品情報:https://www.jvcmusic.co.jp/-/Discography/A019738/VIJL-60305.html 公式サイト:http://www.specialothers.com/ ※掲載内容は2023年11月時点の情報です ※価格は税込み表記です
【インタビュー】キタニタツヤさん「未熟だからこその“どうしようもなさ”を歌にした」アニメ『呪術廻戦』第2期「懐玉・玉折」OPテーマ「青のすみか」
2023年7月19日(水)、シンガーソングライターとして活躍するキタニタツヤさんが、TVアニメ『呪術廻戦』第2期「懐玉・玉折」OPテーマである『青のすみか』をリリースしました。 昨年には『BLEACH 千年血戦篇』OP主題歌を担当しており、数々のタイアップ楽曲を手掛け、原作やアニメファンからもたくさんの支持を得ているキタニタツヤさん。 今回、「青のすみか」のコンセプトや制作エピソードをはじめ、収録曲である「素敵なしゅうまつを!」「ラブソング (cover)」の2曲についても、たっぷりお話を伺いました。 PROFILE シンガーソングライターとして活動しながら、作家として数々の楽曲提供も行なっている。ヨルシカのサポートメンバーとしての活動や「Ado」「まふまふ」「TK from 凛として時雨」の音源制作への参加、「ジャニーズWEST」や「私立恵比寿中学」など多くのアーティストへの楽曲提供などジャンルを越境し活躍を続ける。アニメ主題歌やドラマ主題歌を担当、「THE FIRST TAKE」出演などまだまだ勢いの止まるところを知らない、今最も注目すべきアーティストの一人。 アニメ主題歌書き下ろし「青のすみか」制作について ――「青のすみか」リリースおめでとうございます!この曲はアニメ『呪術廻戦』第2期「懐玉・玉折」のオープニングテーマでもありますが、ご担当することになったときのお気持ちは? デモを提出しては、何度も修正を重ねたんです。そうやって力を尽くした結果、今の形になったので「やったーうれしい!」というよりも、一安心という感じの気持ちでしたね。 ――アニメのオープニングをご覧になって、いかがでしたか? 「青のすみか」もそうなんですが、アニメの曲を制作するにあたって、ジェットコースターのような展開にすると映像が付けやすいかな、と考えながら作っているので、ちゃんとキメに合わせて映像が付けられているとうれしいですね。曲をちゃんと聴いて拾ってくれたんだなって。「青のすみか」でいうと、アウトロで歌詞と映像がリンクするところがあって、やってよかったなって思いましたね。 TVアニメ『呪術廻戦』「懐玉・玉折」ノンクレジットOPムービーアニメオープニングPV ――呪術廻戦ファンにとってはたまらない歌詞と演出が詰め込まれていて、感動しました。楽曲について、アニメスタッフとの打ち合わせや具体的なオーダーはあったのでしょうか? 最初は「“青春”をテーマに書いてください」ということくらいでしたね。あとは原作を読んで自由にっていう。僕は以前から原作が好きで読み込んでいたので、色んな歌詞が書けるなと思って、何パターンも提出しました。そこからどれがイメージに近いか選んでもらったり、反応をもらったりして、今の「青のすみか」になりました。 具体的な要望やオーダーをいただくというよりも、できた曲に反応をもらいつつ、微調整することが多かったですね。最初はダーク寄りな「青のすみか」もあったし、明るいポップ寄りな「青のすみか」もあって。それに対して“これのちょうど真ん中くらいです”みたいな(笑)。おおむね、僕が最初に出した曲がイメージと外れてなかったんじゃないかなと思います。 ――去年リリースされた『BLEACH』の主題歌「スカー」もそうですが、キタニさんの書き下ろし楽曲には、作品に対してのリスペクトがとても伝わってきます。これまで何度もタイアップ楽曲を手掛けていると思いますが、心がけていることは何ですか? 僕のファンだけどその作品を知らない人もいれば、作品は知っているけど僕のことを知らない人もいると思うので、作品と僕のどっちにも興味を持ってもらえるような曲になってほしいなと思って作っています。あとはやっぱり、作品内の僕が共感できる部分を抽出して、僕なりの見解を歌にするようにしています。そうしないと、僕じゃなくても良くなってしまう。あくまで“キタニタツヤ”の曲として出すので、僕の感性で切り取った作品の一部であるということは意識して作っていますね。 テーマは「青い春」—自身の“青春時代”を振り返って ――『呪術廻戦』第2期「懐玉・玉折」は、原作の主要キャラクターである「五条 悟」と「夏油 傑」の高校時代が描かれているということで、この曲も「青い春」がテーマになっていると思いますが、作詞にあたって意識されたことはなんですか? 五条と夏油の二人は、どうしようもない理由で離別してしまうんですけど、どっちが悪いとかでは全くなくて。どちらも正しいから、結果的にどうしようもなくて別れてしまった。でもあの時、もし二人が大人だったら、きちんと対話をしていたら、そうはならなかったんじゃないかなと思ったりして。 そうやって考えると、自分の青春時代もそういうことあったなと。今思い返してみると“しょうもない”と思える理由で、どうしようもなく破局してしまうみたいなことが、すごく記憶に残っていて。でも、この経験があるからこそ“次はこういうことがないようにしよう”って、他の人間関係を築けているという部分もある。この未熟だからこその“どうしようもなさ”に、思い当たる節がすごくあったので、それを歌にしたいと思いました。 ――キタニさん自身は、どのような「青春時代」を送っていましたか? 友達は多い方でしたね。でも、今でも仲いいのは一握りだな…。でも、思い返してみると、“正論で人を殴ること”を先生に怒られてました。「正しいことを言ってるのになんでダメなんだよ」って、よく反発していたんですけど。ダメに決まってるんですよね、今考えたら。でも、その時はそれがよくわからなくて。仲いい人もたくさんいたんですけど、僕のことが苦手だったっていう人も同じくらいいるんじゃないかなと思います。 ――だとしたら、キタニさんが今、意見を押し付けず、色んな解釈のできる作詞をされているというところなどを見ると、昔から結構変わられたんじゃないですか? あー、そうか。そうかもしれないです。ただ一つのことを言ってもしょうがないというのは、その時に学んだのかもしれないです。 曲に対しての解釈は聞く人に委ねている ――歌詞については、聴いた人によって色々な解釈ができるのが魅力だと感じました。特に「近づけるのに 届かなかった」という歌詞に鳥肌が立って。個人的には、夏油の思いや“五条 悟の術式”のことを指しているように感じたのですが、いかがですか? それは言わないでおこうかな(笑)。でもやっぱり、いろんなことは考えてますね。一つの意味にならないように意識しているところもあるので。例えば、こういうことを書きたいなって思ったときに、でもこれだと僕が思った通りの捉え方しかできない言葉だなって思ったら、表現を変えてみたり、他の角度から見たときに別のようにも見える言葉に変えたりします。そうすることで、僕が意図したものからさらに意味が足されるじゃないですか。今回に限ったことじゃなく、その点は常に意識してはいますね。 ――聴く人の解釈に委ねているんですね。 そうですね。そうしないと、発展性がないというか、僕が言っていることを一方的に聴いてもらうだけなのは、面白くないなと思うので。 ――曲のタイトル「青のすみか」ですが、あえて「すみか」はひらがなにしているんでしょうか? 漢字だと何かゴツゴツしていて嫌だったんですよね。音のイメージと擦り寄せたくて。ひらがなの方が、音のイメージに近かったっていう。感覚的に決めました。 ――サウンドも、ワクワクさせられるような疾走感や焦燥感がありつつ、大人が聴くと「あの頃に戻りたい」と思わせる切なさを感じる曲だと感じました。サウンド面では、どこを意識されましたか? 今回は、切なさとか寂しさとか、「あの頃に戻りたい」という気持ちは中に秘めて、表面的には爽やかに感じられる曲にしようと意識しました。僕もそういった寂しさや切なさをこれまでたくさん音楽にしてきたし、僕自身、そういったテーマが大好きなので、曲も自然にそうなっていく傾向があるんですけど。ただ今回はそれを、この曲を大事に聴いてくれた人にしか伝わらないようにしています。パッと聴いたら「爽やかなロックだね」と感じられるように、すごく意識しました。その上で、切なさをどういう風に忍ばせるかも工夫しましたね。 ――曲が発表されてから、どんなMVになるのだろうと楽しみにしていました。まさか「赤」と「青」を対比させるなんて…。期待以上でした。このMVはどのようなコンセプトで制作されたのでしょうか? MVは曲への想いをわりとストレートに表現していますね。もう取り戻せないものを一人の男が探して、見つけて、追いかける。最終的に“近づけるが届かない”っていう。それを映像1本で表せるようにしました。 作曲家・Mizoreさんとの共同制作「素敵なしゅうまつを!」 ――また、『青のすみか』とともに収録されている「素敵なしゅうまつを!」についてもお聞かせください。この楽曲は作曲家・Mizoreさんがアレンジを施したそうですが、どのようなきっかけで制作が始まったのでしょうか。 この曲は、僕が一人で作ったデモが3年くらい前からあって。メロディと歌詞は完成していたんですけど、アレンジがなんかぱっとしないと思っていたんです。自分的にメロディと歌詞をちゃんと生かせていないかもしれないと思って、ずっと寝かせていました。それで、僕はボーカロイドシーンの音楽をよく聴いているんですが、一緒に仕事したいなって思う人がたくさんいて、その中でMizoreさんがこのデモにハマりそうだなと。で、今回ちょっとぶつけてみたっていう感じなんです。 ――たしかに、Mizoreさんのギターの有無で曲の印象が大きく変わりそうですね。 Mizoreさんはすごい不思議なギターを弾く方で。今回、めちゃくちゃ良いギターを弾いてくれたから、僕は楽器でいうとベースしかやってないんですけど、後輩がかっこよく弾いてるから、頑張って良いベース弾かないと、みたいな(笑)。結構気合い入れてます。いつもベースは必要最低限にするんですけど、今回はもううるさいぐらい弾いてみようって。 ――キタニさんのベースとMizoreさんのギターが左右から聞こえてきて、両者一歩も譲らない演奏だったので、まるで二人の“バトル”を見ているような気持ちでした。 でも、本当にそういうつもりでしたね。後輩に対して見栄を張りたいっていうのは常にあります。 ――「青のすみか」もそうですが、タイトルも歌詞も“言葉あそび”が印象的です。この曲はどのようなコンセプトで制作されたのでしょうか? “いろんなことの終わり”ですね。世界の終わりかもしれないし、例えば人間関係、友人関係、家族関係の破局かもしれないし、何でもいいんですけど、そういう終わりって前触れもなく突然訪れるってずっと思っていて。それを小馬鹿にしたように、笑いながらそういうことを言ったほうが身に染みてくるんじゃないかと。重たいことを重たいように言っても聞きたくないじゃないですか。だから、重たいことをカジュアルに言おうと意図して作りました。 ――歌詞の一つひとつに意味があって、それでいて表現の仕方やワードセンスもすごく美しい。ライターとしてもすごく尊敬しています!普段、インスピレーションはどのようなところから得ていますか? ありがとうございます。本も読まなくはないんですけど、めちゃくちゃ好きって訳でもなくて。漫画はすごく読んでいて、インスピレーション源でもありますね。でも、一番大きいのは、SNS。知らない人のTwitterとかを見るのが大好きで。自分が多分、一生接することがないだろうジャンルの人っているじゃないですか。そういう人の頭の中身を覗かせてもらうっていうのは、かなり刺激的で。言語感覚がすごく独時な人だと面白い言葉の使い方をしていたりするので、学びもありますし、インスパイアされてますね。 Eveさんとのコラボ曲「ラブソング」のセルフカバー ――また、Eveさんをゲストボーカルに招いた「ラブソング」のセルフカバーも収録されていました。この楽曲のセルフカバーを期待されていた方も多いと思いますが、今作の経緯を教えてください。 ズバリ、セルフカバーしてほしいっていう声が多かったからですね。本当にファンサービスくらいの気持ち。自分ではこのメロディは歌えないけど、Eveさんなら歌える。Eveさんのボーカルとして、楽器としての可能性を感じて作った曲だったので、僕が歌ったバージョンはあくまで“おまけ”として、聴いていただけたらうれしいです。 ――セルフカバーも珍しいですよね。 あんまりやらないですね。この曲もそうですし、楽曲提供の時はいつもそのシンガーさんに向けて作っているので。求める人が多かったらやりますけどね。 ――じゃあもしかしたら声が多ければ多いほど叶うかもしれないんですね。 ああ、それはもうそうですね。ぜひ、声を上げていただけたら。 30代に突入するまでに…全国制覇!? ――9月からは全17公演の全国ツアー“UNFADED BLUE”が開催されます。ツアーに向けての意気込みをお願いします。 実は、東海エリアはこれまで名古屋しか来たことがなかったんです。でも、今回初めて岐阜に来れることになって、ありがたいことに岐阜も完売、名古屋では追加公演も決定していて、“よくここまで来たもんだ”って思っています。初めて名古屋に来たときなんて、せいぜい5人くらいしかいなかったし(笑)。だからずっと名古屋でのライブに苦手意識があったんですけど、それがやっと払拭できたので。東海エリアはぜひキタニタツヤを贔屓にしてください。 ――ではいつか三重でもよろしくお願いします!三重県民の皆さん、待っていると思います。ぜひ、文化会館で。 三重もそうですよね。じゃあ、三重県文化会館でやることを一つ目標に。あそこまでいけたら、国民的アーティストだと言えますもんね。 ――全国ツアーやアニメの主題歌、「THE FIRST TAKE」出演など最近目まぐるしい活躍ですが、これから挑戦してみたいこと・やってみたいことはありますか? やってみたいこと、そうですね。子どもの時の将来の夢は、レーサーだったんです。この間初めてレーシングカートに乗って、自分の思わぬ才能に気付いて。あ、三重県には、鈴鹿サーキットがありますね。 ――つながってきましたね(笑) もともと僕、無趣味人間で。趣味の音楽が仕事になっちゃった人間じゃないですか。だから、一般的に皆が趣味としていることをとにかくやってみたいとは思います。どれが自分にハマるか分からないので。 ――旅行とかいかがですか? あー、旅行か。たしかにそれで言ったらやっぱり、ツアーでもなかなか行けない土地には遊びに行きたいと思ってます。仕事でもプライベートでもいいので。じゃあ、30代に突入するまでに47都道府県を全て制覇します。これはリアルです。 ――めっちゃいいですね。東海にお越しいただいた際にはご案内します! ありがとうございます。愛知の下の方にも行きたいですし、もちろん三重も。よろしくお願いします! 『青のすみか』 2023年7月19日リリース 初回生産限定盤(CD+BD) 5500円 通常盤(CD)1980円 【CD】 1. 青のすみか 2. 素敵なしゅうまつを! 3. ラブソング (cover) 4. 青のすみか – Instrumental 【BD】(初回盤のみ) 「One Man Tour “UNKNOT / REKNOT” Live at Zepp DiverCity(TOKYO) 2022.10.15 公式サイト https://tatsuyakitani.com/ ※掲載内容は2023年7月時点の情報です ※価格は全て税込み表記です
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